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2012年6月27日

消費増税法案採決に棄権した理由-2012.6.27

 私のメルマガ・ブログの読者にあえて説明するまでもないが、政治ニュースには「政局」と「政策」がある。本来、政治家の仕事は「政策」作りである。国民が求めているのも「政策」である。それが、このところ「政局」ばかりが取り上げられ、「政策」が留守になっている。私は、折々に、民主党の党運営の拙さを見かねて、いろいろな提言をしてきたが、いわゆる政局にかかわったのは、去年の夏、鹿野農水大臣を押しての代表選が初めてである。この時も、親小沢・反小沢で割れた民主党をまとめることができる代表にしたいという思いでかかわっていた。そして、2回目が今回である。「政局」に振り回されず、政治家がちゃんと「政策」に専念できるように、そして、民主党が安定した政権になるために、今はやむなく「政局」活動にも奔走している。今回は、私の社会保障と税関連法案についての考えには触れず、柄にもない政局に重点を絞って報告する。

<史上2番目の長時間審議>
 6月26日、本会議において、社会保障と税の一体改革関係法案が採決に付された。私は社会保障と税の一体改革特別委員会の委員で、120時間を超える議論にずっと委員の一人として参加してきた。この審議時間というのは1960年の日米安保条約の改定に次ぐ審議時間だそうだ。与党でもあり、私は訳ありの理由で委員になっている関係上、質問は1回1時間だけであった(6月5日)。与党になって初めての質問であり、それなりの質疑応答になったと思っている。この内容についてご関心のある方は、議事録を読んでもらうか衆議院のインターネット中継で見ていただきたい。

<政策の人が政局に奔走?>
 マスコミでは既に報道されている通り、57名が造反している。子ども園法案等は若干違うが、一番問題の消費税法案は16名が棄権している。そのうちの一人が私である。私は、前2回のメルマガ・ブログに書いた通り、党内の合意形成を公正に行い、党の分裂を避け、無用な解散総選挙に走るのを避けるため、両院議員総会の開催要請の署名(156人)をまとめ、党内融和に奔走してきた。世紀の大事業だなどと舞い上がるだけで、党内融和のために頭を下げることも汗をかくこともしない推進派執行部よりも、ずっと大汗をかき走り回ってきた。それにもかかわらず、57名もの造反を出してしまい、残念至極である。
 廊下で会った菅さんには「政策の人が政局の人になっている」と冷やかされた。

<両院議員総会開催要求>
  「民主党の『民主的合意形成』を実現する集い」そして、両院議員総会の開催要請とずっと同じ思いで行動してきたが、執行部は20日に両院議員懇談会(議決なし)を開くだけだった。そこで、次は無記名採決という正論を捨て、両院議員懇談会での鹿野さんの一任に対して、代表(総理)も幹事長も返答しなかったので、22日(金)にその場として両院議員総会開催を要請した。執行部は半分私の要請に乗る形で、26日(月)、両院議員総会の代わりに異例の臨時の緊急代議士会というのが開かれた。しかし、1時間ちょっとで終わってしまった。それでも私は諦めず、その夜、執行部が両院議員総会を開かなかったということについて詫び、今後民主党の政策決定プロセスをきちんと決めていくことを要請した。

<野党自民党のもっともな指摘>
 その前に、25日(月)のTV中継入りの委員会審議において、石原伸晃幹事長と伊吹文明自民党の筆頭理事から全く同じように、民主党の政策決定プロセスの問題点が指摘された「自民党は18日に既に両院議員総会を開いているし、公明党も開いている。与党民主党だけがなぜかしら両院議員総会を開かず、両院議員懇談会なり代議士会でお茶を濁している。なんという無責任な事か」と問いただされた。野田総理が「政府・与党三役の会合で了解されており、そこが決定したことから党議拘束をかける」と答弁した。それに対し、伊吹さんは「執行部が入っているようなところが、議決機関になるか、党大会に次ぐ議決機関は両院議員総会であり、今日(25日)開くべきである」と指摘した。とうとう野党から手続きの不備を指摘されてしまった。

<舌足らずの樽床幹事長代行発言>
 私の最後のギリギリ要求に応えて、26日(火)の本会議直前の代議士会で樽床幹事長代行が、抽象的に将来の課題として、民主党の政策決定システムを考えていかなければいけないので皆さんのご協力を、という発言をしてくれた。しかし、肝腎の両院議員総会を開催しない重大な瑕疵には触れられず、お詫びもなかった。細川律夫代議士会会長がそれで終わろうとしたので、私が手を挙げて指名され発言した。その要旨をここに紹介しておく(予定外の発言で原稿もなく、完全には一致していないが、私の言いたかったこととして書き留める)。

<造反予備軍からの要請>
  「私は、社会保障と税の一体改革の委員であり、この法案の中身については反対するつもりはなく、午前中に行われた委員会では全て賛成している。しかし、皆さんご存じの通りずっと両院議員総会の開催を要請してきている。党内融和のためであり、昨日は石森さんも、両院議員総会を開いてきちんと意思決定をしてくれたらば賛成するとまで言っている。今でも数人の人たちが『造反しなくても済むように助けてくれ』と電話を掛けてきている。私の発言の背後には、156人の署名をしてくれた皆さんがいると思って聞いていただきたい。

<重大な党規約違反>
 一任の取り付け方についていろいろ取り沙汰されているが、それは解釈の違いであって、執行部の言うとおり一任されたとしても仕方ない面もある。しかし、3分の1を超える党所属国会議員の要請があった場合に招集しなければならない、という義務規定があるのに開かないのは信じがたい。小学校の児童会でも、中学の生徒会、市町村議会でも、取締役会でも株主総会でも、あり得ないことである。それを法律を作る立場の国会議員が、自ら作った党の規約違反をすることは私には考えられない。

<党規約違反で処分されるべきは執行部>
 私は党規約違反をして処分されたくないので、手続き上問題のあるこの法案には賛成しかねる。(笑) 皆様方もよくこのことを胸に収めて行動していただきたい。
 私は、党内融和のためにも、野田首相の政治生命をかける政策の実現のためにも、執行部の皆さんより汗をかいてきたと思っている。(わかっているという声援が飛び交う) 私の力不足で、両院議員総会が開催されなかった責任を痛感しており、とても法案に賛成しかねる。
 残念ながら、この採決は棄権させていただくことを皆様にお伝えして、私の発言を終わります。」

<ハプニング棄権宣言>
 この結果、よくわからないが、私の発言に気がついて、賛成しようと思っていた人が棄権した可能性もある。逆に反対しようと思っていた人が、私と同じ道があるかと棄権に変更した人があるかもしれない。16名の棄権者の中には、私とずっと脱原発や反TPPで行動を共にしてきた、多くの同志が名を連ねている。
 私は棄権は本意ではなかった。その証拠に委員会では賛成している。樽床幹事長代行がきちんと両院議員総会を開催しなかったことを詫びてくれていたら何も起こらなかった。樽床さんは私の顔を見ながら発言してくれており、誠意ある発言だったが、優しさとアバウトな性格が出たのだろう、皆には伝わらなかった。だから、予定外の私の発言、そして棄権となってしまった。私と同じように最後まで悩んで賛成・反対を決めた人が多いに違いない。

<両院議員総会で避けられていた大量造反>
 山田正彦、川内博史、石森久嗣の3議員は、議論の場やTV番組等で正式な党の手続きで決定されれば賛成する、と公言している。名は伏すが、私に個別に同じことを言ってきた人も数人いる。今回は、社会保障改革は捨て置いて、消費増税だけを先行する法案の内容に反対する者だけでなく、執行部の強引な手法にも反発が高まっていた。
 しかし、民主主義の基本は多数決であり、きちんと決まったことは皆で守っていくのは小学生でも知っている。政権与党の政党人として賛成するのが当然である。従って、両院議員総会を開いていたら57人の造反と16人の棄権は、半分はおろか20人を割っていた可能性がある。少なくとも上記3人と私は名を連ねることはない。その意味でも、大量造反、棄権の責任の大半は、野田政権の執行部の政策決定の強引さ不透明さにある。
 私の18日の提案どおり、党の正式な議決機関を経て決めたことに反対した者は厳重に処分するのが筋道である。

<党分裂を防ぐ>
 ただこの後何をするか。総理は57名の「厳正な処分」とTVで発言しているが、私は、まず第一に、党を割らなくていいような処分にとどめ置くことと、第二に、反対をし離党をせんとする人たちを押しとどめること、この二つに全力をあげたいと思っている。後者については、私自身が法案に反対はしなかったが、棄権という、危険な道を選択したのであり、反対した人たちと同じような気持ちでいることがわかって頂ける分、他の人たちよりも私の説得を聞いてくれるであろう。国民との約束であるマニフェストの実行を真剣に考えたまじめな人たちの離党を何としても食い止めなければならない。国民や民主党に投票してくれた有権者への造反者は、むしろこの法案の賛成者であることを忘れてはならない。

<有為な人材の流出を止める>
 山田正彦、川内博史、小林興起、大谷啓、京野公子、三宅雪子、福島伸亨、平智之、初鹿明博等といったTPP反対や脱原発の同志がこぞって造反している。彼らが去った民主党は空洞化し、暴走がますますひどくなってしまう。民主党をまともな姿に戻すために不可欠の人材である。
 よくこういった国会の動きをご承知でない人たちには、非常に分かりにくいことかもしれないけれども、私は今回も、党内を分裂させないために、活動しやすいポジションを造ったつもりである。明日以降数日が勝負どころではないかと思っている。そして、27日夜、失いたくない同志に離党は思い留まってくれるように電話を掛けまくっている。
 自民党の谷垣総裁は処分を厳正にしなければ、参議院の審議に応じられないと言っている。そのようなことに惑わされることなく、我が党の事は我が党で決めていけばいいのであり、粛々と事を進める以外にない。

2012年6月26日

民主党の憲法・「党規約」違反は許されず-2012.6.26

<両院議員総会開催要請>
 私は、今回の社保・税一体改革を巡る党内の対立・分裂騒ぎが予想されたので、党内融和を図るべく、布石を打ってきた。
 まず、いつも繰り返される野田執行部の強引な党運営での是正である。政府が党に何も諮らず(大飯原発再稼働)に、あるいは党内議論を無視(TPPの前のめり)で、非民主的なやり方が目立ったので、6月7日に「民主党の『民主的合意形成』を実現する集い」を呼びかけ人の一人として主催した。政局的な動きと誤解されるのを防ぐため、呼びかけ人を中間派だけにとどめ、小沢グループの方には遠慮してもらった。30人前後が12日の会合にも集い、総意として、きちんと両院議員総会を開催し、党の手続きを踏んだ上で本会議採決に臨むべしということで一致した。党規約第7条第6項に基づき、国会議員の3分の1以上の要請により「速やかに招集」しなければならないという義務規定があるからだ。

 署名は1日半で3分の1をはるかに凌ぐ156名も集まり、15日には、輿石幹事長と直嶋両院議員総会長に提出した。署名集めは、呼びかけ人の名を連ね、取りまとめは衆議院第1、第2、参議院会館の3人の事務所を書き込んでするのが普通だが、私一人の名前にした。前述のとおり、変な政局的動きと誤解されるのを避けるためのものであった。社保・税一体改革特別委に朝から晩まで出席しながらの作業であり、例によって2人の秘書ともども作業は深夜に及んだ。

<相次ぎ篠原案賛成発言>
 3月28日午前2時の前原政調会長の突然の議論打ち切りに象徴されるような、不透明な政策決定プロセスに疑問を持つ議員が多いのだろう。すぐに必要な署名が集まったが、私が直接依頼したケースも多い。嬉しいことに「他ならぬ篠原さんがやっていることだから」と署名してくれる同僚が何人もいた。
18日に前原政調会長も出席して東京プリンスホテルで開催された民主党の社保・税合同会議で、より具体的に「党代表選出と同じく、無記名投票で三党合意の是非を諮って、それを元に党議拘束をかけ、それでも造反する者には厳しい処分をする」ことを提案した。相当の方々の賛同を得、19日の2回目の合同会議、20日の両院議員懇談会でも、数多くの同僚議員から一番すっきりした手続きだと賛成意見が相次いだ。
 私の提案は、ずっと手続き問題を指摘して反対し続けてきた同僚議員の胸にストーンと落ちたようだ。そこまできちんとするなら造反とせず、多数決で決められた党の決定には従うというのだ。皆で一緒に行動していくためには、決めるまではいくら議論を重ねても民主的に決めた後は一致団結していくことが当然だからである。もっと言えば、振り上げたこぶしを下ろす途を作ることになる。現に数人の強硬な反対者から、私に直接、両院議員総会での採決の実現要請がきている。また逆に賛成する同僚議員も、すっきりさせるためにも採決し、その代り、造反者には厳しい処分をすべしと、割り切る者もいる。

<相変わらずの不透明な党運営>
 ところが、25日(月)午前、いまだ両院議員総会が開かれていない。午後、社保・税一体改革特別委員会の質問に立った伊吹文明さん(自)は、午前の石原伸晃幹事長と同様に「党の第2の議決機関、両院議員総会を開かないのはおかしい」と明確に指摘した。他党からみても、政権与党としての責任を果たしていないことは明々白々なのだ。
 私は、党の分裂などという愚かなことを絶対避けたいために汗をかいている。民主党衆議院議員308議席への期待に応えるには、民主党が一体となって政策を実行するしかない。それを内輪揉めしていては始まらない。
 修正協議に基づく民・自・公の三党合意は重要な政策変更であり、自民党は18日に総支部長(次期衆院選の立候補予定者)も加えて両院議員総会を開催し、公明党もとっくに開催して、党の態度を決めている。
 この点につき、20日の両院議員懇談会の場で、直嶋会長より政策問題は取り扱わないといった弁解が述べられる一方、樽床幹事長代行はとりあえず懇談会でという発言があった。また輿石幹事長から、議案の特定があれば開催に支障がない旨の発言もあった。まさに言訳でしかない。

(明白な党規約違反)
 党規約には3分の1以上の要請以外に、議題についての条件など何も規定されておらず、「速やかに招集」と規定されているだけである。このまま両院議員総会を開催しないのは党規約違反に当たる。つまり、民主党の「憲法」に違反しているのだ。
 今、民主党は結党以来の危急存亡のときを迎えている。このような時に当たり、当然開催されなければならない両院議員総会を開催することなく、衆議院本会議の採決を行うのは、政権与党として無責任極まりないことである。刑事裁判の世界で正当な手続きを経ずしては罰せられないのが典型だが、手続き上瑕疵があるものはどのこ社会でも認められない。
 まだ水面下で折衝中なので、詳細は明らかにできないが、問題にしているのは、与党民主党が自ら党規破りをして平然としていることである。

<正当な手続きのない決定は無効で賛成できず>
 私は、TPP、拙速な原発再稼働には絶対反対だが、消費増税はいつかは必要であり、また我々の選んだ総理が政治生命をかけるという政策であり、反対はしてきていない。
 ただ、私には、156名の署名をいただいたのに両院議員総会が実現していない、という責任が付きまとっている。最後の最後まで、この実現を追求中である。そして、この結果いかんによっては、私も賛成しかねることになるかもしれない。
 賛成・反対、造反・棄権(欠席)と民主党内は混乱しており、マスコミもそれを面白おかしく報道している。それぞれの側から説得が行われているというが、私にはどちら側からも何の接触もない。賛成側は、野田総理や岡田副総理も乗り出しているようだが、私にド正論を吐かれて都合悪くなるのを嫌がっているのだろうか。執行部よりも、私なり鹿野さんなりのほうが必死で汗をかいているような気がしてならない。

<自民党は推進論、民主党は反対ばかりの○○会合>
 めったに発言しない田中真紀子さんが、両院議員懇談会でいつもの眞紀子節を炸裂させた。その時に、ふと枕言葉で発言したのが、このサブタイトルである。これは自民党と民主党の政府・与党の関係の違いを如実に表している。つまり、自民党は、与党の意見を聞いて政策を実行しているのに対し、民主党は、政府がいきなり政策を打ち上げ(TPP、再稼働)、あとから党が気付いて反対せざるを得なくなるのだ。どちらがまともか明らかである。与党で議論することもなく、政府がやたら暴走しているのであり、民主党の政府・与党の関係がなっていないのだ。

<鹿野さんを担いだ理由と後の祭りの発言>
鹿野グループ(素交会)の中山義活幹事長は、「最近の流行語は中間派だ」と冗談を言った。確かに、私の一連の党内融和を図る活動も、中間派というレッテルを貼られて報道されている。昨年の秋の代表選時、自然発生的に鹿野道彦農林水産大臣を代表にしようと、政治のわかった何人かが集まった。いろいろな既存のグループから馳せ参じた。表面的な見方に偏りがちなマスコミは、年輩の議員が若手が代表(首相)になると働く場がなくなるから、一番年長の鹿野さんを担いだなどと愚かな解説をしていた。しかし、今の民主党の惨状をみて、我々が何を考えて鹿野さんを担ごうとしたのか、相当の同僚議員も国民も理解したのではないかと思う。
 他の方々もそうだと思うが、私が望んだのは、鹿野代表(総理)の下、反小沢・親小沢の対立の解消であり、安定した政権運営である。今、私のところに、「鹿野総理だったらTPPなんて葬り去られているし、再稼働もあんな荒っぽいことはないし、消費増税をこんなに急がず、手堅い政権運営だったですね」と後の祭りの話をしてくる同僚議員がいる。代表選で敗北した後、素交会というグループとして活動してきたのは、再び両方の対立する構造が生まれることを危惧し、その時は仲介に一働きしなければならないと考えたからである。できれば、素交会が、あるいは私が走り回らなくて済むことを望んだが、予想したとおりの事態が生じてしまった。他ならぬ鹿野さんが上着を脱いで誕生した野田内閣である。私も必死で支えているが、どうも、私の両院議員総会という助け舟も、今は功を奏していない。理解に苦しむばかりである。

<民主党の良心・中心派・素交会の存在意義>
 私は、中間派という名称は嫌である。あっち向いたりこっち向いたりするというイメージがある。しかし、我々は、民主党が政策実行しやすい環境を作るために下支えをする「良心派」であり、党の真ん中をいく「中心派」グループである。
 私や鹿野会長の汗が無駄にならず、党が一本にまとまっていくことを願っている。そして、そのために嫌われながらもしつこく活動を続けている。

2012年6月25日

台風直撃の日の民主党合同会議 ―社会保障と税の一体改革の大議論― 12.06.25

※ブログへの投稿が遅くなりましたが、6月19日の記事です。

<手順を間違う民主党>
(6/19)
 今、民主党は社会保障と税の一体改革で大揺れである。三党合意が成立したのに政権与党であるにもかかわらず、相変わらず手続きがなっておらず、昨日(6/18)の夜、社会保障と税の一体改革の合同会議が開かれたが、了承をとれなかった。自民党も公明党も修正協議の担当者は一任を取り付けてあったか、我が党はそういったことが出鱈目でウヤムヤなまま民主党の看板政策がズタズタにされたので昨日も大荒れに荒れた。

<党を割らず解散をしない>
 私が、どういう風な行動をしているかというと、「党を割らない」、「解散総選挙をしない」、このために奔走している。この点では輿石幹事長と同じである。TPPは大反対で「慎重に考える会副会長」として、『TPPはいらない!』(日本評論社)という本も書いた。原発についても『原発廃止で世代責任を果たす』(創森社)という本をまとめている。消費増税についてはおとなしくしていようと思ったが、そうはいかなくなってしまった。
 経緯を話していると長くなってしまうのでやめるが、私が呼びかけ人となって「民主党の『民主的合意形成』を実施する集い」を6/7に開催した。民主党はいつも手順を踏まずに、結論ありきの会合を開くだけだからだ。その中で私が中心となって両院議員総会の要請の署名をまとめることになり、156名(現在では165、6名になっている)の署名を添えて輿石幹事長と直嶋両院議員総会会長に届けている。
 先ほどの2つに加えて、輿石幹事長は「採決もさせない」も加え、3ナイ輿石とか言われているが、私は先の2つ、離党者を出すことを避け分裂を避け、そして解散総選挙などをしないということに全力を挙げており、出てきた解決方法は、党大会に次ぐ両院議員総会の開催である。その場で党の存立基盤を揺るがす大問題について、無記名投票により決め、その決定に従って全党員が行動するということである。
 いろいろこの背景を話していると長くなるが、私の発言した内容を復元する形で、どういうことを考えているかをこの際記しておきたい。

<民主党の看板公約・最低保障年金>
 民主党の社会保障政策、特に月7万円の最低保障年金は、党内で相当議論を重ね、マニフェストの看板公約として、政権交代の原動力となった。私が、民主党に参加したばかりのころ、菅直人代表が腕まくりをしながらこの議論をしていたことにビックリ仰天した。つまりそれくらい民主的な政党であった。だから付け焼刃の政策ではない。ところが残念ながらそれ以来9年経っているのに社会保障政策は、私がずっと手がけてきた農業者戸別所得補償などと比べると骨格の構築等が遅れ、政権交代後3年弱たったのにあまり進んでいない。この点批判されても仕方がない。
 菅内閣の下、社会保障と税の一体改革ということで、消費増税と一体になり推進されることとなった。

<消費増税だけが先行し忘れられる社会保障改革>
 高齢者の医療や年金といった、社会保障にお金がかかるから消費増税させてくれ、という考え方で始まったにもかかわらず、結果は無残である。消費増税ばかりが先行し、社会保障の新年金の制度は先送りとなってしまっている。もう一つマニフェストの看板だった後期高齢者医療制度の廃止と民主党の法案も出せなくなってしまった。これは明らかなマニフェスト違反であり国民に対して、いくら言っても言い訳できないことであろう。
 この変更は、昨年の12月29日、政調の下の同じ合同会議で、野田総理が出席して大演説をぶった時に露呈していた。野田総理は、もっぱら欧州の財政危機を例に挙げ、日本も財政再建をしなければならない、そのためにも消費増税による財政再建が必須だと言ったときに瓦解していた。社会保障の制度の確立ということが、ほとんど出てこなかったからである。本人は気付いていないが、社会保障が便法としてしか使われていないことが見え見えだった。

<ガス抜き、結論ありきの歪んだ手続き>
 3月の下旬、46時間議論したと言っているが、片山善博前総務大臣の指摘ではないが、民主党は議論をしていても、先に結論が決まって、やっているだけで民主的な決め方を全くしていない。手続きが拙速で強引なのだ。
 その代表例は、原発の再稼働である。総理以下関係3大臣で決めたというが、全国民の大顰蹙をかっている。この手続きが拙速な上に、仙谷政調会長代行が参加していることも完全な、ルール違反である。有権者は目が肥えており、細かいところまで見ていて「篠原さん、仙谷さん今何大臣なんだい?」と聞かれた。つまり、大臣ばかりいるところに仙谷さんがいるのがおかしいということである。
 TPPの件では、あまり問題にされていないが、閣議決定で11年6月に基本方針、10月に行動計画作成ということになっていた。その間に鋭意「食と農林水産業再生実現会議」を開いて決めていくということであったのにもかかわらず、10月25日に一挙に策定している。8月上旬に中間報告としてまとめたものを、そのままちょっと変えて11月13日、14日のAPECホノルル会合前にデッチ上げただけである。

<3代目の行政改革調査会長>
 この手順の出鱈目の極みが11年12月14日に突如出来上がった行政改革調査会であろう。消費増税の前にやることがあるというマニフェストを思い出し、公務員定数削減、議員定数の削減等を先にすべきということで始まったが、出席者も少なくほとんど進まなかった。
 当時の岡田会長が「社会保障と税の一体改革を進めるのに難癖をつけているだけだ、だから出席者が少ないのだ」といったことに私がかみつき、「年末に付け焼刃で設立、お仕着せの会合で結論を決めていくようなことに、なんでみんなが真面目に出てくるか」とクレームをつけた。
 岡田さんが年明けの改造で副総理になるや、文部科学大臣から閣外に去った中川正春さんが調査会長になり、2月の復興庁の出来たときにまた中川さんが防災担当大臣として戻るに及び、3人目の会長に中野寛成さんとなった。私が指摘したとおりのドタバタ手続きである。これがこのまま消費増税手続きにも受け継がれている。

<野党のままの党規約と組織>
 この元凶は民主党の中に政権与党としての政策決定手続きがきちんと決められていないことにある。野党最後岡田幹事長は、09年9月15日、「民主党の規約、組織は野党のものだったけれども、与党のものに改善していかなければならない。それは走りながら考える」といった。
 ところが、特に野田内閣になって走るばかり、いやTPP・原発・消費税と暴走するばかりで、与党としての意思決定ルールは全く構築されていない。すぐに政調を廃止1年後に政調を復活、国家戦略担当相兼任の政調会長を置き、3年目に、前原政調会長になってから政府・与党三役会議で大方の政策は決めるということになった。岡田さんは再び野党に転落した時は、再び野党幹事長としてゆっくり与党としての仕組みを考えるというのだろうか、と嫌味を言いたくなる。
 単なる法律の改正だったならばそれでいいが、民主党の存立基盤も揺るがすような大きな政策の変更は、とても政調会長の下の二つの合同会議では決めるべきものではない。いまのルールでは、両院議員総会しかない。

<両院議員総会で無記名投票で決着という篠原案>
 自民党は18日午前中に総支部長を加えた両院議員総会を開いている。その冒頭、茂木政調会長が「8割~9割自民党の要求が通った」と言い、「違う、9割5分だ!」というヤジも飛んだという。「地元でも、ほとんど自民党の言うとおりになり、民主党はマニフェストを撤回したと言っていい」という暴言までしている。公明党も、14日に両院合同議員団会議を開き、18日にも開いている。
 それを我が与党民主党は、わざわざ3分の1以上の署名を集めなければならないのは、執行部の怠慢以外の何物でもない。党規約の第7条6項には、「両院議員総会長はすみやかに開かなければならない」と規定されているにもかかわらず、開催の気配がみられない。
 私は、こうしたことから会合では具体的な提案として、三党合意については代表選と同じく「無記名投票」で採決し、その上で厳重な党議拘束をかけて本会議に臨むべきだという提案をした。

<これ以上分裂・離党者を出さないために>
 今問題になっているのは、一つは社会保障と税、税制の政策の問題、2つ目は手続きの問題、3番目に政局的なものがあると思う。しかし、今まで反対しようとしてきた人たちも大義名分を求めている。手続きさえちゃんとしたら賛成すると言っている人たちがいる。かなり強硬な意見を言ってきた人たちに確認したところ、手続きさえきちんとすれば、それをもって政党人だからそれに従うが、今まではあやふやな了承ばっかりで、執行部のいいなりの結論ばかりであったから賛成できなかっただけだと言っている。
 つまり、私のこの案は、まず決められない政治を決める政治にするということ。2つ目には、民主党のバラバラ感を払拭する。3つ目には、造反せざるをえないような立場になっている人たちに救いの手を差し伸べて、党の分裂を避け、離党者を出さないことだ。TPPの暴走で、斉藤恭紀さんと中後淳さん他が離党し、「きづな」を結成、その前に松木けんこうさん、石川知裕さん等「新党大地・新民主」に移っている。原発再稼働で、京大でも物理学を専攻した脱原発の同志、平智之さんが離党している。これ以上仲間を失いたくない。
この私の意図することが野田総理以下の気配りにかける民主党幹部の何人の人にわかっているかということが問題である。

<代表は1年、民主党はずっと長い>
 岡田副総理はまた余計なことを言い、「政策マターは両院議員総会のテーマではない」というようなことを言っているが、そんなことは党規約のどこにも書いていない。両院議員総会は党大会に続く議決機関であり、代表さえ選ばれる。代表は残念ながら1年ごとにほぼ変わっているが、それと比べたら民主党の危急存亡の時であり、社会保障という大政策も絡んで、どう民主党を持っていくべきかという瀬戸際である。そんな時に両院議員総会にかけて、そこで決めないということはありえないことである。
 私は両院総会できちんと決めて、粛々としていく。それでも造反する人たちには厳重な処分をすればいいということである。

<政調の合同会議では党議拘束はかけられず>
 今この原稿は6月19日 2回目の会合をまた開き、またそこで了承をするという案内が来たところで書いている。私は3党合意の内容について検証したり、いろいろ意見を言ったりする二つの調査会の合同会議というのはあり得るが、3党合意の了承というのは、絶対ありえないと思っている。この会合の了承で党議拘束をかけるということは、おかしいので、党議拘束をかけないか、かけたとしても仮に造反あるいは棄権しても処分はないという形で進める以外ないのではないかと思っている。

2012年6月 3日

現下の主要政策課題への対応(篠原推測)-出版記念パーティー挨拶文より-12.06.03

 2012年5月22日に東京で『TPPはいらない!』と『原発廃止で世代責任を果たす』の出版記念パーティーを開催した。
 その折恒例により来場者へのお礼の挨拶状をお渡しするが、その裏に、私が作成した「現下の主要政策課題への対応(篠原推測)」をつけたところ、皆さんの関心を呼んだ。修正意見を言ってくる者、追加のリクエストをしてくる者、石原・橋下の違いを明らかにしてほしい言う者等、いろいろな反応が寄せられたので、皆様方にも公開することとした。
 それぞれの主張がどのように違うか、そこそこわかって頭の整理には役立つのではないかと思う。
 特に、政界再編を考えた場合、どの党が政策的に一致するか一目瞭然である。政策で再編か政局で再編かをチェックする資料ともなりうると思う。

TPP・原発・消費増税・対米外交への対応(篠原推測)
※PDFファイルが表示されます