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2012年08月16日

原爆の日に「非核4原則」を考える-12.08.17-

<虚しい政局>
 ヒロシマ・ナガサキの原爆の日の季節、白けた政治が進行中である。野田政権は、「決められる政治」とやらを標榜し、国民に嫌われても正しい政策を実行するという自己陶酔めいた高揚感の下、ひたすら消費増税だけに突き進んでいる。その陰で社会保障の改革は遅々として進んでいない。一方で谷垣自民党総裁は自らの延命のため、ひたすら解散と口走り、国民にも我々にもよくわからない政局行動をとった。やれ不信任案を提出する、解散の約束がなければ参議院では社保税一体改革法の採決に応じないと次々に言い分を変え、やっと念願の党首会談にこぎつけた。
 すったもんだの挙句、8月9日夕刻、不信任案の採決が行われることになった。国民の眼には何が何だかさっぱり理解できないだろう。例によって各党の大演説が続き記名投票に至る間、私は虚しさを覚えながらこのブログを書いている。
 こうした政局のことは報告するのも恥ずかしいかぎりなのでこれでやめる。

<二重の被災国日本>
 今年は、広島長崎への原爆投下から67年目、これに関連して日本の行く末を考えてみたい。
 2011年3月11日までは、ヒロシマ・ナガサキ・チェルノブイリと並べて言われていたが、今は、ヒロシマ・ナガサキと分離して、チェルノブイリ・フクシマと言われるようになった。日本は、世界で唯一の被爆国だったが、今回はアメリカのスリーマイル、ソ連のチェルノブイリに続いての原発事故の被災国になってしまった。日本は、原爆と原発、二重のヒバク国(原爆による被爆、原発事故による被曝)である。

<見苦しい原発輸出>
その2重の苦しみを味わった日本が、いとも簡単に原発を再稼働し、あろうことか自国で新設できなくなった原発を輸出せんとしている。このあさましい行動に世界の環境団体、反核団体等が驚愕している。もう一つわかりやすく言えば、日本で使用を禁止された農薬(かつて広く使われ、その後、催奇性、発癌性があることがわかり即刻禁止されたホリドールやパラチオンを想定されたい)を、まだ禁止されていない発展途上国に輸出したことと同じなのである。つまり、日本は自国の安全は守るが、外国には平気で危険な物(原子爆弾、原発、劇薬)を輸出するという恥知らずなことをしているのである。

<恥ずべき原発輸出、トップセールス>
 先日久し振りに環境委員会で質問に立った。その時にふと気になったので、民主党が政権に就いてから、政府与党の官人がどのくらいベトナムへの原発輸出絡みで訪問したか調べてみて、これまた驚いた。何と3年弱の内に12チームが行っており、10年5月3日には仙谷国家戦略相と前原国土交通相が揃ってトップセールスとやらをしている。東京電力など3電力会社と東芝、日立、三菱重工も同行するという日本「原子力むら」官民一体セールスツアーである。

<原子力協定に棄権したが、今度は反対>
私は、今回消費増税・社会保障関連法案に手続き上の瑕疵があることから、本会議で棄権した。実はその前に、原発輸出のために必要とされる、ベトナム・ヨルダンとの原子力協定の国会承認の際にも棄権している。私のほかに、多くの良心的同僚議員、特に女性議員が反対ないし棄権している。そして、その時の処分として、既にあらゆる役職を停止させられ、党副幹事長と環境委員会理事を辞任させられている。
福島県選出の増子輝彦参議院議員もベトナムやヨルダンの人々を福島県民と同じ目に遭わせるわけにはいかないと棄権していた。今回、私に「2度目の棄権だから、鳩山さんと同じく6カ月の党員資格停止かと心配していたけど、ただの厳重注意でよかったな」と励ましとも慰めともつかない電話をいただいた。
ただ、私はこの次に再び同様の原子力協定の承認案件が上がってきた時は、党内の議論の場で大反対し、それでも通らない時は、今度は国会承認に反対することを決めている。なぜなら、特にヨルダンのような国土の小さな国で原発事故が起きたら、全国民が避難しなければならなくなるからだ。そのような悲劇を生むかもしれない、危険な原発を輸出するなど無責任も極まれりだからだ。

<核不拡散に逆行する原発輸出>
日本は、唯一の被爆国として1970年に発足した核不拡散防止条約(NPT)に加盟し、世界から核兵器をなくすため熱心に活動している国である。インド、パキスタン、イスラエルはNPTに加盟せず核を保有している。
NPTでは、加盟国は原発を輸出しても、決して原子爆弾を造らないと約束させる義務を負っている。その約束が原子力協定である。つまり、原子力発電の過程から原子爆弾を造ることができても、それはしないと約束させることである。
日本は世界で核廃絶に最も熱心に取り組んでいる国の一つであり、非核三原則(持たず、造らず、持ち込ませず)を堅持している。世界有数の非核国家、平和希求国家と認められていることから、国連安保理常任理事国である核保有国(米露中英仏)以外では唯一日本だけプルトニウムの再処理が公式に認められている。
他の国は原発製造に直結する恐れのある使用済核燃料の再処理が認められていない。
これだけ核軍縮が叫ばれているのに、世界にはまだ約2万発の核兵器があると推計されており、北朝鮮やイランは核開発を進めようとしている。日本が保有している45tものプルトニウムは原爆5000発分に相当する。

<色褪せる原子力の平和利用>
二重のヒバク国、日本は原発にも原爆にも最も慎重にならなければならない国である。今回の原発事故を機に、ドイツ、スイス、イタリアがすぐさま脱原発へと舵を切っている。
それにもかかわらず本家の日本政府は、安全点検もそこそこにしただけで平気で危うい原発を再稼働し、国民の反感を買い、毎週金曜日に多くの一般人たちに官邸前デモをしかけられている。デモに参加する国民が正常であり、野田政権が異常なのだ。
それよりも何よりも恥ずべきは、日本でも始末に負えない危険なものとして、日本国民に拒否されている原発を、平然と外国に輸出しようとしていることである。核の拡散につながるばかりでなく、輸出先の国民をも福島県と同じ危険に晒すかもしれないのだ。ヨルダン下院は原発建設計画の一時停止決議をしており、各国とも原子力の平和利用や絶対安全神話への疑問が広がりつつある。「核と人類は共存できない」(平和運動家の被爆者故森滝市郎氏の言葉)ことが明らかになりつつある。

<日本には非核4原則が必要>
日本は、もっとつつましい国にならなければならない。国民に対しては、消費増税を強いる野田政権が、東芝、日立製作所、三菱重工の原発メーカーには、原子力協定を結んで、原発を輸出する途を開く手助けをするのは、矛盾以外の何物でもない。
日本は、核兵器(原子爆弾)にも原発にも世界で一番厳しい態度を取っていい国である。核兵器廃絶に向けてリーダーシップを発揮するとともに、最も襟を正していかなければならない。そのためには非核3原則に、原発輸出禁止も加えて、非核4原則を宣言していくべきである。
原爆の日にあたり、『原発廃止で世代責任を果たす』(創森社)で主張した一端を述べさせていただいた次第である。