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よみがえれ、サケの遡上する信濃川-09.05.08-

国会質問報告 決算行政監監視委員会

 長野県の千曲川(214km)は新潟県に入ると信濃川(153km)と名前をかえる。日本一長い(367km)である。私は、今年の2月から3月にかけて千曲川の西大滝発電所の下流と千曲市の2箇所でサケの稚魚放流に参加した。長野県と新潟県の両県にある「水辺環境研究会」の事業である。当日は雪の降る中、子供たちと一緒になって「大きくなって戻っておいで」と願いを込めてサケの稚魚を放した。稚魚たちは、ここから信濃川を通り、海までの長い道のりを下って行くのだ。しかし、その途中で63.5kmも水が枯れた川となり、大きくなって遡上する時にも障害となる。JR東日本の持ち物である宮中ダムと東京電力の西大滝ダム2つのひどい関所が原因である。
 私は、4月20日の決算行政第4分科会で、金子一義国土交通大臣と対峙することになり、この問題について質問した。

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<子供たちと千曲川にサケの稚魚を放流する>

【JR東日本の違法取水】
 国土交通省は宮中ダムでの不正取水に対する、JR東日本の虚偽報告を重視し、2009年3月10日に水利権の取り消し処分を言い渡した。不正取水量はどれぐらいなのかはイメージしづらいが、過去7年間にわかっただけでも3億1千万トン。実際はそれ以上なのだ。
 国土交通省は再三自主点検を要求してきたが、JRからは適正であるとの虚偽報告を受けてきた。虚偽報告はインチキ米屋にもあったが、電力会社やJRという大企業、優等生がそれ以上の悪さをしていたのであり、水利権の取り消しという重い処分は当然であろう。

【命を抜き取られる川】
 宮中ダムの不正取水により、か細い信濃川が63.5キロも続く。こんなかわいそうな川は日本中、世界中でもどこにもない。他の先進国なら一週間とて許されず、アメリカなら裁判で完全に覆されて、ダムはとっくに壊されていただろう。
 さすが辛抱強い越後の人も10年ぐらい前から運動を起こした。当然である。川の水が流れていないのだから、住んでいる人はいやでも気がつく。
 しかし、JR東日本は国土交通省から警告を10年間も無視し、改善した、話し合って決めた水量だなどと主張し、不正取水を続けた。おまけに電力が自由化され、発電した電力が余ったときは電気を売っていた。電気が余っているなら、余る分だけ取水せずに本流に水を流すのが常識なのではないだろうか。

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<宮中ダムのゲートを全開にした、本来の信濃川の姿>

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<宮中ダムで取水された信濃川と7トン以下の表示はしないようにプログラムがいじられていた放水量メーター(2006年9月)>

【エセエコ】
 東京都内の人は、普段利用している山手線が、新潟の信濃川の犠牲による発電で動いていることを知らないのではないだろうか。「クリーンな電力で東京都内の列車を動かす」かつてJR東日本がホームページで宣伝していた文言だ。水力発電であるから確かにクリーンな自然エネルギーだが、それを生み出す過程で、川を干上がらせ、川の生物を殺し、サケの遡上を阻んでいる。これではエセエコ企業であり、けしからぬことであると主張した。
 
【JR東日本は償うべき】
 水はパブリックグッズ(公共財)なのだ。かつてはお国のため、東京の電車を動かすためといってしかたなく川の水が取水されていたのだろう。しかし、今やJR東日本は民間企業である。宮中ダムにより電力費をわずか2百億円におさえつつ、あげくに売電までもやって、3千億円以上の利益を上げられている。一民間会社が、パブリックグッズを使ってこの利益を上げて良いはずはない。
 水力発電はクリーンエネルギーであり、電力も必要である。取水件の再許可をしなければならない時はくると思う。しかし、その時は相当な償いがあってしかるべきである。
 宮中ダムによる取水権を再度与えるための協議会においては、放水量を7トンから40トンに増やすという協議が行われているが、信濃川の水がない区間の田口直人十日市市長は150トン戻せと主張している。こういう地元の声に素直に応ずるだけではなく、JR東日本の駅弁をすべて魚沼産コシヒカリに変えてもいいのではないかなどと質した。
 また、魚に対する償いもしてもらわなければならない。現在のダムには魚道というものが申し訳程度についてだけだ。急勾配すぎることや折り返しまでもあり、遡上してきたサケのほとんどが上れずダムのところで死んでいく。世界の魚道からいえばとってつけたようなものでしかない。みんなの水や川を一人占めして利益を得ている企業には、相当お金を掛けさせても魚に優しい形の魚道を作らせてしかるべきである。
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<宮中ダム魚道(やせていてかつ運動神経のいいサケしか上れないのでは?)>

【サケは森の恋人】
 カキの養殖をしている畠山重篤さんが、上流にしっかりした森がなかったら、いい栄養分に富んだ水が流れてこず、海苔も魚も貝も育たない。だから「森は海の恋人」だと言い出した。
 もう一つの栄養源は海の底にある。万有引力の法則で栄養分はどんどん下に下がっていく。海の底に一番栄養分が貯まる。その栄養をまた陸上そして森に返すのは遡河性魚類のサケ類なのだ。海に出て栄養を蓄えたサケは4年して遡上する。そこで子孫を残して死んでいく。それを鳥が食べ、熊が食べ、糞を森に返していく。サケがいなければ山は栄養がなくなってしまう。つまり「サケは森の恋人」なのだ。
 アメリカはそれを理解している。だからもう新しいダムは建てないし、サケが自力で上れるよう、河川も元に戻すべく、よほど洪水が起きる所以外コンクリートにしない。日本では環境活動のサケ放流も、アメリカ、カナダではよくないことになっているのだ。人間の手を借りずにサケが自力で生きられるようにするのが優先されている。

【もう一つの関所、西大滝ダム】
 宮中ダムを越えて遡上出来たサケにはもう一つの関所がある。東京電力が所有する西大滝ダムである。こちらは我が長野県の飯山市に位置する。この水利権の更新も2010年と間近に迫っているのだ。ここでも大量のサケの遡上がとめられ息絶えていく。しかし、ここはサケだけの問題ではない。上流では、土砂が流れず河床がどんどん高くなってきている。住民はいつ洪水が起こるかとひやひやしながらの生活を強いられるという人間の問題でもあるのだ。この件も宮中ダムと同様検討していってもらいたいと質問を締めくくった。