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TPPシリーズ3.TPP党内議論封じに反論する -11.11.1

 こういう内輪揉めをメルマガやブログにはしたくないが、慎重派の総意を代弁して訴えることとしたい。
民主党は、野党時代からいろんな政策決定過程が非常に不透明であり、最後にエイヤーと一握りの人たちに決められていることが多い。政権与党になってもその体質は残念ながら同じであり、昨年10月1日の菅総理の突然のTPP入り所信表明のように、政府が何の党内議論もなく、重要なことを言い出したり、物事を強引に推し進めたりすることが多々ある。
 重要なテーマについて、すぐプロジェクトチーム(PT)なり調査会が持たれる。これまた民主党の癖で、横断的な組織が持たれ集中討議が行われるのでよさそうには聞こえるが、結論の段階になると大体執行部が押し切って決めてしまう。会合の日時さえもその都度役員の都合で決められ、一般議員は他の仕事もかかえているため、なかなか出られないことも多い。また、自民党の会議と大きく違うのは、執行部が平場と同じく声を張り上げながら進行され、執行部対平場の反対議員の間で議論されることがほとんどだった。

(偏向する事務局人事)
 今、緊急の問題になっているTPPについて、経済連携PT(鉢呂吉雄座長)が設けられ、10月4日から突貫工事の議論が始まった。ところが、PTの役員の人選で早速変な動きがあった。初会合前に日本経済新聞にTPPに前向きな人として分類された、元外務政務官(元商社員)と元経産省官僚の2人の推進派と目される議員が事務局長と次長に名を連ねていた。当然この偏向した人事には冒頭のTV・記者入りの途中から大きなクレームが付き、翌週には役員に慎重派も加えられた。
これは民主党のマネージメント能力の欠如の代表的な事例である。よく言われるガス抜きのための形だけの会合にするために、平然とこういう信じがたい人事をして強行突破しようとしているのだ。自民党ならば、この重大ミスで会合を開くことさえできないはずである。いや、その前にこんな見え見えなことをするはずはない。

(推進派がほとんど出席しない理由―議論する前に結論が出ている)
 TPPは農業や医療だけではなく、日本のありとあらゆる制度をアメリカン・スタンダードに変える原因にもなりかねない重大問題を秘めている。そのため私も、1回も欠席せずに参加し、公正な議論を幅広く行うために意見を交わし、議論の場造りに専心してきた。
 その間に変なことに気が付いた。推進すべきという議論がほとんど皆無に近く、反対派の議員ばかりが集まっているのだ。私はこれではいけないと思い、早速鉢呂座長等に忠告した。仙谷官房長官時代の「熟議の民主主義」を党内議論で実践するためである。その夕方の議論から推進派が数人参加し、28日(金)の代議士会、参議院議員総会でも参加を促している。
なぜ推進派議員が出席しないか。答えは明瞭である。どうせ執行部がまた例によって押し切るんだから出なくてもいい、と考えているからだ。それに対し、「TPPを慎重に考える会」(山田正彦会長)の面々は、私も含めどうしても歯止めをかけたいために、他の会合等を犠牲にして出席しているのだ。このいびつな構図が執行部にはさっぱりわからないようだ。

(経済団体と初の本格的議論)
 経団連、経済同友会等経済4団体との議論が白熱した。はじめてそもそも今なぜ慌てて参加する必要があるのかといった根源的議論が行われたからである。それまでは上述のとおり、推進派が全くといっていいほど出席せず、外務省等の事務方ばかりと議論ばかりしていて、大局的な議論がなかったからだ。自民党の場合、あの喧々囂々の郵政民営化議論の最中、私の知るかぎりでは、党内の議論にも竹中大臣も自ら出席し討論をしていた。もちろん政調会長も関係議員も出席していた。
それに対し民主党は関係大臣はおろか、政調会長も1回も出席していない。TPP交渉に参加するか否かは、日本の安定した社会構造をグチャグチャにしかねない大問題であり、与党の政治家同士が真剣に議論すべきことなのだ。

(活発な議論を封じる問題発言)
 業界団体の意見を聞き、有識者の意見も聞き、10月28日(金)参議院本会議終了後15:30分から17時過ぎまで俄か仕立てで議員間の議論が始まった。
 ところが同じ日に夕刻から軽井沢で開かれた前原グループ(凌雲会)の研修会で仙谷由人政調会長代行が「党は合意を形成させないことを自己目的化して動くのは政党の形をなしていない」と全く真逆の発言をしたことがTVで流れた。また、「自分たちの信念なのか、宗教的関心なのかしらない」、「農協はTPP反対を叫んでいるが、ものの分かる人を何人か捕まえて中立化し、こちらから応援団を作る必要がある」と続けている。まさに放言である。たてて加えて、前原政調会長も「不満が残る人に配慮して物事を決めないのであれば、政策は前に進まない」と反対意見を聞いていられないといわんばかりのことを言っているのだ。民主党内の意見をとりまとめなければならない政調幹部が、反対ばかりしているとか、反対意見はきかないというのは、とりまとめ役の言うべきことではない。前述の議論を尽くさない体質が露呈してしまった。
 それよりも、派閥の会合を党の重要な議論をどちらを優先すべきか明らかである。それを出席せずに、場外で水を差しているのは、いかがなものかと思わざるをえない。
 仙谷政調会長代行は、交渉反対派は、農協に懐柔されているとでも言いたいようであるが、同僚議員は農協組織の推薦を受けず(農協は自民党議員を支援)当選してきたものがほとんどである。そのため農業団体も、民主党議員に要請はおろか、顔さえだししづらいというのが実情である。そのような中、慎重派の一部議員は、野田総理の突然の前のめりの姿勢に危機感を抱き、まさに日本の国益を考えて会合に出席し意見を言っているのだ。仙谷発言は、農業団体に対しても何たる侮辱的発言かと私の所にも抗議が寄せられている。

(万年執行部の弊害)
 どうしてこういう状況となってしまうのか。一つの理由は、民主党が政権奪取後、首相は3人目だが内閣・党の幹部となる衆議院議員の5期生以上は僅か45人程度で16%しかないことから、同一人物が一貫して執行部にいるからでもある。つまり自民党は総理が交代すると、執行部が一新されるので、自ずと逆の立場すなわち党内野党の意見にも理解を示すようになるが、民主党の執行部はずっと党内与党でい続けるため、知らず知らずのうちに独善的体質がしみついてしまっている。そしてこのことに本人たちが気づかずにいる。

(責任ある政党与党になるために)
 仙谷政調会長代行の放言は、党内の意見を取りまとめようと汗をかいている鉢呂座長等の努力に水を差すものである。2人の政調幹部は、TPP交渉への参加という結論しかない、つべこべ言うなという決めつけの姿勢を露骨に示しているのだ。それでは鉢呂PTの議論は一体何なのかということになる。仙谷政調会長代行の言葉を借りれば、これこそ政党の形をなしていないのではないか。
 仙谷政調会長代行の発言は、執行部の責任ある立場の者としては、とても捨ておけないので、10月31日(月)朝、TPPを慎重に考える会として、記者会見をして執行部に解任要求した次第である。
我々は、党内の意見をとりまとめるべく必死で議論をしている最中である。