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2008年11月27日

定額給付金は人口10万以下の市町村への定額給付金に変更すべし

<地域振興券と定額給付金>
 はるかかなたの昔のような気がしますが、そうでもありません。10年前参議院で安定多数を失った自民党が、窮余の策として公明党にアプローチし、自公政権、白川勝彦さんに言わせると自公合体政権が出来上がりました。その時の結婚プレゼントだったのかも知れませんけれども、地域の経済の活性化策として公明党が強固に主張した、地方振興券なるものが発行され、約7千億円が使われました。さして効果がなかったといわれています。
 10年ぶりに同じように定額給付金として各個人に支払われることになりました。一人当たり1万2千円で総額は2兆円です。亀井静香さんではないですが、政府による公然たる買収ともいえるもので、選挙目当てというのは明らかです。

<自民党の農業者戸別所得補償政策批判>
 私が民主党に参画して以来「直接支払い」、小沢代表になってからは「農業者戸別所得補償」と名前も変えましたが、この政策を民主党の農政の柱としてきました。昨年の参議院選挙の一人区で民主党が大勝利したのはこれが農家の支持を得たからです。
 ところが、これに対して自民党はバラマキだと相当攻撃をしてきました。言ってみればこれは農家に対する定額給付金ともいえるわけです。額はこちらは1兆円、他の人たちのために農作物を作る、販売農家で、かつ自給率の下がった作物、すなわち麦・大豆・菜種・飼料作物・そば等の雑穀、それから別格の米(これはあまりにも急激に保護をやめた為に混乱しているので対象に入れました。)のいわゆる土地利用型6作物をまじめにつくる農家に定額給付するというものです。
 これに対して自民党は2年前、「品目横断的経営安定化対策」として1700億円程の予算をつけて直接地払いの導入に踏み切りました。
 そもそも、今日の定額給付金に所得制限を設けるべしと与謝野経済財政担当大臣が正論を述べたとおり、この政府の直接支払は、小さな農家に対する援助措置でもあるにも係わらず、4ha以上の大農家で、かつ認定農業者と認められたものにだけ支給するという本末転倒したものでした。当然農民の支持するところとならず、我々の政策が支持され、参議院選挙の民主党の勝利となりました。
 ところが、その舌の根も乾かないうちに、全国民に対する直接支払い、すなわち、定額給付金をやるというのです。
 最近麻生首相の発言のブレが目立ちますが、自民党の政策としては一貫性が甚だしく欠けます。

<市町村に対する直接支払いだった竹下首相のふるさと創生資金>
 かつて、この使途を定めない、何に使ってもいいというやり方が市町村に対してもとられたことがあります。竹下総理の時代のふるさと創生資金です。市町村の規模を問わず、3千3百市町村に一億円ずつ配布されました。非常に喜ばれた給付金です。これは言ってみれば、市町村に対する定額給付金といえたでしょう。今、定額給付金について、所得制限の導入が問題にされておりますが、竹下さんはいきなり規模関係なしに、東京都23区にも配分されたはずです。
 普通の補助事業の場合は、国が二分の1、都道府県が四分の1、地元負担が四分の1というのが普通です。弱小市町村はまやかしの三位一体改革により、四分の1の地元負担が出来ずに、せっかくの政策をうてないのが多いのですから、このように自由に使えるお金が行くのは大喜びされました。

<全く根拠のない定額給付金>
 今回の定額給付金は根拠その他が全く不明です。我々の農業者戸別所得補償の一兆円は、農林予算約3兆円の三分の一をこのような補助に変えて行こうというものです。それから、10aあたりいくらでだすわけですが、米並みの所得が確保できるというのを一つの基準にしています。
 どのマスコミも書きませんが、一人なぜ1.2万円なのか。それから、結局は市長会も、町村会も設けないことになるようですけれども、所得制限がなぜ1800万円なのか、全く説明がありません。
 これについて言うなら、3百万円以下ぐらいの人にもっと手厚くやるべきであって、500万円を越えた人たちにこんな寄付金をやる必要はないと思います。
 ですから、国民も分かっています。6割強の人たちがこの定額給付金を評価しませんでした。
 その結果、麻生さんはこれを餌に総選挙に流れ込もうとしましたけれども、断念せざるを得ませんでした。

<2兆円を弱小市町村の定額給付金に>
 民主党他含む野党4党は、定額給付金の撤回主張しています。しかし、折角埋蔵金から2兆円を国民に配るというなら、やはり一番困っている人に行くのが当然です。そして福祉に介護にという考え方はありますが、道路特定財源の内一兆円を地方に配分するという同じ考え方に立てば、この2兆円は竹下総理の例に倣って、困っている地方の市町村の配分するのが一番すっきりではないかと思います。
 その場合個人の所得制限と同様のものが必要となり規模制限が必要でしょう。小さな市町村ほど困っているのです。この際、人口10万人あるいは20万人以下の弱小市町村という限定つきで、2兆円を配分する。これならばどこの市町村にも喜ばれる話ではないかと思います。
 例えば、1人1万2000円で、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者には8000円を加算ですから、人口1万の市町村なら約1億5千万円、人口5万ならば約7億5千万円もの給付金が市町村の財源となるのです。

<長野県町村会での私提案>
 私は上記の意見交換会で以下の過激な提案をしました。
 昔、宮田村の春日農政課長は、個々の農家に行くべき転作奨励補助金をそうはせず、一括して村の事業に使っていました。小さな村ならではのことでした。それならば、今回も所得制限を市町村に丸投げしているぐらいですから、使い方も市町村の自主性に任されてしかるべきではないでしょうか。
 いっそのこと、例えば藤原川上村村長さんのように辣腕の村長さんは全員に返上してもらって、まとめて村民のために使うようにしたらいかがでしょうか。
 進取の気性に富み、反骨精神に溢れた長野県でこういう市町村が是非出てほしいと願っています。

2008年11月25日

麻生経済対策の挫折と麻生後継(?) 08.11.25

<アメリカの大胆なチャレンジ>
 海の向こうのアメリカはCHANGE、それに対する我が国日本は相変わらずの迷走停滞。両国を比べてなぜこんなに違うのか。特に麻生首相のブレが問題です。「解散日程についておれが決める」と啖呵を切ったものの、それが仇となって決められず、先延ばし先延ばしとなっています。臨時国会冒頭解散が、いつの間にか4月以降になってしまいました。道路特定財源の一兆円の地方への配分、郵政民営化に伴う株売却の凍結と枚挙にいとまがありません。

<日本の大混乱>
 そうした中でも、一番混乱しているのは、第二次補正予算、経済対策ではないかと思います。中でも定額減税が変わった定額給付金です。所得制限を設ける設けないですったもんだしたあげく、結局市町村に丸投げの自主的な所得制限額1800万円の根拠は不明。鳩山総務大臣ですら、「自分は納得しない」とテレビで平然と答えています。閣内不一致もひどすぎるのではないでしょうか。中川財務大臣は所得制限などすると迅速性が損なわれるし、市町村が一番大変だと正論を言いました。一方、経済財政担当大臣の与謝野さんは所得制限を設けるべきだともう一方の正論を言い放ちました。その結果、結局国は決められず、市町村に丸投げです。
 市町村でも、福祉部がやるのか、地域振興部がやるのかもめています。1人1万2千円が福祉か地方振興かで担当部門が分かれます。事務量も大変です。行政コスト、あるいは経済学でいう機会費用がたくさんかかるのは目に見えています。何年も続くならまだしも1回こっきりで非常に問題のある政策です。
道路特定財源のうち一兆円を地方に振り向ける。考え方自体は、私は森林環境税のところで主張しましたが、所得の少ない地方の収めている税金が地方に戻るというのは歓迎です。1兆円を渡してしまったら、国の道路はほとんど作れなくなると道路族は反対しています。消費税についても3年後に上げざるを得ないと言ったかと思うと、景気の状況を見てだと、突然違ったことを言い出します。

<一国のリーダーは別>
 麻生さんの口がちょっと曲がっています、片方だけだったと思いますが、これだけいうことが違ってくると、両方の口がひん曲がってくるのではないかと心配です。
 多分、麻生さんは人がいいのでしょう。私は、予算委員会、行政改革特別委員会、郵政民営化特別委員会、外務委員会で麻生さんに質問することが何度かありました。非常に率直な方で、答弁やその後の付き合いもざっくばらんで、嫌らしさはみられません。それだけ人間的魅力はあるのでしょう。派閥を超えて太郎会なるものが結成されているのもよくわかる気がします。しかし、それと一国のリーダーは別です。思いつきでペラペラペラペラ先走って大切なことを喋り後で訂正するというのは、一国のリーダーとして失格といわざるを得ません。

<噴出する矛盾>
 最も大きな矛盾は、経済対策が緊急であり選挙などしていられないというのに、肝心の第二次経済対策というべき補正予算を臨時国会に提出しないことです。民主党だけでなく、党内からも渡辺喜美前行革担当大臣たちが今臨時国会への提出を求め出しました。いつも繰り返されてきた自民党の内部抗争、麻生おろしかもしれません。
 ただ、麻生さんを誰にかえるのか、小泉さん以上の目くらましは、小池百合子さんや野田聖子さんといった女性初の総理・総裁しかないかもしれません。国民はこんな奇手はこりごりなはずです。
自民党をすっきりとして野党に下り、5~6年力を貯えるべきです。政権交代は、何よりも自民党の再生への近道なのです。そのためにも一刻も早い解散・総選挙しかありません。

2008年11月20日

オバマ新大統領の誕生(日米同盟編)-08.11.20

 ブッシュ大統領は、超保守主義的な考え方を取り入れ、ネオコンと称される人たちの主張に従い、アメリカ社会に亀裂を作ってしまいました。これを分断とオバマは攻撃しアメリカを統合すると盛んに演説していました。格差社会が生じこれに嫌気がさした国民が支持しなくなり、ネオコンの人たちもほとんど政権を去りました。ブッシュの支持率はついに20%近くに下がってしまいました。

<ブッシュの失政>
 外交面ではアメリカの一極支配という状況の中で、武力行使を行い世界の信頼を失い嫌悪感を広めてしまいました。イラクがその好例です。大量破壊兵器があるとうそを言い、攻撃しました。オバマ新大統領は16ヶ月以内にイラクから撤退すると公約し、大統領になりました。
経済政策についても、ブッシュは新自由主義とやらで、カジノ資本主義、金融資本主義を地で行く政策をとりました。挙句の果てにサブプライムローンで、金融がガタガタになり、現在の世界的な不況の原因を作ってしまいました。もはやドルが基軸通貨として大きな顔は出来なくなりました。
かくして、軍事面でも経済面でもアメリカの一極支配は終焉を告げたといってもいいと思います。

<日本への余波>
 日本はブッシュ政権に翻弄された国の一つです。イラクへの自衛隊の派遣、アフガンについてはアラビア海の洋上給油活動。国際的貢献とやらの論理を振りかざされ、それに乗じた自衛隊関係者の思惑もあり、完全にアメリカの間違った世界戦略の中に組み込まれてしまいました。
 金融危機については、よく日本の金融制度は護送船団方式といわれていましたが規制が強く変な金融商品を作ることは許されず、その面では傷は浅かったのは幸いでした。しかし、ずっと言われ続けている外需依存特にアメリカ依存の体質は全く改善されず、バブル以降はますます依存体質がますますひどくなりました。その結果、アメリカの景気が下向きになった今、トヨタですら大幅な減益となり、日本の経済界も危機的状況になりつつあります。

<鈴木首相の信念>
 日米同盟と抽象的にいわれますが、この内容は大きく変質してきています。私が日米同盟に一番最初に係わったのは、鈴木善幸内閣の総合安全保障関係閣僚会議担当室の時です。鈴木善幸さんは鮮やかでした。岩手の漁村の網元の出で、最初の衆議院選挙は社会党で出ています。漁民に尽くせというのが鈴木家の家訓だそうで、ご子息の鈴木俊一さんは全漁連に勤めた後、鈴木善幸さんの跡をついでいます。根っからの平和主義者で、総合安全保障というのも前の大平政権下の9つの研究グループの中の一つでしたが、それを継承しました。選挙中の大平さん急死による弔い選挙で300議席に達した自民党がタカ派的な趣味を出し始めていましたが、それに危惧を抱いたのです。つまり、軍事力にたよらず、食料安全保障・エネルギー安全保障・平和外交、そういったもので総合的に日本の安全保障を考えていくべきだというものです。

<日米同盟の変質>
 それに対して、外務大臣になった伊東正義さんは、日米同盟は軍事同盟だと言い放ち更迭されました。時代が流れ、今や日米同盟は軍事同盟だと言ってもだれも咎め立てしません。20年の歳月の流れ、状況の変化を感じざるを得ません。どこで何が変わったのでしょうか、疑問を感じざるをえません。

<アフガンにどう対応するか>
 日本の外交について言うと、日本政府は皆口を揃えて、大統領が代わっても日米同盟は不変、日米同盟が日本の外交の基軸となると言います。そして、日米同盟ほど大切な二国間関係はないと誰もがいいます。共和党から民主党に政権が変わってもこれは不変だというのも皆同じです。
しかし、私はそうは思いません。アメリカの一極支配はもう終わったのです。日本は、これからはアメリカべったりの追従的な外交政策ではやっていけなくなるはずです。テロとの戦いにしても、オバマはイラクからの完全撤退のかわりに「テロとの戦いはアフガニスタンだ」とも明言しています。日本はすぐあわてふためいて、それならば先取りしてアフガニスタンについては、自衛隊を派遣するなりきちんとした役割を果たしていかなければいけないとゴマをすり出す可能性があります。しかし、そんなことはせず、日本は日本としての役割を果たしていけばいいのだと主張していくほうが賢明です。アメリカ外交は、軍事偏重から国際協調へ転換していくことは確実だからです。

<予想される貿易圧力>
 経済政策については、共和党ならレーガン中曽根時代のロン・ヤス関係ではないですけれども、あまり強硬なことは言ってこない傾向があります。それに対してクリントン政権の時に日米包括協議というのがありましたが、市場開放を強く迫ってきました。それはなぜかというと、民主党のほうが汗水たらして働く農民、労働者のほうの利益を代弁し、国内生産重視になるからです。その結果当然保護主義的になります。日本が大幅な貿易黒字を抱えていることに対して攻撃をしてきました。
かって毎年500億ドルの貿易黒字を記録していた日本でしたが、今や貿易黒字の相手国は中国になり、毎年2500億ドルぐらいに毎年なっています。その矛先は日本ではなく中国なのです。ところが、不思議なことに、アメリカは中国に対してあまり高飛車には出ていません。こんなところにも私は違和感を感じざるをえません。日本にはけしからんといってあれこれ注文しつつ、中国に対しては遠慮した態度が見られるのです。日本を小国ないし属国と捉え、中国は対等の国として捉えているのかもしれません。
 オバマは日本に同じ名前の小浜市があることを知っており、日本に親近感を多少もってくれるかもしれませんが、国としてあるいは民主党政権としては、日本には冷たい態度を取ってくる気がしてなりません。演説にも日本などほとんど出てこなかったようです。

<環境問題へ本格的取組み>
 環境問題については代替燃料の開発、環境保護なりを前面に出していくことをオバマは明言しています。私が、OECD代表部時代、貿易と環境会合でいろいろ議論したダニエル・エスティ(イェール大学教授)がオバマの環境政策の顧問を務めていました。ゴア元副大統領も知恵袋です。環境政策についてオバマは大胆な政策を展開してくることは間違いありません。

<核廃絶への動き>
 もう一つ、核政策についても、核兵器の廃絶ということはきれいごととしてはどの首脳も言いますが、オバマは本気のようです。是非真剣に取り組んでもらいたいと思います。
米印原子力協定が出きて、インドがNPT(核不拡散条約)の例外として認められてしまい、日本のマスメディアも一斉に批判しています。核を持つ国が増えてしまっているわけですが、こういったことに対して日本はキチッとした態度をとらなければならないはずです。しかし、肝心のアメリカがインドに軟弱な態度をとっており、それを見た、イランや問題の北朝鮮も同じような高飛車な態度をとってくる可能性があります。オバマ外交の腕の見せ所です。

<オバマへの過剰期待は禁物>
 拉致問題について同情はしつつ、テロ支援国家解除の日本への通告は30分前にするアメリカです。新政権になったところで何か歓迎ムードがありますが、生の国際政治はそんな生やさしいものだとは思いません。
 オバマ大統領は政治家としては2004年に上院議員になったばかりで、かなり経験不足で大統領になりました。日本でも経験不足で総理になった安倍さんも民主党前代表の前原さんも、大体が失敗しています。過剰な期待は禁物です。失敗の時の失望も大きくなります。オバマ大統領も安倍さんや前原さんの二の舞いにならないことを祈るばかりです。

2008年11月17日

オバマ新大統領の誕生(選挙編)-08.11.17

<アメリカ民主主義の真髄>
 アメリカはやはり民主主義の国でした。2人のマイノリティである女性のクリントンと黒人のオバマ。両民主党大統領候補の指名争いで過熱したアメリカ大統領選は、史上初めての黒人大統領の誕生で終止符を打ちました。
 アメリカ大統領選については、本国アメリカよりも日本国民のほうがより高い関心を示していました。最近の世論調査は精度が高くなっていますが、日本では83%の人が興味あると答え、アメリカは80%でした。新聞が東南アジア諸国のことにはほとんど触れずに、アメリカについてはたくさん書くためもあります。日本国民はアメリカがくしゃみしたら、日本が風邪をひくということを知って、アメリカ人以上に関心を持ったのかもしれません。

<ブラッドリー効果は杞憂>
 世論調査では、オバマ大統領の圧勝が予測されていましたが、落とし穴がありました。それはブラッドリー効果とよばれるものです。20~30年前、ブラッドリー・ロサンゼルス市長がカリフォルニア州知事選に立候補し、世論調査の段階では圧倒的にリードしていたものの、いざ本番の選挙では負けてしまいました。つまり、世論調査の時にはかっこよく、黒人の州知事に賛成だといっておきながら、いざとなると、やはり本音が出て黒人に投票しなかったということです。それが、今回の大統領選挙にでもあるのではないかと一部には言われていましたが、そんな心配は無用でした。

<政治的空白(?)なしの長い選挙戦>
 そもそも大統領選挙というのは、党内で指名争いをします。しかし大統領選挙はだいたい1年かけてやるといわれていますが、今回に限って言えば、出馬表明はオバマ候補、マケイン候補とも、他の候補共々2年程前にしています。そういう点では、非常に長い選挙戦を戦ったということになります。日本で、政治的空白を作らないために解散・総選挙を先延ばしにするとかいっているのと大違いです。アメリカは4年に一度の大統領選挙はお祭り気分できちんとやっています。

<軽やかな政権交代>
 特に政権交代の可能性のある、2期8年を終えた後の選挙は熱気がこもります。政治的空白という点では、今回のサブプライムローン問題に端を発し、世界の不景気の原因を作っているアメリカこそ大統領選を延期してでも、その後始末をブッシュ政権下で、ポールソン財務長官が陣頭指揮をとってやらなければならないのかもしれません。アメリカ国民はこの未曾有の経済危機・金融危機に対し、新しい政権での思い切った対策に期待をこめているのです。軽やかに政権交代が行われています。彼我の差を感じざるを得ません。

<共和党の支持も得たリベラル・オバマ>
 シカゴで市民運動に身を投じたオバマは、リベラル度100%の典型的リベラルです。過去デュカキスもモンデールも民主党リベラルは大敗し、大統領にはなれませんでしたが、オバマはそのジンクスを破りました。それどころか、共和党支持者もオバマ支持を表明、 Republicans(共和党員)をもじってObamacans(オバマ党員)という言葉も生まれました。

<国民の信任を得たオバマ>
 正式には数字が出ておりませんが、300人の選挙人を獲得するとマンデートという、国民から大多数の信頼を得たといういわばお墨付をあたえられるということがアメリカでは言われています。そういう意味では350人近くになったオバマ大統領は、国民の大多数の信任を得たということになります。
最近で言えば、43歳のケネディ、46歳のクリントンに次ぐ、47歳の若き大統領の誕生です。ただし、上院議員一期目で政治的経験は一番少ない大統領ということになります。それからやはり地域の違いもあるのでしょう。南部諸州では、オバマはほとんどで負けています。

<珍しい民主党単独支配>
 もう一つ今度の選挙結果で特徴的なことは、上院、下院とも民主党が圧勝し、めずらしく日本のかつての自民党支配と同じように民主党単独支配になったということです。「ねじれ国会」と日本ではよく言われますが、アメリカでもクリントン政権、父子のブッシュ政権を通じで大統領と上院と下院が同じ党になったことは数年しかありません。単独支配がむしろ異様なのです。そして日本では、自民党の長期政権という異様な状態が続いていたということになります。アメリカ国民はしっかりしていて、多分2年後の下院議員選挙は共和党が勝つのではないかと思います。つまり一党支配を嫌い、わざとチェックを議会にさせるということを国民が自ら選択します。この違いにも驚かされます。

<混乱が生じなかった電子投票>
 それから今回8年前にゴアとブッシュで争われ、僅差でブッシュが勝利しましたが、集計ミスが問題にならなく、アメリカは各州とも同じ仕組みで投票しているのではなく、それぞれ違う投票方法ですが、電子投票が行なわれたところが多かったようです。今回は前回のようなトラブルもなかったようです。別途ふれますが、私はこのIT時代、日本も集計に時間がかからず、人件費も安上がりな電子投票に変えていくのがベストだと思っています。

<嘆息が出る、「うちは代々〇〇」の長野1区>
 この選挙結果を見て、ため息が出ます。私は今地元で支持者訪問をしていますが私の支持者名簿に載っているお宅ですら、いろいろ話した後、長野県人は正直なのでしょう、私に投票できないということを明確に言う人がいます。「しのはらさん、折角挨拶にきてもらったけれども、おらぁちは代々○○だから、勘弁してくんねかい」。このセリフがあちこちで聞かれます。代々同じ世襲の政治家に投票し、どこの馬の骨かわからない私に投票しない。言ってみれば律儀な県民性の有権者と黒人の若き大統領に未来を託すアメリカの大胆な有権者と、何という差かと嘆息が出ます。彼我の差を感じざるを得ません。