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TPP問題で答弁引っ張りだこ -10.11.05-

10月13日の予算委員会での宮腰議員への答弁を皮切りに、委員会への出席が続いている。
私は、農林水産副大臣として農林水産委員会への出席は勿論なのだが、TPP参加交渉の問題は外務、経済の分野にも深く関わりがあることから、外務委員会や経済産業委員会など、他の委員会からも答弁要請があいつぎ、ほぼ同時に開催されている委員会の綱渡りをしながら歩いている。

 今回は、それらの委員会での答弁から、私のTPPに対する考え方が表れているものを中心にまとめてみた。

10月13日 予算委員会(TV入り) 質問者:自民党シャドーキャビネット農林担当 宮腰光寛委員
 宮腰委員、「APECでの議長国としての面目を保つためにTPP交渉の話を持ち出したのではないか」と総理に質問。
 総理に代わって前原外務大臣が答弁。先ほど他の自民党議員から交渉を推進すべしとの立場で質問を受けて答弁したと釘を刺した上で「今後、戦略的なEPA・FTAを考えて行きたいが、仮にTPPに参加した場合も、いきなり関税がゼロになるわけではない。経過措置の対応等も含めて議論したい」と再度推進の立場を全面に出す。
 宮腰委員は、「TPPに参加した場合の国内農業への影響の試算がなければ、まともな議論も出来ない。試算の用意はあるのか」と鹿野農水大臣へ質問。
 鹿野大臣は、「総理の発言は検討するということであった。それ以上でもそれ以下でもない。また試算は出していかなければならないものであるし、出たら公表する」と答弁。
 宮腰委員より「篠原副大臣は、韓国を訪問し韓国におけるEPA・FTAの影響を現場で見てこられた。韓国の農村現場と国内対策についてお話いただきたい」との質問。
 私は、前回のブログでも指摘した、日本と韓国の類似性を上げたのちに対策について「韓国は1997年のIMFの関係で危機が訪れた際、FTAを推進していく決断をした。そして、ウルグアイ・ラウンド対策費に8兆3千3百億円。アメリカとのFTAに1兆4千280億円の対策を講じ、FTAに備えようとしている」と答弁。
 また、韓国農業界もある程度認めていることを驚いた点としてあげつつ、3つの問題点を指摘した。
①影響を過小評価しすぎていること ②発効前の巨額の対策費であるが、発効後はこれでも足らないのではないか ③競争力を高め規模拡大しても、アメリカ、オーストラリアと肩を並べていくことはできるのか。これらの問題点がある中、TPP交渉への参加については、韓国が毛頭考えておらず、着実にFTAでやっていくつもりであることを正直に答えた。
野党の委員から、その通りと言うような数名の拍手が上がった。野党の委員が与党の農林水産副大臣に出張の報告の機会を与え、野党が賛同する様子はテレビ的には妙に映ったかもしれない。しかし、日本の農業を守りたいというこころには与党も野党もない。
 
10月27日 外務委員会 小野寺五典委員
小野寺委員への答弁の為、衆議院の外務委員会に出席することになった。私は昨年までの3年間外務委員会の委員であり、久しぶりの外務委員会は懐かしく思えた。それと同時に、三年間向かい席から質問をしてきたのが、今日は、当時 外務政務官・副大臣であった小野寺五典委員が質問者席に座り、私は反対に答弁者として反対側の席に立つのはまさに政権交代の故である。議席側に高村正彦 元外務大臣が委員としておられ、宴席で急に上座に座れといわれたような、どことなく落ち着かない気分になる古巣での答弁であった。
小野寺委員はまず「報道で聞いてがっかりしたが、GDPの1.5%の農業が、全体の98.5%の産業の足を引っ張ってはいけない」と前原外務大臣の発言の一部を引用し、大臣のTPP交渉への考えや今後の方向性について尋ねた。私が変わりに答弁したい質問だった。
前原大臣は、農業を切り捨てていいなどという思いはない、ただ、今のままの農政を続けて行って明るい未来が見えるのかという思いがある。また、国を開くという点で他国との競争力に彼我の差が出てきている。そういった意味で転換期であるととらえているとの答弁。
小野寺委員は、「日本の構造改革大転換になるような重要な案件であり、国民が知っている中での議論が必要。国会で十分に時間をかけるべき」と応答した。その後、TPPによって引き起こされるであろう農業への影響と方針について私に質問した。
私は、久しぶりの外務委員のメンバーに挨拶をした後、2つの前提を置いた状況下での試算「19品目の関税を何の対策も打たずに直ちにゼロにした場合、4.1兆円の生産減、食糧自給率は40%から14%へと下がる。その上、農業の多面的な機能での損出は3.7兆円」と答えた。また、基本的方針は、EPA・FTAを推進してもらうのは結構であるが、日本の国に合わせ、自由化と同時に食料自給率の向上、農業・農村の振興も同時達成することが必要であり、その為の熟議が必要であると付け加えた。
小野寺委員は、このTPP交渉参加に関しては大変な脅威を感じていると指摘しつつ、再度、前原大臣の考えを質した。
前原大臣は、試算は、①対策を打たずに ②直ぐ の2つの前提があり、特に何も農業に対策を講じないという仮定はあり得ないと答えられた。しかし、ルールを作られてから入るのではなく、ルールメークから入ろうとするとだんだん扉が閉まってくという話をしていると続けた。
最後に小野寺委員は、TPPの交渉に入るにはどんな条件も持ち込むなというのがUSTR(アメリカ通商代表部)の強い姿勢である。そういった厳しい条件が適用されるとして、農業にどのような農業に対し支援を考えられるかと私に質問。
私は、先の予算委員会で宮腰委員に答弁した韓国での現状を説明し、韓国の10年で9.1兆円なら、日本は韓国の農業生産額の3倍であることから27兆円、もしくは、GDPで5倍であることから48兆円の対策費が必要であると答弁し、「それだけ決意をもってやるかどうか、しっかり議論が必要である」と続けた。

質問者の小野寺委員には、外務政務官・副大臣であった時に何度も質問をしてきた。笑顔で答弁された事も一度や二度ではなかった。事務所に出入りをしている記者さんの言うには、当時から小野寺委員は私の質問スタイルのファンであるとのことである。それがあって味方する答弁をした訳ではないのだが、ここでもTPPに対する慎重な思いが与野党を越え、とにかく参加交渉に入ろうとする拙速すぎる外務省に対して警鐘を鳴らすかたちとなった。

この他に、参院外務防衛委(10/21谷岡郁子委員)にも答弁。よくあることだが、外務防衛委と同日の参院経済産業委(10/28荒井広幸委員)、衆院予算委(11/1武部勤委員)は通告があったが、空振りだった。なお、本番の農水委は10月26日なので、ご関心のある方は、インターネットの衆議院ビデオライブラリーでご覧いただきたい。ただ、これは専門的すぎるので、今回のブログへの掲載はしないことにした。