« 【農家の大半が支持した戸別所得補償】 | メイン | 迷走する自民党政権:民主党政権への期待 07.8.5記 »

篠原孝の偏り参院選選挙総括 07.8.3記

選挙総括が大変遅くなってすみません。
山形県を拠点とする全国応援、羽田雄一郎候補の最終街宣、当選祝い、お礼挨拶廻り
等で机に向う暇がなく遅れてしまいました。気が付いたまま書きますので、参考まで。

<年金選挙は言われているほどなく、1人区の農政選挙の勝利>
民主60、自民37、非自民系無所属6(又は7)と民主党が大勝しました。
内訳をみるとどこが勝ったか良くわかります。
まず比例区は前回(04年)19が1つ増え20、次に3人以上の選挙区、愛知、神奈川、
東京は前回も2。今回、新たに埼玉と千葉が2とれました。
 2人区は、北海道、新潟で2人擁立したものの、結局二大政党制を反映して、前回と同じく全部民主1、自民1。
 そして問題の29の1人区は
01年(1人区27)   非自民  2 (民主 0) :自民 25
04年(1人区27)   非自民 13 (民主 9) :自民  14
07年(1人区29)   非自民 23 (民主17) :自民  6
と89年の23:3以来の大勝でした。
つまり、比例区と都市部が年金と、政治とカネの関係の不規則発言勝利だとすると、それで増えたのは、比例区が1と都市部2の計3だけで、後は1人区の勝利ということになります。それでは、1人区のほうが政府・自民党の敵失に対する批判が複数区より数段上回ったのでしょうか。
地域間格差にあえぐ農山漁村の多い1人区は民主党の農政、すなわち戸別所得補償制度に期待したのです。これが、全国紙のマスメディアにはわからないようです。

<地方の反乱、田舎の反乱>
 各紙がいろいろな見出しを使っていますが、今回の選挙を最も的確に表現すると、「地方の反乱」、「農村の自民離れ」と言えるでしょう。従来ほとんど自民が圧勝していた人口10万未満の小都市・町村部で民主党比例区が前回と比べ3ポイント上昇し38%となり、逆に自民党は3ポイント減の32%となりました。地域間格差を実感した人たちが反旗を翻したのです。

<1に年金、2に子育て、3に農業>
 3つの約束の3番目に農業がきました。もともと小沢代表が農村ばかり向いていると不満を持つ人がいましたし、都市部の議員は疑問をもっているはずです。
 しかし、小沢代表は歯牙にもかけず、農業を第3の柱に選びました。このメッセージは全国津々浦々にパァーっと伝わりました。都市政党だと思われていた民主党が農政も重視していることが鮮明になり、驚きを持って迎えられたのです。

<政治勘のよい小沢代表>
3年前も農業再生プランで戦おうとしている中、直前の両院総会に示された民主党のマニフェストでは農政の項目が消えていました。8つあったものが何の説明もなく、農政が1つなくなり、7つになっていたのです。私は激怒して説明を求めました。当時の担当幹部はプロセスがわからないと言い訳し、実務担当は四の五の言いましたが、私は認めず「謝罪して訂正しろ」と迫り、8つに復活しました。民主党幹部の感度の悪さ、事務手続きのいい加減さを象徴する出来事でした。
ところが、今回、農政は10の項目から3つ選んだうちの1つになったのです。小沢代表の政治勘のよさを表しています。
私は選挙告示直前、これで1人区の大勝利を確信しました。
 15県応援行脚しましたが、私はどこでも「民主党のマニフェストには農業、農村を元気にし、地域間格差を是正したいという小沢代表の強い意志が働いている」と宣伝しまくりました。

<小沢代表の1人区行脚>
 今回に限らず参院選は1人区の勝負であることは誰の眼にも明らかです。小沢代表はこの1年間1人区行脚を続けてきました。都市部では街宣せず、必ず借景に田んぼや畑のある所で応援し、それがTVのニュースで伝わりました。ずっと見捨てられてきた農民、地方の人々が小沢代表、民主党に将来を託そうしたのは明らかです。

<一度はやらせてみよう民主党。 総理大臣、一度はやらせてみよう小沢一郎>
 私は、いつからか上記のフレーズを必ず使いました。あちこち回ってみると有権者の気持ちを最もよく表していると思ったからです。私は「民主党は絶対だ、などとは思わない。民主党政権になってもいろいろうまくいかないことが多いでしょう。しかし、自民党がとっかえひっかえ60年も政権を維持し続けるのは絶対によくない」とも必ず付け加えました。日本国民も二大政党や政権交代の意義に気づき、やっと一度はやらせてみようと云う気になってくれたのではないかと思います。

<自民党から離反した農村>
 あまり気づいていませんが、あの小泉旋風の時ですら、農村県の民主党議員は議席を維持できたのです。つまり、既に農村部の民主党支持が固定化しつつあったのです。
 例えば、北海道の松木謙公さんは武部幹事長を相手に2万票も増やし、仲野博子さんは小選挙区に当選できました。かくいう私もあの逆風の下で9300票も増やしているのです。もちろん、長野市は都市部と同じでドサッと自民党に流れ小坂さんには離されましたが、田舎度が高いほど私の得票増が目立ちました。
 つまり、農村部の情に厚い、律儀な有権者が03年の総選挙のとき以来、徐々に民主党を向いてくれ始めたのです。
こんなことを言うと都市部の有権者に叱られるかもしれませんが、田舎の有権者は浮気をしません。一度決めたら辛抱強く支持し続けてくれます。かつて民主党は都市部の浮気っぽい票に頼っていました。だから、小泉郵政選挙ではバタバタ落選したのです。その民主党が、どっこい農村部では支持を確実に固いものにしつつあるのです。
 小泉前首相は政策を都市部の支持者層に向けてシフトしました。後を受けた安倍首相は、可哀相にその負の遺産をそのまま受け継ぎ、年金問題とリーダーシップの欠如により肝心の都市部の票も失ったのです。それが自民党の都市部での敗戦につながりました。

<残念だった福井、鹿児島>
 上述の03年同期の農村部の議員で、落選したのは福井の若泉征三さんと熊本の松野信夫さんの2人ぐらいでした。この2人が今回、参院選に出馬しました。もちろん2人とも応援に行きました。松野さんが当選しましたが、若泉さんは2973票という僅差で敗れました。残念でなりません。 
そして、2664票の僅差だったもう1つは鹿児島の皆吉いなおさんでした。6月に応援に行き、なかなか良い候補とわかり期待していました。しかし、あの保守系王国鹿児島でこれだけの差というのは驚異的です。明らかに田舎は怒っており、「農民一揆」を起こしたのかもしれません。