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消費増税法案採決に棄権した理由-2012.6.27

 私のメルマガ・ブログの読者にあえて説明するまでもないが、政治ニュースには「政局」と「政策」がある。本来、政治家の仕事は「政策」作りである。国民が求めているのも「政策」である。それが、このところ「政局」ばかりが取り上げられ、「政策」が留守になっている。私は、折々に、民主党の党運営の拙さを見かねて、いろいろな提言をしてきたが、いわゆる政局にかかわったのは、去年の夏、鹿野農水大臣を押しての代表選が初めてである。この時も、親小沢・反小沢で割れた民主党をまとめることができる代表にしたいという思いでかかわっていた。そして、2回目が今回である。「政局」に振り回されず、政治家がちゃんと「政策」に専念できるように、そして、民主党が安定した政権になるために、今はやむなく「政局」活動にも奔走している。今回は、私の社会保障と税関連法案についての考えには触れず、柄にもない政局に重点を絞って報告する。

<史上2番目の長時間審議>
 6月26日、本会議において、社会保障と税の一体改革関係法案が採決に付された。私は社会保障と税の一体改革特別委員会の委員で、120時間を超える議論にずっと委員の一人として参加してきた。この審議時間というのは1960年の日米安保条約の改定に次ぐ審議時間だそうだ。与党でもあり、私は訳ありの理由で委員になっている関係上、質問は1回1時間だけであった(6月5日)。与党になって初めての質問であり、それなりの質疑応答になったと思っている。この内容についてご関心のある方は、議事録を読んでもらうか衆議院のインターネット中継で見ていただきたい。

<政策の人が政局に奔走?>
 マスコミでは既に報道されている通り、57名が造反している。子ども園法案等は若干違うが、一番問題の消費税法案は16名が棄権している。そのうちの一人が私である。私は、前2回のメルマガ・ブログに書いた通り、党内の合意形成を公正に行い、党の分裂を避け、無用な解散総選挙に走るのを避けるため、両院議員総会の開催要請の署名(156人)をまとめ、党内融和に奔走してきた。世紀の大事業だなどと舞い上がるだけで、党内融和のために頭を下げることも汗をかくこともしない推進派執行部よりも、ずっと大汗をかき走り回ってきた。それにもかかわらず、57名もの造反を出してしまい、残念至極である。
 廊下で会った菅さんには「政策の人が政局の人になっている」と冷やかされた。

<両院議員総会開催要求>
  「民主党の『民主的合意形成』を実現する集い」そして、両院議員総会の開催要請とずっと同じ思いで行動してきたが、執行部は20日に両院議員懇談会(議決なし)を開くだけだった。そこで、次は無記名採決という正論を捨て、両院議員懇談会での鹿野さんの一任に対して、代表(総理)も幹事長も返答しなかったので、22日(金)にその場として両院議員総会開催を要請した。執行部は半分私の要請に乗る形で、26日(月)、両院議員総会の代わりに異例の臨時の緊急代議士会というのが開かれた。しかし、1時間ちょっとで終わってしまった。それでも私は諦めず、その夜、執行部が両院議員総会を開かなかったということについて詫び、今後民主党の政策決定プロセスをきちんと決めていくことを要請した。

<野党自民党のもっともな指摘>
 その前に、25日(月)のTV中継入りの委員会審議において、石原伸晃幹事長と伊吹文明自民党の筆頭理事から全く同じように、民主党の政策決定プロセスの問題点が指摘された「自民党は18日に既に両院議員総会を開いているし、公明党も開いている。与党民主党だけがなぜかしら両院議員総会を開かず、両院議員懇談会なり代議士会でお茶を濁している。なんという無責任な事か」と問いただされた。野田総理が「政府・与党三役の会合で了解されており、そこが決定したことから党議拘束をかける」と答弁した。それに対し、伊吹さんは「執行部が入っているようなところが、議決機関になるか、党大会に次ぐ議決機関は両院議員総会であり、今日(25日)開くべきである」と指摘した。とうとう野党から手続きの不備を指摘されてしまった。

<舌足らずの樽床幹事長代行発言>
 私の最後のギリギリ要求に応えて、26日(火)の本会議直前の代議士会で樽床幹事長代行が、抽象的に将来の課題として、民主党の政策決定システムを考えていかなければいけないので皆さんのご協力を、という発言をしてくれた。しかし、肝腎の両院議員総会を開催しない重大な瑕疵には触れられず、お詫びもなかった。細川律夫代議士会会長がそれで終わろうとしたので、私が手を挙げて指名され発言した。その要旨をここに紹介しておく(予定外の発言で原稿もなく、完全には一致していないが、私の言いたかったこととして書き留める)。

<造反予備軍からの要請>
  「私は、社会保障と税の一体改革の委員であり、この法案の中身については反対するつもりはなく、午前中に行われた委員会では全て賛成している。しかし、皆さんご存じの通りずっと両院議員総会の開催を要請してきている。党内融和のためであり、昨日は石森さんも、両院議員総会を開いてきちんと意思決定をしてくれたらば賛成するとまで言っている。今でも数人の人たちが『造反しなくても済むように助けてくれ』と電話を掛けてきている。私の発言の背後には、156人の署名をしてくれた皆さんがいると思って聞いていただきたい。

<重大な党規約違反>
 一任の取り付け方についていろいろ取り沙汰されているが、それは解釈の違いであって、執行部の言うとおり一任されたとしても仕方ない面もある。しかし、3分の1を超える党所属国会議員の要請があった場合に招集しなければならない、という義務規定があるのに開かないのは信じがたい。小学校の児童会でも、中学の生徒会、市町村議会でも、取締役会でも株主総会でも、あり得ないことである。それを法律を作る立場の国会議員が、自ら作った党の規約違反をすることは私には考えられない。

<党規約違反で処分されるべきは執行部>
 私は党規約違反をして処分されたくないので、手続き上問題のあるこの法案には賛成しかねる。(笑) 皆様方もよくこのことを胸に収めて行動していただきたい。
 私は、党内融和のためにも、野田首相の政治生命をかける政策の実現のためにも、執行部の皆さんより汗をかいてきたと思っている。(わかっているという声援が飛び交う) 私の力不足で、両院議員総会が開催されなかった責任を痛感しており、とても法案に賛成しかねる。
 残念ながら、この採決は棄権させていただくことを皆様にお伝えして、私の発言を終わります。」

<ハプニング棄権宣言>
 この結果、よくわからないが、私の発言に気がついて、賛成しようと思っていた人が棄権した可能性もある。逆に反対しようと思っていた人が、私と同じ道があるかと棄権に変更した人があるかもしれない。16名の棄権者の中には、私とずっと脱原発や反TPPで行動を共にしてきた、多くの同志が名を連ねている。
 私は棄権は本意ではなかった。その証拠に委員会では賛成している。樽床幹事長代行がきちんと両院議員総会を開催しなかったことを詫びてくれていたら何も起こらなかった。樽床さんは私の顔を見ながら発言してくれており、誠意ある発言だったが、優しさとアバウトな性格が出たのだろう、皆には伝わらなかった。だから、予定外の私の発言、そして棄権となってしまった。私と同じように最後まで悩んで賛成・反対を決めた人が多いに違いない。

<両院議員総会で避けられていた大量造反>
 山田正彦、川内博史、石森久嗣の3議員は、議論の場やTV番組等で正式な党の手続きで決定されれば賛成する、と公言している。名は伏すが、私に個別に同じことを言ってきた人も数人いる。今回は、社会保障改革は捨て置いて、消費増税だけを先行する法案の内容に反対する者だけでなく、執行部の強引な手法にも反発が高まっていた。
 しかし、民主主義の基本は多数決であり、きちんと決まったことは皆で守っていくのは小学生でも知っている。政権与党の政党人として賛成するのが当然である。従って、両院議員総会を開いていたら57人の造反と16人の棄権は、半分はおろか20人を割っていた可能性がある。少なくとも上記3人と私は名を連ねることはない。その意味でも、大量造反、棄権の責任の大半は、野田政権の執行部の政策決定の強引さ不透明さにある。
 私の18日の提案どおり、党の正式な議決機関を経て決めたことに反対した者は厳重に処分するのが筋道である。

<党分裂を防ぐ>
 ただこの後何をするか。総理は57名の「厳正な処分」とTVで発言しているが、私は、まず第一に、党を割らなくていいような処分にとどめ置くことと、第二に、反対をし離党をせんとする人たちを押しとどめること、この二つに全力をあげたいと思っている。後者については、私自身が法案に反対はしなかったが、棄権という、危険な道を選択したのであり、反対した人たちと同じような気持ちでいることがわかって頂ける分、他の人たちよりも私の説得を聞いてくれるであろう。国民との約束であるマニフェストの実行を真剣に考えたまじめな人たちの離党を何としても食い止めなければならない。国民や民主党に投票してくれた有権者への造反者は、むしろこの法案の賛成者であることを忘れてはならない。

<有為な人材の流出を止める>
 山田正彦、川内博史、小林興起、大谷啓、京野公子、三宅雪子、福島伸亨、平智之、初鹿明博等といったTPP反対や脱原発の同志がこぞって造反している。彼らが去った民主党は空洞化し、暴走がますますひどくなってしまう。民主党をまともな姿に戻すために不可欠の人材である。
 よくこういった国会の動きをご承知でない人たちには、非常に分かりにくいことかもしれないけれども、私は今回も、党内を分裂させないために、活動しやすいポジションを造ったつもりである。明日以降数日が勝負どころではないかと思っている。そして、27日夜、失いたくない同志に離党は思い留まってくれるように電話を掛けまくっている。
 自民党の谷垣総裁は処分を厳正にしなければ、参議院の審議に応じられないと言っている。そのようなことに惑わされることなく、我が党の事は我が党で決めていけばいいのであり、粛々と事を進める以外にない。