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悲しむべき三人の女性参議院議員の離党-12.07.25

<舟山さんの離党の予兆>
 7月17日午後1時、谷岡郁子、舟山康江、行田邦子の3人の女性参議院議員が離党届を掲出した。この3人のうち、谷岡さんと舟山さんは私の親しい同僚議員、TPPに反対し、原発の再稼働に慎重、そして原発はなるべく早くなくすということでずっと活動してきた同志である。私が、両院議員総会の署名を集め、党の分裂を防いでいる最中、舟山さんは、私に向かって、「篠原さん、そんなことをしても、この党は立ち直れないし、無駄じゃないの」という厳しい言葉を投げかけていた。予兆は十分にあったが、非力な私には止めようがなかった。
 小沢グループの造反者に対してまで、党にとどまるように説得したのに、なんでかつての部下の舟山さんを説得しようとしないのか、なぜ説得できないのか、と愚痴る者もいたが、舟山さんは、何事も1人でさっさと決めて活動する強い女性である。とても優しい男(?)の私に説得できる相手ではない。

<舟山さんの人生を変えたのは私のお節介>
 舟山さんのことは、私の古いブログを見ていただけるとわかるが、(しのはらブログ 舟山康江応援演説冗談編(舟山康江紹介編)07.07.31)私が、農林水産省国際部対外政策調整室長をしている時に、1年生として入ってきた、なかなか活きのいい、張り切った新入生だった。その後、仕事で同じ局になったりすることはなかったが、強い印象として頭に残っていた。風の便りに、農水省を辞め予備校時代の同級生と結婚し、夫の故郷の山形の田舎町に住んでいると聞いていた。
 ちょうど折しも、参議院選挙の候補者選びを、私の身近な人、堀込征雄選挙対策委員長代理(当時)がやっており、これまた深く関わっていた民主党NC農林水産大臣の鹿野道彦・山形県連会長も適材不足で困っていた。そこで私が困っている2人の先輩に見かねて、舟山さんの存在を教えてしまった。それがきっかけで、舟山さんは、それこそ青天の霹靂で参議院議員になった経緯がある。つまり、政治家になりたくてなりたくてなった○○政経塾出の議員とは、政治に対する姿勢が根本的に異なる。私も偶然なっただけなので、その点は共通である。

<成長著しい政治家舟山康江>
 彼女はそれこそ小気味いい活動をしていて、ほれぼれする議員に成長した。こんなことを言っては悪いが、いろんな会合でろくに意見も言えず、ただ拍手をしたり、つまらないヤジを飛ばすだけの議員が多い中で、谷岡さんと舟山さんの発言の質の高さと意欲的な活動が群を抜いていた。
 この片鱗は、舟山さんについて出馬した時から見えていた。民主党の某幹部は、舟山さんの選挙応援に来た時に、日本のサッチャーになれる女性だとほめそやした。菅代表(当時の)は、「出藍の誉れですね」といって私に嫌味を言った。党本部は、当選が間違いない羽田雄一郎議員の応援はする必要ないとのことで、私は山形メトロポリタンホテルに常駐し、舟山選対本部長を務めていた。私が手塩にかけて造り上げた舟山参議院議員だが、立派に育っていったのは、彼女の素質の賜物である。
 サッチャー云々と激賞した幹部は、舟山さんの予想に反し、原発再稼働を急ぐキーマンになっている。谷岡さんとセットで文字通りくってかかっている姿を私は何度も垣間見ている。理は舟山さんたちにあり、一度もまともな返答がなかった。信念の政治家と権力を握り、それに酔ってしがみつく見苦しい政治家の差は歴然としている。

<捨て身の政治活動>
 この強力な2人が「民主党は、かつての民主党にあらず。新自由主義に浮かれすぎている。1に原発再稼働、2にTPP、そして3に消費増税における不透明な政策決定、強引な政権運営には許しがたい。とても一緒におれない」と民主党を離党してしまった。新聞報道では、野田首相に近い議員が「三人そろって来年の改選を迎える。このままでは当選できないから離党」と、愚かにも全く真逆の解説をしている。三人とも、この次の選挙のことなど考えないからこそ、こういう行動をとっていることをわかっていない。その野田側近こそは、党内出世と次の選挙のことしか考えていないから、見当違いのことを言い出すことになる。政治に対する純な姿勢が彼らにはわからないのだろう。
 舟山さんは、私に常々言っていたことがある。「篠原さん、いろいろ世話を焼く人がいるんですよね。私なんか、この次の選挙の事を考えて、発言を控えとかそんな気ないのに、そういうことばかり言う人がいるんですよね」。つまり彼女は、この1期6年間、政治の機会を与えられたので、思いっきり自分の思いのたけをぶつけていこうとしているだけである。そして、残された1年の任期期間を、民主党に迷惑をかけずに心おきなく、自分の理想の政策を追求するために離党したのである。もっと言えば、社保税関連法案に反対して離党するのではなく、反対なので離党して反対するという筋を通しているのだ。
 谷岡さんも、みんなが知っている女子レスリングのメッカ、中京女子大学の学長の娘であり、カナダに留学したことから英語もでき、その度胸のある発言ぶりは私も舌を巻くぐらいである。行田さんは、予算委員会の質問で、林業問題について聞くというエコロジストである。共通しているのは、今の民主党は5年前、自分たちが参議院議員になったときの民主党ではない、と失望していることである。

<盟友、松井孝治参議院議員のこれまた悲しい決断>
 そこに、7月19日になって、また私にとって衝撃のニュースが伝えられた。松井孝治参議院議員が来年の参議院選挙には出馬しないと表明をした。松井さんは、経産省の役人時代から仕事で付き合いがあり、私が民主党に後から参加した時に、大歓迎してくれた一人である。彼は、引退表明文の中で、初当選の時に、2期と考えていたと言っているが、今の民主党の混迷ぶり、違ってしまった民主党の方向、これらに失望して出馬をしないことを決めたのだろう。「政治は本質的に『輪番』であるべき」とダラダラと政治稼業にしがみつく先輩同僚に警鐘を発している、潔い引き際である。
 私は、この4人の気持ちが手に取るようにわかる。民主党は11年前、あるいは5年前の民主党ではなくなっているからである。あまりに変質が激しく、ついていけなくなったのだろう。9年前に民主党入りした私にも、その事は手にとるようにわかる。新自由主義に走る小泉政権を批判して有権者に選んでもらったのに、その権化のTPPに前のめりになっている。どう考えても、環境にずっと配慮する党だったし、国民の安全を重視する党だったのに、原発再稼働に暴走している。あまりの激しい変質である。

<対照的な、厳正処分要請議員の言い訳>
 私は、例の官邸に「厳正な処分」をと要請に行った一期生の女性衆議院議員と赤坂宿舎からのバスに乗り合わせた。私はこうした悩み抜いて離党を決意した議員の心情を思い、この議員に世話を焼いてしまった。
 しかし、残念ながら、「私には私の事情がある」とか「厳正な処分とは言ってない、早い処分を、と言っただけだ」とか言って、決して反省の色を示さなかった。何でも党議拘束がかかり、その造反者に離党勧告とか党員資格停止とかに処分をしている国は、日本しかないことを知らないのだ。(しのはらブログ 党議拘束違反で分裂、離党の大騒ぎは日本のみ―アメリカに党議拘束などなく、ヨーロッパ諸国には造反者への処分もなし―12.07.17)志の高い議員が民主党を一人また一人と去っている最中に、それに追い打ちをかけようとする人がいることに慄然とせざるを得ない。それにしても冷たい党であり、愚かなことこの上ない。

<「みどりの風」が日本の政界に涼風をもたらす>
 舟山さんたちのグループは「みどりの風」といういい会派名になった。冗談半分で、「篠原さんのことも考えた名前だから、いつでも無審査ですぐ受け入れる」といって、舟山さんから強烈な誘いの手を差し伸べられている。女性からこんなに誘惑(?)されたことはいまだかつてない。政策的には、ほとんど一致するからである。
 前述の野田総理側近が「ただの『緑のおばさん』の乱だ。大勢に影響はない」などと甘い見通しをしているが、輿石幹事長が「党は危機的な状況、政権が崩壊しかねない」という危機感を示すほうが的を射ている。小沢グループの離党と違い、政局の匂いなど一辺もない。野田政権のあまりに暴走についていけなくなったが故の良心の発露以外の何物でもないからである。
しかし、私は民主党に残り、この民主党をかつての理想をかかげた民主党に戻すことに全力をあげるしかないと思っている。それが308議席に期待をしていただいた国民、有権者に報いることだからである。