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人口移動から日本経済を見る 長野建設新聞2012年新年号寄稿 -12.1.4-

 外国では。人口社会学者エマニュエル・トッドが、幼児死亡率の多さからソ連社会の混乱振りを見極め、崩壊が近いことを予言した(『帝国崩壊』)。さらに、徒にマネー・ゲームに走るアメリカ金融資本の暴走に警告を発しつつ、リーマン・ショックを予測した(『帝国以後』)。そして、そのトッドは、新自由主義的な過度な自由貿易を廃止、協調的保護主義を標榜する。となると関税ゼロのTPPなどもってのほかということになる。日本でも、地方をくまなく回った藻谷浩介(日本開発銀行)が、やはり生産年齢人口減が日本のデフレの原因だとし、そのものずばりの『デフレの正体』を書き、45万部も読まれている。

 2人のアプローチは経済学の理論からはでてこないが、単純明快に人口の変化という一つの事象から経済の動きを説明しており、非常に分かりやすい。藻谷の理論からしても、トッドと同じでTPPに入っても日本の経済には何の得にもならないことになり、むしろ内需を拡大するためにも食料安全保障のためにも、農業をしっかり守らなければならないと主張する。
 藻谷は、日本を輸出ばかり(食い過ぎ)して内需をないがしろにする(運動しない)海外資産大国(メタボ国)と指摘する。輸出をしては貯め込んだお金を外国、しかもギリシャのような危うい国でなく、金利は安いけれども堅実な、米英仏独等の国債を買っているので、毎年の金利の収入(すなわち経常収支)が10兆円を超えており、日本は相変わらず稼ぎすぎということになる。このため、円高となり輸出をいくらしても儲けられなくなっているのが、今の日本なのだ。うがった見方をすれば、TPPは輸出促進ではなく、むしろ貯まったお金を使って輸入することが目的ということになりかねない。するとまた安い外国製品により更なるデフレが続くことになる。この悪循環を断つために、政府は思い切った内需振興、すなわち地方への投資が必要となる。TPPなどにかまけている暇はないのだ。