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2007年03月14日

2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その5)07.03.14

その5:犬の放し飼い問題

 昨年5月30日の環境委員会「鳥獣保護法」改正案審議の際に取り上げた問題だが、中山間地域振興に必ず役立つものであり、速やかな対応を促すため、予算委員会でも重ねて要請した。私の発言は以下のとおり。

 中山間地規制で、ぜひ予算委員会の場で検討していただきたいことがあって、環境大臣と厚生労働大臣に来ていただいています。
 中山間地域というのは、農村の中でも一番疲弊しているところです。山あり谷ありで、猿はでてくるわ、猪は出てくるわ、長野は熊も出てくる、鹿も出てくる。それで、農作物を荒らされる。台風の被害とか雨の被害というのは、今年はだめだったけれども来年はいいだろうという希望が持てます。しかし、猿は、出てき始めると、猿知恵をつけて毎年来ます。これはよくないわけです。
 それで、いろいろ考えています。長野の大町市は何をやり出したかというと、犬猿の仲を使って追い払う事業です。モンキードッグといって、犬を公募しているんです。政治家だけじゃないんです、公募するのは。政治家は公募をしてすぐ当選してしまうからちょっと問題のある人もいるかもしれませんけれども、犬は訓練を3ヶ月受けて、ちゃんとしつけが済んだ犬だけが解き放たれて、そして成果を上げているんです。
・・・・・資料抜粋・・・・・
【長野県のモンキードッグ】
長野県大町市、猿害対策の一環として、全国で初の試みとなる「モンキードッグ事業」を、2005年度から試行した。一般からの公募で犬を選び、約3ヶ月間、穂高の長野県警察犬訓練所で、「人に危害を加えない」「猿を見たら追い払う」「終了後は帰ってくる」などの訓練を受ける。この事業は効果を上げているため、他の市町村でも行われるようになった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 僕はこれは非常にいいアイディアだと思いましたが、何のことはないんです。私の小さい頃を思い出しました。私も犬を飼っていました。余計な話ですけれども、テスという名です。私のイニシャルがT・Sで、篠原孝で、テスという犬ですけれども、疲れているときは、ガーデントラクターにぴゅっと乗って畑に行きました。調子がいいときはトラクターより先に走っていって、家じゅうで農作業をしている間じゅう畑を走り回って、その辺に小便をして、自分のテリトリーを明らかにしています。
 「北越雪譜」というのを書いた鈴木牧之という人がいます。その人は秋山郷という、長野、新潟の県境地方のところを書いているんですが、「どこの農家にも犬がいた、何のためか、鳥獣を追い払うためだ」ということなんです。そして、それがいつのころから変わったかというと、昭和30年代の中ごろぐらいからです。犬がみんな鎖でつながれるようになったんです。世界じゅうに行かれている方もいると思いますけれども、他の国は違います。ロシアの専門家の袴田茂樹氏が、ソ連の共産主義時代よりも不幸なのが日本の犬だ、日本の犬だけには生まれたくないとおっしゃっています。
 鳥獣を追い払うには、電気柵なんかもありますが、一番簡単な方法は犬を放してやることです。私はしつこくいろいろな法律、条例を見ました。狂犬病予防法、動物の愛護及び管理に関する法律というのがありますが、ずるいんです、法律は繋留を義務付けていないんです。ただ、環境省の「家庭動物の飼養及び保管に関する基準」という告示でもって「犬の放し飼いを行わないこと」というふうになっているんです。
 ところが、何か気が利いた県はないかと探したら、福島県の「犬による危害の防止に関する条例施行規則」にありました。「繋留義務が課せられない場合」、昭和43年、中山間地域という言葉がなかったんですね、「山間僻地において、人、家畜、耕作物等を野獣の被害から守るため飼い犬を使用するときは繋留しなくてよい」と。これだけで全然違うんです。
・・・・・資料抜粋・・・・・
【狂犬病予防法】
第10条 知事は狂犬病が発生したと認めたときはけい留することを命じなければならない。
【家庭動物などの飼養及び保管に関する基準】(環境省告示37号)
  第5条 犬の飼養及び保管に関する基準
  1 犬の所有者等は、犬の放し飼いを行わないこと。
【福島県 犬による危害の防止に関する条例施行規則】
(けい留義務が課せられない場合)
第二条四 山間へき地等において人、家畜、耕作物等を野獣の被害から守るために飼犬を使用するとき。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 もちろん、絶対に人に危害を与えてはいけません。ですから、きちんと訓練する必要があります。私は、きょうこの予算委員会の場で、両大臣から、これを直ちにするというお答えをぜひいただきたい。中山間地域の活性化に必ずすぐつながります。
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柳沢厚生労働大臣は、「犬の登録と予防注射、鑑札と注射済票の装着の義務を遵守している限り、地域の実情に応じて犬の放し飼いはできる。環境省とも連携しながら地方自治体に周知を深める。」と前向きな答弁だった。
若林環境大臣は、「基準はあるが、条例をどうするかは都道府県の選択判断に任せてある。しかし、私も20年の政治活動で農山村部、過疎地を歩いて何回も咬まれた。犬を訓練せず、安全管理をしないで自由に放し飼いしていいという考えをとるわけにはいかない。」という答弁をされたので、私は、
「私も自由に咬んでいい、放していいなんて言いませんよ。この辺の元気のいい人なんかは典型的で、私なんか、質問している時にいっぱい咬まれているような気がします。そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。」と、自民党席からのヤジをとばす議員を皮肉りつつ、大臣の間違いを正しておいた。

<進む動物福祉、動物の規制>
 昨年、オーストラリアでは、動物虐待禁止法(Prevention of Cruelty to Animals Act)が改正され、鶏のケージ飼い、ライオンやトラをサーカスで使うこと、犬を鎖でつなぐことなどが禁止された。また、各国で動物園の動物を自然に帰す動きが本格化し、象などが姿を消しつつある。
 その点では家畜の扱いのほうが進んでおり、ヨーロッパでは鶏のケージ飼いも禁止されつつある。堵殺される直前でも不安を感じないようにさせるとか、事細かに決められている。それをペットの犬をずっと鎖につなげておかなければならないというのは、時代遅れも甚だしいことになる。

<欧米の動物愛護団体からのクレームは必至>
 犬の繋留をこのまま放置しておくと、いずれ欧米の動物愛護団体からクレームをつけることになるのではないかと心配している。
 私の経験でいえば、パリの三ツ星レストランは、犬は入れるが、子供は入れないほど、犬がよくしつけられている。やたら吠える犬とか咬みつきそうな犬は人前にはいない。欧米では、犬の飼い主のモラルが高く、きちんとしつけるのが義務付けられており、ドイツでは、初めて犬を飼う時は、近くにある犬学校に犬を通わせなければならないという。まさに、モンキードッグの訓練と同じである。
 当然のことだが、ドイツには日本でよく見かけるペットショップもない。仔犬・仔猫の生態販売が禁止されているからだ。「ああ、かわいい。買って帰ろう」という衝動買い、そして、飽きてポイ捨て、ということが許されない仕組みとなっている。繋留にしても多くとも1日14時間以内で、妊娠中、生後1年以内は鎖でつなぐことは禁止とか、念入りなルールが決められている。日本では1人暮らしだからペットと同居する人が多いが、ドイツでは、ペットを残して出かけてはいけないからと、犬猫を飼わない人も多いそうだ。
もっとも、きれいなパリの街並みで、犬の糞をあちこちに見つけ、何回かは踏んづけてしまうのには辟易した。こちらは飼い主のモラルの問題だろう。

<必要な飼い主責任の明確化>
 まずは、中山間地域から始め、次は犬のペット全般で犬の扱いについて動物福祉、動物の規制まで考慮してルール作りが必要である。人間の勝手で犬を鎖につなげて自由を奪うのは、あまりにも残酷である。飼い主が責任を持ってしつけることを義務付け、しつけられない者には飼わせないということも視野に入れていかなければならなくなるだろう。

2007年03月09日

2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その4)07.03.09

その4:直接支払いの面積要件問題
<市町村に対する直接支払い>
 竹下登首相の「ふるさと創生資金」は、市町村に対して直接支払いして使途を決めずに自由に使っていいという「市町村に対する直接支払い」、つまり、地域間格差を是正するものだったと思う。
<社会保障的性格をもつ直接支払い>
地方にお金を行かすために、EUは「農家に対する直接支払い」を政策的に導入し、1975年から「条件不利地域支払い」、1985年から「環境支払い」を始めた。農産物の価格支持をしていると過剰になるし、大農家に補助金が多くいく。そうではなく、本当に必要な人たち―中山間地域で農業を営むことによって、田園風景を守り国土の保全に貢献している人たち―にお金がいくように考えてやり始めたのが「直接支払い」である。つまり、直接支払いは、社会保障的なもので、構造政策(規模拡大)の手段となりにくい政策である。

<民主党案v.s.政府案>
2004年に民主党は、自給率向上と農林漁村の活性化のために直接支払いを中心とする施策を導入する「農林漁業再生プラン」発表した。その後、政府も我々に追随する形で直接支払いを「担い手経営新法」に導入した。しかし、民主党の再生プランと政府の担い手経営安定対策には大きな違いがある。(詳しくはホームページ掲載資料参照)

民主党案 ⇔ 政府案
自給率  :10年で40→50% ⇔ 40→45%
対象農産物:自給率の向上に資する作物 ⇔ 価格政策の対象だった作物のみ
対象農家 :全ての販売農家 ⇔ 4ha以下切捨て、集落営農(20ha以上)でごまかし
予算額  :1兆円(農林水産予算の約3分の1) ⇔ 1700億円のみ
支払基準 :生産面積に基づく支払 ⇔ 過去の生産実績(新たな生産は認めず)
米の生産調整:廃止 ⇔ 継続

<政府案は小農切捨て>
大きく違うのは、まじめにやっているすべての販売農家を対象に所得保障しようというのが民主党案で、4ha(都府県)以下の農家は切り捨てるというのが政府案である。EUは平均耕地面積が18.7ha(英国67.7ha、フランス42.0ha)であるが、0.3ha以上の農家を対象にしている。EUは、実に平均の62分の1以上の農家に支払うというのだが、日本は、都府県の平均耕地面積1.3haに対し、3.3倍の4ha以上の農家しか対象にしない。

<教育バウチャーと農民分権>
直接支払い(戸別所得補償)というのは、社会保障的なもので、本当に必要な農家、困っている農家を対象にするものである。教育バウチャー制度が、大学や高校に補助金を出すのではなく、教育を受ける子供たちに直接お金をやって、自分でどういう教育を受けるか判断させるのと同じように、農家個人個人に補助金を直接支払う。地方分権を飛び越した「農民分権」である。EUでは、大きな農家にはやらないよう、上限を設け、5,000ユーロ以上は減らしている。
ところが、日本政府の直接支払いは、4ha以上の農家が対象で上限もない。松岡農相は、構造改革(規模拡大)を進めるために大きな農家を直接支払いの対象にするという、直接支払いの本来の性格を知らない、全く間違った対応をしている。もし大規模な農家により多くの補助金をやりたいなら、価格支持こそ適しているのである。我が国が高米価政策をやめた時に、最も影響を受けて困ったのが大規模農家だったことをみればよくわかることである。
また、4ha未満の農家は20ha以上集まれば集落営農の対象になるというが、一元経理まで要求する仕組みがこの資本主義国日本で成り立つかどうか。共産主義の国ソ連のコルホーズ(国営農場)、ソホーズ(共同農場)、中国の人民公社も今や崩壊している。

(農業は底上げの例外か?>
安倍首相は、日本経済全体の底上げ戦略を再チャレンジでやるという。しかし、農業において、平均の3.3倍の超エリートだけを対象にしたのでは、全く底上げにならない。2haの耕地でこれから一生懸命やっていこうとする25歳の若者と、7~8ha持って悠々やっている73歳の高齢者とどちらをバックアップすべきだろうか。再チャレンジどころか1回目チャレンジにも門戸を閉ざしてしまっている。「担い手経営新法」といって担い手を育成するなら、面積要件で切るべきではなく、むしろ年齢を要件とすべきである。例えば、フランスの条件不利地域の直接支払いは、65歳未満という条件をつけている。このままでは、自給率向上にも、やる気のある新規農業者や若手の農業者支援・育成にも何ら繋がらず、農村地域社会を崩壊させ、日本社会を混乱に陥れるような方向にいくだけである。
戸別所得補償(直接支払い)比較
民主党案
(農業再生プラン)
項目政府案
10年で40→50%、自給率40→45%  (2015年)
一応の目標で上がらず
自給率の向上に資する作物
(麦、大豆、菜種等)
対象農産物価格政策の対象だった
作物のみ
全ての販売農家
(農業・農村全体の底上げ)
対象農家4ha以下切捨て
集落営農(20ha以上)でごまかし
(ソ連時代の共同農場と同じ?)
1兆円
(農林水産予算の約3分の1)
予算額価格補助を直接支払いにした
1700億円のみ
(増額なし)
生産面積に基づく支払支払基準過去の生産実績
(新たな生産は認めず)
廃止米の
生産調整
継続

米国、イギリス、フランス、ドイツ、日本の1戸当たり直接支払い(政府補助金)比較(2004年、受給農家平均)
○米国
(単位:万円)
価格支持融資(ローン不足払い)直接固定支払価格変動対応型支払その他
13025502134

○イギリス、フランス、ドイツ

(単位:万円)
直接支払条件不利地域支払農業環境支払その他
イギリス566467313929
フランス347294182213
ドイツ376282204034

○日本
(単位:万円)
中山間地域等直接支払制度
8

EU及びEU加盟国の直接支払いにおける面積要件等
要件EU英国フランス日本
平均耕地面積 18.7ha 67.7ha 42.0ha 1.3ha
(本州・販売農家)
直接支払い(一般)
面積下限 0.3haを下限
(平均の1/62)
0.3ha以上
(平均の1/226)
0.3ha以上
(平均の1/140)
4ha以上
(集落営農20ha以上)
(平均の3.3倍)
面積上限 (5,000ユーロ以上は縮減) (5,000ユーロ以上は縮減) (5,000ユーロ以上は縮減)
条件不利地域支払
面積下限 3ha以上
(平均の1/6)
10ha以上の牧草地所有
(平均の1/7)
65歳未満
所得の50%以上を営農活動から

面積上限

50haを限度とする
(平均の1.2倍)

環境支払い 環境によい農法 全ての作物、全ての農用地 全ての作物、全ての農用地
18歳以上
(農地・水・環境対策)

2007年03月07日

2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その3)07.03.07

その3:小沢民主党の「生活維新」の系譜

 私の今回の質問は、政府と民主党の農政の差を際立たせることが1つの目標であった。
 民主党案は、自給率の下がった小麦、大麦、菜種等のすべての販売農家を対象に、1兆円(農林水産予算の約3分の1)の戸別所得補償を行うのに対し、政府は、4ha以上の認定農業者のみを対象に1700億円のみ。民主党は弱者に優しく、地方への所得再配分を行うこととしている。

<経済・地方重視v.s.外交・憲法>
 安倍首相、そして予算委員、テレビを見ている方々に、元田中派・経世会の小沢一郎民主党代表が、なぜ「政治は生活である」として「生活維新」をキャッチフレーズにしたか説明を試みた。戦後の歴代内閣は、大まかにいうと経済重視、そして地方重視と抽象的理念に偏り、外交、憲法等に走る内閣に分けられる。
    吉田 茂 (1946~54): 経済重視、防衛にお金を使わず、
経済成長に資金を投入(経済重視)
    池田勇人 (1960~64): 所得倍増計画(経済重視)
    田中角栄 (1972~74): 日本列島改造論(地方重視)
    大平正芳 (1978~80): 田園都市構想(地方重視)
    竹下 登 (1987~89): ふるさと創生論(地方重視)
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    鳩山一郎 (1954~56): 日ソ国交回復
    岸 信介 (1957~60): 日米安保条約改定、改憲
    佐藤栄作 (1964~72): 沖縄の返還
    中曽根康弘(1982~87): 臨教審、戦後改革の総決算、改憲
    小泉純一郎(2001~06): 構造改革
    安倍晋三 (2006~ ): 美しい国、憲法、教育
<小沢民主党党首の必然性>
 旧田中派・経世会、旧池田派・宏池会が地方への所得移転を重視し、その他の政権、特に安倍派の系統が外交、憲法、教育に傾倒していたことがわかる。そこから浮かび上がってくるのは、地方重視の経世会の申し子というべき小沢一郎が、同じく弱者、生活に焦点をあてる民主党の党首になっているのは、単なる偶然ではないということである。
 この点に触れたところ、自民党からのヤジが騒然となり始めた。政治評論家は、自民党の権力闘争で経世会が割れ、羽田孜、小沢一郎、渡部恒三、奥田敬和等が去ったと解説する。事実はそうかもしれないが、彼らはおしなべてハト派であり、地方生まれの地方育ちである。骨のある政治家は、やはり弱者への思いやりを忘れないという自らの信条、理念に忠実なのだ。

<安倍、竹下接近の理由>
 そして、安倍晋三の父、安倍晋太郎は、岸の系譜の福田派のプリンスである。だが、田中派を継いだ竹下と接近する。安倍と竹下は、三角大福中の抗争をみて嫌気がさして仲良くやろうとしたと、政治評論家の大御所、鈴木棟一氏の本になど出てきているに違いない。福田赳夫はそうした安倍に不快感を示したとも言われている。しかし、父安倍は農林水産大臣をやり、外務大臣の時に、中野和仁元農林次官を団長とする調査団をアフリカ諸国に派遣し、アフリカの飢餓を救うためのODAを重視し始めている。基本的価値観において竹下と通ずるものがあったに違いない。
 安倍対小沢の初めての党首討論で、小沢がしんみりと父安倍のことに触れたのに対し、安倍総理は、
「私の父が、恐らく小沢さんと私が与野党の党首として論戦を闘わせるとは想像だにしていなかったのではないか」
と切り返して笑いを誘った。小沢は何も言わなかったが、私なら
「いや、経験の浅いあなたにはわからないだろうが、父君はいずれ自民党は分裂して、こうなることはとうの昔に予測されていたのではないか」
と逆に切り返していただろう。
ハト派、地方重視、弱者救済重視のグループとタカ派、憲法・外交重視、地方に冷淡、競争原理の貫徹とは、相容れなくなる。前者が自民党を飛び出し、自民党はすっかり威勢のいい旧福田派や旧中曽根派が幅を利かすようになってしまっている。死刑廃止論者であり、イラク特措法に反対した亀井静香も小泉に追い出された。亀井本人は気付いていないだろうが、もともと座りの悪い派閥にいただけのことである。本来の姿になったといってもいいかもしれない。
その意味では、後藤田正晴が総理の中曽根康弘に睨みをきかせ、幅の広い考えの持ち主の存在を許す大人の古き良き自民党は消えうせてしまったのだ。その極めつけが、郵政民営化反対者への小泉純一郎の刺客の擁立である。小泉は「自民党をぶっ壊す」と言って国民の眼をごまかしたが、自民党を片寄った党にしてしまったという点では、公約を果たしたといえるかもしれない。共産党が、安倍政権は戦後最も危険な政権と称する所以である。
我々民主党は、小沢党首の下、格差是正に向けて邁進せねばなるまい。

2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その2)07.03.07

その2:地域間格差の厳然たる事実
 まず、一般経済、農業の占める割合、子供・人口、教育、医療、安全・国を愛する心の6ページの資料で、それぞれ4~5項目ずつ、上位5県、下位5県を示し、地域間格差が厳然と存在することを説明した。その概要は以下のとおり。 ①一般経済
・東京の1人当たり所得は427万円、最下位の沖縄は204万円と倍半分の大きな格差。
②農業の占める割合
・農業・農村度合を農家戸数割合、農業総生産額割合、二次・三次産業割合等で示し、それを頭に入れて、農業・農村度合の高い県がいかに下位にあり、格差があるかを見極める。
・長野県が第三次産業就業比率が57%と一番低く、逆に、農業・工業、いわゆるものづくりに一番たずさわっていることになる。
③子供・人口
・東京は、婚姻率が一番高いにもかかわらず、出生率が一番低い。沖縄は出生率が一番で婚姻率も三番目に高い。
・高齢化率が高い秋田は、既に結婚した人ばかりなので、婚姻率も年少人口割合も低い。
・県民人口1万人当たりの人口流出が一番大きいのは秋田で、山口が二番である。総理の地元から人がどんどん減っているが、総理を輩出しているぐらいだから、いっぱい外にでてきているのだろう。
④教育
・高校生の県内就職率は、太平洋ベルト地帯が多く、農村度が高く、仕事のない県は県外に出て行かざるをえない。
⑤医療
・国立大学の医学部の定員は、100人程度とどこも同じなので、徳島、鳥取のように人口の少ない県や大学の多い東京・京都は人口当たりの医師数が多い。都市近郊で人口の増えている埼玉、茨城、千葉などはインフラ整備が遅れているので同じく医師数が少ない。
・1人当たりの老人医療費は長野県が一番少ない。長野県は高齢者就業率が最も高く、まじめに死ぬまで働き続けて、ぴんぴんころりで死んでいく。

このような地域間格差を如実に表わす裏づけを示して、一貫して「格差はない」との認識を示している首相の認識を質した。首相が唱える再チャレンジ策は地域間格差の前には何ら効果が期待できない。私は〔その3〕に述べるとおり、歴代政権の系譜を挙げて、地域格差を直視した政策の必要性を強調した。
大都市と地方(農村)の格差
一般経済

上位5都道府県全国平均下位5都道府県
1人当たり県民所得
(平成15年) 単位:千円
東京都42672958沖縄県2042
愛知県3403青森県2160
静岡県3226長崎県2187
滋賀県3205高知県2238
神奈川県3184鹿児島県2239
有効求人倍率
(平成18年4~6月)単位:倍
愛知県1.93 1.08 青森県0.42
東京都1.62 高知県0.48
栃木県1.43 沖縄県0.50
福井県1.42 長崎県0.59
三重県1.42 鹿児島県0.60
完全失業率
(平成18年4~6月)
単位:%
富山県2.8%4.2%沖縄県8.0%
石川県2.8%大阪府5.8%
愛知県2.8%福岡県5.8%
三重県2.8%青森県5.7%
滋賀県2.8%北海道5.6%
最低賃金
(平成18年)
1時間当たり、円
東京都719
青森県610
神奈川県717岩手県610
大阪府712秋田県610
埼玉県687沖縄県610
千葉県687佐賀県、他3県611

農業の占める割合

下位5都道府県全国平均上位5都道府県
全世帯に占める
農家の割合
(平成17年)
単位:%
東京都0.25.8秋田県18.3
大阪府0.8岩手県17.8
神奈川県0.8島根県17.0
北海道2.5鳥取県16.7
埼玉県3.0長野県16.3
総生産に占める
農業総生産の割合
(平成15年度)
単位:%
東京都0.11.1鹿児島県4.1
大阪府0.1宮崎県4.1
神奈川県0.1青森県3.2
兵庫県0.4秋田県3.2
愛知県0.5山形県3.2
総労働力に占める
農業労働人口の割合
(平成17年)
単位:%
東京都0.35.1秋田県15.5
大阪府0.5岩手県15.5
神奈川県0.8山形県13.3
埼玉県2.6青森県12.9
愛知県2.6鳥取県12.7
第二次産業就業者比率(対就業者)
(平成12年)
単位:%
滋賀県38.829.5沖縄県18.8
岐阜県38.7北海道22.1
富山県38.4高知県22.3
静岡県37.5東京都22.5
福井県37.3長崎県23.6
第三次産業就業者比率(対就業者)
(平成12年)
単位:%
東京都74.264.3長野県53.3
沖縄県74.2山形県54.1
福岡県70.6福島県55.2
神奈川県69.6栃木県56.1
千葉県69.6群馬県56.2

大都市と地方(農村)の格差
子供・人口

上位5都道府県全国平均下位5都道府県
合計特殊出生率
(平成17年)
沖縄県1.711.25東京都0.98
福井県1.47奈良県1.12
福島県1.46北海道1.13
宮崎県1.46京都府1.13
鳥取県、他2県1.44大阪府1.169
婚姻率
(人口千人当たり)
(平成16年)
東京都6.845.64秋田県4.35
神奈川県6.43島根県4.60
沖縄県6.36岩手県4.68
愛知県6.20高知県4.69
大阪府5.99新潟県4.71
年少人口割合
(平成17年)
単位:%
沖縄県18.9%13.7%秋田県11.7%
滋賀県15.2%東京都11.7%
佐賀県15.1%大分県12.4%
福井県14.9%北海道12.5%
愛知県14.7%高知県12.5%
人口動態の純増減
(平成17年)
単位:人
神奈川県17395 全国合計
-21266
北海道-8562
愛知県14574 新潟県-5364
埼玉県11636 秋田県-5364
大阪府7463 山口県-5008
沖縄県7094 青森県-4358

大都市と地方(農村)の格差
教育

上位5都道府県全国平均下位5都道府県
就学援助率
(平成16年)
単位:%
静岡県4.1%12.8%大阪府27.9%
山形県4.8%東京都24.8%
栃木県4.9%山口県23.2%
茨城県5.1%北海道19.3%
岐阜県5.4%高知県17.9%
高等学校卒業者の
進学率
(平成16年)
単位:%
京都府58.3%47.2%沖縄県31.1%
東京都56.1%岩手県34.3%
広島県55.1%熊本県36.3%
兵庫県54.9%北海道36.4%
愛知県、奈良県54.1%青森県、鹿児島県36.9%
大学・短期大学等への
現役進学率
(平成18年)
単位:%
京都府61.6%49.3%沖縄県33.6%
東京都59.0%岩手県37.2%
広島県56.8%熊本県37.9%
奈良県56.0%北海道38.0%
兵庫県56.0%青森県38.2%
高校生の県外就職率
(平成17年)
単位:%
愛知県2.3%19.3%鹿児島県44.6%
富山県6.0%青森県44.2%
大阪府6.0%長崎県44.1%
静岡県6.8%佐賀県42.5%
広島県7.8%高知県42.3%

安全・愛国心(?)

上位5都道府県全国平均下位5都道府県
100万に当たりの
防衛大学生数
(平成17年)
単位:人
佐賀県51.712.6埼玉県4.1
宮崎県50.4千葉県4.6
熊本県42.4神奈川県4.9
長崎県41.2新潟県5.7
大分県38.0長野県5.9
1万に当たりの
自衛官数
(平成17年)
単位:人
青森県76.018.6大阪府4.8
宮崎県75.4東京都5.7
長崎県73.6奈良県6.8
鹿児島県65.9埼玉県6.8
北海道62.7神奈川県7.5
刑法犯認知件数
(人口千人当たり)
(平成17年)
単位:件
秋田県7.5117.76大阪府28.30
岩手県8.15愛知県27.42
山形県8.51埼玉県22.26
鹿児島県8.52京都府21.75
長崎県8.68兵庫県21.74
窃盗犯認知件数
(人口千人当たり)
(平成17年)
単位:件
秋田県5.2613.50大阪府22.60
長崎県5.79愛知県21.59
山形県5.86千葉県17.24
岩手県5.94埼玉県17.17
鹿児島県6.84福岡県16.46
刑法犯検挙率
(認知件数1件当たり)
(平成17年)
単位:件
福井県52.728.6大阪府16.5
山口県49.9埼玉県19.8
山形県49.0愛知県21.3
秋田県48.4兵庫県23.7
島根県48.1和歌山24.8

大都市と地方(農村)の格差
医療

上位5都道府県全国平均下位5都道府県
人口10万人当たりの
医師数
(平成16年)
単位:人
徳島県 282 212埼玉県 134
鳥取県 281茨城県 150
東京都 278千葉県 152
京都府 275岐阜県 171
高知県 274青森県 174
人口10万人当たりの
病床数
(平成16年)
単位:床
高知県 2,447 1,278神奈川県 866
鹿児島県 2,024埼玉県 884
熊本県 1,956千葉県 932
徳島県 1,947愛知県 973
山口県 1,871岐阜県 989
1人当たりの老人医療費
(平成15年)
単位:円
長野県 552,721 722,667福岡県 920,711
山形県 612,042北海道 880,524
新潟県 631,615大阪府 878,047
静岡県 632,872長崎県 861,554
千葉県 650,476広島県 859,979
平均在院日数〈全病院〉
(平成16年)
単位:日
長野県27.136.3高知県56.1
東京都28.5佐賀県55.1
神奈川県28.9鹿児島県52.6
岐阜県29.9山口県52.4
山形県30.0徳島県51.4

2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告07.03.07

3月1日の予算委員会の質疑は、NHKの国会中継で生放送されたこともあり、多くの方にご覧いただきありがとうございました。

この予算委員会の内容については、下記のようにホームページで数回にわけてご報告したいと思います。

1. 質問までの経緯
2. 地域間格差
3. 小沢民主党の「生活維新」の系譜
4. 直接支払いの面積要件問題
5. 軍事安全保障と食料安全保障
6. 犬の放し飼い問題
7. 質問を終えて
(報告の順序は前後します。)

また、質問の際に使った資料をみたいという声をいただきましたので、テレビ用に作ったパネルをホームページ上に掲載してご覧いただけるようにしました。

各質問の際につかった資料については、それぞれの報告と一緒に掲載しますので、合わせてご覧ください。


2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その1 経緯)


審議が滞る予算委員会
 通常国会では、首相の施政方針演説の後、まず、衆議院予算委員会で、予算案の審議が行われる。予算については、衆議院に先議権があり、衆議院で可決されれば、参議院で審議が延びようと否決されようと、30日後に予算が成立する。つまり、3月2日までに衆議院本会議で可決すれば、自動的に4月から執行する予算が成立する。しかし、今国会は、政治資金収支報告書を巡る疑惑や、柳沢厚生労働大臣の失言などで審議が滞り、3月2日までの衆議院通過は無理だと思われていた。

突然の質問命令(2月27日)
 私は、予算委員会分科会で、千曲川の水位の問題を取り上げようと準備をしていたが、2月27日の午後になって突然、3月1日の予算委員会の地域間格差問題に関する集中審議で45分間、質問するように要請された。私に期待されていたのは、民主党農林漁業再生プランのPRと冗舌な松岡農相にピシャリと反論することだ。通常の委員会での審議だと、もう少し準備期間があるのだが、今回は1日半しか時間がない。急遽、資料作成の準備を始めた。
 2004年に、民主党農林漁業再生プランを作ったのに続いて、今年は、森林林業再生プランを作成するため、27日夜も、菅代表代行たちとの打ち合わせが入っていた。私は、各省庁に資料要求の指示をした後、森林林業再生プロジェクトの会合に出席し、夜10時に事務所に戻って、手伝いに来させていた大学生の息子と質問準備を続けた。
   13:30~14:30 鈴木棟一氏より取材
   14:30~15:30 エネルギー政策調査会
   16:15~16:30 仙谷由人議員と打ち合わせ
   16:40頃    3月1日予算委員会での質問命令
   17:00頃    各省に資料要求、質問要旨通告
   19:00~21:30 森林林業再生プロジェクト会合
      ~24:00 質問準備 (自宅泊)

前日(2月28日)
 翌28日も、国対役員・筆頭理事合同会議、森林林業再生プロジェクト打ち合わせ、ネクストキャビネット(NC)閣議を始め、会議や面会の予定がびっしり詰まっていたが、夕方には質問をまとめ、いつものとおり、すべての質問を書いた紙を各省に渡して説明した。
私は、質問の際には、毎回その質問にふさわしい資料を新たに作成して配布し、それをもとに説明し、議論することを旨としている。今回も、妻(元政策秘書)と息子を動員して、深夜までかかって、17ページの資料を作成した。また、今回はテレビ中継が入るということで、視聴者に見てもらうため、その中の重要なものから5枚のパネルを作成した。
    9:00~    終日資料準備
   11:00~12:00 菜の花議員連盟会合
   12:00~13:00 国対役員・筆頭理事合同会議
   13:00~14:00 森林林業再生プロジェクト打ち合わせ
   15:00~16:00 ネクストキャビネット(NC)閣議
   16:00~16:30 資料要求に基づき、林野庁より補正予算説明
   16:45頃    関係各省へ質問通告
   17:00~17:15 荘林幹太郎学習院女子大学教授来訪
           (弁当で夕食)
   18:30~20:00 各省に質問説明
       ~1:30 質問準備・資料作成 (議員宿舎泊)


質問当日(3月1日)
 3月1日の当日は、朝8時から私がNC農水大臣を務める農林水産部門会議に出席した。また、11時からは、民主党の海洋法制プロジェクトチームで海洋基本法を検討する会議があった。私は、ワシントン大学海洋総合研究所で海洋法を学び、また水産庁企画課長時代に国際海洋法批准のための法整備を担当したこともあり、この会議にも出席するつもりだったが、やむなく欠席し、代わりに息子を傍聴に行かせ、質問の準備を続けた。
お昼には、地元の酒井御夫妻が娘さんと国会見学に来られた。普段は自ら御案内するのだが、この日ばかりは不可能で秘書の案内で国会見学や予算委員会の傍聴をしていただいた。予算委員の打ち合わせ会に出席した後も、私と妻は、ぎりぎりまで質問メモ作りを続け、民主党の質問が始まる2時に、用意した資料とメモを持って、予算委員会の議場に入った。私の質問は、岩國哲人議員の次で、持ち時間は45分間である。
    8:00~ 8:15 農林水産部門会議役員会
    8:15~ 9:00 農林水産部門会議
   11:00~12:00 海洋法制プロジェクトチーム会議
   12:00~12:15 来客応対
   12:30~13:00 予算委員の打ち合わせ会
   14:00~15:30 予算委員会

 せっかく、準備したパネルも時間が足りず、3枚しか使えなかった。そこで、このメルマガ、ホームページの場を借りて補充してみる。
 予定した質問のあらすじは、以下のとおりだった。
① いろいろな分野の上位5県と下位5県を示すことにより、地域間格差の存在を説明、安倍総理に地域間格差を認めさせる。
② それを是正する手段として、戸別所得補償(直接支払い)が有効であり、民主党案は、1兆円を投入することを説明。
③ それに対し、政府案は、4ha以上の認定農業者など大規模農家のみを対象とするいびつなものであると指摘し、安倍政権の底上げ戦略に反するのではないかと質す。
④ 最も格差のひどい中山間地域の活性化のために、訓練した犬の放し飼いを認め、猪、猿、鹿、熊の害をくい止めるべきであることを提案。
⑤ 政府案では、食料自給率は上がらず、食料安保が危うくなることを安倍総理、麻生外相に質す。
⑥ 軍事安保と食料安保を比較し、前者のみ突出しつつある危険を指摘。
⑦ 松岡農相の一連のスキャンダルについて説明責任を果たすよう要求。

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