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(その2)60年与党自民党の悪知恵 ―安倍政権の選挙公約破りは徹底的に糾弾すべし―13.03.1

2012年末の選挙でTPPは争点にならなかったというのが、プロの選挙通の解説である。空中戦すなわち党首討論等ではでなかったものの、実際は、有権者がTPPを推進せんとする民主党に厳しいお灸をすえたことは、「民主党幹部たちのTPP前のめり発言で農村部・地方の小選挙区はほぼ全滅」(2月8日ブログ)で述べたとおりである。

<大反対は選挙のポーズだけか?>
 賢い日本の政権与党自民党は、TPPについて6項目を挙げ、その第一に「聖域なき関税撤廃がある限りTPP交渉への参加に反対」を位置付け、農村部・地方で圧勝した。その公約を履行する「TPP交渉への参加を即時に撤回する会」(森山裕会長)になんと236人(384人の61%)も加入し、安倍首相の訪米に際して、何度も会合を持ち気勢をあげていた。
 安倍訪米の一連の成果(?)報道を受け、更に頻繁に会合が開かれたが、2月26日役員会で首相一任が決まるや、27日には、外交・経済調査会(衛藤征士郎会長)が、早々とTPP交渉への参加を容認し、条件闘争に入ることになった。皮肉で言えば、お見事というしかない。

<関税だけを大袈裟に問題視>
 TPPについて推進という公約は、みんなの党と民主党の2党のみ。維新の会も適当にお茶を濁し、交渉に参加するが国益に沿わなければ撤退という中途半端なものにしていた。それに対し、自民党は大反対のそぶりを見せつつ、実は聖域なき関税撤廃さえクリアーできれば参加してもいいという余韻を残した微妙な公約だった。そして、TPPはあたかも関税撤廃だけが大問題であり、その問題がなんとかなれば参加してもかまわないという間違った認識を広めていった。そして、嘘とごまかしだらけの例の共同声明である。

<韓国の状況を見守る>
 先進国日本で、このようなごまかしが国とマスコミを総動員して罷り通ることが驚きである。私は改めて長年の政権与党の狡猾な知恵に舌を巻くとともに、これでだまされている農民・国民のために引き続きTPPのいかがわしさに警笛を鳴らし、交渉の透明性・公開性を要求性していくつもりである。
 山田正彦さんのあとを受けてTPPを慎重に考える会の会長を務めることになり、再開第1回に、岩月浩二弁護士を講師にISDのいかがわしさについて議論を行った。今日3月1日の第2回は、韓国の弁護士で早くから米韓FTAの危険性を指摘してきた宋基昊(ソンギボ)さんが来日されていたので、発効後1年強経過した米韓FTA絡みの問題点を話してもらった。

<明らかな自民党の公約違反>
 自民党の農林部会とは、私は30年の農林水産省勤務の中でどっぷりと付き合せていただいた。その縁で羽田孜元首相の勧めで国会議員になっている。自民党のもっとも自民党的な農林族の皆さんの行動は、手に取るようにわかるといってもいいぐらいだ。今やかなり引退されてしまったが、多くの重鎮の皆さんと親しく付き合せていただいた。もめる政策の落としどころを知り、そこに持って行くノウハウは、一朝一夕にできあがるものではないが、私はその過程を陰からじっくりと見せてもらってきた。
 自民党幹部と政府首脳と農林族議員の間に相当なやりとりがあったであろう。農政を一緒に推進してきた元同僚(?)の悪口は避けたいが、やはり安倍政権の重大な公約違反であり、その点は野党として厳しく突いていかねばならない。

<保利・尾辻両長老の正論>
 新聞紙上でしか知らないが、私は2人の老練な政治家が正論を述べておられることに心が洗われる思いがした。保利耕輔さんは「両院議員総会を開いた上で首相に一任するべきだ」と、私が社会保障と税の一体改革の三党合意についてしたことと同じことを主張されていた。尾辻秀久さんは「首相一任に反対する決議を行うよう」要求されたという。しかし、今や自民党もそれを受け入れる良心なり余裕が残っていなかったようだ。
 私は、2人の主張に私の姿を重ね合せた。2人とも邪念がなく、本当に日本の将来を憂い、TPPに大反対されながらもまとめていこうとされているのだ。今後、自民党の中でいい子になって出世していく必要もないため、何事にも正々堂々と対処されているのだ。私も、誰におもねることなく、私のよかれと思うことを述べていくことにしている。私は、政界での経験度合は圧倒的に少ないが、残された政界での期間は同じであり、捨て身で政治に取り組んでいる点は共通である。それに対し、中堅・若手の抵抗する迫力が伝わってこない。私が農林省に入省したての頃の中川一郎、渡辺美智雄、浜田幸一、中尾栄一等のうるさ方を懐かしく思い出した。民主党の統治能力の欠如が問われているが、自民党政治も明らかに活力を失っている。よくいわれる日本の政治の劣化である。

<民主党は反TPPで反転攻勢以外に途はない>
 民主党は政策決定システムも問題視されているが、極めていい加減なやり方でできあがった12年末のマニフェストもその悪例であり、11月16日の夕方、政調会長主催で大衆討論が行われ、19日(月)に最終回は30人で始め、最後まで残ったのは9人、大半がTPP反対だった。それにもかかわらず、TPPをすすめ政府が判断するというマニフェストになった。野田執行部の強引な政権運営、党運営が極限状態に達していたといってよい。これにより、民主党は農村部・地方で大敗した。民主党はせっかく全国に議員がいる総合政党になったというのに、元の都市政党に戻ってしまった。
今後、再び政権奪取するためには、農村部・地方の議員に復活してもらわないとならない。それを、でたらめな手法で強引に策定されたマニフェストにこだわっていては始まらない。民主党は野党になったのである。思い切った反転攻勢以外に再生の途は残されていないことを肝に銘ずべきである。そしてその一つが反TPPの姿勢であり、公約違反を追求することなのだ。

<孤軍奮闘の決意>
 2月28日午前、予算委員会が行われ、そこで前原誠司委員が「TPPには賛成だが」と言いつつ政府を追及していたという(私は忙しくて見ていなかった)。その件で視聴者から、なんと軟弱な質問かとクレームの電話をいただいた。民主党の姿勢も定まらない。
 TPP反対の民主党衆議院議員の多くは、総選挙の前に離党してしまった。その上に大半が落選し、TPPを慎重に考える会の現職議員メンバーは激減してしまった。2011年11月は反対者が上回ったのが今は様変わりである。しかし、我々は孤軍奮闘、がんばって反対の声を出し続け、TPPの問題点を指摘し続けていくつもりである。