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日本に必要なグリーン・ニューディール 09.0106

<北信ローカル新春号掲載文より>
 海の向こうアメリカでは、未曾有の経済危機に際し政権交代し、経験の浅い黒人の新大統領に国の舵取りを託している。それに対し、日本は大変な時だから、選挙など先送りして今の自・公政権でなんとか凌いでいこうという引っ込んだ姿勢である。サブプライムローン問題で世界の景気を悪くしたアメリカこそ大統領選など後回しにして対策を講じなくてはならないのに、1年以上かけて大統領選をしてきた。彼我の対応の差である。
 そのオバマ次期大統領は、グリーン・ニューディール政策という耳慣れない言葉を掲げている。その一部はもう始まっており、トウモロコシから燃料が作られ、穀物価格が高騰し、中西部の穀物農家は、史上最高の所得を得ているといわれている。こうした環境政策を大胆に実行し、景気を良くしていこうというものである。一方、日本では、雇用情勢が悪化し、トヨタ、ソニーといった日本を代表する企業がリストラし始めており、大問題になりつつある。外需に依存する体質を改めなかったツケが回ってきたのである。

 私は、農業再生プランを2004年に作成して以降、2006年から林業再生プランの作成に入り、07年夏、「森と里の再生プラン」をまとめた。長野1区内のほとんどの製材会社に、この提言冊子を自ら持ち歩いた。しかし、そこで、予想した以上の惨状を目の当たりにした。ほとんどの製材会社が製材をやめ、単なる木材流通業者になっていたのである。
 もともと、製材所など、原産地、つまり木材を切り出す近くにある。なぜならば、遠くに材木を持って行って製材すると輸送コストがかかり、採算が合わなくなるからだ。しかし、日本の木が切られなくなり、それがままならなくなっていた。我々の祖先が一所懸命植えた木が放置され、そのままになっており、裏山の木で我が家を建てようとしても、金がかかりすぎ、やむを得ず外材で建てざるを得ないというトンチンカンな事態になっている。政治の貧困以外のなにものでもない。70年代は、日本とドイツの林業は同じ状況であったが、ドイツは林業にてこ入れしたのに対し、日本は輸入に任せ無策が続いた。その結果、ドイツは木材の輸出国になり、日本は自給率20%に下がってしまった。環境の世紀の今、日本にこそグリーン・ニューディール政策が必要である。
 私が、15年前、OECD貿易と環境委員会でさんざん議論をたたかわせたD・エスティが今やアメリカのエール大学の環境法の教授となり、オバマ次期大統領の環境問題のスタッフ入りしていた。彼の著書「Green to Gold」は日本でも密かに読まれている。つまり、緑に関わることがお金になるというという話である。
 それに寄与しつつあるのが、我々のまとめた林業再生プランである。大きく出て百万人の雇用拡大というのを目標に掲げている。つまり、輸出産業のために働いた人たちも田舎に戻って山の整備をしましょう、そして、治山を国の政策としてやっていくべきだということである。このような思い切ったことをしなければ、日本の山は再生できないし、今の雇用状勢の悪化は是正できないであろう。財源は、CO2を出すガソリン、車、道路にかかわる道路特定財源である。CO2を森林が吸収してくれるのだから、理屈もつく。
 内需拡大といった場合、その中心になるのは、農業、林業、漁業等第一次産業である。太平洋ベルト地帯に移動した人口をなだらかにまた元に戻さなければこの国は再生しない。要は、極めて大胆な政策をとらない限り、日本の再生はない。日本もアメリカ以上のチェンジが必要である。