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オバマ新大統領の誕生(選挙編)-08.11.17

<アメリカ民主主義の真髄>
 アメリカはやはり民主主義の国でした。2人のマイノリティである女性のクリントンと黒人のオバマ。両民主党大統領候補の指名争いで過熱したアメリカ大統領選は、史上初めての黒人大統領の誕生で終止符を打ちました。
 アメリカ大統領選については、本国アメリカよりも日本国民のほうがより高い関心を示していました。最近の世論調査は精度が高くなっていますが、日本では83%の人が興味あると答え、アメリカは80%でした。新聞が東南アジア諸国のことにはほとんど触れずに、アメリカについてはたくさん書くためもあります。日本国民はアメリカがくしゃみしたら、日本が風邪をひくということを知って、アメリカ人以上に関心を持ったのかもしれません。

<ブラッドリー効果は杞憂>
 世論調査では、オバマ大統領の圧勝が予測されていましたが、落とし穴がありました。それはブラッドリー効果とよばれるものです。20~30年前、ブラッドリー・ロサンゼルス市長がカリフォルニア州知事選に立候補し、世論調査の段階では圧倒的にリードしていたものの、いざ本番の選挙では負けてしまいました。つまり、世論調査の時にはかっこよく、黒人の州知事に賛成だといっておきながら、いざとなると、やはり本音が出て黒人に投票しなかったということです。それが、今回の大統領選挙にでもあるのではないかと一部には言われていましたが、そんな心配は無用でした。

<政治的空白(?)なしの長い選挙戦>
 そもそも大統領選挙というのは、党内で指名争いをします。しかし大統領選挙はだいたい1年かけてやるといわれていますが、今回に限って言えば、出馬表明はオバマ候補、マケイン候補とも、他の候補共々2年程前にしています。そういう点では、非常に長い選挙戦を戦ったということになります。日本で、政治的空白を作らないために解散・総選挙を先延ばしにするとかいっているのと大違いです。アメリカは4年に一度の大統領選挙はお祭り気分できちんとやっています。

<軽やかな政権交代>
 特に政権交代の可能性のある、2期8年を終えた後の選挙は熱気がこもります。政治的空白という点では、今回のサブプライムローン問題に端を発し、世界の不景気の原因を作っているアメリカこそ大統領選を延期してでも、その後始末をブッシュ政権下で、ポールソン財務長官が陣頭指揮をとってやらなければならないのかもしれません。アメリカ国民はこの未曾有の経済危機・金融危機に対し、新しい政権での思い切った対策に期待をこめているのです。軽やかに政権交代が行われています。彼我の差を感じざるを得ません。

<共和党の支持も得たリベラル・オバマ>
 シカゴで市民運動に身を投じたオバマは、リベラル度100%の典型的リベラルです。過去デュカキスもモンデールも民主党リベラルは大敗し、大統領にはなれませんでしたが、オバマはそのジンクスを破りました。それどころか、共和党支持者もオバマ支持を表明、 Republicans(共和党員)をもじってObamacans(オバマ党員)という言葉も生まれました。

<国民の信任を得たオバマ>
 正式には数字が出ておりませんが、300人の選挙人を獲得するとマンデートという、国民から大多数の信頼を得たといういわばお墨付をあたえられるということがアメリカでは言われています。そういう意味では350人近くになったオバマ大統領は、国民の大多数の信任を得たということになります。
最近で言えば、43歳のケネディ、46歳のクリントンに次ぐ、47歳の若き大統領の誕生です。ただし、上院議員一期目で政治的経験は一番少ない大統領ということになります。それからやはり地域の違いもあるのでしょう。南部諸州では、オバマはほとんどで負けています。

<珍しい民主党単独支配>
 もう一つ今度の選挙結果で特徴的なことは、上院、下院とも民主党が圧勝し、めずらしく日本のかつての自民党支配と同じように民主党単独支配になったということです。「ねじれ国会」と日本ではよく言われますが、アメリカでもクリントン政権、父子のブッシュ政権を通じで大統領と上院と下院が同じ党になったことは数年しかありません。単独支配がむしろ異様なのです。そして日本では、自民党の長期政権という異様な状態が続いていたということになります。アメリカ国民はしっかりしていて、多分2年後の下院議員選挙は共和党が勝つのではないかと思います。つまり一党支配を嫌い、わざとチェックを議会にさせるということを国民が自ら選択します。この違いにも驚かされます。

<混乱が生じなかった電子投票>
 それから今回8年前にゴアとブッシュで争われ、僅差でブッシュが勝利しましたが、集計ミスが問題にならなく、アメリカは各州とも同じ仕組みで投票しているのではなく、それぞれ違う投票方法ですが、電子投票が行なわれたところが多かったようです。今回は前回のようなトラブルもなかったようです。別途ふれますが、私はこのIT時代、日本も集計に時間がかからず、人件費も安上がりな電子投票に変えていくのがベストだと思っています。

<嘆息が出る、「うちは代々〇〇」の長野1区>
 この選挙結果を見て、ため息が出ます。私は今地元で支持者訪問をしていますが私の支持者名簿に載っているお宅ですら、いろいろ話した後、長野県人は正直なのでしょう、私に投票できないということを明確に言う人がいます。「しのはらさん、折角挨拶にきてもらったけれども、おらぁちは代々○○だから、勘弁してくんねかい」。このセリフがあちこちで聞かれます。代々同じ世襲の政治家に投票し、どこの馬の骨かわからない私に投票しない。言ってみれば律儀な県民性の有権者と黒人の若き大統領に未来を託すアメリカの大胆な有権者と、何という差かと嘆息が出ます。彼我の差を感じざるを得ません。