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(その6)駆け込みTPP交渉参加は何も得られずに終わる-13.03.13-

<新参国は新しい議論ができず>
 東京(中日)新聞が、3月8日 一面トップで「TPP後発国に制約、先発国の合意再交渉できず、参加条件政府公表せず」が波紋を投げかけている。11年11月のホノルルAPECの折の日本の参加の意思表明をきっかけに、カナダとメキシコが参加表明した。ところが、加墨両国に対して、「既に合意した条文を後発の参加国は原則として受け入れ、交渉を打ち切る終結権もなく再協議も要求できない」などの不利な条件を提示し、両国はそれを受け入れ、念書をかわしていたと報じている。

<92年7月の内閣官房の回答>
 「TPPを慎重に考える会」と民主党の「経済連携PT」においても6~7月にかけて、本件が真剣に議論された。我々も心配なので、政府を追求した結果、7月25日には、以下のような回答が内閣官房から提出されている。その意味では、我々民主党の関係者にはわかっていた話である。

 参加国で合意済みのルールについて再協議(リオープン)できるか否かについては、合意済みの事項をリオープンしないとの条件が、メキシコやカナダの参加に際して示されたとの情報もあるが、交渉参加9か国はコメントしないとの立場をとっている。いずれにせよ、引き続き情報収集していきたい。

 3月8日の予算委員会では、元同僚の松野頼久(維新、TPPを慎重に考える会元幹事長)と笠井亮(共産党)がこの点を突いて追及した。こんなことでは、交渉に参加しても何の意味もないからである。今後、参加するとしたら、日本も同じ条件を突き付けられるに違いない。

<日本はサインするだけしかできない>
 そこに昨日(3月11日)、「TPPを考える国民会議」の会合等に出席してもらっているアメリカのNPOから、シンガポールで開催中のTPP交渉におけるアメリカ側の重大な発言がメールで届けられた。
日本の交渉参加が決定されたが、交渉参加は早くとも9月、そして、10月インドネシアのバリのAPEC会合でサインするだけだというのだ。つまり、日本の交渉期間はわずか1カ月しかないことになる。 
 こうした短期間の交渉で、各国のEPA・FTAで例外扱いされている約850品目の例外をどのぐらい勝ち取れるのだろうか。私はほぼ不可能に近いと思っている。

<TPPは雇用を大きく喪失>
 オバマ大統領は「輸出の倍増と、200万人の雇用の創出」のためにTPPを推進すると言い続けてきている。それは、TPPの元祖とも言うべき、北米自由貿易協定(NAFTA)によりアメリカの雇用が数10万人に規模で失われていたからである。だからこそ自動車工業界と並んで、労働組合のAFL-CIO(日本の連合に当たる)も、TPPに大反対している。ところが、我が国では雇用の創出等についてはほとんど何も示されていない。言訳として内閣府が作っているG-TAPモデルという計算では雇用は一定という条件だからと述べている。つまり、日本は、雇用については何も考慮していないのである。TPPは、日本の雇用を大きく失うことを意味している。

<さっぱり出てこないメリット・デメリットの試算>
 他に、いくつもあやふやなことがあるが、その一つが日本のTPP参加のメリット・デメリットである。1年半前に内閣府と農水省と経産省がそれぞれ別々の算定をしていることは承知の通りである。そして今、損得を明らかにしてからTPP交渉への参加を決めるということから、再計算が行われている。しかし、一向に公表される気配がなかったが、最近の報道によると、安倍総理の参加表明の日に併せて公表されるという。これもまた国民に十分に情報を提供し、議論した上で結論を得ていくという約束に対する違反である。
 本来、TPP交渉の中で行われるべきものを、その前提条件とやらで、BSE、保険、自動車についての事前の交渉が行われていた。政府は、ずっと関連交渉ではあるが、事前の前提条件の交渉ではないと言訳してきたが、先日の共同声明ではしゃあしゃあと第三パラグラフに書かれている。その後、アメリカにとってはセンシティブな工業製品である自動車の関税(アメリカの場合、車2.5%、トラック25%)は、そのまま継続されることとなっているらしい。となると、日本の輸出の大体3分の1ぐらいが自動車で占められているというので、メリットはずっと少なくなることになる。更に、コメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉等の関税がそのまま維持できるとなると、デメリットの計算も農水省の計算よりずっと少なくなるはずである。しかし、あやふやな約束ではとても影響なしとはいえないはずである。
 今でもGDPが0.1%ぐらいしか増えないといわれる中で、なぜ日本社会の伝統、文化、制度をこなごなにしかねないTPPに参加するのだろうか。

<台湾の現実的対応>
 2~3日前、BSEをめぐって6年間に及び、ほぼ没交渉だったアメリカと台湾の通商交渉が行われた。その後の記者会見で、台湾は2020年をめどにTPP交渉に参加するかどうか決めるという。非常に現実的な対応である。私は、TPPは、その見本と言われる米韓FTAの結果を3~5年じっくりみてから決めればよいと思っている。なぜならば、アメリカからみれば、日本の入らないTPPはあまり経済的な意味がない。俄か仕立てで交渉に参加して何も得られないよりも、功罪をよく見極めた上で、ダメなものはダメ(国益に沿わないものは受け入れない)と明確に示した上で加入交渉をしていけばよい。