« 2012年2月 | メイン | 2012年4月 »

2012年3月28日

篠原孝著「TPPはいらない!-グローバリゼーションからジャパナイゼーションへ」出版のご案内

 2010年秋の管総理の所信表明演説に突然飛び出し大混乱を招き、2011年秋には野田総理が参加に向けて強引に身を乗り出した「TPP」。
 篠原代議士は、当初から慎重にあるべきと繰り返し主張し続け、その動向を追うとともに研究を重ねて来ました。そのエッセンスは、当HPでも数回に分けて掲載してまいりましたが、今回、その内容を本にまとめ、3月末日に日本評論社より出版される運びとなりました。
 TPPの危険性と日本の将来を考える一冊です。是非ご一読いただければと思います。

3月末日発売

 著 名:
TPPはいらない!
-グローバリゼーションからジャパナイゼーションへ-

TPPはいらない!表紙.jpg 出版社:日本評論社 価 格:1,600円+税

※ 現在 アマゾンがご予約を受け付けを開始しています 

尚、2冊以上の複数冊のまとめてご入用な方は、是非、こちらの直接注文FAX用紙をご利用ください

日本は核燃サイクルをやめ朝鮮半島の非核化に貢献-12.03.28-

<隣国韓国の引き続く混乱>
 日本は、太平を謳歌しているが、周辺諸国は必ずしもそうではない。韓国は前々から述べているが、与党ハンナラ党は強行採決したものの、韓米FTAがとんでもない協定であることがわかり、国民の猛反発に合ってしまった。その結果、今やハンナラ党の皆さんも賛成のうえ再交渉の決議をし、ハンナラ党は哀れ名前をセヌリ党と変えざるを得なくなっている。4月11日の総選挙に向け、各党がしのぎを削っている。今のところではハンナラ党は名前を変えて再スタートをして若干支持率を回復させたものの、野党の民主統合党と鍔(つば)競り合いを続けており、与野党逆転の可能性が高いと予想されている。

<米朝合意直後の北朝鮮のロケット打ち上げ>
 そうした折、韓国の大混乱を見透かしたかのように3月16日12時 北朝鮮は朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマンを通じて、突然衛星(ロケット)を発射すると言ってきた。タイミングとしては非常に疑問の多いタイミングである。例によって、長距離弾道ミサイルの試射を衛星の打ち上げと言いくるめている。なぜかというと、米朝がひそかに交渉をして、食料不足に悩む北朝鮮に対して、アメリカが食料援助するということが決まったところだった。そして、見返りにIAEAの核査察を受け入れるということになっていた矢先のことである。つまり、金正日から金正恩への交替のドタバタで膠着状態だった6者協議に向けて、少しは展望が開けてきたかに見えたところだった。

<4月15日前後は絶妙のタイミング>
 日本では原発TPPが問題になっているが、韓国ではそれがらみで釜山の古里原発の事故隠しが明らかになり、日本同様に問題になっている。北朝鮮では核兵器の問題が国際的には大きくなっている。
 今度発射される「光明星3号」は地球観測衛星として、運搬ロケット「銀河3号」により、南側方向に打ち上げられることになっている。今までテポドンは全て東に向けられていたが、南に向けるのは初めてである。期間は4月12日から16日の間である。この期間もよく考えられたものだ。なぜかというと、まず4月15日は、なかば神格化された金日成元主席の生誕100周年であり、一大行事が予定されている。それを祝う形でもある。次に光明星というのは金正日の別名であり、亡き父親への敬意を表する意味もあるという。

<無法国家が少しましになって事前通告>
 先刻の4月11日の韓国の総選挙の翌日、北朝鮮との融和路線をとる民主統合党の勝利を予測して、その後に打ち上げるという計算も働く。
 北朝鮮は無法国家と言われているけれども、それでも昔と比べると徐々に国際的なルールを守るようになっている。1992年、1998年、2006年とロケットを打ち上げたが、何の通告もなく打ち上げている。これが、IMO(国際海事機関)、ICAO(国際民間航空機関)から、ルール違反だと批判され、2009年に初めて事前に通告してからロケットを発射している。今回も同じようにロケットの発射を予告してきた。金正恩はいろいろ取り沙汰されているが、若いころスイスに留学していたとことが明らかになっており、前の指導者に比べて、国際的な感覚があると言われている。したがってこの無謀なことを突然やめるということもあるかもしれないけれども、おじいさんの金日成の生誕100周年という大行事、父親に敬意を表するためのロケット打ち上げということで、多分ストップせずに行くのではないかと思われている。こうしたおり、4月14日予定していた桜を観る会が突然中止された。昨年は東日本大震災で中止になり、2年連続のことだ。楽しみにしていた者も多いのに残念である。

<各国の厳しい批判>
 当然このようなことは、国際的にもルール違反であり、かなり強い調子で各国とも批判声明を出している。中国も、普段は北朝鮮に非常に遠慮しているが、北朝鮮の宣言した4月中旬の衛星発射については、「関心と憂慮」を表明している。「憂慮」などという言葉はあまり普段は使わないということである。アメリカも言ってみれば、相当怒っている。このようなことをするのは極めて挑戦的である。国連安保理決議案第1718号及び1874号、これは北朝鮮に対して弾道ミサイル技術を用いたいかなる発射の実施を禁ずる決議であるけれども、この二つの決議に明確に違反すると述べている。それから食料援助というのも意識して、この長距離ミサイル発射は北朝鮮の最近の約束と相いれないということで、暗に食料支援と絡めて批判している。もちろん韓国はカンカンである。ロシアも深刻な懸念を呼び起こすと強く警告しており、国連事務総長も批判している。各国とも素早い対応であり、相当厳しい口ぶりである。

<北朝鮮のいつもの知らばっくれ振り>
 それに対して、北朝鮮側もしたたかである。日本、アメリカ、韓国がミサイル発射を国連安保決議違反としていることには、「反共和国圧殺政策の典型的な表れであり、我々の平和的な宇宙利用権利を否定して自主権を侵害する卑劣な行為だ」といった非難をしている。また、北京訪問中の李容浩外務次官(北朝鮮の6カ国協議首席代表を務める)は、2月のアメリカとの合意を履行するためIAEAに監視委員を派遣するよう要請したことを明らかにした。一方で、ロケット打ち上げについては、最近あった米朝合意とは別の問題であると、アメリカは合意破棄に警告を発している。硬軟織り混ぜた外交は日本の外交と比べしたたかである。ロケット打ち上げは平和的な宇宙開発の内紛と従来の北朝鮮の見解をそのまま主張している。
 今のところ落下地点は、日本の石垣島の上を通過して、フィリピンの近所ということになっている。北朝鮮は着々と軍事国家になろうとしており、徐々にロケットの射程距離を伸ばしている。今回は前回と比べ、更に2000キロほど長い距離に飛ばすことが出来、ハワイやインドネシアにも到達する距離を目指しているといわれている。

<核兵器もミサイルも造ろうとしている危険な北朝鮮>
 かつてイラク、今イラン、そして北朝鮮は昔も今もずっと問題にされているのは、原発から原爆すなわち核兵器を造ることである。そして、不拡散防止条約により、米ロ中英仏の5ヶ国しか核兵器を持てないことになっている。いわゆる「核のアパルトメイト」と呼ばれ、核兵器を持ちたい他の国からはクレームを付けられている。そうした中、日本は世界で唯一、使用済核燃料からウラン濃縮を許されている。韓国等が同じ権利を認めろと主張し出している。
 アメリカがいう「ならず者国家」イラン、北朝鮮は危うい国なので、原発施設を先制攻撃して破壊してしまおうという考えもあり、現にイスラエルは1981年イラク、2007年にシリアの核関連施設を空爆で破壊している。北朝鮮は核兵器のみならず、それを運ぶミサイルを開発しているのだ。日本もこれを止めさせる動きに積極的に関与していかなければならない。

<核燃サイクルを捨て身ぎれいにして北朝鮮に対峙>
 ところが、日本は北朝鮮問題については、拉致被害者のことしか念頭にはなく、こういった事ではほとんどアメリカに任せきりであるが、そろそろもう少し朝鮮半島全体の平和のために意を向いていかなければならない時期に来ているのではないかと思う。つまり消費増税に血眼になり、何の哲学もなくTPPへ前のめり外交などしている余裕はないということだ。詳細は省くが、日本は「潜在的核保有国」の地位に固執し、プルサーマル、もんじゅとつながる核燃料サイクルを捨てないでいる。これでは、北朝鮮にウラン濃縮を思い止まらせるのに迫力が欠ける。この際、ウラン濃縮もやめることを宣言し、正々堂々と核根絶に向けて主張していくべきではないか。

2012年3月 9日

TPP交渉参加を絶対阻止するための街頭演説会・デモ行進・国際シンポジウムについて-お知らせ-

PP交渉参加を絶対阻止するための
街頭演説会・デモ行進・国際シンポジウム
~ STOP TPP!! ~

目的
日本政府はTPP参加各国との事前協議を進めております。野田総理は、「TPP参加各国が、日本に求めるものについて情報収集を行い、国内的議論を経て、交渉参加表明をするかどうかの結論を得ていく」と国内外に発信しております。ところが、実際にはほとんど情報が公開されていないのが現状です。
そこで、3月12日にニュージーランド・米国・韓国から国会議員・学識者・市民団体をお招きし、国際シンポジウムを行います。TPP交渉への参加は、日本の将来を決定的に左右するものであり、参加表明前に徹底的な国民的議論が必要です。
国際シンポジウムに先立ちTPP参加に反対する国会議員・学識者・市民団体・ジャーナリストなどの有志による街頭演説とデモ行進を行います。奮ってご参加ください。

1.街頭演説会
開催日時  平成24年3月12日(月) 12:00~13:00
開催場所  有楽町イトシア前
弁士  日本・韓国・ニュージランド国会議員と学識者、米国市民団体、
カレル・ヴァン・ウォルフレン他著名ジャーナリストを予定
広報手段 主としてSNS,facebook,twitterや個人のブログ・掲示板などネットを利用して広く国民に知らせる(各位 大拡散をお願いします)
※終了後、日比谷公園に移動し、デモ行進実施

2.デモ行進
日程 13:15~ 日比谷公園霞門前に集合
ルート 日比谷公園(13:30霞門を出発)→霞ヶ関1→霞ヶ関2→財務省上→  官邸前→衆議院議員面会所(請願提出)→麹町中学校前(14:30解散)

3.国際シンポジウム
開催日時  平成24年3月12日(月) 15:00~17:30
開催場所  砂防会館 千代田区平河町2-7-1


主催:TPPを考える国際シンポジウム実行委員会(山本:TEL03-3288-1154)

2012年3月 8日

力を入れすぎる消費増税 ―もっと丁寧な手法が必要― -2012.3.8

 野田内閣は12月から消費増税一点張りである。確かに財政再建は重要課題であるが、ちょっと度が過ぎる気がする。もし、この一点に集中するなら、それも仕方ないと思われるが、何も言ってなかったTPPまでつんのめりで突き進んでいるのは、どうしても腑に落ちない。

<行政改革は付け焼刃>
 「社会保障と税の一体改革」の議論が始まり、歳出削減のための行政改革が進んでいないと指摘されると、慌てて12月14日になって行政改革調査会(岡田克也会長)を設置している。岡田会長は、出席者が少ないのは、消費増税に反対のための口実に使っているだけだからだ、と発言した。誰が、年末になって付け焼刃でできた調査会に出席するか考えたらよい。得意の突貫工事なのは見え見えであり、かつ解散風を総理自らに吹かされたら、一期生議員など東京に居られたものではない。消費増税を是非成し遂げたいというなら、政権の座に就いた直後から取り組むべきはTPPなどではなく、公務員給与の削減、国会議員定数の削減等の行政改革であった。それをTPPに1ヵ月半近く費やした。やることがチグハグなのだ。

<見苦しい泥縄式行政調査会長人事>
 年明けに2回閣僚入れ替えがあった。岡田会長が副総理として内閣入りし、社会保障と税の一体改革等に全面的に取り組むことになった。また、平野前国対委員長が文部科学大臣となり、中川正春文部科学大臣が閣内から去り、行政改革調査会長に就任した。ところが復興庁の発足とともに、防災担当相に就任してしまい3人目は中野寛成会長となった。この泥縄式人事にも、いかに行き当たりばったりであるかが如実に表れている。こうしたことは世間一般にも知られてしまう。それよりも何よりも党内のやろうという気持ちがガタガタと崩れていく。ところが、何事も強引に物事を進めようとする民主党幹部は、このことに気づいていない。

<舞い上がりすぎる消費税だけの特別扱い>
 消費税を歴史に残る大事業だと舞い上がっている人たちがいるが、私はこうした仰々しいやり方こそ良くないと考えている。
 税はどこでも大事な政治課題である。今年はアメリカ、フランス、韓国で大統領選があり、今日(3月4日)はロシアでも大統領選が行われている。3月6日はアメリカ大統領がほぼ決まるスーパーチューズディである。フランスでは社会党のオランド候補が現在の富裕層の所得税率は年収7万ユーロ(約760万円)以上で41%が最高税率だが、新たに100万ユーロ(約1億800万円)以上を対象とした75%の最高税率を設ける方針である。それに対してサルコジ大統領は、付加価値税を現行の19.6%から21.2%に上げる考えである。つまり直接税(所得税)と付加価値税(間接税)を同じに扱い、後者だけを特別扱いなどしていない。税収源としては同じなのだ。

<所得税の累進課税も必要>
 だとすると、税収を上げるのに消費税にだけこだわるのは何か偏っていると言わざるを得ない。企業が海外に進出してしまうのを抑えるために、法人税を下げているというが、企業が海外進出する1番目の理由は人件費の格差である。2番目は消費地に近いからである。法人税は6番目の理由でしかない。
 フランスでもアメリカでも格差が問題になっており、超富裕層への課税率を高めているが、日本ではそんな気配がみられない。かつて一億総中流社会といわれた日本にも、諸々の格差が生じている。日本の所得税は年収1800万円以上が40%で上限となっているが、1974年はもっと細かい所得に分かれ、8000万円以上は75%の高率だった。あまり言いたくないが、日産のゴーン社長の年間所得は8億9000万円、ソニーのストリンガー社長は8億1650万円であり、対象額が少ないとはいえ、こちらを上げないのは不公平である。
 法人税を下げ、所得税の累進課税率を上げずにいて、一般庶民がくまなく払う消費税だけを狙い撃ちするのは、やはり片手落ちである。
 それに国民にはあまり知らされていないが、ほとんどの国は、食料とか書物、新聞等の必需品には軽減税率が適用されている。こうした議論も当然あったが、財務省の口車に乗り、一律が一番簡素で良いとの一点張りで、例外が認められていない。要するにここでも配慮が足りないのだ。

<民主党の8割が反対のTPPを進める矛盾>
 消費増税は大半の民主党員は納得しているが、TPPは反対の方がずっと多い。そして、手続き的には東日本大震災で完全に死んでいたものである。「書いてもいない」し、「言ってもいない」TPPを突然やると言い出した。かつ、党の意見を聞くと言っておきながら、党の8割が出した「慎重に対応すべし」という結論を尊重している気配は感じられない。
 ところが、消費増税に反対する小沢元代表に対し、岡田副総理と仙谷政調会長代行は揃って、党内で議論して決めたことだから従うべきであると主張している。野田総理も自分の可愛い消費税については党首討論で51対49の党内世論でも、手続きを踏んで決めたら、みんなで頑張っていく、と都合のいいことを言っている。それなのに、党の8割以上によって出された結論を無視して、前のめりの外交交渉を続けている。国内でも共同通信主催のシンポジウムに古川国家戦略担当相等の閣僚までが出席し、TPPの都合のいい部分だけをPRして歩いている。言っていることとやっていることが、ここでも大きく違う。

<強引な党運営に嫌気をさして離党>
 斉藤恭紀と中後淳は経済連携PTに毎度出席し、TPPに反対の意見を整然と述べていた。それが、その後の野田総理の記者会見と消費増税の強引な進め方に嫌気がさして離党したのである。民主党幹部は、党内議論が無視されていることに失望している議員が多いことにまだ気づいていないのである。それを岡田副総理は、「会合に出て発言をしていない」と言い、野田総理は「選挙応援に行ってやったのに絆が足りなかった」などと冷たいことを言っている。自らの政権運営、党運営の拙さを棚に上げ、反省の色がない。

<もっと丁寧な政治手法が必要>
 もっと粛々と正直にやればいいものを、自分たちが騒ぎを大きくしてしまい反感を買っている。いくら不退転の決意ばかりを強調しても、傍から見ると空回りばかりで、党内からも国民からも賛同は得られまい。もっと謙虚に、いってみれば竹下登流にやらないといけない。
 消費増税は、全く「理」も「利」もないTPPをやめ、脱原発の道筋を示してから手をつけるべきことである。何よりも東日本大震災後の福島原発事故からの復旧が最優先課題である。本当はそれ以外に手を広げている余裕などない。一内閣一仕事なのに、野田総理は多弁を弄し、欲張りすぎである。

2012年3月 6日

韓国出張報告(詳細版PDF)の掲載-12.03.6-

 先般「TPPを慎重に考える会」韓米FTAの現状視察報告の簡易版を掲載したところ、詳細な報告を参考にしたいとのご要請がありました。当日の議事録をとりまとめましたので、最終報告書のPDFファイルを掲載いたします。

「TPPを慎重に考える会」韓米FTA反対運動視察韓国出張報告書

 

 1  |  2  | All pages