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「野田首相解散前TPP交渉参加表明報道」(読売11月9日)の波紋(12年総選挙総括・民主党再生シリーズ その2)13.02.06

<1日42本の電話>
 11月9日(金)、私は同僚議員、記者等から42本の電話をいただいた。この日は、私が楽しみにしていたIBM主催の伊豆会議という会合に1泊2日で出掛けており、日本のリーダー育成についての議論をしている最中であった。国会議員では、他に林芳正、猪口邦子の2人の自民党参議院議員が参加していた。なぜ電話がかかってきたかと言うと、私が解散とTPPについて予測したとおりのことが起きつつあり、そのことが読売新聞の1面トップに書かれたからである。

<アメリカ大統領選の終了まで日本は動けず>
 私は『TPPはいらない!』(日本評論社)という本で、アメリカは大統領選挙が終わるまでは日本に何もして欲しくない、つまり、アメリカは日本にボールがあるという状態にしておきたいので、その意向を受けた日本は何も動けない、と予測していた。
 日本が参加するとなると、アメリカ自動車工業会が反対し、労働組合(AFL-CIO)も反対する。それに対し、農業界、医薬品業界、保険業界等は日本を早く仲間に入れろと言い、どちらかの判断をすると、どちらかが反オバマ勢力になっていく。
 今までもアメリカ大統領選挙の年になると、アメリカ絡みの外交交渉等が一切行われなくなっていた。そして、この半年近く、TPPにも全く進展はみられなかった。

<アメリカ大統領選後の悪い予感>
 そして、私はその後、野田前首相は消費増税の他にもう一つTPP交渉参加表明という業績を残したいという思いから、大統領選後に、TPP交渉参加表明を画策するだろうと予測した。
 一番悪い予測は、野田前首相が解散を決意した時に、最後っ屁で参加表明をすることである。政権を維持するためには、TPP反対で離党者が出て不信任案が通ることは避けなければならない。6人以上離党すれば少数与党に転落する。しかし政権を投げ出す覚悟ができれば、あとは怖いものがない。従って、野田前首相にTPPの参加表明をさせないためには、野田政権の延命を図る必要があり、「私はそのために議運の理事としても総括幹事長として汗をかいている」と冗談を言ってきた。

<4閣僚のTPP前のめり発言>
 そして前述のとおり、読売新聞が「首相、年内解散を検討、TPP争点に参加表明直後」と報じた。野田首相はTPP参加に慎重な自民党のとの違いを際立たせ、衆院選の対立軸にできると判断していると解説していた。(実際に見事な対立軸となり、地方・農村部で大敗北する結果となった)12日(月)、13日(火)と予算委員会が開かれ、14日(水)に党首討論が行われ、15日(木)特例公債法案が衆議院を通過し、参議院に送られて、ほぼ通過することが見えてきたからである。残るは「0増5減」定数削減の法律をいかに進めるかということだけである。これと呼応するかのように、岡田副総理、前原国家戦略担当相、枝野経済産業相、玄葉外相の主要4閣僚がそれぞれ違う表現であるが、TPP参加に前向きな発言をしている。

<前原国家戦略担当相のズレた主張>
 特に前原元国家戦略担当相はTPPをマニフェストに書き入れ、来るべき総選挙の争点にすべきだ、と言い出した。第3極がTPPへの推進をしており、自民党はTPPへ参加すべきでないと言っていることから、総選挙において、第3極との連携も可能になるというのだ。
 これは、私からすると誠に愚かなことである。なぜなら、総選挙後に第3極と連携しようにも、その前に民主党議員がバタバタと落選し、連立相手にもなれない状態になってしまうからだ。(事実57議席となり、連携相手とみなされなくなってしまった。)みんなの党も日本維新の会も石原新党も皆都会政党であるのに対し、民主党には多くの地方選挙区からの議席がある。そのような状況下で、みすみす選挙に負ける政策を対立軸にするというのだ。前原国家戦略担当相は、12月9日の閣議後記者会見でも「TPP反対か賛成かを公約に掲げ重点化すべきだ」と解散を煽り、岡田副総理も「結論はそんなに先送りできない」とTPP交渉への早期参加に前向きな発言が相次いだ。
 TPPについての世論調査は、開国という美名により50%近くが賛成し、反対はその半分である。ただ、TPPを強力に支持している層は財界や一部輸出企業等が主であり、他は何となく賛成しているにすぎない。それに対して、反対者は絶対反対なのであり。地方、農村、医療関係者等の猛反発が予想される。民主党にとって何の足しにもならない。地方で大量の落選者を出すだけである。

<政権与党を放り出す野田総理>
 野田前首相は甚だ勝手な人である。大量の離反者が出ようと構わず、自分の業績作りだけに血眼になっている。私はその意味では、政権交代後の3人の代表の中で鳩山元代表が一番、民主党のことを考えていたと評価している。普天間基地で相当混乱に陥ったことから自ら退き、小沢元幹事長にも同時に退いてもらい、発足当初は60%を超える支持率の菅内閣を誕生させた。しかし、菅元首相は選挙期間中に消費増税などと口走り、参議院の大敗北の原因を作り、なお且つ、それにも懲りず、2010年10月1日の所信表明でTPPを突然言い出し、農村部の猛反発を喰らっている。
 菅首相も野田首相も、やっと民主党が手にした与党の地位の維持について全く考えていないということである。これには、国会に戻ってくることができなくなる同僚議員が哀れでならない。

<TPPを総理の実績作りには使わせない>
 いずれにしろ、総選挙でTPPが政局の道具として扱われ、レイムダック状態になった首相の業績作りに使われてはたまらない。TPPはかねてから私が主張している通り、日本の社会に甚大な打撃を与え、更には日本を壊す基にもなる非常にいかがわしい協定だからである。また外交上もアメリカの中国囲い込みに使われる、危険な政治協定でもある。
 参加表明は絶対に阻止しなければならない。