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定年帰農も農政の対象に 09.01.06

<北信タイムズ新春号掲載文より>
 アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融危機・財政危機は、他人の金を横から横へ流して利益を得る虚業の経済の破綻から実態の経済にまで悪影響を及ぼしている。そのずっと前から日本の地方は、小泉・竹中・ホリエモン路線のもとでガタガタになりつつあった。資本主義の下では、集中のメリットは絶大であり、人も金も情報もすべて大都市・中心地へ集まっていく。
 その流れを是正し、例えば、所得の再配分を図るべく、地方にお金が流れるようにするのが政治の仕事であるが、日本はほとんどそういう政策をとってこなかった。それが、農林水産業の疲弊、ひいては地方、特に中山間地の疲弊につながっている。言い古されてきた言葉であるが、内需を拡大しなければ、日本の持続的な発展・繁栄は望めない。

 しかし、そうはいっても、農山村地帯を見渡してみると、事態は深刻である。勤勉な人達により、営々と農業が営まれてきたが、さすが採算合わなくなり、子供たちが跡を継がなくなり、全国で遊休農地が埼玉県に匹敵する39万haに広がっている。北信地方で深刻なのは、果樹園の放置である。田んぼの場合は、若手のオペレーターが30町歩、40町歩を耕すことも可能である。しかし、果樹園はそうはいかない。りっぱな成木になるには何年もかかっている。それを、跡取りがいなくなるので切り倒すには、忍びないものがある。何より損失である。
 長野市内においては、見るに見かねた定年退職したグループが放棄寸前の果樹園を借りて農業をやりつつあるが、窮余の策であり、善意に頼り切りの点的存在でしかない。
 私は民主党に参画して以来、農業者戸別所得補償の必要性を訴え、農村地域全体の活性化を訴えてきた。それに対し、政府は4ha以上の認定農業者でないと直接支払いの対象にしないという、現場を無視した政策を導入した。こうした農政の違いが07年の参院選の一つの争点となり、一人区の民主党の勝利の原動力となった。
 後継者不足が夥しい現場では、もうひとつ現実的体系的な対応が必要であり、定年からの農業というのも、農政の対象として明確に位置づけてもいいと思われる。つまり、60歳からの農家である。だからといって、私は、規模拡大・専業農家に反対するわけではない。規模が大きい専業農家が多いことにこしたことはない。ただ、規模の小さな農家、兼業農家を農政の対象から外すという政府の政策は、非現実的である。幸い長生きするようになったし、定年退職者にも農作業をしてもらわないと、農山村はもたなくなりつつある。身近で若い農業者が何人いるか数えてみれば明らかなことである。
 昨今の世界の食料事情や世界同時不況をみても、日本のように農業をないがしろにしてきた国は、多分、将来その大きなツケを払わされることは確実である。農山村の活性化なくしては日本の再生はなく、今後は大胆な政策転換が必要だが、それまでのつなぎとして定年後の農業も不可欠である。