« 10月26日の朝日・信毎・読売の記事について09.10.27 | メイン | 相変わらずの「日程国会」に振り回された中小企業金融円滑化法 09.11.24 »

民主党の政策論議の場づくり-09.11.11-

 連日、民主党が打ち出す「政治主導」の記事が新聞を賑わせ、支持者の方からも、「民主党になって、毎日の新聞を読むのが楽しみになった」などとお褒めの言葉をいただいている。我が民主党にご期待くださる事に対しこの上ない感謝の思いでいっぱいである。しかし、新聞やニュースの華々しい報道とは裏腹に、過度に政治主導を掲げ、政府の力を強調するあまり、地元からの声や党内の議論が消えかねない現状が見え隠れしている。

<NHKニュースウォッチ9の報道>
 10月19日(月)に放送された、NHKのニュースウォッチ9は、内閣入りした政務官と地元の声の反映に苦慮する議員という2つの異なる角度から放送された。政務官の部屋で仮眠をとる疲れきった姿が放映される一方、私は松代真田十万石祭りに参加している姿で、まさに小沢幹事長がいう「内閣に関わらない議員は地元で選挙活動をすべし」を地でいっており、閣外の議員の意見が政策に反映されなくなっている状況を放送していた。余談だが、実際は私も例の亀井大臣のモラトリアム法案がかかる財務金融委員会の筆頭理事で忙しなのだが、そこはテレビ編集の味付けということであろう。

<歪められた農業者戸別所得補償>
 ちょうどその密着取材を受けているとき、私が長年関わってき農業者戸別所得補償が、来年度は米を先行させるモデル事業で5600億円を予算要求することが決まり大変な衝撃を受けた。私が手塩にかけて育んできた政策が、音を立てて崩れていく。麦・大豆・菜種・そば・飼料作物といった土地利用型作物に米並みの所得を補償することにより、米の過剰を減らし自給率も高め‥‥と狙っていたのに、米を先行させては何にもならない。「馬鹿な‥」と声をあげずにいられなかった。このいびつな形の事業(2011年度に1兆円で開始するのがマニフェスト)は既に政府内で 決定されており、我々は関与しようがないのだ。

<自民党の部会の暴走を反省>
 そもそも、民主党は党政務調査会(政調)という機関をもっていた。農業者戸別所得補償法などの党のマニフェストはここで多くの議員が膝を突合せ、知恵をしぼり合って作り上げたもので、民主党が目指す方向を作り上げる重要な機関であった。また、政調は各議員が地元から直接聞いてきた意見をもとに政策に盛り込んでいくという重要な役割を担っていた。ところが、政権交代後に民主党はかつての自民党の政調・部会を悪とし、民主党の政調の廃止を決定してしまった。政府と与党の政策は一つであるべきという理由からである。
確かに自民党政権下では政府と党の政策決定が食い違ったり、部会が力を持ち過ぎた嫌いがあった。更に、これが内閣の求心力を弱めることに繋がったという事実もあり、民主党でも 一定の制限を掛ける必要があることは認めるが、やり方が性急過ぎて極端なのだ。

<戸惑う新人議員>
 政治主導の名のもと、政策は各省の政務3役(大臣、副大臣、政務官)のみで十分とのことで、つけたしでできたのが各省政策会義(例:農林水産政策会義)である。これは、副大臣が主催し、政務3役で決定した政策を説明する会合でいわば説明会である。出席議員からの意見は参考までに聞き置かれるだけという受身的な会議のため、新人議員たちは、地元から聞いてきた、厳しい生活を何とかして欲しいという切実な願いを一体どこにもって行けばいいのか、いったい誰に頼めばいいのかと右往左往する羽目に陥っている。

<官僚主導が進む危険>
 NHKでも放送されていたが、政務3役の5人でその省庁の職務をすべて取り仕切ろうというのでは、官僚は何千人とおり多勢に無勢、勝負にならず、とうてい無理な話である。
 そこで何が起こるか答えは簡単である。官僚はたった5人の政務3役さえとりこんでしまえば、党への煩わしい手続きや他の与党議員への根回しもいらず、思うがまま政策を進められることになる。まさに官僚のやりたい放題ができるという危うい状況にあるのだ。

<与党民主党のルールは未確定>
 そして、最初の大事な法案が私の担当する財務金融委員会の例のモラトリアム法案である。亀井金融担当大臣が突如言い出したこの法案は、民主党のマニフェストにはなく民主党内の議論はほとんどなされていない。我々は金融 政策調整会議で大塚副大臣から説明を受け、それに対して意見を言うだけである。
 自民党が与党の時は、部会で了承されなければ法案は提出されなかった。これに異議、修正を唱える場が今の民主党にはどこにもない。与党自民党時代と異なり、議論の場は与えられていないので、野党と同じく委員会で質問をしていいのかということになるがそうもいかない。
このようにまだ我々与党民主党のルールは定まっていない。

<試行錯誤中の政策論議の場作り>
 これを司る山岡国対委員長は大変である。しかし、筒井信隆農林水産委員長等の意見も取り入れられ、○○委員会(質問)研究会で、党独自の議論が進められることになった。我が委員会が上記の重要法案をかかえていることから10月22日最初に財務金融委員会研究会を立ち上げ、民主党議員の勉強の場を作ることとした。これが多分定着していくものと思われる。これとは別に新人の勉強会も立ち上げ、国会議員の政策を 練る場には事は欠かないようにしていかなければならない。

<この問題の専門家?>
 上記のNHKの放送以降、私がこうしたシステムについて考えている代表として担がれることになったようで、週刊新潮のコラム「日本ルネッサンス」を連載している桜井よしこさんの取材が回ってきた。桜井さんのインタビューは、大敗きたした長野市長選の翌日(2時間しか眠れず 朝一番の新幹線で上京、朝日のいい加減な記事の対応で追われ‥‥と大忙しの時)で、約1時間に及んだ。どのようにまとめられるか気になったが11月5日号コラム<櫻井よしこ ブログ 2009年11月05日「力不足で可能か、民主の政治主導」>参照はこちらから、私自身の主張を私が書くよりわかりやすくまとめていただいた。プロのジャーナリストである。

 民主党は政権を獲得してからまだ2ヶ月、一時的な迷走は仕方あるまい。私もその限られたルールの中で全力を尽くしていくよう努力をしているところである。本件は時間をかけながらゆっくりと、あるべき体制に落ち着いていってもらいたいと心から願っている。
 民主党は、金属疲労を起こしてパイプの詰まり始めた自民党に代わり、国民の声を直接政治に反映させることをうたって勝たせてもらった事を決して忘れるべきではない。