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(その4)パックス・アメリカ(日米同盟、TPP)よりも PAXアジアでアジアに平和を―PAX、Park(朴)、Abe(安倍)、Xi(習)― 13.03.08

 2011年10月、野田前首相が突然APECホノルル会合(11月13日)でTPP交渉への参加表明をしたので党で議論をしてほしいということになり、経済連携PT(通称「鉢呂PT」が始まった。唐突な首相発言の合わせた形で、突貫工事で議論が進められた。このことは、当時、シリーズブログで書いたので記述は避けるが、ほとんどが反対議員ばかりで、推進しようとする議員はほんの僅かしか参加しなかった。

<正直な吉良議員の日米同盟論>
 そしうた中、緒方林太郎議員だけがずっとただ1人参加し続けた。本来中立でなければならない吉良州司事務局長が、あまりに推進派が少ないので、と言い訳しつつ議論に加わった。2人とも考え方は違うが、議員としての立居振舞いは立派であった。その吉良意見の一つが、結局は、日米同盟がありアメリカなしに中国とも対峙できないので、中国牽制のためにもアメリカの望むとおりTPPに加盟していかなければならない、というものであった。これについては、相当違う意見も出たが、TPP参加なり推進派の何人かが心の底に抱いていることである。
 安倍首相は、憲法改正し、自衛隊と国防軍と名も変え、集団的自衛権の行使も認めていくべきという典型的保守派に属する。もっとタカ派なり保守になると石原慎太郎・維新の会代表に行き着き、日米同盟から脱却して日本の真の独立をということになる。安倍首相は日米同盟を基軸として、日本の国際的地位を維持していくという通俗的な(?)考えであることがわかる。こうした視点から、吉良説のごとくアメリカの望むことには応じていかなければならないという弱腰外交が見えてくる。

<TPPと日米同盟は別に考える>
 しかし、軍事的意味合いを重視した日米同盟の深化のためにTPPに入るなど本末転倒である。自民党筋からは、3年3ヶ月の民主党政権の間にこじれた日米同盟を修複するためにもTPPに入らないとならないと、いう嫌味が聞こえてくる。しかし、安全保障なり国際政治外交上の観点から日本がTPPに入るのが当然というのは、論理の飛躍以外の何物でもない。いくら強引なアメリカでも表だってここまで露骨な要求はしていない。日本が相変わらずのお土産、忖度外交をしているだけである。

<アメリカばかりへ肩入れするのは危険>
 森・プ―チン会談もあり、北方領土問題もひょっとして急展開していくかもしれない。中国との間でこじれた尖閣諸島問題等をこのまま放置しておくわけにはいかないし、朴新大統領を迎えた韓国とも善隣関係を維持していかなければならない。日本は外交上もアメリカ1国に振り回されるTPPばかりに現を抜かしておれる状況にない。
 アメリカとはTPP以外に何も懸案はない。1980年代の後半から90年代当初にかけての通商摩擦と比べたらよくわかる。アメリカがどうしても入れと圧力をかけてきているものではなく、決めるのは日本だと言い続けている。それをBSEで譲歩し、国民の生命を危険に晒し、自動車・保険で前払いして自らアメリカの陣中に飛び込んでいくというのは、どうみても正気の沙汰ではない。

<PAXアジアこそ日本の向かう途>
 かつて麻生太郎元首相「アジアの自由と繁栄の弧」で、アジアの共通の価値観を持つ国々と協力の重要性をうたった。鳩山由紀夫元首相は、東アジア共同体構想を掲げ、アジアが手をたずさえて発展していくべきと主張した。
 アジアにヨーロッパと同じ共同体はすぐにはできない。それでも、アングロ・サクソンの新自由主義的スタイルよりはずっとアジア諸国の中の共通点が多い。ゆるやかにつながりを強めていくのが最善の道である。朴 喆熙 (パク・ チョルヒ) ソウル大学校国際大学院教授は、3月3日の東京新聞のコラムで、韓国のPark(朴槿恵・パククネ)大統領、日本のAbe、そして中国のXi(習 近平)初期の3人の指導者の頭文字をとったPAXアジアによる世界の安定と繁栄に貢献すべしと主張している。

<日本はアジアに重点を置くべき>
 それを、アメリカのルール何でも押しつるTPPに日本がお人よしにもノコノコ入っていくのは暴挙以外の何物でもない。日米構造協議以来のアメリカの世界戦略にはまるだけだ。
 中国が経済面でも軍事面でも台頭していることは事実である。それに対抗するためだからといってアメリカにだけ肩入れするのは愚かなことである。朴教授ではないが日中韓でアジア的なルールを決めたほうがずっと自然である。日本は、世界1、2の米中両大国の狭間に立って両国の覇権を牽制し、かつ両国のつなぎ役をすべきなのだ。それを、片方に全面的に妥協しながら入り込むことはない。地政学的観点からにしてもTPPへの拙速な加入は、日本の外交をしばるだけだ。
 日本は、アセアン、韓国、ロシアとも交流を深め、アジアの軸をきちんと立てた上で、どのようにでも対応できる柔らかい立ち位置を維持すべきなのだ。おそらくインドも含め、日本の周辺諸国は、そうした日本の役割を期待しているに違いない。