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2012年07月11日

社会保障・税一体改革関連法案採決、その後の離党・処分の補足説明 その② 12.07.11

前回に引き続きお送りします。

Ⅲ 独裁体制下で発生する茶坊主集団

<恐ろしい茶坊主集団への警告>
 独善的で強引な政権運営、党内論議を繰り返す過程で、執行部に盲目的に従う恐ろしい茶坊主チルドレンが誕生している。例えば19日、民主党本部で開催された2回目の合同会議(前原政調会長主催)で、ひな壇の執行部の答弁に対して、一斉の意味のない拍手を送り続けていた。北朝鮮の金正恩体制ではないかと目(耳?)を疑った。未熟な政党の末期症状である。反対意見に対し、自ら堂々と賛成・推進意見を述べることもできず、ただひたすら執行部の答弁に拍手する「さくら」に成り下がっていた。
 あまりに見苦しい光景だった。政権奪取3年目にして腐敗が進捗しているのだ。何よりもこのような指示を出す執行部の見識を疑うが、いくら1期生といっても何万人もの方々に名前を書いていただいた国会議員のすることではない。一致団結の意味を完全にはき違えている。

<見習うべき14期のベテラン渡部恒三大先輩>
 私が1回生議員なら、法案に賛成していても、そのような愚かなさくらの拍手要請などには絶対に拒否して応じない。本当に見事と思った発言にこそ、反対意見がだろうと賛成意見だろうと、拍手をすべきである。
 渡部恒三大先輩は、80歳の老体で一度入院されたにもかかわらず、ほとんどの審議に出席された。まじめなのである。社保・税一体改革委でも、いい質問や答弁には声をかけてエールを送り、おかしな質問やいかがわしい答弁には厳しい(といっても何となくホンワカしているが)ヤジを飛ばしておられた。こうした姿勢こそ見習ってほしいものである。

<11人の1年生議員の愚行>
 1期生議員はよい意味で言えば、おしなべて先輩の言うことをよくきき、行儀がいい。悪く言えば国会議員として自立しておらず、上司の眼を気にしていい子ぶる者が多い。その手の集団が、首相に自分たちが苦しい選択として賛成したのだから、造反者には厳しい処分をすべしと押しかけた。賛成した者だけが苦渋の選択をしたという言い振りだが、身近で長野県連の加藤学議員の心の揺れを見るにつけ、離党覚悟で青票(反対票)を投じた者のほうがずっと悩んでいるのだ。こんな時に、同じく苦渋の選択をした同僚議員に厳しい処分を、などと言い出す気がしれないが、それを受ける首相も首相であり配慮に欠ける。これまた、背後にこうした動きを操っている中堅・長老がいるとしたら不見識極まりない。

<お座なりの党会合の象徴>
 合同会議の進行役を務め、度重なる突然の打ち切りなどに加担してきた議員が、先頭に立ちインタビューに応じているのには違和感を覚えざるをえない。ひな壇の進行役が、いくら自分が苦労したからといって、反対したものを厳しく処分しろとは、開いた口が塞がらない。むしろ、会合の公正な進行ができず、円満な了解を得られなかったことを反省すべき立場なのだ。逆に言えば、進行役が意見を聞き、きちんと答弁を引き出すことよりも、反対意見ばかり言ってけしからん、といった気持ちで進行しているから、うまくいかなかったかもしれない。
 いずれにしろ、国会議員たる者、自ら判断して賛成したのであり、反対した人に厳正な処分というのは筋違いである。消費増税がおかしいと思うなら、堂々とおかしいと論陣を張ればよい。薬害C型肝炎被害者で衆議院議員となり社会保険政策の改革に取り組んできた福田衣里子議員は、三党合意のあまりの後退振りに涙で抗議し、それこそ苦渋の選択で青票を投じている。黙って賛成しておいて今更何をいうかということである。処分は輿石幹事長等幹部に一任されており外部がとやかく言う筋合いのものではない。

<異なる意見を認めない民主党>
 離党を思いとどまって説得プロセスの中で、びっくりすることに出くわした。京都1区選出の平智之議員も消費増税に反対していたが、その前に、原発再稼働に嫌気がさして既に離党届けを出していた。ところが、平議員は、3年間も経済産業委員会に所属しながら1度も質問の機会を与えられていなかったのだ。もちろん、308人もいる政権与党、質問時間は野党にたくさん割り振られる。与党は、もともと政策決定の論議に参画しているので、国会審議ではそれほど質問する理由がないことから、予算委員会のTV入りなどを除けば、与党の質問時間はほんの僅かである。(ただ、今の民主党では、ほとんど党内議論せずに、いきなり政府が勝手に政策を打ち出したり、国会に突然持ち出されたりするので、与党も質問時間をもらわないと割りが合わないことになる。もっといえば、民主党の党内議論がもめるのは、TPPといい原発再稼働といい、党内議論なしに政策が暴走仕出し、それに党が歯止めをかけようとするからである。)

<一方にある陰湿ないじめ体質>
 それにしても、3年間でゼロというのはひどすぎである。京大工学部を出て大学院に進み、アメリカのUCLAに留学して、実家の喫茶店のマスター、ラジオのDJ、建設産業シンクタンクの社長を歴任した紳士的な国会議員である。私の30年来の友人の室田武同志社大教授を紹介したりして、それなりに付き合いのある反原発の同志だった。ところが、原発の専門家で、ずっと原発を問題にしてきたことから、危険分子として質問から排除されていたのである。一種の「いじめ」としか言いようがない。これでは原発再稼働の前に民主党にいたくなくなるのは無理もない。そして、こうした筋を通す立派な議員がしいたげられているのを見るにつけ、他の凡庸な1期生が執行部の言いなりになっていくのだろう。
 私の事務所に京都の選挙区の有権者から、「同じように脱原発目指しているし、大学の後輩でもあるから、民主党を離党しないように説得してほしい」と要請があった。また、それ以前に同僚議員からも惜しい人材なので、是非、引き止めてくれ」と要請されていた。私は社保・税一体改革関連法採決や分裂騒ぎに時間をとられていたため、やっと6月下旬になって説得しだしたが、時既に遅く、離党届が一足先に受理されてしまった。民主党は、また有為な人材を1人失ってしまった。悲しい限りである。

2012年07月09日

社会保障・税一体改革関連法案採決、その後の離党・処分の補足説明 その① 12.07.09

 「ルールに基づき厳正に処分する」と野田総理は大声で記者会見したが、私が何度も繰り返しているように、民主党の党規約違反というルールを踏みにじった政策決定をしている首相以下の執行部が言えた義理ではない。今回の一連の動き、民主党の分裂の過程は、きちんと印しておかなければならないので、テーマごとの断片的なものになるが、メルマガ、ブログに書き留めておくことにする。(興味のない部分は読み飛ばしてください。)

Ⅰ 党議決定されなかった修正合意

<開催しない不合理な理由>
 なお、参考までに、あちこちから聞こえてきた両院議員総会を開催しない理由は以下のような不合理なものである。
① 議決機関であり、野田代表や前原政調会長の解任動議を出されると困る。
 党大会に次ぐ議決機関であり、代表を選べるということは逆に引きずり降ろすこともできる。現に菅降ろし(?)の時は、リコール規定を置くべきということも取り沙汰された。しかし、常識ではありえない。ただ、篠原さんはいいが過激な議員はやりだすかもしれないと言われ、私も答えようがなかった。
② 無記名投票で万が一否決されると困る(この打開策として記名投票という考えを述べる者もいた)。
 与党の大半の議員が反対するものを政策としているとしたら、政府・与党の関係が歪んでいるのだ。否決されたら即、野田内閣は退陣しないとならない。
 しかし、そんなことはほぼ起こりえない。それを恐れて、なにが「政治生命をかける」などと言えるのか。話にならない言訳である。ただ、6/26(火)の採決時に、民主党衆議院議員の4分の1の72名(反対57、欠席・棄権16)が反対の意志を明らかにしたことからすると、無記名投票による採決では否決されるかもしれないという心配もわからないこともない。となると、執行部が、19日の私の無記名投票による採決をかたくなに拒否し続けたのは肯けることになる。いずれにしろ、勇ましい言葉とは裏腹に、性根が据わっていなかったのだ。
 読売新聞(7/6)「政治の現場:検証 消費税政策」は、6/10の夜の町村信孝元官房長官と藤井裕久税調会長会談で、藤井税調会長が修正合意の了承は、合同会議にかけずに常任幹事会で取りたいと述べたと報じられている。与党内の合意はさておき、野党と先に話をつけようとしているのは、政党政治の否定ではなかろうか。
③ 政策マターを取り上げると、次々に主要な政策マターが議題となって困る。
 曰く、TPPでも署名集めがあったし、一度認めると原発再稼働も両院議員総会を開かないとならなくなる。それに加えて、この2つとも完全に反対多数で否決されてしまう。そう言われてみるとそんな気がしないでもない。しかし、今回は党分裂の危機であり、そんなに毎度ありうるはずがない。また、TPPも原発も、ただの予算のやりくりの延長にすぎない消費増税と比べたらもっと大きな問題である。まさに両院議員総会に相応しいテーマである。まさに難癖でしかない。

<民主党首脳の聞くに聞けない詭弁>
 岡田副総理(記者会見)と直嶋両院議員総会長(懇談会)が、同じように政策マターはかけないなどと明確に、不明確な言訳をしたが、テーマを限定した規定などないのは、既にブログで書いたとおりである。驚いたことに、7月9日の予算委の牧義夫議員(生活第一)の「きちんと両院議員総会を開いていたら、反対せず民主党にいたかもしれない。なぜ開催しなかったのかという質問に対し、野田総理も同じように誤魔化し答弁をしていた。更に、また、政府与党三役会議で決めたとまさに詭弁を弄していた。分裂に至った大問題が単なる政策マターなのか、なぜ自民党と公明党はさっさと両院議員総会を開いているのか、まともに答えられないのだ。

<あざとい2つの後解釈>
 こういうことは言いたくないが、党規約違反までして開催しないのは、わざとあやふやにして、小沢元代表やその仲間をいびり出そうとしているのではないか、という説もある。もしそうだとしたら、まさに邪道でしかない。国民のために社会保障制度改革を忘れ、本件を政局にしているのは、世上言われている小沢グループではなく、むしろ野田政権の中枢幹部ということになる。
 また一方で処分を軽くするためにわざと手続上の瑕疵を残しておく、といったとんでもない裏わざ説もあるが、政治には透明性が必要である。そんなややこしいことは不要である。党の議決機関の両院議員総会を経て党議拘束をかけ、造反者に厳罰を処すのが当然である。それを懇談会や代議士会でお茶を濁して乗り切ろうというのは、公党としてあるいは政権与党としてあるまじきことである。
 こんなあやふやなことをしていたから、49名もの離党を誘発し、取り返しのつかないことになってしまった。
自民党の平沢勝栄議員(5期)、加藤紘一議員(13期)のお二人に、全国会議員の3分の1要請による両院議員総会開催を尋ねたところ、笑われてしまった。要請の動きがあったら、それを察知して先に執行部が開催しているので、要請による開催は記憶にないという。それを我が民主党は、率先してやらないどころではなく、要件を揃えたのにやらないというのだ。

<必要なマスコミの指摘>
 この重大な問題を(6月25日(月))の国会審議の中で指摘したのは、石原伸晃自民党幹事長と伊吹文明社保・税特委筆頭理事であるが、マスコミで気付いてくれたのは産経新聞(6/21、5面、加納宏幸記者の署名入り解説)だけである。マスコミの関心は、何人離脱とかいったことばかりに集中し、こうした側面は忘れられがちである。私はあまりマスコミ批判はしたくないが、「社会の木澤」として扱ってほしいのは、政権与党がしゃあしゃあと党規約違反をしていることである。その意味では、加納宏幸記者には心から感謝したい。
 願わくば、もっと多くの学者、評論家に民主党の「無法ぶり」を糺すべく指摘してもらいたいが、今のところその気配が全くない。


Ⅱ 委員以外の修正協議担当
(敬称略)
<修正協議は国会審議の延長にある>
 自民党は伊吹文明、野田毅、町村信孝(税)、鴨下一郎、加藤勝信(社保)と、特別委員会の委員が補正協議担当となり、外部から宮澤洋一だけが税の助っ人として加わった。対する民主党は藤井裕久(税)、細川律夫、長妻昭(社保)と3人が外部で古本伸一郎だけが委員であった。
 法案は国会に提出され、審議の過程で問題点が明らかになり、修正が行われる。国会審議の中に修正につながるやりとりがポロポロ出てきていた。山内康一(みんなの党)から、しっかりこの点を指摘されている。
 ところが自民党委員は1人を除いて議場にいて議論を聞いているのに、民主党委員は1人しかいない。これではいくら3人の外部の者が有識者だといっても勝負にならない。その前に国会審議の軽視そのものである。与党の驕り以外の何物でもない。本当は自民党からすると馬鹿にするなということだが、実は審議を現場でフォローしてない相手は交渉相手として組みしやすかったに違いない。

<重量級自民党と軽量のみの民主党>
 自民党と対等に渡り合うには、藤井、細川、長妻も委員にしておくのが普通である。それをヒラ委員は、渡部恒三(14期)の次が私と2人の3期生、2期生2人、あとは1期生ばかりという軽量級布陣である。いくら自民党に当選回数が多い議員が沢山いて、民主党は半分が1期生といっても、上記の修正協議担当者の他に、逢沢一郎(8期)、金子一義(8期)と実力派を揃える自民党と比べ、あまりにひどい格差である。委員の構成をみたら、とても政治生命を賭ける委員態勢には程遠かった。
 
 その一方で、環境委員会で審議された原子力規制庁設置法案の修正協議は、全く逆の人選となった。党内議論は環境部門会議以外の者も数多く参加して行われてきており、有識者はむしろ外部に多くいたのに、修正協議は環境委員に限定された。こちらは現実より形式を重視したことになる。民主党の方針なりルールは一定せず、実がとれない形となっている。

<ブログにも書けない私の社保・税特委員の理由>
 私ごとになるので、詳細を語るのはやめるが、私は特別委員会の委員に指名された。その結果5月8、10、11日の3日間の本会議で7本の法案の審議を聞かなければならないという理由で、日米韓国会議員交流会議の米国出張を直前になって止めさせられている。TPPを巡り、米側の国会議員とじっくり意見交換してくるつもりだった。委員たるもの本会議の議論を聞いておくべしということから、私は不本意ながら黙って従った。
 それにもかかわらず、修正協議を修正内容が煮詰まる国会審議をナマで聞いていない委員以外に担当させている。上記の山内質問に対し、岡田副総理は、3人はその分野の有識者であり議事内容は後からでも知りえるし、委員と親密な連携をとっているから問題ない、と答弁している。ヒラ委員の私が本会議まで出て、審議を細大漏らさずフォローしなければならないというのとえらい違いである。何よりも支離滅裂な基準である。それでも、修正協議の結末が皆が納得いくものとなっているならよいが、高額所得者への課税強化の先送りをはじめとして、民主党の政策の根幹を揺るがす変更がなされ、厚労部門会議の熱心なメンバーの福田衣里子が、反対せざるを得ないような内容になってしまっているのである。

残念な大量離党 民主党の縮小 -胸が痛む加藤学議員の離党- (12.07.06を加筆修正) 12.07.09

<説得の電話で大忙し>
 私が、6月26日(火)の採決直前の代議士会で、「法案の担当者よりも汗を多くかいているのではないか」と発言し、何人かの皆さんから「わかっている」とエールをいただいたことは、既に前回のメールで述べた。しかし、それ以降も57人の反対・造反者、16名の私も含めた欠席・棄権者への電話や面談で大忙しであった。私の目的は民主党の分裂、縮小を避けること。このために再び全力を尽くすことになった。
 何人の人たちにも電話した。とは言っても次回の総選挙に、自らの選挙区のない比例単独候補と小沢一郎元代表の秘書等をやったりして「小沢命」というような人たちには電話は差し控えた。それ以外の人たちには全て電話し、数人には自ら部屋に出向き、話をして離党を思いとどまってくれるようにいろいろ話し合った。鳩山グループの造反者は、鳩山元首相も川内博史議員も離党はしないと明言しており、その分手間が省けた。繰り返しになるが、この人たちは、両院議員総会をきちんと開いていたら、造反しない人たちだったのだ。

<私の親しい友人が離党を思いとどまる>
 私の拙い説得のせいかどうかわからないが、小沢グループの45人の造反者のうち、7月2日の段階では5から6名が残ってくれることになった。名前を明かしていいと思うが、私の水産庁企画課長(1996年)以来15年以上の付き合いになる山田正彦・TPPを慎重に考える会の会長、長野5区の加藤学、1期生の時にずっと本会議ではとなりだった辻恵議員、そしてその友人で03年同期の中川浩議員、辻議員といつも一緒に行動している階猛議員、TPP・原発で心を同じくする橋本勉議員といったぐあいで、私が説得した周りの人たちだけが離党を思いとどまってくれたような気がする。
 しかし、離党を決意した者の一人が「篠原さんの一連の活動には感謝するし、できれば離党などしたくない。だけど、自分は全く逆に離党しようと呼びかける電話をかけている」と答える人もいた。そして、しばらく、政治全般、特に、民主党の将来について話し込んだ。離党の意思は固かった。民主党執行部のメチャクチャなやり方にさじを投げてしまったのだ。新聞論調とは違い、処分の重さはほとんど関係なく、反対して離党は覚悟の上だったことがうかがえる。

<絶妙な2ヶ月党員資格停止>
 そして7月3日、1期生議員の熊田篤嗣議員と福田衣里子議員の呼びかけで集まった、反対・棄権者のグループの会合が15:00から開かれていたところ、そこに処分の情報が寄せられた。原子力協定の棄権に対する対応もそうであったが、民主党の処分・措置は、大体ルール無視の高圧的なものが多い(注)。それを、今回は輿石幹事長と樽床幹事長代行が必死で考えて知恵を絞ってくれたのだろう。最近になくルールに基づいた、合法的な処分・措置であった。
 反対・造反者には、法案の数は論ぜず、一つでも反対したものは党員資格停止2ヶ月の処分、私のように欠席・棄権者には数に応じて、常任幹事会の厳重注意と、少ない人は幹事長の注意という措置だった。通常だと期間は6ヶ月、3ヶ月、1ヶ月が普通だが、厳しい処分をという党内の声を念頭におきつつ、9月の代表選の投票権を奪うことのないように配慮した微妙なものであった。例外は鳩山元首相で党員資格停止6ヶ月である。

<残念な加藤学議員の離党>
 これで少しは落ち着くかと思っていたところ、7月4日になって、思いがけないことが起ってしまった。足下の長野県の加藤学議員が突然離党届を出してしまった。その後、小沢グループの旗揚げが行われた会場に駆けつけ、遅れてすみませんと挨拶したという。翌日のマスコミは、昔の加藤紘一自民党幹事長の迷いをもじった「加藤の乱」と報じていた。誠に残念であるが、加藤議員も迷いに迷ったのだろう。前日の15:00からの「消費税研究会」の前身の会合には加藤学議員も出席しており、信濃毎日新聞には、近くに加藤学議員、遠くには鳩山元首相のその隣に私という写真が掲載されていた。
 私は、欠席・棄権であり、そんな前に座る筋合いではなかったが、なぜかしら鳩山元首相の席のとなりには私の席が用意してあり、その後も同じように座らされている。私が民主党の会合でこんな上席に座ることは滅多にないが、中間派の私をお目付け役あるいは暴走を抑える役ということで、意識的に幹部席においているのだろう。

<揺れ動く心はわからないでもない>
 加藤学議員は7月4日午前中に樽床幹事長代行に離党届を提出したそうだが、その前に北澤県連会長なり、同じ階のすぐ近くの私に相談するとまた決意が揺らぐ恐れがあるので、思い切って離党届を出しに行ったという。私は加藤議員の消費増税に対する反対の気持ちはよく承知していたので、「反対はしても離党はするな」と言い続けてきた。私の言に従ってくれたのだろう、辻議員、階議員が、小沢グループの会合で離党届も出していて、確認がなく離党するというのはよくないというすったもんだがあったけれども、加藤学議員はその時も既に離党はしないということで離党届を出していない。それだけ決意が固かったのにかかわらず、やはり離党したのはいろいろな考えがあったからだろう。
 加藤議員は、記者会見で自らの処分が重く、2ヶ月の党員資格停止は許しがたいこと、鳩山さんだけを6ヶ月にするということに合理性に欠ける、そして、私がかねてから主張している、両委員議員総会を開かない不合理さを例に挙げたという。輿石・樽床コンビの絶妙な処分の意味が十分分からなかったのが残念である。政治家は最後は自らの決断で進むしかない。

<胸が痛む離党議員の悩み>
 片一方では、水野智彦議員が、自分は承知していないということで離党を思いとどまり民主党に戻ってきた。皆、悩んでいるのだ。民主党小沢グループの離党による厚生労働委員会の委員を減らさなければならなくなったが、造反した罰か、水野智彦議員と初鹿明博議員がはずされたという。騒ぎを起こした罰といえば罰だが、もう少し温かい対応が必要ではないか。なぜなら、与党にとどまり、社会保障改革をやり抜くために戻ったのが明らかだからだ。それを、その機会をせばめているのであり、本人はガッカリしているだろう。
 野田総理やそのとりまきが、反対・造反した人たちが勝ち誇ったようなことを言っていて、賛成した人たちが、国民・有権者の反対の声に委縮しているというのは当たらない。万感の思いを込めて、反対・棄権したのであり、投票の形態であれこれ批判すべきでなく、党のルールどおり処分・処置をする以外にない。党の方針に喜んで反対する人はいない。苦渋の決断をして反対をしたのであり、それで離党するかしないか迷いに迷っていたのだろう。この気持ちを考えると私も心が痛む。賛成した人で、これほどまでに心労を抱えている人などいまい。

<岩手県連の国会議員の動き>
 小沢王国岩手県は、平野達男復興大臣はとうに小沢離れし大臣の座に就いている。今回、階議員と黄川田徹議員が民主党に残ることになった。黄川田議員は前回、小沢グループの政務三役が一斉に辞任した時には小沢さんの命に従っている。今回袂を分かつにあたり相当悩んだに違いない。畑浩治、菊地長右エ門の2衆議院議員と主濱了、藤原良信の2参議院議員が一緒に離党し、岩手県連は完全に二分されてしまった。
 私は、霞ヶ関勤務では政界の諸々の離合集散を横目で眺めてきたが、今回はあまりにも身近なことであり身につまされて傍観するわけにはいかなかった。小沢さんを羽田さん、北沢さんに置き換えてみると、私も頭がこんがらかって、夜眠れなくなった。

<ノーサイドの処分なしが王道>
 私はこの処分問題、理想はこれこそノーサイドであるべきと思っている。菅総理も野田総理も、代表選のあと口先では、ノーサイドと言っている。しかし、事実は違う。菅総理は小沢さんを遠ざけ、あるいは小沢さんを遠ざけようとする仙谷・岡田さんたちを放置していた。野田総理も形式的には党内融和を論じつつ、実体は露骨にお仲間、お友達優先で他を遠ざけている。
 野田総理は念願の法案が衆議院を通過したのであり、圧倒的に優位な立場にある。こういう時こそ処分も何もなしにノーサイドで一致結束していこうということを言い出すべきなのだ。そうなると小沢元代表等も離党する大義名分がほぼ半減し、仮に離党したとしてもなんと我儘な離党かということになる。野田総理は体は大きいが、それに見合った太っ腹になれなかった。私からみると、声を荒げて厳正な処分という姿は、見苦しいとしか映らなかった。

<分裂の根本的責任は強引な執行部>
 私は、このような離党を誘発したことは、小沢元代表等の動きにも問題があるとは思うが、それよりも何よりも強引な政権運営をする執行部にこそ大半の責任があると思っている。そして、誇り高い小沢元代表を「選挙の事だけを考えている政治家だ」、と言い放ち、誇りを傷つける発言を続ける前原政調会長、そして「厳正な処分」と勝ち誇ったように言う首相。私は見ていて正直言って不愉快になるだけであった。その結果がこれである。私が連日のように、最後の最後まであきらめず、週末も電話を掛け続けた。私ではなく、執行部こそこういう努力をすべきなのだ。

(注)
①処分と措置
 処分と一般的にいわれるが、正確にいうと処分(除籍、離党勧告、党員資格停止)というきついものと、措置(公職の辞任勧告、党公職・推薦の取り消し、役職停止・解任、厳重注意、注意)とに分かれる。重要法案の党議拘束違反は造反・反対が処分で、欠席・棄権が措置になるのが一般的である。

②自民党の例
  一番どぎつい処分は、小泉政権時の郵政民営化に造反・反対したものにみせたものであり、除籍しただけでなく、選挙区に女刺客を立てられ、多くが落選している。ただ、こんなきわどい時でも、欠席・棄権者は注意のみで不問に付された。
 かつて、イラク特措法について、大物の亀井静香、加藤紘一、古賀誠のいわゆる「リベラル3K」が棄権し話題となった。この時は、自民党の奥行きの深さが評価され、支持層が広がったといわれている。
 また、最近では郵政改革法案に、小泉進次郎、中川秀直、菅義偉の3議員が反対・造反したが、大島副総裁からの電話による注意ですませている。

③民主党の恣意的な処分・措置
 対決法案(条約)でもない原子力4法案について、女性議員や福島県関係の心ある反原発議員がかなり欠席・棄権した。まさに、民主党の良心・良識の発露だった。実質的には執行部が役職停止を命じたのだが、形は自ら辞表を書いたことになっている。ここでも、不透明さが残る。反原発グループからは拙速な再稼働を批判されているが、本件は民主党にもまともな人がいると、少しだけ民主党の支持をつなぎとめている。
 小沢元代表は倫理規範に反するとして、裁判が確定するまで党員資格停止となった。処分期間は6ヵ月が慣例だったそうで、小沢グループの若手は、この厳しい処分に苛立っていた。
 一方、女性議員は東京地裁でセクハラ発言が認定され敗訴した仙谷政調会長代行が、倫理規範違反で党員資格停止にならないことを問題視しているが、こちらは何も処分されていない。ここでも民主党のチグハグさが目立つ。

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