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力を入れすぎる消費増税 ―もっと丁寧な手法が必要― -2012.3.8

 野田内閣は12月から消費増税一点張りである。確かに財政再建は重要課題であるが、ちょっと度が過ぎる気がする。もし、この一点に集中するなら、それも仕方ないと思われるが、何も言ってなかったTPPまでつんのめりで突き進んでいるのは、どうしても腑に落ちない。

<行政改革は付け焼刃>
 「社会保障と税の一体改革」の議論が始まり、歳出削減のための行政改革が進んでいないと指摘されると、慌てて12月14日になって行政改革調査会(岡田克也会長)を設置している。岡田会長は、出席者が少ないのは、消費増税に反対のための口実に使っているだけだからだ、と発言した。誰が、年末になって付け焼刃でできた調査会に出席するか考えたらよい。得意の突貫工事なのは見え見えであり、かつ解散風を総理自らに吹かされたら、一期生議員など東京に居られたものではない。消費増税を是非成し遂げたいというなら、政権の座に就いた直後から取り組むべきはTPPなどではなく、公務員給与の削減、国会議員定数の削減等の行政改革であった。それをTPPに1ヵ月半近く費やした。やることがチグハグなのだ。

<見苦しい泥縄式行政調査会長人事>
 年明けに2回閣僚入れ替えがあった。岡田会長が副総理として内閣入りし、社会保障と税の一体改革等に全面的に取り組むことになった。また、平野前国対委員長が文部科学大臣となり、中川正春文部科学大臣が閣内から去り、行政改革調査会長に就任した。ところが復興庁の発足とともに、防災担当相に就任してしまい3人目は中野寛成会長となった。この泥縄式人事にも、いかに行き当たりばったりであるかが如実に表れている。こうしたことは世間一般にも知られてしまう。それよりも何よりも党内のやろうという気持ちがガタガタと崩れていく。ところが、何事も強引に物事を進めようとする民主党幹部は、このことに気づいていない。

<舞い上がりすぎる消費税だけの特別扱い>
 消費税を歴史に残る大事業だと舞い上がっている人たちがいるが、私はこうした仰々しいやり方こそ良くないと考えている。
 税はどこでも大事な政治課題である。今年はアメリカ、フランス、韓国で大統領選があり、今日(3月4日)はロシアでも大統領選が行われている。3月6日はアメリカ大統領がほぼ決まるスーパーチューズディである。フランスでは社会党のオランド候補が現在の富裕層の所得税率は年収7万ユーロ(約760万円)以上で41%が最高税率だが、新たに100万ユーロ(約1億800万円)以上を対象とした75%の最高税率を設ける方針である。それに対してサルコジ大統領は、付加価値税を現行の19.6%から21.2%に上げる考えである。つまり直接税(所得税)と付加価値税(間接税)を同じに扱い、後者だけを特別扱いなどしていない。税収源としては同じなのだ。

<所得税の累進課税も必要>
 だとすると、税収を上げるのに消費税にだけこだわるのは何か偏っていると言わざるを得ない。企業が海外に進出してしまうのを抑えるために、法人税を下げているというが、企業が海外進出する1番目の理由は人件費の格差である。2番目は消費地に近いからである。法人税は6番目の理由でしかない。
 フランスでもアメリカでも格差が問題になっており、超富裕層への課税率を高めているが、日本ではそんな気配がみられない。かつて一億総中流社会といわれた日本にも、諸々の格差が生じている。日本の所得税は年収1800万円以上が40%で上限となっているが、1974年はもっと細かい所得に分かれ、8000万円以上は75%の高率だった。あまり言いたくないが、日産のゴーン社長の年間所得は8億9000万円、ソニーのストリンガー社長は8億1650万円であり、対象額が少ないとはいえ、こちらを上げないのは不公平である。
 法人税を下げ、所得税の累進課税率を上げずにいて、一般庶民がくまなく払う消費税だけを狙い撃ちするのは、やはり片手落ちである。
 それに国民にはあまり知らされていないが、ほとんどの国は、食料とか書物、新聞等の必需品には軽減税率が適用されている。こうした議論も当然あったが、財務省の口車に乗り、一律が一番簡素で良いとの一点張りで、例外が認められていない。要するにここでも配慮が足りないのだ。

<民主党の8割が反対のTPPを進める矛盾>
 消費増税は大半の民主党員は納得しているが、TPPは反対の方がずっと多い。そして、手続き的には東日本大震災で完全に死んでいたものである。「書いてもいない」し、「言ってもいない」TPPを突然やると言い出した。かつ、党の意見を聞くと言っておきながら、党の8割が出した「慎重に対応すべし」という結論を尊重している気配は感じられない。
 ところが、消費増税に反対する小沢元代表に対し、岡田副総理と仙谷政調会長代行は揃って、党内で議論して決めたことだから従うべきであると主張している。野田総理も自分の可愛い消費税については党首討論で51対49の党内世論でも、手続きを踏んで決めたら、みんなで頑張っていく、と都合のいいことを言っている。それなのに、党の8割以上によって出された結論を無視して、前のめりの外交交渉を続けている。国内でも共同通信主催のシンポジウムに古川国家戦略担当相等の閣僚までが出席し、TPPの都合のいい部分だけをPRして歩いている。言っていることとやっていることが、ここでも大きく違う。

<強引な党運営に嫌気をさして離党>
 斉藤恭紀と中後淳は経済連携PTに毎度出席し、TPPに反対の意見を整然と述べていた。それが、その後の野田総理の記者会見と消費増税の強引な進め方に嫌気がさして離党したのである。民主党幹部は、党内議論が無視されていることに失望している議員が多いことにまだ気づいていないのである。それを岡田副総理は、「会合に出て発言をしていない」と言い、野田総理は「選挙応援に行ってやったのに絆が足りなかった」などと冷たいことを言っている。自らの政権運営、党運営の拙さを棚に上げ、反省の色がない。

<もっと丁寧な政治手法が必要>
 もっと粛々と正直にやればいいものを、自分たちが騒ぎを大きくしてしまい反感を買っている。いくら不退転の決意ばかりを強調しても、傍から見ると空回りばかりで、党内からも国民からも賛同は得られまい。もっと謙虚に、いってみれば竹下登流にやらないといけない。
 消費増税は、全く「理」も「利」もないTPPをやめ、脱原発の道筋を示してから手をつけるべきことである。何よりも東日本大震災後の福島原発事故からの復旧が最優先課題である。本当はそれ以外に手を広げている余裕などない。一内閣一仕事なのに、野田総理は多弁を弄し、欲張りすぎである。