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2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その5)07.03.14

その5:犬の放し飼い問題

 昨年5月30日の環境委員会「鳥獣保護法」改正案審議の際に取り上げた問題だが、中山間地域振興に必ず役立つものであり、速やかな対応を促すため、予算委員会でも重ねて要請した。私の発言は以下のとおり。

 中山間地規制で、ぜひ予算委員会の場で検討していただきたいことがあって、環境大臣と厚生労働大臣に来ていただいています。
 中山間地域というのは、農村の中でも一番疲弊しているところです。山あり谷ありで、猿はでてくるわ、猪は出てくるわ、長野は熊も出てくる、鹿も出てくる。それで、農作物を荒らされる。台風の被害とか雨の被害というのは、今年はだめだったけれども来年はいいだろうという希望が持てます。しかし、猿は、出てき始めると、猿知恵をつけて毎年来ます。これはよくないわけです。
 それで、いろいろ考えています。長野の大町市は何をやり出したかというと、犬猿の仲を使って追い払う事業です。モンキードッグといって、犬を公募しているんです。政治家だけじゃないんです、公募するのは。政治家は公募をしてすぐ当選してしまうからちょっと問題のある人もいるかもしれませんけれども、犬は訓練を3ヶ月受けて、ちゃんとしつけが済んだ犬だけが解き放たれて、そして成果を上げているんです。
・・・・・資料抜粋・・・・・
【長野県のモンキードッグ】
長野県大町市、猿害対策の一環として、全国で初の試みとなる「モンキードッグ事業」を、2005年度から試行した。一般からの公募で犬を選び、約3ヶ月間、穂高の長野県警察犬訓練所で、「人に危害を加えない」「猿を見たら追い払う」「終了後は帰ってくる」などの訓練を受ける。この事業は効果を上げているため、他の市町村でも行われるようになった。
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 僕はこれは非常にいいアイディアだと思いましたが、何のことはないんです。私の小さい頃を思い出しました。私も犬を飼っていました。余計な話ですけれども、テスという名です。私のイニシャルがT・Sで、篠原孝で、テスという犬ですけれども、疲れているときは、ガーデントラクターにぴゅっと乗って畑に行きました。調子がいいときはトラクターより先に走っていって、家じゅうで農作業をしている間じゅう畑を走り回って、その辺に小便をして、自分のテリトリーを明らかにしています。
 「北越雪譜」というのを書いた鈴木牧之という人がいます。その人は秋山郷という、長野、新潟の県境地方のところを書いているんですが、「どこの農家にも犬がいた、何のためか、鳥獣を追い払うためだ」ということなんです。そして、それがいつのころから変わったかというと、昭和30年代の中ごろぐらいからです。犬がみんな鎖でつながれるようになったんです。世界じゅうに行かれている方もいると思いますけれども、他の国は違います。ロシアの専門家の袴田茂樹氏が、ソ連の共産主義時代よりも不幸なのが日本の犬だ、日本の犬だけには生まれたくないとおっしゃっています。
 鳥獣を追い払うには、電気柵なんかもありますが、一番簡単な方法は犬を放してやることです。私はしつこくいろいろな法律、条例を見ました。狂犬病予防法、動物の愛護及び管理に関する法律というのがありますが、ずるいんです、法律は繋留を義務付けていないんです。ただ、環境省の「家庭動物の飼養及び保管に関する基準」という告示でもって「犬の放し飼いを行わないこと」というふうになっているんです。
 ところが、何か気が利いた県はないかと探したら、福島県の「犬による危害の防止に関する条例施行規則」にありました。「繋留義務が課せられない場合」、昭和43年、中山間地域という言葉がなかったんですね、「山間僻地において、人、家畜、耕作物等を野獣の被害から守るため飼い犬を使用するときは繋留しなくてよい」と。これだけで全然違うんです。
・・・・・資料抜粋・・・・・
【狂犬病予防法】
第10条 知事は狂犬病が発生したと認めたときはけい留することを命じなければならない。
【家庭動物などの飼養及び保管に関する基準】(環境省告示37号)
  第5条 犬の飼養及び保管に関する基準
  1 犬の所有者等は、犬の放し飼いを行わないこと。
【福島県 犬による危害の防止に関する条例施行規則】
(けい留義務が課せられない場合)
第二条四 山間へき地等において人、家畜、耕作物等を野獣の被害から守るために飼犬を使用するとき。
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 もちろん、絶対に人に危害を与えてはいけません。ですから、きちんと訓練する必要があります。私は、きょうこの予算委員会の場で、両大臣から、これを直ちにするというお答えをぜひいただきたい。中山間地域の活性化に必ずすぐつながります。
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柳沢厚生労働大臣は、「犬の登録と予防注射、鑑札と注射済票の装着の義務を遵守している限り、地域の実情に応じて犬の放し飼いはできる。環境省とも連携しながら地方自治体に周知を深める。」と前向きな答弁だった。
若林環境大臣は、「基準はあるが、条例をどうするかは都道府県の選択判断に任せてある。しかし、私も20年の政治活動で農山村部、過疎地を歩いて何回も咬まれた。犬を訓練せず、安全管理をしないで自由に放し飼いしていいという考えをとるわけにはいかない。」という答弁をされたので、私は、
「私も自由に咬んでいい、放していいなんて言いませんよ。この辺の元気のいい人なんかは典型的で、私なんか、質問している時にいっぱい咬まれているような気がします。そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。」と、自民党席からのヤジをとばす議員を皮肉りつつ、大臣の間違いを正しておいた。

<進む動物福祉、動物の規制>
 昨年、オーストラリアでは、動物虐待禁止法(Prevention of Cruelty to Animals Act)が改正され、鶏のケージ飼い、ライオンやトラをサーカスで使うこと、犬を鎖でつなぐことなどが禁止された。また、各国で動物園の動物を自然に帰す動きが本格化し、象などが姿を消しつつある。
 その点では家畜の扱いのほうが進んでおり、ヨーロッパでは鶏のケージ飼いも禁止されつつある。堵殺される直前でも不安を感じないようにさせるとか、事細かに決められている。それをペットの犬をずっと鎖につなげておかなければならないというのは、時代遅れも甚だしいことになる。

<欧米の動物愛護団体からのクレームは必至>
 犬の繋留をこのまま放置しておくと、いずれ欧米の動物愛護団体からクレームをつけることになるのではないかと心配している。
 私の経験でいえば、パリの三ツ星レストランは、犬は入れるが、子供は入れないほど、犬がよくしつけられている。やたら吠える犬とか咬みつきそうな犬は人前にはいない。欧米では、犬の飼い主のモラルが高く、きちんとしつけるのが義務付けられており、ドイツでは、初めて犬を飼う時は、近くにある犬学校に犬を通わせなければならないという。まさに、モンキードッグの訓練と同じである。
 当然のことだが、ドイツには日本でよく見かけるペットショップもない。仔犬・仔猫の生態販売が禁止されているからだ。「ああ、かわいい。買って帰ろう」という衝動買い、そして、飽きてポイ捨て、ということが許されない仕組みとなっている。繋留にしても多くとも1日14時間以内で、妊娠中、生後1年以内は鎖でつなぐことは禁止とか、念入りなルールが決められている。日本では1人暮らしだからペットと同居する人が多いが、ドイツでは、ペットを残して出かけてはいけないからと、犬猫を飼わない人も多いそうだ。
もっとも、きれいなパリの街並みで、犬の糞をあちこちに見つけ、何回かは踏んづけてしまうのには辟易した。こちらは飼い主のモラルの問題だろう。

<必要な飼い主責任の明確化>
 まずは、中山間地域から始め、次は犬のペット全般で犬の扱いについて動物福祉、動物の規制まで考慮してルール作りが必要である。人間の勝手で犬を鎖につなげて自由を奪うのは、あまりにも残酷である。飼い主が責任を持ってしつけることを義務付け、しつけられない者には飼わせないということも視野に入れていかなければならなくなるだろう。