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2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その3)07.03.07

その3:小沢民主党の「生活維新」の系譜

 私の今回の質問は、政府と民主党の農政の差を際立たせることが1つの目標であった。
 民主党案は、自給率の下がった小麦、大麦、菜種等のすべての販売農家を対象に、1兆円(農林水産予算の約3分の1)の戸別所得補償を行うのに対し、政府は、4ha以上の認定農業者のみを対象に1700億円のみ。民主党は弱者に優しく、地方への所得再配分を行うこととしている。

<経済・地方重視v.s.外交・憲法>
 安倍首相、そして予算委員、テレビを見ている方々に、元田中派・経世会の小沢一郎民主党代表が、なぜ「政治は生活である」として「生活維新」をキャッチフレーズにしたか説明を試みた。戦後の歴代内閣は、大まかにいうと経済重視、そして地方重視と抽象的理念に偏り、外交、憲法等に走る内閣に分けられる。
    吉田 茂 (1946~54): 経済重視、防衛にお金を使わず、
経済成長に資金を投入(経済重視)
    池田勇人 (1960~64): 所得倍増計画(経済重視)
    田中角栄 (1972~74): 日本列島改造論(地方重視)
    大平正芳 (1978~80): 田園都市構想(地方重視)
    竹下 登 (1987~89): ふるさと創生論(地方重視)
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    鳩山一郎 (1954~56): 日ソ国交回復
    岸 信介 (1957~60): 日米安保条約改定、改憲
    佐藤栄作 (1964~72): 沖縄の返還
    中曽根康弘(1982~87): 臨教審、戦後改革の総決算、改憲
    小泉純一郎(2001~06): 構造改革
    安倍晋三 (2006~ ): 美しい国、憲法、教育
<小沢民主党党首の必然性>
 旧田中派・経世会、旧池田派・宏池会が地方への所得移転を重視し、その他の政権、特に安倍派の系統が外交、憲法、教育に傾倒していたことがわかる。そこから浮かび上がってくるのは、地方重視の経世会の申し子というべき小沢一郎が、同じく弱者、生活に焦点をあてる民主党の党首になっているのは、単なる偶然ではないということである。
 この点に触れたところ、自民党からのヤジが騒然となり始めた。政治評論家は、自民党の権力闘争で経世会が割れ、羽田孜、小沢一郎、渡部恒三、奥田敬和等が去ったと解説する。事実はそうかもしれないが、彼らはおしなべてハト派であり、地方生まれの地方育ちである。骨のある政治家は、やはり弱者への思いやりを忘れないという自らの信条、理念に忠実なのだ。

<安倍、竹下接近の理由>
 そして、安倍晋三の父、安倍晋太郎は、岸の系譜の福田派のプリンスである。だが、田中派を継いだ竹下と接近する。安倍と竹下は、三角大福中の抗争をみて嫌気がさして仲良くやろうとしたと、政治評論家の大御所、鈴木棟一氏の本になど出てきているに違いない。福田赳夫はそうした安倍に不快感を示したとも言われている。しかし、父安倍は農林水産大臣をやり、外務大臣の時に、中野和仁元農林次官を団長とする調査団をアフリカ諸国に派遣し、アフリカの飢餓を救うためのODAを重視し始めている。基本的価値観において竹下と通ずるものがあったに違いない。
 安倍対小沢の初めての党首討論で、小沢がしんみりと父安倍のことに触れたのに対し、安倍総理は、
「私の父が、恐らく小沢さんと私が与野党の党首として論戦を闘わせるとは想像だにしていなかったのではないか」
と切り返して笑いを誘った。小沢は何も言わなかったが、私なら
「いや、経験の浅いあなたにはわからないだろうが、父君はいずれ自民党は分裂して、こうなることはとうの昔に予測されていたのではないか」
と逆に切り返していただろう。
ハト派、地方重視、弱者救済重視のグループとタカ派、憲法・外交重視、地方に冷淡、競争原理の貫徹とは、相容れなくなる。前者が自民党を飛び出し、自民党はすっかり威勢のいい旧福田派や旧中曽根派が幅を利かすようになってしまっている。死刑廃止論者であり、イラク特措法に反対した亀井静香も小泉に追い出された。亀井本人は気付いていないだろうが、もともと座りの悪い派閥にいただけのことである。本来の姿になったといってもいいかもしれない。
その意味では、後藤田正晴が総理の中曽根康弘に睨みをきかせ、幅の広い考えの持ち主の存在を許す大人の古き良き自民党は消えうせてしまったのだ。その極めつけが、郵政民営化反対者への小泉純一郎の刺客の擁立である。小泉は「自民党をぶっ壊す」と言って国民の眼をごまかしたが、自民党を片寄った党にしてしまったという点では、公約を果たしたといえるかもしれない。共産党が、安倍政権は戦後最も危険な政権と称する所以である。
我々民主党は、小沢党首の下、格差是正に向けて邁進せねばなるまい。