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TPPシリーズ11.党内TPP議論をまとめる-11.11.10-

(最前の列での皆勤賞)
 TPPを10回に分けてお届けした。私はこの1ヶ月TPP三昧で、自宅にもそれほど帰っておらず、夜遅くまで第一議員会館719号室で、翌日の会合の勉強、そして深夜まで原稿書をするという生活を続けてきた。
 23回に及ぶ、経済連携PTの会合は、いつも同じ一番前の席に陣取り、皆勤賞である。自主的な「TPPを慎重に考える会」の会合も一番前の同じ席であり、定位置とみなされ、少々遅れて行っても、私の席はそのまま空けられていた。他のどの会合よりも優先した。TPPが大問題と考えたからである。発言は2回か3回に1回にとどめることにし、あまり出しゃばらないようにした。

(発言しない篠原?)
 ただ、皆勤が裏目にでたこともある。会場が映し出され、私が一番前に座っているのがテレビに映る。熱心な有権者、支持者の皆さんが目ざとく私を見つける。そこまではいいのだが、山田正彦慎重に考える会の会長、あるいはいつも大声をたてる同僚議員等がテレビに映し出されるのに、私がさっぱり映らないので、「篠原さんは一番前にいるけど、何にもしゃべらないんかい」と言われてしまった。これらの人は、冒頭のテレビの撮りでだけ発言する人であり、私はルールを守り、発言機会が与えられてから発言しているだけなのだ。
 長い会合なので、いろんな発言をしたけれども、資料を特別出して発言したのは、丸太の関税ゼロ、製材の関税ゼロ、その影響による中山間地域の疲弊、限界集落が問題。それから、日米構造協議の結果、大店法が改正になり、大規店舗、スーパーコンビニが自由に進出できるようになり、地方の商店街がシャッター通り化していったこと。

(内容の濃い慎重派意見、底の浅い推進派意見)
 10月28日からは議員間協議になり、賛成派、反対派入り乱れての議論になった。しかしながら、推進派の皆さんはときたましか来ず、勉強していないので発言が少なかった。当然のごとく慎重派の発言が多くなり、学習した結果内容も濃くなっていった。ただ、残念なのは、こんな大事な議論に全く足を向けない議員が多いことである。政権与党2年目にして堕落が始まってしまっている。これでは与党も長く続くまい。

(歪んだ)報道)
 11月8日には、議員間の集団討議も終え、役員間で最終提言案をとりまとめた。私は役員の一員(幹事)として、とりまとめにはそれなりに汗をかき、そしてこれを11月9日に最終討議に提示しようとしたところ、報道がいろいろあり、混乱に拍車をかけた。まず、昨日11月9日の朝。絶対に外に出ないように心掛けていた役員案が、全部は載らなかったけれども、少なくとも2紙には明らかにペーパーが渡っているような書き方だった。また、我々の予定していたこととは違う「首相に一任」つまり、我々は何も首相を縛るような提言はしないと言うようなことを書かれてしまった。極秘案が渡った党幹部か、関係省大幹部か、総理かが参加表明できるという報告に誘導しようとしているのは明らかである。一所懸命50時間も議論してきた我々に対する冒涜であり許し難い。
 9日夕刻に開かれた最後のPT会合で、役員間の案を提示して了解を得ようとしたが、上記の新聞記事について、誰がこんなことを喋ったのかということから始まり、3時間半たっても意見が続出だった。次々に改善点が指摘され収拾がつかなくなり、9時15分から30分をもらって再び役員会を開くことになった。ところがそれが1時間かかり、10時15分に再開され、やっとのことで了承された。皮肉なことに(我々にとっては好都合なことに)、総理にTPP参加表明をさせたいと世論誘導を図ったのと逆の方向の、「慎重」にという言葉が強く打ち出された。

(当然の一日先送り)
 ところが、今日11月10日の報道も、私からすると心外な報道になっていた。慎重という立場が多く、それを踏まえた判断にするようにということにも関わらず、「野田総理は参加表明」と一斉に書かれていた。私は、1日前の記者会見で、そんな風になるはずがないと言っていたけれども、朝刊を見て唖然茫然である。しかし、世の中正しい方向に動く。政府与党三役会議で、党PTの提言を尊重すべしということになり、一日記者会見を見送ることになった。

(執行部のあてがはずれた最初の結論)
 執行部の思い通りの提言にまとまらなかった、最初の調査会なりPTの会合になった。私は民主党のためにもこれは本当によかったのではないかと思っている。なぜならば、民主党のPTはすべて執行部の思い通りになるので、賛成の人は出席しなくなり、反対の人だけが出席するということが続いたからだ。これを機に、賛成の人、反対の人、両方が来てお互いに勉強しあって議論をし、物事が決まっていくような風土ができればと思っている。そうなると民主党議員の質も高まる。

(飛び入りクローズアップ現代で出演)
 一日延びたトバッチリも突然やってきた。慎重に考える会の会合から出てきたところ、NHKの記者から突然、「クローズアップ現代」に出て欲しいという要請があり、役員会等で激論を戦い合わせた相手の近藤洋介議員と一緒に出ることになった。これも内輪話になるが、古川国家戦略担当大臣が、野田総理の記者会見を受けて出演する予定だったが、それが出来なくなり、我々二人にお鉢が回ってきた。それを終えて、もう一箇所に寄り今帰ったところである。(11月10日午後10時30分)

(野田総理のこだわりの元)
 11日(金)に、総理がどのように記者会見されるか定かではない。私は素直に読めば、党の提言を取り入れて、参加見送りとは言わないでも、慎重に対処し、予備的なプロセスぐらいに留めるのが一番妥当だと考えている。
 しかし、クローズアップ現代で、国会でTPPという言葉を初めて使った質疑をしたのは、2008年11月28日外務委員会で野田総理自身であったことをはじめて知った。こうしたことから野田総理はどうもTPPに思い入れがあるようである。だから、かなり前のめりの発言が出てきてしまっているようである。

 いずれにせよ、11日は民主党、あるいは野田政権の大きな分かれ目でもあり、日本の社会がどうなっていくかということを決する分岐点になるかもしれない。