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2008年3月21日

道路特定財源の行方:中川秀直元幹事長の調整手腕に期待する08.03.21

3月21日記
<中川発言の意義>
 3月19日小さな記事に、中川秀直元幹事長が、道路特定財源を環境税にと述べたことが報じられています。私が一ヶ月前のメルマガ・ブログで明らかにした森林環境税の考えとおなじ基盤に立つものです。当然ですけれども、とりあえず1~2年現行で行き、議論をして1~2年後に環境税にもっていくというものです。さすが、自民党の幹事長も勤めておられた方の落ち所です。私の案は、暫定税率廃止という民主党案に気を使い(?)とりあえず1~2年廃止して、その後に森林環境税にと順序が違うだけです。中川案の方が現実的です。

<自民党の調整能力の欠如>
 日銀総裁の人事を見ていても、自民党は責任政党としての役割を果たせなくなりつつあると危惧しています。昔だったらこういう難局にはきちんと調整する人が要所要所にいたことは、3月18日の「日銀総裁人事の迷走」のブログで述べた通りです。適材適所から言ったら、今の伊吹幹事長、町村官房長官は指揮官先頭でいろいろ突っ走っていく人にはふさわしいかもしれませんが、裏方として飛び回りまとめて行くタイプではないように思えます。かといって民主党もそれほど成熟しておらず、見事な調整役は多くありません。

<いでよ第二の与謝野馨>
1996年、私が水産庁の企画課長(海洋法対策室長)の時、海洋条約の締結とその関連法の制定という大仕事では自民党の8部会に関わりがありました。佐藤孝行さんを特別の座長にした8部会をまとめきるというのはなかなか難しい事でしたが、当時の自民党の与謝野馨政調会長代理の説明の上手さ、手堅さ、周到さには感心し、総理・総裁の器だとつくづく思いました。その方が福田政権下で薬害肝炎被害者救済がらみの収拾について手腕を振るわれたのはむべなるかなです。
今回、日銀総裁人事についてはだれもそういう方がいなかったようです。そうした中で、道路特定財源について実力者であり、まとめる力のある中川さんが環境税と言い出しはじめたというのは新しい動きとして注目に値します。中川、与謝野は経済・財政運営をめぐり全く正反対の考えを持つライバルです。私は、この際中川さんにひと肌脱いでもらいたい気がしてなりません。

<地方の声を聞き入れる>
いきなり環境税というのは一つの考え方でありますけれども、都道府県知事や市町村長さんたちが、地方がいっぱい納めているのにいきなり環境税とは何事かと怒ります。地方にお金がたくさんいくということで納得してもらうには暫定的に森林環境税にするのがいいと思います。既に、半分以上の都道府県が森林環境税を設けている中で、国が知らんぷりは出来ません。

<環境税の前に森林環境税>
また、「Bad課税、Good減税」をとらなくてはなりません。福田総理は理屈が合わなければならないとよく発言しています。麻生全国知事会長も、一般財源化反対の理由として受益と負担の関係をあげています。それには、Co2を出すガソリン・車そして、吸収する森林で答えられます。より理屈がつき、地方に受け入れられやすくするにはやはり森林環境税がいいのではないかと思います。
森林ばかり多い中山間地域、地方が疲弊しています。地方にお金を回す絶好の財源が、道路特定財源の森林環境税化ではないかと思います。地方の主要道路が必要だという道路族、道路関係者の皆さんに納得してもらうためには、山村振興地域や過疎振興地域では木材や間伐材の輸送に必要な道路整備に使えるようにすればいいのです。

<一般財源化より地方に手厚い半自主財源化>
こうした中、3月20日に開かれた緊急知事会が、期限切れを危ぶむと同時に一般財源の拡大と地方への重点配分を一つの主張として打ち出しました。こうした地方の声には応えるとともに、洞爺湖サミットを控え、地球温暖化対策として世界PRもできます。日本は先進国で環境税を導入していない数少ない国なのです。洞爺湖サミットの議長国として自ら姿勢を示す必要があります。
理想は、まさに民主党の主張のとおり道路特定財源全体の一般財源化です。地球温暖化防止税は別途考えられます。しかし、現状をみつめつつ、現実的対応をしていかないと世の中がきしみます。

<総理のリーダシップ発揮の時>
もう一つ俗人的なことで言えば、福田総理は200年住宅というのを唱えています。住宅問題調査会の会長でした。群馬県は全国で5位にはいる一人当たりのガソリンの大消費県です。そして山もあります。福田さんの頭の中に道路特定財源、特に暫定税率の部分には環境税、そして森林にという考えがあるのではないかと思います。今度こそ民主党の正論を踏まえ、是非総理の指導力を発揮してほしいという気がします。

中国毒ギョーザ事件(2)08.03.21

3月20日記
<高濃度汚染は故意の証拠>
 3月14日の新聞で、千葉県市川市の母子が被害を受けたギョーザから3000ppm以上の極めて高濃度のメタミドホスが検出されたと報じられました。
 私は、先に袋が汚染されたのではないかという推理をしましたが、どうもそうでもなさそうです。天洋食品の他に仁木食品のものも汚染されていましたが、袋は別のところで作られていました。もしこれが同じ東洋製袋で作られた袋を使っていたら、まさに袋の製造過程で汚染されたと考えてよかったのですが、3000ppmというのは、ギョーザそのものにメタミドホスがふりかけられた(?)とみる以外ないようです。

<窮地に立つ中国>
 中国は、北京オリンピックを控えているというのに、この事件といい、チベットの騒動といい、大変な難問を抱えることになりました。チベット問題は別の機会に譲るにして、中国の食の安全が揺らいでいるのは、厳然たる事実です。アメリカでは、中国産のペットフードで被害が生じリコールがおき、中国国内では薬品で多数の人が亡くなっています。2月9日のNYタイムズ紙ではアメリカのオリンピック選手団は、直前にしか北京入りせず、食料もすべて外から持ち込むとも報じられています。イギリスもマカオに選手団を滞在させ、直前に北京入りすると表明しています。挙げ句の果てに、マラソンの世界記録保持者ハイレ・ゲブレセラシュ(エチオピア)は、北京の汚染された空気の中で、マラソンはできないと表明している。国威発揚の場として全力を挙げてきた中国にとってはメンツ丸潰れの事態が生じています。

<中国のとんでもない言い訳>
 苛立った中国は、安藤隆春警察庁次長が捜査協力の話し合いに行き帰国した翌日、突然とんでもない推測をし始めました。中国で汚染された可能性は極めて低い。日中関係の悪化を望む分子がメタミドホスを日本に持ち込み、日本で汚染された、外からふりかけられても中国の実験によると87%が染み込んでいる、等などいろいろ言い訳し、まさに泥仕合の様相を呈してきました。3000ppmの汚染は外からしみ込む程度を越えています。客観的な状況から見て、ギョーザの製造過程で汚染されたとみて間違いなさそうです。
<禍い転じて福となる>
 新しい仕組みは、重大な事件をキッカケにできあがるケースが多いようです。例えば、食の安全に関わるJAS制度は馬肉が牛肉と偽って売られていたことをキッカケにできあがりました。今、同じ動きがあり、従来生鮮食品にだけ義務付けられていた「原産地表示」が、加工食品にまであまねく拡大されようとしています。あちこちの原料が入っているとか、ちょっとしか入ってないものもあるとか技術的問題がいろいろあることはわかりますが、原産地をきちっと表示して、買うか買わないかは消費者が決めるのが、時代の流れです。

<中国食品全面禁輸もあってしかるべき>
 日本は、BSEについては、まだ誰も被害者がでていないにもかかわらず、アメリカ産牛肉をすぐ輸入禁止にしました。それを10人がとたんの苦しみを受けて入院までしているというのに、禁輸措置がとられていません。アメリカ側は、問題を起こした工場だけに限定して輸出禁止にすれば十分ではないかというのも聞き入れず、全面禁止しました。これに比べたら、天洋食品工場のものはもちろん、JTフードの食品輸入を全面禁止してもおかしくありませんが、さっぱりそういう声が上がってきません。アメリカからみると、なぜ米国産牛肉にだけ厳しく中国産ギョーザには甘いのかとクレームをつけられても仕方ない状況なのです。

<低賃金に乗じるいやしい生活はやめよう>
いくら中国の人件費が安いからといって、ギョーザまで中国で作らせ、それを輸入するというのは、少し考えても異常なことなのです。私の大学時代は、紛争で明け暮れ、まともに授業が行われない時もありました。その時に建てられた立て看板の言葉を借りれば、「日本人は、中国人の低賃金労働に乗じて搾取している」ことになります。つまり、安いギョーザは中国人の低賃金労働、重労働の賜物なのです。こんな見苦しいことは続けるべきではありません。

<フードマイレージは少なく>
 次に問題なのは、冷凍し、保存してはるばる日本に運び、それを解凍する過程で無駄なエネルギーを使っていることです。この地球環境時代にあってはならない無駄なのです。フードマイレージが嵩むほど、汚染の危険がまします。安さだけを追い求めるのはやめ、食べ物は、なるべく「顔の見える範囲」のものに限るべきなのです。もっと言えば、ギョーザぐらい家庭の味を味わってもいいのではないでしょうか。つまり、「地産地消」「旬産旬消」しかないのです。
 今回の事件を機に、輸入に頼り切る日本の食のあり方が問われ、日本の食行動が少しは是正されていくことを願わずにはいられません。それが、食の安全に敏感な日本人の安全に、そして食糧自給率の向上につながります。

2008年3月19日

緊急報告:日銀総裁人事の迷走08.03.19

3月18日夜記
<元財務次官提示の予測>
 私は、毎月曜日、7時45分から8時15分 長野駅前で街宣しています。3月17日の朝はまず、民主党の主張する、財政と金融は分離しておかなけばいけないという一般的理由を説明し、混迷する日銀総裁人事に触れました。
次に、今日か18日には総裁候補どなたかの名前が提出されるだろうが、自民党のいつもの手口からして、民主党がまた再びNOと言わざるを得ない人をぶつけてくるのに違いない。一番ありえるのは、違う財務省の次官経験者ではないか。それは適任とか不適任とかではなく、目的は民主党を再び困らせ、拒否させることにあると予測しました。

事実は、皆さん新聞記事でご存知の通り、18日朝非公式に福井総裁の続投案がチラッと示され、それを民主党が拒否するや田波耕治元事務次官を提示してきました。私の半分冗談めいた予測があたるので、つくづく嫌になります。(この件は、ビラを配布しながら私の下手な街宣を聞いていた秘書しか証人がいませんが・・・)
<馬鹿正直な民主党>
民主党が政局にするといわれていますが、内部にいて分かる事ですが、そんなことはありません。民主党は馬鹿正直です。政府自民党は民主党の案を示せなどという変なことを言います。それは野党のすることではありません。政府が示すべきことです。福田総理は民主党が考えていることが分からないとか、あるいは財務次官だからといって拒否するのはおかしいと言いますが、最初からずっと明確に財政と金融は分離するべきだと言っています。何よりも同じ理由で5年前の武藤副総裁にも反対していますし、村上ファンドに手を染めた福井総裁には辞任要求もしているのです。違いは、今回は参議院を民主党が多数占め、参議院で否決出来るという事だけです。この違いを政府自民党はまだ分かっていないようです。
民主党の対応も、つたないといえばつたないと思います。人がよすぎるのです。民主党は対案を示せといわれて、黒田東彦アジア開発銀行総裁と渡辺博史国際金融情報センター顧問2人の元財務官の名前を挙げました。まさに国際金融を担ってきたからです。そればかりか、民主党は18日には党内をまとめ同意する準備をしていたはずです。ただこういうのは新聞に出たらもう駄目なのです。新聞に出たとたん、自民党はメンツにかかわるので、民主党が言った人など提示してくるはずがありません。
<民主党を攻撃する材料に使う自民党>
自民党はずるいのです。民主党に誰か人の名前を出せといいつつ、それを全く尊重せずに、また同じように財務省の次官経験者を出してくるのですから気がしれません。狙いは明らかです。世論調査結果を見ると、日銀総裁人事について民主党が拒否をしていることについては、評価しないという人のほうが上回っています。これに目をつけた自民党がこれに追い討ちをかけて、民主党の評判を落としめんとしています。それは、今回のしつこい元財務事務次官の提示で明らかです。民主党は反対したという印象を国民に植え付けるためにだけしているとしか私には思えません。だから月曜日に今の事態が予想できたのです。
民主党を、日銀人事を政局に使っていると批判する自民党こそが、民主党の支持率を下げるための政局の道具に使っています。ぎりぎりまで提示せず困り果てて日銀総裁が空席になった振りをするのです。是が非でもなら、2ヶ月も前に提示すべきだったのです。解散・総選挙を睨んでも、自民党の支持率が上がったり、福田政権の支持率が上がったりする気配はサミットまでどうも見当たりそうにありません。そうした中でできることは、民主党の支持率を下げることだけです。それには、日銀総裁人事において、民主党の駄目なイメージつまり、「理由もなく反対ばかりしている」あるいは「政局に利用せんとしている」、「日銀あるいは我が国の経済政策について無責任な態度をとっている」こういったことであげつらうには恰好の材料だからです。マスコミが東京新聞を除き、こぞってこうした論調なのがきたなります民主党に欠けるのは説明不足です。
<福田総理のミスジャッジ>
財務省の次官を是非総裁にしたいという財務省の強い圧力が官邸に、あるいは自民党に行っているといいますが、私はそれが願いとしてあっても、圧力というものではないと思います。10年前、15年前から「政高官低」政治のほうが官僚を引っ張る形になってきています。今日18日の夜のニュースを聞いていてまたびっくりしました。財務省は渡辺博史元財務官を推薦したそうです。それを福田総理は拒否して田波さんと提示したというのです。理由は福田赳夫元総理の秘書官を勤めた保田 博元次官、その直近の部下だったのが田波耕治さんで、福田総理とも親交がある、だから最初から考えていたというのです。事実だとしたら、ますますおかしいなと首をかしげざるをえません。これこそ、前原前代表が仲良しグループだけを党の役員にし、安倍前総理が同じような人事をし、墓穴を掘っていたのと同じです。よもやベテランの福田さんがそういうことをしだすとは私は思いませんでした。この個人的な趣味を出した人事がもし大半の意見を無視して行なわれたのだったら、福田内閣の命取りになりかねません。
<人材不足な自民党>
 町村官房長官が。田波さん提示の際に「人材がいないので」うそぶいたと報じられていますが、人材がいなくなったのは他ならぬ自民党です。総務会長5回の鈴木善幸さん、竹下登さん、藤波孝生さんといった本当に汗をかいてまとめる人がいなくなってしまったのです。ちょっと昔なら野中広務さんです。かくいう民主党もひたすら主張するだけで落ち所を探してまとめるノウハウを身につけたベテランが少なすぎます。
ずるい自民党は福田さんの判断といいつつ民主党に刃を突きつけてきているような気がしてなりません。民主党にとっても正念場です。ここは筋を通して行くのが当然だと思います。

2008年3月18日

艦船の酒 一罰百戒よりも現実的対応が必要08.03.18

3月10日記
<危険な船舶銀座>
イージス艦「あたご」の漁船衝突事件に関連し、火曜日と木曜日民主党の外交防衛部門会議が開かれています。農林水産部門会議と重なるので、なかなか出れませんが空いている時は出るようにしています。
 私はこの件についてはそれなりの有識者で、水産庁企画課の若手事務官だったころに、海上衝突予防法・海上交通安全法等について漁船を守るために、いろいろな法律、政令、省令の各省協議等をしていました。その時から言えることですが、かつては漁業者が自由に漁をしていた所に、いろいろな船舶が通るようになり、漁船はいつも危険に晒されています。東京湾、伊勢湾、大阪湾等は当然のこととして、今回事故がおきた、東京湾に入る太平洋側なども銀座通りと称されいろいろな船が航行しています。

<横暴な艦船>
 詳細は新聞等でいろいろ報じられていますので省きますが、どうも根底には、「漁船ども、そこのけそこのけ艦船が通る」という態度が自衛艦にあるような気がしてなりません。議論が危機対応体制にばかり及び、やれ2分間だった12分間だった、連絡が遅かったなどにばかりに集中しています。私は、こういった場では、役人なり失敗した人たちをあげつらうような質問はなるべくしないように心がけていますが、それにしても、答弁ぶりには目に余るそっけないものがあります。

<艦船の酒はご法度か?>
そこで私は、危機対応体制も大事かもしれないが、二度と事故が起きないようにするほうが大事だと指摘しました。
一番最近の勉強会で、おやっと思ったのは、艦船に持ち込む酒類の事。これは事故当時、飲酒していたのではないかという疑念が生じたことから端を発します。そんなことはないという資料が提出されました。ハワイで訓練を受けている。そういった時にお土産用に持って行って、どれを使ったとかいうような詳細な資料が提供されました。
そこで、艦船に持ち込むのはいいとして、無断で飲んだりしているという事例が出てきていました。最近でもインド洋に給油に行っている人たちが、2度ほど無断で持ち込み、酒を飲んだということで、何十人という単位で処分されています。

<海上自衛隊員も普通の人>
しかし、私はこれにはたと疑問を持ちました。どうも艦船では飲んではいけないというようなルールがあるようです。そこで問い質した所、全然飲まないのではなく、艦長が許可した場合と外国の人を招待したりする時は例外だという答えでした。15日も船の中にいたりしたら、酒でも一杯飲んでも当然ですし、8時間の三交代制で船は動いているはず、その非番の人たちが夕食時にビール一杯飲んでもいいと私は思います。それがなぜいけないのか、ルールをきちんとして飲んでもいいではないか、酒も飲めない、艦内にずっと何日もいる、陸に上がらなくては酒ものめないというのでは隊員たちのメンタルヘルスはおろそかになるのは当然です。一罰百戒で、今回の事件を機に酒類の持込がますます厳しくなるのはいかがなものか、ここで問いつめられているからといって、厳しいルールにしなくていい、外国の例はどうなのか、と救いの手を差し伸べました。(3月14日(木)には外国では非番の者は飲めるという資料が提出されました。当然のことです。)

<質すべきは質し、いじめはやめて現実的対応を>
最後の私の発言の結論は「私はとても、海上自衛隊員にはなれないですね」でした。くすくすという笑いが漏れました。
こういう問題が起きると必ず、一罰百戒で厳しいルールになって、歪んだルールになって行くのではないかと思います。こういった時はもっと虚心坦懐原点に返って、きちんとしたルールを作るべきではないかということをつくづく感じました。そうでなければ海上自衛隊員が可愛そうな気がします。