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2012年07月25日

社保・税一体改革への篠原の関与(最終場面中心)-12.07.25

 社保・税一体改革への篠原の関与について、時系列でまとめました。

PDFでこちらからご覧ください

悲しむべき三人の女性参議院議員の離党-12.07.25

<舟山さんの離党の予兆>
 7月17日午後1時、谷岡郁子、舟山康江、行田邦子の3人の女性参議院議員が離党届を掲出した。この3人のうち、谷岡さんと舟山さんは私の親しい同僚議員、TPPに反対し、原発の再稼働に慎重、そして原発はなるべく早くなくすということでずっと活動してきた同志である。私が、両院議員総会の署名を集め、党の分裂を防いでいる最中、舟山さんは、私に向かって、「篠原さん、そんなことをしても、この党は立ち直れないし、無駄じゃないの」という厳しい言葉を投げかけていた。予兆は十分にあったが、非力な私には止めようがなかった。
 小沢グループの造反者に対してまで、党にとどまるように説得したのに、なんでかつての部下の舟山さんを説得しようとしないのか、なぜ説得できないのか、と愚痴る者もいたが、舟山さんは、何事も1人でさっさと決めて活動する強い女性である。とても優しい男(?)の私に説得できる相手ではない。

<舟山さんの人生を変えたのは私のお節介>
 舟山さんのことは、私の古いブログを見ていただけるとわかるが、(しのはらブログ 舟山康江応援演説冗談編(舟山康江紹介編)07.07.31)私が、農林水産省国際部対外政策調整室長をしている時に、1年生として入ってきた、なかなか活きのいい、張り切った新入生だった。その後、仕事で同じ局になったりすることはなかったが、強い印象として頭に残っていた。風の便りに、農水省を辞め予備校時代の同級生と結婚し、夫の故郷の山形の田舎町に住んでいると聞いていた。
 ちょうど折しも、参議院選挙の候補者選びを、私の身近な人、堀込征雄選挙対策委員長代理(当時)がやっており、これまた深く関わっていた民主党NC農林水産大臣の鹿野道彦・山形県連会長も適材不足で困っていた。そこで私が困っている2人の先輩に見かねて、舟山さんの存在を教えてしまった。それがきっかけで、舟山さんは、それこそ青天の霹靂で参議院議員になった経緯がある。つまり、政治家になりたくてなりたくてなった○○政経塾出の議員とは、政治に対する姿勢が根本的に異なる。私も偶然なっただけなので、その点は共通である。

<成長著しい政治家舟山康江>
 彼女はそれこそ小気味いい活動をしていて、ほれぼれする議員に成長した。こんなことを言っては悪いが、いろんな会合でろくに意見も言えず、ただ拍手をしたり、つまらないヤジを飛ばすだけの議員が多い中で、谷岡さんと舟山さんの発言の質の高さと意欲的な活動が群を抜いていた。
 この片鱗は、舟山さんについて出馬した時から見えていた。民主党の某幹部は、舟山さんの選挙応援に来た時に、日本のサッチャーになれる女性だとほめそやした。菅代表(当時の)は、「出藍の誉れですね」といって私に嫌味を言った。党本部は、当選が間違いない羽田雄一郎議員の応援はする必要ないとのことで、私は山形メトロポリタンホテルに常駐し、舟山選対本部長を務めていた。私が手塩にかけて造り上げた舟山参議院議員だが、立派に育っていったのは、彼女の素質の賜物である。
 サッチャー云々と激賞した幹部は、舟山さんの予想に反し、原発再稼働を急ぐキーマンになっている。谷岡さんとセットで文字通りくってかかっている姿を私は何度も垣間見ている。理は舟山さんたちにあり、一度もまともな返答がなかった。信念の政治家と権力を握り、それに酔ってしがみつく見苦しい政治家の差は歴然としている。

<捨て身の政治活動>
 この強力な2人が「民主党は、かつての民主党にあらず。新自由主義に浮かれすぎている。1に原発再稼働、2にTPP、そして3に消費増税における不透明な政策決定、強引な政権運営には許しがたい。とても一緒におれない」と民主党を離党してしまった。新聞報道では、野田首相に近い議員が「三人そろって来年の改選を迎える。このままでは当選できないから離党」と、愚かにも全く真逆の解説をしている。三人とも、この次の選挙のことなど考えないからこそ、こういう行動をとっていることをわかっていない。その野田側近こそは、党内出世と次の選挙のことしか考えていないから、見当違いのことを言い出すことになる。政治に対する純な姿勢が彼らにはわからないのだろう。
 舟山さんは、私に常々言っていたことがある。「篠原さん、いろいろ世話を焼く人がいるんですよね。私なんか、この次の選挙の事を考えて、発言を控えとかそんな気ないのに、そういうことばかり言う人がいるんですよね」。つまり彼女は、この1期6年間、政治の機会を与えられたので、思いっきり自分の思いのたけをぶつけていこうとしているだけである。そして、残された1年の任期期間を、民主党に迷惑をかけずに心おきなく、自分の理想の政策を追求するために離党したのである。もっと言えば、社保税関連法案に反対して離党するのではなく、反対なので離党して反対するという筋を通しているのだ。
 谷岡さんも、みんなが知っている女子レスリングのメッカ、中京女子大学の学長の娘であり、カナダに留学したことから英語もでき、その度胸のある発言ぶりは私も舌を巻くぐらいである。行田さんは、予算委員会の質問で、林業問題について聞くというエコロジストである。共通しているのは、今の民主党は5年前、自分たちが参議院議員になったときの民主党ではない、と失望していることである。

<盟友、松井孝治参議院議員のこれまた悲しい決断>
 そこに、7月19日になって、また私にとって衝撃のニュースが伝えられた。松井孝治参議院議員が来年の参議院選挙には出馬しないと表明をした。松井さんは、経産省の役人時代から仕事で付き合いがあり、私が民主党に後から参加した時に、大歓迎してくれた一人である。彼は、引退表明文の中で、初当選の時に、2期と考えていたと言っているが、今の民主党の混迷ぶり、違ってしまった民主党の方向、これらに失望して出馬をしないことを決めたのだろう。「政治は本質的に『輪番』であるべき」とダラダラと政治稼業にしがみつく先輩同僚に警鐘を発している、潔い引き際である。
 私は、この4人の気持ちが手に取るようにわかる。民主党は11年前、あるいは5年前の民主党ではなくなっているからである。あまりに変質が激しく、ついていけなくなったのだろう。9年前に民主党入りした私にも、その事は手にとるようにわかる。新自由主義に走る小泉政権を批判して有権者に選んでもらったのに、その権化のTPPに前のめりになっている。どう考えても、環境にずっと配慮する党だったし、国民の安全を重視する党だったのに、原発再稼働に暴走している。あまりの激しい変質である。

<対照的な、厳正処分要請議員の言い訳>
 私は、例の官邸に「厳正な処分」をと要請に行った一期生の女性衆議院議員と赤坂宿舎からのバスに乗り合わせた。私はこうした悩み抜いて離党を決意した議員の心情を思い、この議員に世話を焼いてしまった。
 しかし、残念ながら、「私には私の事情がある」とか「厳正な処分とは言ってない、早い処分を、と言っただけだ」とか言って、決して反省の色を示さなかった。何でも党議拘束がかかり、その造反者に離党勧告とか党員資格停止とかに処分をしている国は、日本しかないことを知らないのだ。(しのはらブログ 党議拘束違反で分裂、離党の大騒ぎは日本のみ―アメリカに党議拘束などなく、ヨーロッパ諸国には造反者への処分もなし―12.07.17)志の高い議員が民主党を一人また一人と去っている最中に、それに追い打ちをかけようとする人がいることに慄然とせざるを得ない。それにしても冷たい党であり、愚かなことこの上ない。

<「みどりの風」が日本の政界に涼風をもたらす>
 舟山さんたちのグループは「みどりの風」といういい会派名になった。冗談半分で、「篠原さんのことも考えた名前だから、いつでも無審査ですぐ受け入れる」といって、舟山さんから強烈な誘いの手を差し伸べられている。女性からこんなに誘惑(?)されたことはいまだかつてない。政策的には、ほとんど一致するからである。
 前述の野田総理側近が「ただの『緑のおばさん』の乱だ。大勢に影響はない」などと甘い見通しをしているが、輿石幹事長が「党は危機的な状況、政権が崩壊しかねない」という危機感を示すほうが的を射ている。小沢グループの離党と違い、政局の匂いなど一辺もない。野田政権のあまりに暴走についていけなくなったが故の良心の発露以外の何物でもないからである。
しかし、私は民主党に残り、この民主党をかつての理想をかかげた民主党に戻すことに全力をあげるしかないと思っている。それが308議席に期待をしていただいた国民、有権者に報いることだからである。

2012年07月17日

党議拘束違反で分裂、離党の大騒ぎは日本のみ―アメリカに党議拘束などなく、ヨーロッパ諸国には造反者への処分もなし― 12.07.17

(日本だけの何でも党議拘束)
 国会改革のたびに、日本のきつい硬直的「党議拘束」が問題になる。旧民主党は、党議拘束をなくすと宣言したと記憶しているが、今回発足した「国民の生活が第一」も党議拘束をかけないことになった。英断である。
 日本ほど議員個人の見解を無視して、党あるいは「会派」で賛否を決めている国はない。本会議20分前に代議士会が開かれ、賛否を確認して本会議場入りする。内容をよく理解してなくとも、党の方針に従って立ったり(賛成)座ったままだったり(反対)、白票か青票を投ずれば役目を果たすことになる。つまり、個人個人が考えなくても済むのだ。国民も国会議員もこれが当然と思い込んでおり、極めて異常なことなのだ。これが都道府県議会、市町村議会にまではびこり、知事や市町村長べったりの会議が議会の審議を空虚なものにしている。

(アメリカにはない党議拘束)
 アメリカでは、民主・共和の二大政党制であるが、国自体が様々な民族、支持層を含有することから、個々の個人の議員の判断や意見を尊重するという原則があり、政党の規律は緩い。個々の法律について大まかな対処方針は示されるが、日本のような処罰を伴うような「党議拘束」は存在しない。 
 その代わり、その判断は議員個人のものとなり、すべて、地方紙といえる新聞が、どの法案に賛成し、反対したかを詳細に報じ、それをもとに有権者が次の選挙で審判を下すことになる。それに対して、何でも党で決める日本では、意に反したことでも、あるいは有権者の意向に背いても「党の決定だから」と逃げられることになる。そして、日本では「党で決めたことを守らないとはケシカラン、一致団結できない者は厳重に処罰するか除籍してしまえ」という声が大きくなる。更に、それに乗じて、苦渋の選択をした造反議員の処分をきつくしてほしいと押しかける短絡的議員が出現する。こうした騒ぎを裏で操っている幹部もいるとなると、民主党の堕落も極まれりの感がある。
 造反により党員資格停止、除名そして分裂騒ぎと移っていくことに、アメリカ人やアメリカの国会議員はびっくり仰天し、とても理解してもらえないだろう。

(イギリスの党議拘束と造反)
 議院内閣制の国イギリスでは、法案は四段階に分かれ(①出席不可欠②ペアリング(与野党同数で欠席)がなければ欠席できず③出席推奨④自由投票)、最近は、拘束力の強い第一段階は約20%にすぎない。閣内に入っている100名近くの議員はフロントベンチャーと呼ばれ、反対することはない。そうでない300名余の与党議員はバックベンチャーと呼ばれ、法案の内容も知らされておらず、造反することもある。
 かつては内閣提出法案が例外なしに可決され、ほぼ100%与党議員が賛成していた。党議拘束がなかったのは、古くは死刑廃止法案や妊娠中絶法案などで議員個人の良心や宗教に関わる内容のものが多い。1971年には、EC加盟法案が自由投票となっている。 最近では、03年のイラク問題(139人が造反)がある。日本では、私の9年間の議会活動の中で、臓器移植法案だけが党議拘束なしであった。
 若くして政界に入り、党内出世を図る政治家は、政府に従った投票行動をとる。西郷隆盛ではないが、「名もいらず、官位も金もいらぬ始末に困る」(?)政治家は、自ら判断して反対することもあるのはいずこも同じである。

(造反者への処分はほとんどなし)
 イギリスでも、近年は造反が頻繁に起こるようになった。例えば、与党が圧倒的多数を占めたブレア政権下では、規律がかえって緩みがちとなり、法案採決の5回に1回ぐらいは造反がでていたという。しかし、労働党も保守党も処分はほとんど行っていない。
更に候補者決定は、各選挙区の党組織の権限なので、造反したからといって次の選挙で不利益を被ることもない。つまり、アメリカ同様、採決の賛否は原則個人が決めることであり、処分など考えられないことなのだ。

(仏・独にも党議拘束違反の処分はなし)
 大統領もいて首相もいるというドイツやフランスでは日本やイギリスと比べ、政府と与党がそれほど密着していない。従って、与党内議論など行われておらず委員会審議が初めての審査であり、予め党の拘束など行えないことになる。
フランスでは、上院と下院では同じ党でも方針が異なることもあり、造反者への処分など全くといっていいほど問題にならない。ドイツでは党議拘束と呼べるものはなく、造反者への処分もない。
 日本の党議拘束そしてその造反への厳しい対応は、世界では極めて特殊なのである。このことを国民は知らないでいる。そして、造反者への処分、特に鳩山元首相への処分が甘く腰がひけていると批判されている。造反者を離党勧告したり党員資格停止などと感情的になっている国は日本だけである。

(きつすぎる日本の党議拘束、造反者への処分)
 私は、日本のように過度な党議拘束、そして造反者へのヘンチクリンな処分にはかねがね疑問を持ち続けてきた。今回もその延長線上で、「法案に反対したからといって、除名(除籍)という厳しい処分をすべきではなく、まして離党する必要はない。」と主張し続けた。
 例えば、加藤学議員には「堂々と反対してもいいが、離党はするな」と伝えていた。そして途中までは、私のアドバイスどおり行動していた。

(二大政党制が定着し、政党が増える理由)
 日本独自のシステムはあってもよいが、このまま造反→離党を続けていたら、日本にはいくつ政党があっても足りなくなってしまうだろう。
 小選挙区制は、政権交代の可能な二大政党制を確立するために導入され、現に2009年政権交代が実現した。前述のとおり、アメリカのような完全な二大政党制の下では両党の考え方の差がなくなっていくという。日本で今回三党同意が成立したのも、政党間の差異がなくなってきた証左かもしれない。
それにもかかわらず、相変わらず厳しい党議拘束をかけ、造反者を次々除名していたら、重要法案の採決の度に大量の離党者を生み、新たな政党が造り出されることになる。郵政民営化法の時の国民新党、そして今回の「国民の生活が第一」党である。皮肉なことに二大政党制が定着しかかり、政権交代が実現したのに政党の数は、13にまで増えてしまった。そこに大阪維新の会、減税日本、石原新党と続いている。

(もっと自由な採決、審議が必要)
 党は一体何を拘束すべきなのか。欧米では党の綱領に真っ向から反するものでものでない限り、政党が過度に議員を拘束すべきでないとされている。民主党にはがっしりした綱領はないにもかかわらず、日頃の議員活動全般を拘束しようとする傾向が強い。悪例が、平智之議員が反原発だからといって、質問させなかったことである。
本来国会で行われるべき審議が、与党内で事前に処理されてしまっているのは、やはり国会軽視であり、透明性に欠ける。少しでも国民が法案の決定過程がわかるようになるためにも、委員会での審議は個人の意見で自由にしたほうがよい。

(TPPは典型的党議拘束のない案件)
 ある程度は党議拘束が必要なことは認めるが、必ずしもあらゆる案件について党が統一行動をとる必要はない。そもそも党内の全議員がどの案件でも同じ意見というのはありえない。
私は、TPPには絶対反対で政治活動を行ってきている。民主党も意見が分かれているが、自民党も公明党も同様である。各党で意見が分かれる問題ではなく、まさに個人個人の価値観、世界観に由来して対応が異なってくる。仮にTPPへの日本参加が決定し、数年後に批准のために国会に提出され採決されるとなると、これこそ党議拘束なしとすべき案件である。イギリスのEU加盟案件と同じである。多分、相当の差で否決されるだろう。 

(党議拘束なしが、日本の政治を安定させる近道)
 だとすれば、社会保障と税の一体改革関連法案も、各党で同一歩調をとれるものではなく、個々の議員の判断と信条を尊重し、そもそも党議拘束なしで採決されるべきものだったかもしれない。そうすれば、こんな分裂騒ぎも起きなかっただろう。日本の歪んだ党議拘束と信じがたいきつい処分が、日本の政界に混乱をもたらしたのである。我々はこの欠点に気づき対策を急がないとならない。
党議拘束をかけないとなると、議員個人が判断しなければならなくなることになり、各々の議員の質を高めることにもつながっていく。少なくとも、党議拘束を楯に政争の具にして反対者を追い出すような卑劣な政局はご免である。

2012年07月16日

社会保障・税一体改革関連法案採決、その後の離党・処分の補足説明 その④ 12.07.16

引き続きお送りします。

Ⅴ 「ガス充満」の両院議員総会と新しい政策決定システムの構築

(ガスが更に「充満」した両院議員総会) 
 7月13日、私の署名集めで要件を満たしたにもかかわらず、一向に開催されなかった両院議員総会が、6月15日の提出後約1ヶ月して開催された。分裂を防ぐための手段だったのに全く役に立たず、51人が離党してしまった。野田代表の責任は重大である。一つだけ嬉しいことに、北沢俊美倫理委員長が、処分の審査のついでに重大な瑕疵を特別に指摘してくれたことである。
 開催に当たっても相変わらず野田総理からは詫びの言葉がなかったが、私はもう意見を言う気力も失っていた。新聞紙上でも報道されたとおり、「ガス抜き」だけの何の意味もない会合となった。
 特に舟山康江参議院議員の、例の参議院総会よりも11人1期生厳正処分要請を重視、そして原発再稼働反対要請者には会わない面会格差(前回ブログ参照)について、いろいろグダグダ言訳し、最後に「他意はない」と結んだ。私も思わず大声を出しそうになったが、押えてやめた。
 野田総理の相変らずの誠意に欠ける答弁、そして決してすまないと言わない強情な姿勢は、ガスを「充満」させただけであり、今後の「爆発」すなわち「離党」が十分予想されるものとなった。どうしてもっと素直な党運営が出来ないのか不思議でならない。
 

(有識者から評価される棄権も有権者からは叱責が大半)
 本件で、私は有識者からは、私のとった行動は絶賛される一方、有権者からは訪問の際に罵倒されることもあり、また、メールと電話でも相当なきつい意見をいただいている。私のとった政治行動であり、批判は受けて立つしかない。
 昨週お会いしたベテラン議員は「篠原君が両院議員総会開催要請の署名を集め始めたと聞きホッとした。これがうまくいけば分裂は防げると期待したのに」と残念がっておられた。しかるべき党議拘束は、党内で議論が尽くされ、党内手続きも踏むこと、すなわち、党内民主主義が貫かれていることが前提である。今回は、前者は時間をかけた点ではクリアーされても、後者は全く不備であり、党議拘束をかける資格のない法案であった。もし、きちんと手続きを踏んでいたら、造反は少なく、分裂などに至らなかったのは確実である。
 ところが、信毎の記事をさらっと読んでいるだけの皆さんには、どうも私の「棄権」は敵前逃亡と映っているらしい。消費増税に賛成の者からも反対者からも叱られることになる。決まり文句は、「男らしく反対しろ」か「党で決めたことは守れ」であるが、いくら党できちんと決めてないと説明してもわかってもらえない。

(党の政策決定システムの構築)
 こうした中、輿石幹事長が明確に与党としての党の政策決定システムの構築を約束してくれたのが、せめてもの救いである。何でも両院議員総会にかけるわけにはいかないのはわかる。やはり、自民党の総務会のような組織が必要であろう。できることならば、私も積極的に関与していくつもりである。二度と愚かな分裂騒ぎをおこさないようにしないとならない。詳細は、次回にゆずるが、何よりも改善すべきは「党議拘束」と日本だけ異様な処分である。党議拘束違反で除名か党員資格停止だと騒いでいる国は日本しかないことが知られていない。

2012年07月12日

社会保障・税一体改革関連法案採決、その後の離党・処分の補足説明 その③ 12.07.12

引き続きお送りします

Ⅳ野田首相の問題ある面会格差

<ルールなき面会仕分け>
 団体や地方自治体の陳情は、幹事長室を通すという面倒くさいルールができあがり、それに従って地元議員が立ち合ったり、政務三役の陳情に同行したりしている。ところが、首相への直訴なり面会は、かなりでたらめである。何しろ、党規約も平気で破る党の政権である。ほとんど明確なルールはなく、官邸の窓口の気まぐれで処理されているようだ。
 いくら消費増税に政治生命をかけるといっても、消費増税法案に賛成した11人の1期生には喜んで会い、脱原発の要請には会おうとしない勝手な振る舞いが目につく。同僚議員に厳正処分を、などと薄情なことを言いに来る1期生に会う野田首相の気が知れない。有無を言わせず突っ返すのが、党の代表のすることである。

<毛嫌いされる脱原発面会要請>
 私の知る限り、嫌な脱原発の面会要請には、ほとんど応じていない。
まず、4月、増子輝彦参議院議員等福島県選出の6国会議員が、4月に「原発再稼働は慎重に」と申し入れるため面会を求めたが、会おうとしなかった。6月に入り、5日には荒井聡原発収束PT座長が、関電大飯原発の再稼働に慎重な判断を求める120人の署名を官邸に持参した。この時も斉藤勁官房副長官しか対応せず「120人の国会議員の首相宛ての署名なのに無礼だ」と荒井座長代理は怒りを表している。6月25日には、江田五月元参議院議長ら、「脱原発ロードマップを考える会」のメンバー6人が、2025年までのできるだけ早い時期に原発をゼロにするよう求める提言書を届けたが、やはり藤村官房長官しか対応していない。
 同僚国会議員に対してもこの閉鎖的差別的態度だから、再稼働を心配してツイッターで官邸前に集まる国民の声など届くはずがない。毎週金曜日の夕方、官邸に何万人と押しかけられるようになるのも当然のことかもしれない。非はあげて党内世論や国民世論を寄せ付けない。執行部、政権中枢にある。

<耳の痛いことにこそ耳を傾けるべき>
 野田政権執行部には、党内の様々な意見には耳を傾けるという姿勢が、徹底的に欠如しているのだ。もし野田首相自身が、自分の政策に賛成する者を選んで会い、反対する者と合わないという趣味を全面に出しているとしたら、一国のリーダーとしての自覚に欠ける。また、もし何人もいる政治家のスタッフ(官房長官、副長官、補佐官)や事務方が、波風の立たないことばかり考え、耳触りのいいことしか首相に伝えないとしたら、自らの役目を果たしていないことになる。そして、こうしたことの積み重ねが政権を危うくすることになる。鳩山政権でも菅政権でも繰り返されてきたのだろう。党と政権との意思疎通のまずさである、党に不満ばかりが高まっていった。

<参議院議員総会の軽視>
 首相の動静で見ると、野田総理が11人の1期生議員と会ったのは、国会内で開かれた参議院総会を途中退席した直後である。私は、内容をすべて把握しているわけではないが、大量造反の後、かなり殺気立ったやりとりが行われたはずである。その場にいて党内の意見を聞くのと、出過ぎたことをし出した1期生議員と会うのと、どっちが党代表(総理)の責務なのだろうか。些細なことだが、野田政権の何とも言いようのない身勝手な体質が如実に表れている一件である。
 私は今回、大切な法案に棄権し、「厳重注意」を受けた身ではあるが、民主党あるいは野田政権の行方を案じる一議員として、関係者に厳重注意したい。こうしたことを続ければ、民主党政権は国民に見離される。
 このメルマガ、ブログを書いている間に、米長晴信参議院議員が離党してしまった。その前に、彼が問題にしていたのは、この案件だった。それだけ問題になる間違った姿勢だということだろう。

<頭が高い野田総理・岡田副総理>
 委員会で私の隣の隣の席が渡部恒三大先輩であり、審議の合い間にいろいろ教わることが多かった。さすがの私も、渡部さんとなると聞き役になるが、さんざん話した午後、突然差し替え(交代した代理の委員)ばかりが座ることになった。吐血し入院されたのである。私は渡部さんの昔話をもとに、1時間の質問時間の最後に以下のような嫌味な指摘をした。
 渡部さんに言わせると、「竹下旦さんの兄さんの竹下登首相は腰が低かった。消費税導入のため根回し、調整に頭を下げてばかりいた。それにひきかえ野田君や岡田君は頭が高いなあ。理屈で法案を通せると思っているという」ことだった。それに対し私は、「一昔前にもっと頭の低い人に丹羽兵助さんがおられた」。と応じた。弱小派閥三木派・河本派に属していたが故に、政策実現のため、自民党内でも野党にもいつもお願いして歩く「おじぎ3人衆」(丹羽、森山欽司、毛利松平)といわれた。
 ところで、野田政権を支えるグループには、いろいろまくしたてる「生意気3人衆」みたいな者ばかりいて、全く逆になってしまっている。理屈だけで政策を実現するのではなく、もっと謙虚になって社会保障と税の一体改革を成功裏に導いてほしい、と結んだ。
 
<必要な謙虚な姿勢>
 この政権は、何事につけ、党内の意見に広く耳を傾ける姿勢がみられない。高飛車にとってつけたような政策だけを強引に推し進め、都合の悪いことや異なる意見からは逃げまくっている。党内議論の出来レースばかりでなく、官邸の首相の面会もお友達内の出来レースばかりになってしまっている。これでは党内に亀裂が生じ、308人の衆議院議員がいつの間にか250人に減ってしまっても仕方あるまい。
 こんな状況になってしまったのだから、党内融和に気を遣い、社保税一体改革法案の成立に全力を挙げてしかるべきだが、TPPの反対者が多く離党したし、勢いに乗ってTPP参加宣言をすべきだといった記事が新聞紙上に踊っている。「頭の高い」執行部が「図に乗り過ぎ」である。

 これ以上仲間を失わないためにも、もっと謙虚な姿勢が必要である。

2012年07月11日

社会保障・税一体改革関連法案採決、その後の離党・処分の補足説明 その② 12.07.11

前回に引き続きお送りします。

Ⅲ 独裁体制下で発生する茶坊主集団

<恐ろしい茶坊主集団への警告>
 独善的で強引な政権運営、党内論議を繰り返す過程で、執行部に盲目的に従う恐ろしい茶坊主チルドレンが誕生している。例えば19日、民主党本部で開催された2回目の合同会議(前原政調会長主催)で、ひな壇の執行部の答弁に対して、一斉の意味のない拍手を送り続けていた。北朝鮮の金正恩体制ではないかと目(耳?)を疑った。未熟な政党の末期症状である。反対意見に対し、自ら堂々と賛成・推進意見を述べることもできず、ただひたすら執行部の答弁に拍手する「さくら」に成り下がっていた。
 あまりに見苦しい光景だった。政権奪取3年目にして腐敗が進捗しているのだ。何よりもこのような指示を出す執行部の見識を疑うが、いくら1期生といっても何万人もの方々に名前を書いていただいた国会議員のすることではない。一致団結の意味を完全にはき違えている。

<見習うべき14期のベテラン渡部恒三大先輩>
 私が1回生議員なら、法案に賛成していても、そのような愚かなさくらの拍手要請などには絶対に拒否して応じない。本当に見事と思った発言にこそ、反対意見がだろうと賛成意見だろうと、拍手をすべきである。
 渡部恒三大先輩は、80歳の老体で一度入院されたにもかかわらず、ほとんどの審議に出席された。まじめなのである。社保・税一体改革委でも、いい質問や答弁には声をかけてエールを送り、おかしな質問やいかがわしい答弁には厳しい(といっても何となくホンワカしているが)ヤジを飛ばしておられた。こうした姿勢こそ見習ってほしいものである。

<11人の1年生議員の愚行>
 1期生議員はよい意味で言えば、おしなべて先輩の言うことをよくきき、行儀がいい。悪く言えば国会議員として自立しておらず、上司の眼を気にしていい子ぶる者が多い。その手の集団が、首相に自分たちが苦しい選択として賛成したのだから、造反者には厳しい処分をすべしと押しかけた。賛成した者だけが苦渋の選択をしたという言い振りだが、身近で長野県連の加藤学議員の心の揺れを見るにつけ、離党覚悟で青票(反対票)を投じた者のほうがずっと悩んでいるのだ。こんな時に、同じく苦渋の選択をした同僚議員に厳しい処分を、などと言い出す気がしれないが、それを受ける首相も首相であり配慮に欠ける。これまた、背後にこうした動きを操っている中堅・長老がいるとしたら不見識極まりない。

<お座なりの党会合の象徴>
 合同会議の進行役を務め、度重なる突然の打ち切りなどに加担してきた議員が、先頭に立ちインタビューに応じているのには違和感を覚えざるをえない。ひな壇の進行役が、いくら自分が苦労したからといって、反対したものを厳しく処分しろとは、開いた口が塞がらない。むしろ、会合の公正な進行ができず、円満な了解を得られなかったことを反省すべき立場なのだ。逆に言えば、進行役が意見を聞き、きちんと答弁を引き出すことよりも、反対意見ばかり言ってけしからん、といった気持ちで進行しているから、うまくいかなかったかもしれない。
 いずれにしろ、国会議員たる者、自ら判断して賛成したのであり、反対した人に厳正な処分というのは筋違いである。消費増税がおかしいと思うなら、堂々とおかしいと論陣を張ればよい。薬害C型肝炎被害者で衆議院議員となり社会保険政策の改革に取り組んできた福田衣里子議員は、三党合意のあまりの後退振りに涙で抗議し、それこそ苦渋の選択で青票を投じている。黙って賛成しておいて今更何をいうかということである。処分は輿石幹事長等幹部に一任されており外部がとやかく言う筋合いのものではない。

<異なる意見を認めない民主党>
 離党を思いとどまって説得プロセスの中で、びっくりすることに出くわした。京都1区選出の平智之議員も消費増税に反対していたが、その前に、原発再稼働に嫌気がさして既に離党届けを出していた。ところが、平議員は、3年間も経済産業委員会に所属しながら1度も質問の機会を与えられていなかったのだ。もちろん、308人もいる政権与党、質問時間は野党にたくさん割り振られる。与党は、もともと政策決定の論議に参画しているので、国会審議ではそれほど質問する理由がないことから、予算委員会のTV入りなどを除けば、与党の質問時間はほんの僅かである。(ただ、今の民主党では、ほとんど党内議論せずに、いきなり政府が勝手に政策を打ち出したり、国会に突然持ち出されたりするので、与党も質問時間をもらわないと割りが合わないことになる。もっといえば、民主党の党内議論がもめるのは、TPPといい原発再稼働といい、党内議論なしに政策が暴走仕出し、それに党が歯止めをかけようとするからである。)

<一方にある陰湿ないじめ体質>
 それにしても、3年間でゼロというのはひどすぎである。京大工学部を出て大学院に進み、アメリカのUCLAに留学して、実家の喫茶店のマスター、ラジオのDJ、建設産業シンクタンクの社長を歴任した紳士的な国会議員である。私の30年来の友人の室田武同志社大教授を紹介したりして、それなりに付き合いのある反原発の同志だった。ところが、原発の専門家で、ずっと原発を問題にしてきたことから、危険分子として質問から排除されていたのである。一種の「いじめ」としか言いようがない。これでは原発再稼働の前に民主党にいたくなくなるのは無理もない。そして、こうした筋を通す立派な議員がしいたげられているのを見るにつけ、他の凡庸な1期生が執行部の言いなりになっていくのだろう。
 私の事務所に京都の選挙区の有権者から、「同じように脱原発目指しているし、大学の後輩でもあるから、民主党を離党しないように説得してほしい」と要請があった。また、それ以前に同僚議員からも惜しい人材なので、是非、引き止めてくれ」と要請されていた。私は社保・税一体改革関連法採決や分裂騒ぎに時間をとられていたため、やっと6月下旬になって説得しだしたが、時既に遅く、離党届が一足先に受理されてしまった。民主党は、また有為な人材を1人失ってしまった。悲しい限りである。

2012年07月09日

社会保障・税一体改革関連法案採決、その後の離党・処分の補足説明 その① 12.07.09

 「ルールに基づき厳正に処分する」と野田総理は大声で記者会見したが、私が何度も繰り返しているように、民主党の党規約違反というルールを踏みにじった政策決定をしている首相以下の執行部が言えた義理ではない。今回の一連の動き、民主党の分裂の過程は、きちんと印しておかなければならないので、テーマごとの断片的なものになるが、メルマガ、ブログに書き留めておくことにする。(興味のない部分は読み飛ばしてください。)

Ⅰ 党議決定されなかった修正合意

<開催しない不合理な理由>
 なお、参考までに、あちこちから聞こえてきた両院議員総会を開催しない理由は以下のような不合理なものである。
① 議決機関であり、野田代表や前原政調会長の解任動議を出されると困る。
 党大会に次ぐ議決機関であり、代表を選べるということは逆に引きずり降ろすこともできる。現に菅降ろし(?)の時は、リコール規定を置くべきということも取り沙汰された。しかし、常識ではありえない。ただ、篠原さんはいいが過激な議員はやりだすかもしれないと言われ、私も答えようがなかった。
② 無記名投票で万が一否決されると困る(この打開策として記名投票という考えを述べる者もいた)。
 与党の大半の議員が反対するものを政策としているとしたら、政府・与党の関係が歪んでいるのだ。否決されたら即、野田内閣は退陣しないとならない。
 しかし、そんなことはほぼ起こりえない。それを恐れて、なにが「政治生命をかける」などと言えるのか。話にならない言訳である。ただ、6/26(火)の採決時に、民主党衆議院議員の4分の1の72名(反対57、欠席・棄権16)が反対の意志を明らかにしたことからすると、無記名投票による採決では否決されるかもしれないという心配もわからないこともない。となると、執行部が、19日の私の無記名投票による採決をかたくなに拒否し続けたのは肯けることになる。いずれにしろ、勇ましい言葉とは裏腹に、性根が据わっていなかったのだ。
 読売新聞(7/6)「政治の現場:検証 消費税政策」は、6/10の夜の町村信孝元官房長官と藤井裕久税調会長会談で、藤井税調会長が修正合意の了承は、合同会議にかけずに常任幹事会で取りたいと述べたと報じられている。与党内の合意はさておき、野党と先に話をつけようとしているのは、政党政治の否定ではなかろうか。
③ 政策マターを取り上げると、次々に主要な政策マターが議題となって困る。
 曰く、TPPでも署名集めがあったし、一度認めると原発再稼働も両院議員総会を開かないとならなくなる。それに加えて、この2つとも完全に反対多数で否決されてしまう。そう言われてみるとそんな気がしないでもない。しかし、今回は党分裂の危機であり、そんなに毎度ありうるはずがない。また、TPPも原発も、ただの予算のやりくりの延長にすぎない消費増税と比べたらもっと大きな問題である。まさに両院議員総会に相応しいテーマである。まさに難癖でしかない。

<民主党首脳の聞くに聞けない詭弁>
 岡田副総理(記者会見)と直嶋両院議員総会長(懇談会)が、同じように政策マターはかけないなどと明確に、不明確な言訳をしたが、テーマを限定した規定などないのは、既にブログで書いたとおりである。驚いたことに、7月9日の予算委の牧義夫議員(生活第一)の「きちんと両院議員総会を開いていたら、反対せず民主党にいたかもしれない。なぜ開催しなかったのかという質問に対し、野田総理も同じように誤魔化し答弁をしていた。更に、また、政府与党三役会議で決めたとまさに詭弁を弄していた。分裂に至った大問題が単なる政策マターなのか、なぜ自民党と公明党はさっさと両院議員総会を開いているのか、まともに答えられないのだ。

<あざとい2つの後解釈>
 こういうことは言いたくないが、党規約違反までして開催しないのは、わざとあやふやにして、小沢元代表やその仲間をいびり出そうとしているのではないか、という説もある。もしそうだとしたら、まさに邪道でしかない。国民のために社会保障制度改革を忘れ、本件を政局にしているのは、世上言われている小沢グループではなく、むしろ野田政権の中枢幹部ということになる。
 また一方で処分を軽くするためにわざと手続上の瑕疵を残しておく、といったとんでもない裏わざ説もあるが、政治には透明性が必要である。そんなややこしいことは不要である。党の議決機関の両院議員総会を経て党議拘束をかけ、造反者に厳罰を処すのが当然である。それを懇談会や代議士会でお茶を濁して乗り切ろうというのは、公党としてあるいは政権与党としてあるまじきことである。
 こんなあやふやなことをしていたから、49名もの離党を誘発し、取り返しのつかないことになってしまった。
自民党の平沢勝栄議員(5期)、加藤紘一議員(13期)のお二人に、全国会議員の3分の1要請による両院議員総会開催を尋ねたところ、笑われてしまった。要請の動きがあったら、それを察知して先に執行部が開催しているので、要請による開催は記憶にないという。それを我が民主党は、率先してやらないどころではなく、要件を揃えたのにやらないというのだ。

<必要なマスコミの指摘>
 この重大な問題を(6月25日(月))の国会審議の中で指摘したのは、石原伸晃自民党幹事長と伊吹文明社保・税特委筆頭理事であるが、マスコミで気付いてくれたのは産経新聞(6/21、5面、加納宏幸記者の署名入り解説)だけである。マスコミの関心は、何人離脱とかいったことばかりに集中し、こうした側面は忘れられがちである。私はあまりマスコミ批判はしたくないが、「社会の木澤」として扱ってほしいのは、政権与党がしゃあしゃあと党規約違反をしていることである。その意味では、加納宏幸記者には心から感謝したい。
 願わくば、もっと多くの学者、評論家に民主党の「無法ぶり」を糺すべく指摘してもらいたいが、今のところその気配が全くない。


Ⅱ 委員以外の修正協議担当
(敬称略)
<修正協議は国会審議の延長にある>
 自民党は伊吹文明、野田毅、町村信孝(税)、鴨下一郎、加藤勝信(社保)と、特別委員会の委員が補正協議担当となり、外部から宮澤洋一だけが税の助っ人として加わった。対する民主党は藤井裕久(税)、細川律夫、長妻昭(社保)と3人が外部で古本伸一郎だけが委員であった。
 法案は国会に提出され、審議の過程で問題点が明らかになり、修正が行われる。国会審議の中に修正につながるやりとりがポロポロ出てきていた。山内康一(みんなの党)から、しっかりこの点を指摘されている。
 ところが自民党委員は1人を除いて議場にいて議論を聞いているのに、民主党委員は1人しかいない。これではいくら3人の外部の者が有識者だといっても勝負にならない。その前に国会審議の軽視そのものである。与党の驕り以外の何物でもない。本当は自民党からすると馬鹿にするなということだが、実は審議を現場でフォローしてない相手は交渉相手として組みしやすかったに違いない。

<重量級自民党と軽量のみの民主党>
 自民党と対等に渡り合うには、藤井、細川、長妻も委員にしておくのが普通である。それをヒラ委員は、渡部恒三(14期)の次が私と2人の3期生、2期生2人、あとは1期生ばかりという軽量級布陣である。いくら自民党に当選回数が多い議員が沢山いて、民主党は半分が1期生といっても、上記の修正協議担当者の他に、逢沢一郎(8期)、金子一義(8期)と実力派を揃える自民党と比べ、あまりにひどい格差である。委員の構成をみたら、とても政治生命を賭ける委員態勢には程遠かった。
 
 その一方で、環境委員会で審議された原子力規制庁設置法案の修正協議は、全く逆の人選となった。党内議論は環境部門会議以外の者も数多く参加して行われてきており、有識者はむしろ外部に多くいたのに、修正協議は環境委員に限定された。こちらは現実より形式を重視したことになる。民主党の方針なりルールは一定せず、実がとれない形となっている。

<ブログにも書けない私の社保・税特委員の理由>
 私ごとになるので、詳細を語るのはやめるが、私は特別委員会の委員に指名された。その結果5月8、10、11日の3日間の本会議で7本の法案の審議を聞かなければならないという理由で、日米韓国会議員交流会議の米国出張を直前になって止めさせられている。TPPを巡り、米側の国会議員とじっくり意見交換してくるつもりだった。委員たるもの本会議の議論を聞いておくべしということから、私は不本意ながら黙って従った。
 それにもかかわらず、修正協議を修正内容が煮詰まる国会審議をナマで聞いていない委員以外に担当させている。上記の山内質問に対し、岡田副総理は、3人はその分野の有識者であり議事内容は後からでも知りえるし、委員と親密な連携をとっているから問題ない、と答弁している。ヒラ委員の私が本会議まで出て、審議を細大漏らさずフォローしなければならないというのとえらい違いである。何よりも支離滅裂な基準である。それでも、修正協議の結末が皆が納得いくものとなっているならよいが、高額所得者への課税強化の先送りをはじめとして、民主党の政策の根幹を揺るがす変更がなされ、厚労部門会議の熱心なメンバーの福田衣里子が、反対せざるを得ないような内容になってしまっているのである。

残念な大量離党 民主党の縮小 -胸が痛む加藤学議員の離党- (12.07.06を加筆修正) 12.07.09

<説得の電話で大忙し>
 私が、6月26日(火)の採決直前の代議士会で、「法案の担当者よりも汗を多くかいているのではないか」と発言し、何人かの皆さんから「わかっている」とエールをいただいたことは、既に前回のメールで述べた。しかし、それ以降も57人の反対・造反者、16名の私も含めた欠席・棄権者への電話や面談で大忙しであった。私の目的は民主党の分裂、縮小を避けること。このために再び全力を尽くすことになった。
 何人の人たちにも電話した。とは言っても次回の総選挙に、自らの選挙区のない比例単独候補と小沢一郎元代表の秘書等をやったりして「小沢命」というような人たちには電話は差し控えた。それ以外の人たちには全て電話し、数人には自ら部屋に出向き、話をして離党を思いとどまってくれるようにいろいろ話し合った。鳩山グループの造反者は、鳩山元首相も川内博史議員も離党はしないと明言しており、その分手間が省けた。繰り返しになるが、この人たちは、両院議員総会をきちんと開いていたら、造反しない人たちだったのだ。

<私の親しい友人が離党を思いとどまる>
 私の拙い説得のせいかどうかわからないが、小沢グループの45人の造反者のうち、7月2日の段階では5から6名が残ってくれることになった。名前を明かしていいと思うが、私の水産庁企画課長(1996年)以来15年以上の付き合いになる山田正彦・TPPを慎重に考える会の会長、長野5区の加藤学、1期生の時にずっと本会議ではとなりだった辻恵議員、そしてその友人で03年同期の中川浩議員、辻議員といつも一緒に行動している階猛議員、TPP・原発で心を同じくする橋本勉議員といったぐあいで、私が説得した周りの人たちだけが離党を思いとどまってくれたような気がする。
 しかし、離党を決意した者の一人が「篠原さんの一連の活動には感謝するし、できれば離党などしたくない。だけど、自分は全く逆に離党しようと呼びかける電話をかけている」と答える人もいた。そして、しばらく、政治全般、特に、民主党の将来について話し込んだ。離党の意思は固かった。民主党執行部のメチャクチャなやり方にさじを投げてしまったのだ。新聞論調とは違い、処分の重さはほとんど関係なく、反対して離党は覚悟の上だったことがうかがえる。

<絶妙な2ヶ月党員資格停止>
 そして7月3日、1期生議員の熊田篤嗣議員と福田衣里子議員の呼びかけで集まった、反対・棄権者のグループの会合が15:00から開かれていたところ、そこに処分の情報が寄せられた。原子力協定の棄権に対する対応もそうであったが、民主党の処分・措置は、大体ルール無視の高圧的なものが多い(注)。それを、今回は輿石幹事長と樽床幹事長代行が必死で考えて知恵を絞ってくれたのだろう。最近になくルールに基づいた、合法的な処分・措置であった。
 反対・造反者には、法案の数は論ぜず、一つでも反対したものは党員資格停止2ヶ月の処分、私のように欠席・棄権者には数に応じて、常任幹事会の厳重注意と、少ない人は幹事長の注意という措置だった。通常だと期間は6ヶ月、3ヶ月、1ヶ月が普通だが、厳しい処分をという党内の声を念頭におきつつ、9月の代表選の投票権を奪うことのないように配慮した微妙なものであった。例外は鳩山元首相で党員資格停止6ヶ月である。

<残念な加藤学議員の離党>
 これで少しは落ち着くかと思っていたところ、7月4日になって、思いがけないことが起ってしまった。足下の長野県の加藤学議員が突然離党届を出してしまった。その後、小沢グループの旗揚げが行われた会場に駆けつけ、遅れてすみませんと挨拶したという。翌日のマスコミは、昔の加藤紘一自民党幹事長の迷いをもじった「加藤の乱」と報じていた。誠に残念であるが、加藤議員も迷いに迷ったのだろう。前日の15:00からの「消費税研究会」の前身の会合には加藤学議員も出席しており、信濃毎日新聞には、近くに加藤学議員、遠くには鳩山元首相のその隣に私という写真が掲載されていた。
 私は、欠席・棄権であり、そんな前に座る筋合いではなかったが、なぜかしら鳩山元首相の席のとなりには私の席が用意してあり、その後も同じように座らされている。私が民主党の会合でこんな上席に座ることは滅多にないが、中間派の私をお目付け役あるいは暴走を抑える役ということで、意識的に幹部席においているのだろう。

<揺れ動く心はわからないでもない>
 加藤学議員は7月4日午前中に樽床幹事長代行に離党届を提出したそうだが、その前に北澤県連会長なり、同じ階のすぐ近くの私に相談するとまた決意が揺らぐ恐れがあるので、思い切って離党届を出しに行ったという。私は加藤議員の消費増税に対する反対の気持ちはよく承知していたので、「反対はしても離党はするな」と言い続けてきた。私の言に従ってくれたのだろう、辻議員、階議員が、小沢グループの会合で離党届も出していて、確認がなく離党するというのはよくないというすったもんだがあったけれども、加藤学議員はその時も既に離党はしないということで離党届を出していない。それだけ決意が固かったのにかかわらず、やはり離党したのはいろいろな考えがあったからだろう。
 加藤議員は、記者会見で自らの処分が重く、2ヶ月の党員資格停止は許しがたいこと、鳩山さんだけを6ヶ月にするということに合理性に欠ける、そして、私がかねてから主張している、両委員議員総会を開かない不合理さを例に挙げたという。輿石・樽床コンビの絶妙な処分の意味が十分分からなかったのが残念である。政治家は最後は自らの決断で進むしかない。

<胸が痛む離党議員の悩み>
 片一方では、水野智彦議員が、自分は承知していないということで離党を思いとどまり民主党に戻ってきた。皆、悩んでいるのだ。民主党小沢グループの離党による厚生労働委員会の委員を減らさなければならなくなったが、造反した罰か、水野智彦議員と初鹿明博議員がはずされたという。騒ぎを起こした罰といえば罰だが、もう少し温かい対応が必要ではないか。なぜなら、与党にとどまり、社会保障改革をやり抜くために戻ったのが明らかだからだ。それを、その機会をせばめているのであり、本人はガッカリしているだろう。
 野田総理やそのとりまきが、反対・造反した人たちが勝ち誇ったようなことを言っていて、賛成した人たちが、国民・有権者の反対の声に委縮しているというのは当たらない。万感の思いを込めて、反対・棄権したのであり、投票の形態であれこれ批判すべきでなく、党のルールどおり処分・処置をする以外にない。党の方針に喜んで反対する人はいない。苦渋の決断をして反対をしたのであり、それで離党するかしないか迷いに迷っていたのだろう。この気持ちを考えると私も心が痛む。賛成した人で、これほどまでに心労を抱えている人などいまい。

<岩手県連の国会議員の動き>
 小沢王国岩手県は、平野達男復興大臣はとうに小沢離れし大臣の座に就いている。今回、階議員と黄川田徹議員が民主党に残ることになった。黄川田議員は前回、小沢グループの政務三役が一斉に辞任した時には小沢さんの命に従っている。今回袂を分かつにあたり相当悩んだに違いない。畑浩治、菊地長右エ門の2衆議院議員と主濱了、藤原良信の2参議院議員が一緒に離党し、岩手県連は完全に二分されてしまった。
 私は、霞ヶ関勤務では政界の諸々の離合集散を横目で眺めてきたが、今回はあまりにも身近なことであり身につまされて傍観するわけにはいかなかった。小沢さんを羽田さん、北沢さんに置き換えてみると、私も頭がこんがらかって、夜眠れなくなった。

<ノーサイドの処分なしが王道>
 私はこの処分問題、理想はこれこそノーサイドであるべきと思っている。菅総理も野田総理も、代表選のあと口先では、ノーサイドと言っている。しかし、事実は違う。菅総理は小沢さんを遠ざけ、あるいは小沢さんを遠ざけようとする仙谷・岡田さんたちを放置していた。野田総理も形式的には党内融和を論じつつ、実体は露骨にお仲間、お友達優先で他を遠ざけている。
 野田総理は念願の法案が衆議院を通過したのであり、圧倒的に優位な立場にある。こういう時こそ処分も何もなしにノーサイドで一致結束していこうということを言い出すべきなのだ。そうなると小沢元代表等も離党する大義名分がほぼ半減し、仮に離党したとしてもなんと我儘な離党かということになる。野田総理は体は大きいが、それに見合った太っ腹になれなかった。私からみると、声を荒げて厳正な処分という姿は、見苦しいとしか映らなかった。

<分裂の根本的責任は強引な執行部>
 私は、このような離党を誘発したことは、小沢元代表等の動きにも問題があるとは思うが、それよりも何よりも強引な政権運営をする執行部にこそ大半の責任があると思っている。そして、誇り高い小沢元代表を「選挙の事だけを考えている政治家だ」、と言い放ち、誇りを傷つける発言を続ける前原政調会長、そして「厳正な処分」と勝ち誇ったように言う首相。私は見ていて正直言って不愉快になるだけであった。その結果がこれである。私が連日のように、最後の最後まであきらめず、週末も電話を掛け続けた。私ではなく、執行部こそこういう努力をすべきなのだ。

(注)
①処分と措置
 処分と一般的にいわれるが、正確にいうと処分(除籍、離党勧告、党員資格停止)というきついものと、措置(公職の辞任勧告、党公職・推薦の取り消し、役職停止・解任、厳重注意、注意)とに分かれる。重要法案の党議拘束違反は造反・反対が処分で、欠席・棄権が措置になるのが一般的である。

②自民党の例
  一番どぎつい処分は、小泉政権時の郵政民営化に造反・反対したものにみせたものであり、除籍しただけでなく、選挙区に女刺客を立てられ、多くが落選している。ただ、こんなきわどい時でも、欠席・棄権者は注意のみで不問に付された。
 かつて、イラク特措法について、大物の亀井静香、加藤紘一、古賀誠のいわゆる「リベラル3K」が棄権し話題となった。この時は、自民党の奥行きの深さが評価され、支持層が広がったといわれている。
 また、最近では郵政改革法案に、小泉進次郎、中川秀直、菅義偉の3議員が反対・造反したが、大島副総裁からの電話による注意ですませている。

③民主党の恣意的な処分・措置
 対決法案(条約)でもない原子力4法案について、女性議員や福島県関係の心ある反原発議員がかなり欠席・棄権した。まさに、民主党の良心・良識の発露だった。実質的には執行部が役職停止を命じたのだが、形は自ら辞表を書いたことになっている。ここでも、不透明さが残る。反原発グループからは拙速な再稼働を批判されているが、本件は民主党にもまともな人がいると、少しだけ民主党の支持をつなぎとめている。
 小沢元代表は倫理規範に反するとして、裁判が確定するまで党員資格停止となった。処分期間は6ヵ月が慣例だったそうで、小沢グループの若手は、この厳しい処分に苛立っていた。
 一方、女性議員は東京地裁でセクハラ発言が認定され敗訴した仙谷政調会長代行が、倫理規範違反で党員資格停止にならないことを問題視しているが、こちらは何も処分されていない。ここでも民主党のチグハグさが目立つ。

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