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オバマ新大統領の誕生(日米同盟編)-08.11.20

 ブッシュ大統領は、超保守主義的な考え方を取り入れ、ネオコンと称される人たちの主張に従い、アメリカ社会に亀裂を作ってしまいました。これを分断とオバマは攻撃しアメリカを統合すると盛んに演説していました。格差社会が生じこれに嫌気がさした国民が支持しなくなり、ネオコンの人たちもほとんど政権を去りました。ブッシュの支持率はついに20%近くに下がってしまいました。

<ブッシュの失政>
 外交面ではアメリカの一極支配という状況の中で、武力行使を行い世界の信頼を失い嫌悪感を広めてしまいました。イラクがその好例です。大量破壊兵器があるとうそを言い、攻撃しました。オバマ新大統領は16ヶ月以内にイラクから撤退すると公約し、大統領になりました。
経済政策についても、ブッシュは新自由主義とやらで、カジノ資本主義、金融資本主義を地で行く政策をとりました。挙句の果てにサブプライムローンで、金融がガタガタになり、現在の世界的な不況の原因を作ってしまいました。もはやドルが基軸通貨として大きな顔は出来なくなりました。
かくして、軍事面でも経済面でもアメリカの一極支配は終焉を告げたといってもいいと思います。

<日本への余波>
 日本はブッシュ政権に翻弄された国の一つです。イラクへの自衛隊の派遣、アフガンについてはアラビア海の洋上給油活動。国際的貢献とやらの論理を振りかざされ、それに乗じた自衛隊関係者の思惑もあり、完全にアメリカの間違った世界戦略の中に組み込まれてしまいました。
 金融危機については、よく日本の金融制度は護送船団方式といわれていましたが規制が強く変な金融商品を作ることは許されず、その面では傷は浅かったのは幸いでした。しかし、ずっと言われ続けている外需依存特にアメリカ依存の体質は全く改善されず、バブル以降はますます依存体質がますますひどくなりました。その結果、アメリカの景気が下向きになった今、トヨタですら大幅な減益となり、日本の経済界も危機的状況になりつつあります。

<鈴木首相の信念>
 日米同盟と抽象的にいわれますが、この内容は大きく変質してきています。私が日米同盟に一番最初に係わったのは、鈴木善幸内閣の総合安全保障関係閣僚会議担当室の時です。鈴木善幸さんは鮮やかでした。岩手の漁村の網元の出で、最初の衆議院選挙は社会党で出ています。漁民に尽くせというのが鈴木家の家訓だそうで、ご子息の鈴木俊一さんは全漁連に勤めた後、鈴木善幸さんの跡をついでいます。根っからの平和主義者で、総合安全保障というのも前の大平政権下の9つの研究グループの中の一つでしたが、それを継承しました。選挙中の大平さん急死による弔い選挙で300議席に達した自民党がタカ派的な趣味を出し始めていましたが、それに危惧を抱いたのです。つまり、軍事力にたよらず、食料安全保障・エネルギー安全保障・平和外交、そういったもので総合的に日本の安全保障を考えていくべきだというものです。

<日米同盟の変質>
 それに対して、外務大臣になった伊東正義さんは、日米同盟は軍事同盟だと言い放ち更迭されました。時代が流れ、今や日米同盟は軍事同盟だと言ってもだれも咎め立てしません。20年の歳月の流れ、状況の変化を感じざるを得ません。どこで何が変わったのでしょうか、疑問を感じざるをえません。

<アフガンにどう対応するか>
 日本の外交について言うと、日本政府は皆口を揃えて、大統領が代わっても日米同盟は不変、日米同盟が日本の外交の基軸となると言います。そして、日米同盟ほど大切な二国間関係はないと誰もがいいます。共和党から民主党に政権が変わってもこれは不変だというのも皆同じです。
しかし、私はそうは思いません。アメリカの一極支配はもう終わったのです。日本は、これからはアメリカべったりの追従的な外交政策ではやっていけなくなるはずです。テロとの戦いにしても、オバマはイラクからの完全撤退のかわりに「テロとの戦いはアフガニスタンだ」とも明言しています。日本はすぐあわてふためいて、それならば先取りしてアフガニスタンについては、自衛隊を派遣するなりきちんとした役割を果たしていかなければいけないとゴマをすり出す可能性があります。しかし、そんなことはせず、日本は日本としての役割を果たしていけばいいのだと主張していくほうが賢明です。アメリカ外交は、軍事偏重から国際協調へ転換していくことは確実だからです。

<予想される貿易圧力>
 経済政策については、共和党ならレーガン中曽根時代のロン・ヤス関係ではないですけれども、あまり強硬なことは言ってこない傾向があります。それに対してクリントン政権の時に日米包括協議というのがありましたが、市場開放を強く迫ってきました。それはなぜかというと、民主党のほうが汗水たらして働く農民、労働者のほうの利益を代弁し、国内生産重視になるからです。その結果当然保護主義的になります。日本が大幅な貿易黒字を抱えていることに対して攻撃をしてきました。
かって毎年500億ドルの貿易黒字を記録していた日本でしたが、今や貿易黒字の相手国は中国になり、毎年2500億ドルぐらいに毎年なっています。その矛先は日本ではなく中国なのです。ところが、不思議なことに、アメリカは中国に対してあまり高飛車には出ていません。こんなところにも私は違和感を感じざるをえません。日本にはけしからんといってあれこれ注文しつつ、中国に対しては遠慮した態度が見られるのです。日本を小国ないし属国と捉え、中国は対等の国として捉えているのかもしれません。
 オバマは日本に同じ名前の小浜市があることを知っており、日本に親近感を多少もってくれるかもしれませんが、国としてあるいは民主党政権としては、日本には冷たい態度を取ってくる気がしてなりません。演説にも日本などほとんど出てこなかったようです。

<環境問題へ本格的取組み>
 環境問題については代替燃料の開発、環境保護なりを前面に出していくことをオバマは明言しています。私が、OECD代表部時代、貿易と環境会合でいろいろ議論したダニエル・エスティ(イェール大学教授)がオバマの環境政策の顧問を務めていました。ゴア元副大統領も知恵袋です。環境政策についてオバマは大胆な政策を展開してくることは間違いありません。

<核廃絶への動き>
 もう一つ、核政策についても、核兵器の廃絶ということはきれいごととしてはどの首脳も言いますが、オバマは本気のようです。是非真剣に取り組んでもらいたいと思います。
米印原子力協定が出きて、インドがNPT(核不拡散条約)の例外として認められてしまい、日本のマスメディアも一斉に批判しています。核を持つ国が増えてしまっているわけですが、こういったことに対して日本はキチッとした態度をとらなければならないはずです。しかし、肝心のアメリカがインドに軟弱な態度をとっており、それを見た、イランや問題の北朝鮮も同じような高飛車な態度をとってくる可能性があります。オバマ外交の腕の見せ所です。

<オバマへの過剰期待は禁物>
 拉致問題について同情はしつつ、テロ支援国家解除の日本への通告は30分前にするアメリカです。新政権になったところで何か歓迎ムードがありますが、生の国際政治はそんな生やさしいものだとは思いません。
 オバマ大統領は政治家としては2004年に上院議員になったばかりで、かなり経験不足で大統領になりました。日本でも経験不足で総理になった安倍さんも民主党前代表の前原さんも、大体が失敗しています。過剰な期待は禁物です。失敗の時の失望も大きくなります。オバマ大統領も安倍さんや前原さんの二の舞いにならないことを祈るばかりです。