« 北信タイムス2012年新年号寄稿 -12.1.4- | メイン | 人口移動から日本経済を見る 長野建設新聞2012年新年号寄稿 -12.1.4- »

21世紀の日本には生産年齢人口減に合わせた社会・政策が必要 長野経済新聞2012年1月5日寄稿 -12.1.4-

 日本の景気は悪いままである。景気をよくするためにいろいろな方策があると思われるが、衝撃的な本が出て相当読まれた。藻谷浩介の「デフレの正体」という本である。結論は、日本の景気が悪くなったのは、生産年齢人口(15歳~65歳までの間)が減っているからであり、日本のお金があまりお金を使わない高齢者にばかし行ってしまっていることが原因であると結論付けている。つまり内需が足りないということだ。そういうことからすると、TPPに入り、海外に輸出をしていくというようなことは、全く何の意味もないことになる。これについては野口悠紀雄も、同じように製造業がTPPに入ったからといって、輸出を伸ばし成長していくというのは幻想である、と断言している。

 また、松原隆一郎は、日本の輸出企業は輸出したところで企業内にお金を溜め込み、研究開発投資もしないし、従業員の給料も上げないので、内需は少しも拡大しない。投資先は、金利の高いアメリカの国債等に向き、外国資産が250兆円を超える世界一の大金持ち国になってしまっている。これがために、日本はいくら輸出拡大しても、更なる円高を招くだけで、TPPによる日本経済の活性化は全くならない、と断じている。
 一方、高齢化社会というと、田舎のことばかりが問題になっていたが、今度は大都会の一挙に訪れる高齢化社会が大変なことになる。また隣の中国も既に少子化が進み、2014年を契機に人口が減少していくという。となると、今後は、インドとアフリカぐらいしか人口は増えず、今後経済成長を見込めるところはほとんどないことになる。
 これらを総合すると、日本は、団塊の世代がほとんど退職年齢を迎えていることから、生産年齢人口が少ないことを前提とした大政策転換をしていかねばならないとことになる。
 短期的な政策としては、お金持ちの高齢者にお金を使ってもらう術を考えないとならないが、これは政策ではなかなかむずかしい。理屈でいうと贈与税をなくし、生きている間にどんどん子供にお金を渡してもらうのも一つの方法だが、勤勉で貯蓄好きの日本人ではそううまく行くまい。
 今後は低成長の時代が続くことを覚悟し、個々人がそれに合わせた生き方をしないとならない。