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2013年03月12日

(その5)露呈した自民党の外交能力-13.03.12-

<自民党の外交交渉能力自慢>
 衆議院選挙中、自民党の安倍総裁は「聖域なき関税撤廃がある限り、TPP交渉は参加しない」と話すときに、我々自民党は交渉能力もあり、交渉に参加しても聖域を勝ち取る外交能力があるということをよく言っていた。伏線を張っていたのであろう。政権をとるやいなや、そして訪米するやいなや、オバマ大統領から聖域なき関税撤廃はないのだという言質を獲ったと嘘と誤魔化しの大本営発表をし、マスコミも動員して、もうTPPに入る環境は整ったと言いふらし始めた。

<ロンドン・エコノミストの客観的報道-政治家とメディアのホラ話>
 この点については前々回のブログで伝えたとおりである。そんな報道をしているのは日本だけであり、アメリカの新聞は、「和気あいあいとしたいいムードの会談ではあったが、具体的な成果は何一つなかった」とニューヨークタイムズが正直に伝えているぐらいである。そして、日米共同声明から10日たった3月2日、イギリスのロンドン・エコノミスト誌は「日米、ほら話(spin)と実体(substance)というタイトルの下、以下のように論説している。

日米関係:演出と実体(英エコノミスト誌 2013年3月2日号)
 米国は安倍晋三に感銘を受けるべきなのか?それとも懸念を覚えるべきなのか?
「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻した」。安倍晋三首相は2月22日、ワシントンでバラク・オバマ米大統領との初めての会談を終えた後、こう自画自賛した。
 日本国内では、政治家やメディアが無批判に安倍首相に同調する発言を繰り返した。彼らは安倍首相が経済、外交の影響力に関して「日本は復活した」と力強く断言たことを喜んだ。
 しかし米国では、訪米の評価はかなり異なる。ニューヨークのコロンビア大学のジェラルド・カーチス氏は、安倍首相と取り巻きが今回の訪米を、「歴史的に重要な会談であるかのように」強調していたと指摘する。

 そして、安倍政権に対しては、尖閣諸島問題や歴史的認識について、あまりのタカ派的発言について危惧を抱くとともに、日本のTPPへの参加についても、交渉がむしろ遅れるのではないかと心配していると報じている。日本の真っ赤な嘘の翼賛報道振りがいかに異常かわかってくる。

<意味のない第1、第2パラグラフ>
 もしアメリカと日本の世界1位と3位の経済大国が、お互いに例外なき関税撤廃というTPPの基礎的なルールを、お互いにそんな例外はなしにしようと言ったなら一大事である。このことをアメリカだけが勝手に約束してしまったということなら、同じ農産物輸出国のカナダ、オーストラリア、ニュージーランドはカンカンになって怒っていいはずである。そうして日本はあろうことに、そうしてもらえばアメリカの工業製品についても関税撤廃しなくていいのだということを第2パラグラフに書いている。ところが各国から何の反応も何のクレームもつけられていない。つまりは、よく言われているように、すべての関税を交渉のテーブルにつけるという第1パラグラフ、同様に第2パラグラフも何の意味もないということなる。

<日米共同声明の眼目>
 それならば、共同声明の意味はどこにあるかというと、圧倒的に第3パラグラフである。小学生の低学年なら意味が分からないかもしれない。しかし、中学入試にこの共同声明が出て、一番大事なところはどこかと問うたならば、多分ほとんどの中学受験生は、第3パラグラフの保険と自動車について日本はアメリカに相当譲らなければならいという点が最も重要なポイントであると答えるだろう。その意味では、日本の主要5大全国紙の読解能力は、中学受験生以下ということになる。
 専ら日本がアメリカに前払いを約束させられた部分だけが異彩を放っているのである。つまり、安倍首相が自慢した自民党の外交能力というのはこの程度であり、一方的に追いまくられるだけ、そして妥協を重ねるだけということが早々と露呈されているのだ。この声明の狙いはただ一つ、自民党の公約を正当化するためであり、このために大きな国益を失ってしまっているのだ。
 それを9月までに大筋合意し、今年中に終了するとオバマ大統領は言っており、なかなかその通りにはいくまい。アメリカが早々と日本のTPP参加をアメリカ議会に通告し、90日の通告ルールがクリアされて日本が交渉に参加できるのは、どんなに早くても7月か8月。実質的な交渉期限まで2~3か月ぐらいしかない。 
 今までのEPA・FTAでは9500品目のうち約1割の850品目の関税が維持されていたが、この露呈した自民党の稚拙な外交交渉能力で日本の例外措置を勝ち取ることはほぼ不可能である。

<どこかも吹っ飛ぶアジアの成長の取り組み>
 そうしたことが報道される中、次々に日本の各紙も日本の大妥協振り、あるいは厳しい参加条件ぶりを報道しつつある。毎日新聞は、自動車についてはアメリカに対する関税がほとんど下げられことはないと報じた。アメリカに対して関税が下げられないということは、他の11か国すべてについての自動車の関税が下げられないと同じことである。最恵国待品というルール(1国に認められる好条件は他にも認められる)により、アメリカにだけ関税を許し、他の国には下げさせるということは認められないからである。貿易の自由化により、アジアの成長を取り込む、輸出産業をもっと強くする、そのためにTPPに入るといってきたのに、日本が自動車の輸出を増せないならGDPを上げることができなくなってしまう。

<綻びだらけの日米共同声明>
 経済界があれだけ自由化、関税ゼロといいっていたのに、自動車の関税をゼロにできないことを、よく黙っているなと不思議な思いがする。これも裏を返せば、関税だけが大事なのではないということである。嘘で塗り固められた日米共同声明、こんなところにももうすでに綻びが出始めている。つまり、自慢の文言は、実は自民党の外交能力の欠如の証であり、日本はTPPに参加する前に相当な妥協を強いられていることなのだ。

2013年03月08日

(その4)パックス・アメリカ(日米同盟、TPP)よりも PAXアジアでアジアに平和を―PAX、Park(朴)、Abe(安倍)、Xi(習)― 13.03.08

 2011年10月、野田前首相が突然APECホノルル会合(11月13日)でTPP交渉への参加表明をしたので党で議論をしてほしいということになり、経済連携PT(通称「鉢呂PT」が始まった。唐突な首相発言の合わせた形で、突貫工事で議論が進められた。このことは、当時、シリーズブログで書いたので記述は避けるが、ほとんどが反対議員ばかりで、推進しようとする議員はほんの僅かしか参加しなかった。

<正直な吉良議員の日米同盟論>
 そしうた中、緒方林太郎議員だけがずっとただ1人参加し続けた。本来中立でなければならない吉良州司事務局長が、あまりに推進派が少ないので、と言い訳しつつ議論に加わった。2人とも考え方は違うが、議員としての立居振舞いは立派であった。その吉良意見の一つが、結局は、日米同盟がありアメリカなしに中国とも対峙できないので、中国牽制のためにもアメリカの望むとおりTPPに加盟していかなければならない、というものであった。これについては、相当違う意見も出たが、TPP参加なり推進派の何人かが心の底に抱いていることである。
 安倍首相は、憲法改正し、自衛隊と国防軍と名も変え、集団的自衛権の行使も認めていくべきという典型的保守派に属する。もっとタカ派なり保守になると石原慎太郎・維新の会代表に行き着き、日米同盟から脱却して日本の真の独立をということになる。安倍首相は日米同盟を基軸として、日本の国際的地位を維持していくという通俗的な(?)考えであることがわかる。こうした視点から、吉良説のごとくアメリカの望むことには応じていかなければならないという弱腰外交が見えてくる。

<TPPと日米同盟は別に考える>
 しかし、軍事的意味合いを重視した日米同盟の深化のためにTPPに入るなど本末転倒である。自民党筋からは、3年3ヶ月の民主党政権の間にこじれた日米同盟を修複するためにもTPPに入らないとならないと、いう嫌味が聞こえてくる。しかし、安全保障なり国際政治外交上の観点から日本がTPPに入るのが当然というのは、論理の飛躍以外の何物でもない。いくら強引なアメリカでも表だってここまで露骨な要求はしていない。日本が相変わらずのお土産、忖度外交をしているだけである。

<アメリカばかりへ肩入れするのは危険>
 森・プ―チン会談もあり、北方領土問題もひょっとして急展開していくかもしれない。中国との間でこじれた尖閣諸島問題等をこのまま放置しておくわけにはいかないし、朴新大統領を迎えた韓国とも善隣関係を維持していかなければならない。日本は外交上もアメリカ1国に振り回されるTPPばかりに現を抜かしておれる状況にない。
 アメリカとはTPP以外に何も懸案はない。1980年代の後半から90年代当初にかけての通商摩擦と比べたらよくわかる。アメリカがどうしても入れと圧力をかけてきているものではなく、決めるのは日本だと言い続けている。それをBSEで譲歩し、国民の生命を危険に晒し、自動車・保険で前払いして自らアメリカの陣中に飛び込んでいくというのは、どうみても正気の沙汰ではない。

<PAXアジアこそ日本の向かう途>
 かつて麻生太郎元首相「アジアの自由と繁栄の弧」で、アジアの共通の価値観を持つ国々と協力の重要性をうたった。鳩山由紀夫元首相は、東アジア共同体構想を掲げ、アジアが手をたずさえて発展していくべきと主張した。
 アジアにヨーロッパと同じ共同体はすぐにはできない。それでも、アングロ・サクソンの新自由主義的スタイルよりはずっとアジア諸国の中の共通点が多い。ゆるやかにつながりを強めていくのが最善の道である。朴 喆熙 (パク・ チョルヒ) ソウル大学校国際大学院教授は、3月3日の東京新聞のコラムで、韓国のPark(朴槿恵・パククネ)大統領、日本のAbe、そして中国のXi(習 近平)初期の3人の指導者の頭文字をとったPAXアジアによる世界の安定と繁栄に貢献すべしと主張している。

<日本はアジアに重点を置くべき>
 それを、アメリカのルール何でも押しつるTPPに日本がお人よしにもノコノコ入っていくのは暴挙以外の何物でもない。日米構造協議以来のアメリカの世界戦略にはまるだけだ。
 中国が経済面でも軍事面でも台頭していることは事実である。それに対抗するためだからといってアメリカにだけ肩入れするのは愚かなことである。朴教授ではないが日中韓でアジア的なルールを決めたほうがずっと自然である。日本は、世界1、2の米中両大国の狭間に立って両国の覇権を牽制し、かつ両国のつなぎ役をすべきなのだ。それを、片方に全面的に妥協しながら入り込むことはない。地政学的観点からにしてもTPPへの拙速な加入は、日本の外交をしばるだけだ。
 日本は、アセアン、韓国、ロシアとも交流を深め、アジアの軸をきちんと立てた上で、どのようにでも対応できる柔らかい立ち位置を維持すべきなのだ。おそらくインドも含め、日本の周辺諸国は、そうした日本の役割を期待しているに違いない。

2013年03月07日

(その3)TPP大翼賛報道が国の針路を誤らせる-13.03.07-

 3/2(土)、私は昨年同様にほとんど誰もいない議員会館で、しこしことペンを走らせている。昨年は禁(政治家の間は本は書かない)を破って、「TPPはいらない」「原発廃止で世代責任を果たす」を執筆中だった。気分を害す同僚議員がいるかもしれないが、私は何よりも、日本の将来を危うくするTPPと原発について、同僚議員にこそ勉強してもらいたかった。だからいわゆる「励ます会」を初めて開き、お土産に本を持ち帰ってもらった。2冊となると3,200円、大半は招待で来てもらっているのでケチかもしれないが1冊にしてもらった。ところが、古い本を含め5冊持ち帰った猛者もいるという。ちゃんと読んでいてくれるなら私のかいた汗も報われるのだが、どうも耳学問だけが得意なのが国会議員、どこかの本棚に死蔵されていると思うと力が抜けてくる。
 2月上旬、民主党の再生のために年末の選挙総括を11回のシリーズでまとめたが、その間に安倍政権で、TPPの拙速な参加への動きがあったため、短いレポートとした形で数回連続して発信していくことにする。そして、その準備のため、長野のTPP交渉参加反対の大集会の後帰京し、会館で1人仕事をし始めている。地元の有権者との対話の機会が少なくなるが、秘書のいう「うちの代議士は全国区(?)」であり、TPPの行方を固唾を呑んで見守っている人たちのために。シリーズブログをお届けすることにした。

(その3)TPP大翼賛報道が国の針路を誤らせる
 戦前、政界は大政翼賛会となり、マスコミもこぞって戦争を美化し、新聞・ラジオも大本営発表の翼賛報道一色になってしまった。そしてそれが日本国民を戦争に駆り立て、日本国民の不幸を増大することになった。翼賛報道がいかに滑稽かは、北朝鮮の国営TVのあの元気のいいおばさんアナウンサーの喋り口をみるとよくわかる。北朝鮮の人々は、あの報道でミサイル発射も核実験の成功もまじめに喜び、アメリカを悪の帝国と思っているのだ。

<原発絶対安全神話も翼賛報道の典型例>
 今の日本は報道の自由があり、そんなことは全くないと思っている人が大半だと思うが、実は残念ながら我が日本国では今も全く同じことが繰り返されている。
 長く続いたことでいえば、原発安全神話であり、原子力ムラの言うことを鵜呑みにし、特に読売新聞などは、社主正力松太郎のテコ入れにより、ずっと原発推進の提灯記事を書き続けてきた。そしてあの福島第一原発事故のあとも、まだその姿勢がかわらないでいる。完全に社会の木鐸の役目を放棄してしまっている。悲しいことに、TPPについても全く同じことが言える。いやもっとひどい偏向報道がなされている。

<見苦しいTPP礼賛偏向報道>
 今原発については、東京新聞は大反対、朝日と毎日は脱原発支持:そして読売・サンケイ・日経が原発推進と分かれているのに対し、TPPについては、2010年秋以来、5大紙は理由もなくこぞって推進一辺倒なのだ。菅直人首相が10月1日に唐突にTPPを言い出した時に、全紙がそれこそ盲目的にTPP礼賛を続けている。今も内容が定かでないが、2年前にはもっと何物かわからなかったし、数紙は「太平洋版FTA」と称しつつ鎖国が開国という通俗的なスローガンだけで、推進し続けている。
 今はその雛形の米韓FTAの内容が明らかになり、その危険性も徐々に理解されつつある。それにもかかわらず、2月23日から24日にかけての各紙は安倍首相がオバマ大統領との2国間会談で大妥協をとつけたかのごとく翼賛報道である。
 東京新聞と地方紙がこれとは真逆の論を展開しており、この点が戦前の報道よりより少しましかもしれない。毎日新聞だけが、24日に「関税に「聖域」に代償」と少々批判めいた見出しにしているのが、私からするとせめてもの救いである。

<日米の報道の温度差>
 さて、この交渉始める前の異例の共同声明とやらの歴史的成果は、もう一方の当事国アメリカでは、どう報じられているのだろうか。
 そもそも日本で大問題になっていてもアメリカではごく小さくしか扱われないことが多い。逆もある。例えばかつて軍用機FSX問題でアメリカの軍事技術の日本への流出は国会でも大問題になっていたが、日本では何も報じられておらず、逆に日本では連日米牛肉・柑橘の輸入自由化問題ばかりが報じられていた。日本国民の関心も重要度も大きく異なることが多い。
 まず、「聖域なき関税化」は、eliminate tariffs with no sanctuaryと変な英語になっている。そもそもそんな言い方は11ヶ国による本家のTPP交渉では使われていない。うがった見方をすれば、今日の妥協を演出するため、世論を誘導するために造り出された言葉にすぎない。そして、安倍首相に乗せられたマスコミが聖域をなくしたと大宣伝している。
 私は、この開かれた(?)国で、こんなみえみえの茶番報道が許されていいのかと疑問を感じざるをえない。

<NYタイムズの真逆の「具体的成果なし」の小見出し報道>
 アメリカの主要各紙は一応22日の日米首脳会議で報じているが、まず中国問題や米軍普天間基地移転等外交問題を中心に触れており、TPPは後のほう扱われているにすぎない。ニューヨークタイムス(NYタイムズ)は、一応共同声明は紹介しつつ、「全ての物品が交渉の対象となる」ことに日米合意したことを伝えただけで、「具体的な結果は何も生じていない」(A meeting produces little in the way of concrete results)と言う小見出しまでつけている。それどころかミシガン州のレビン下院議員(民主党、自動車議員と知られる)の「日本がTPP交渉に入る前に、日本の政策や習慣に確かな変化をもたらすものでなければならない」という注文発言を載せている。

<冷たいアメリカの主要紙の報道>
 ファイナンシャルタイムズは、日米2国間会談に先立ち、アメリカの役人のコメント「他国が(センシティブ品目の関税を維持すると)同じような保証を求めてくる恐れがあることから、安倍は明白なものは何も得られないだろう」を引用し、更に安倍が何の拘束力もない(non-committal)声明をだらだらと説明する、とも予測した。そしてほぼその通りに進んだ。アメリカの貿易政策専門の情報誌US Trade Insideは、フォアマン(国家安全保障補佐官)がアメリカの自動車メーカー向けの市場アクセスの改善がなければ、日本は交渉に入れないと発言したこと、また、アメリカが日本のセンシティブ品目の例外扱いを許すかという問いには何も明確に答えなかったこと等、日本の報道とはかなり違うことをだけを報じている。他の主要紙をみても、日本が浮かれているような解説はどこをみても見当たらない。

<韓国の状況こそ詳細に報道すべし>
 私はまず米韓FTAで韓国がどうなるか3~5年ほど様子をみてから考えればよいと思っている。
 多分韓国はあらゆる格差が拡大し相当ギスギスしてくるはずである。3月1日(金)に宋基昊(ソンギホ)弁護士は、資料としてありとあらゆる分野で何もかも法律改正が必要とされたことを指摘した。 日本のマスコミには、アメリカを「経済領土」とし、日本に先駆けて「先占」したというFTA大国・韓国の様子こそ詳細に報じ、日本がTPPに入るか入らないかの判断材料を国民に提供することが求められている。それを、いつもながらのアメリカ偏重のヨイショ記事だけでは、読者がネットに離れていくのは仕方あるまい。
 韓国には、全国紙が8紙ほどあり、ハンギョレ新聞、京郷新聞の2紙は米韓FTAに絶対反対の立場を貫いている。前述の宋基昊弁護士は、谷岡郁子、舟山康江等が反TPP、脱原発で民主党を離党し、「みどりの風」結成したことも、これらの新聞で承知していた。ところが日本には、財界の肩を持つ新聞しか存在せず、韓国の動きをきちんと報ずる新聞が存在しない。この点では、韓国のマスコミのほうがずっと民主化されている。
 外へ拡大していくTPPを礼讃するのは、戦前日本が国際連盟から脱退し、日独伊防共協定を結び、満州へそして中国・東南アジアへと進出するのと礼讃する論調とだぶってくる。マスコミは戦争拡大を煽り、ブレーキをかけられなかったのだ。日本のメディアにもっと冷静な客観的な報道を望むのは私だけではあるまい。

2013年03月01日

(その2)60年与党自民党の悪知恵 ―安倍政権の選挙公約破りは徹底的に糾弾すべし―13.03.1

2012年末の選挙でTPPは争点にならなかったというのが、プロの選挙通の解説である。空中戦すなわち党首討論等ではでなかったものの、実際は、有権者がTPPを推進せんとする民主党に厳しいお灸をすえたことは、「民主党幹部たちのTPP前のめり発言で農村部・地方の小選挙区はほぼ全滅」(2月8日ブログ)で述べたとおりである。

<大反対は選挙のポーズだけか?>
 賢い日本の政権与党自民党は、TPPについて6項目を挙げ、その第一に「聖域なき関税撤廃がある限りTPP交渉への参加に反対」を位置付け、農村部・地方で圧勝した。その公約を履行する「TPP交渉への参加を即時に撤回する会」(森山裕会長)になんと236人(384人の61%)も加入し、安倍首相の訪米に際して、何度も会合を持ち気勢をあげていた。
 安倍訪米の一連の成果(?)報道を受け、更に頻繁に会合が開かれたが、2月26日役員会で首相一任が決まるや、27日には、外交・経済調査会(衛藤征士郎会長)が、早々とTPP交渉への参加を容認し、条件闘争に入ることになった。皮肉で言えば、お見事というしかない。

<関税だけを大袈裟に問題視>
 TPPについて推進という公約は、みんなの党と民主党の2党のみ。維新の会も適当にお茶を濁し、交渉に参加するが国益に沿わなければ撤退という中途半端なものにしていた。それに対し、自民党は大反対のそぶりを見せつつ、実は聖域なき関税撤廃さえクリアーできれば参加してもいいという余韻を残した微妙な公約だった。そして、TPPはあたかも関税撤廃だけが大問題であり、その問題がなんとかなれば参加してもかまわないという間違った認識を広めていった。そして、嘘とごまかしだらけの例の共同声明である。

<韓国の状況を見守る>
 先進国日本で、このようなごまかしが国とマスコミを総動員して罷り通ることが驚きである。私は改めて長年の政権与党の狡猾な知恵に舌を巻くとともに、これでだまされている農民・国民のために引き続きTPPのいかがわしさに警笛を鳴らし、交渉の透明性・公開性を要求性していくつもりである。
 山田正彦さんのあとを受けてTPPを慎重に考える会の会長を務めることになり、再開第1回に、岩月浩二弁護士を講師にISDのいかがわしさについて議論を行った。今日3月1日の第2回は、韓国の弁護士で早くから米韓FTAの危険性を指摘してきた宋基昊(ソンギボ)さんが来日されていたので、発効後1年強経過した米韓FTA絡みの問題点を話してもらった。

<明らかな自民党の公約違反>
 自民党の農林部会とは、私は30年の農林水産省勤務の中でどっぷりと付き合せていただいた。その縁で羽田孜元首相の勧めで国会議員になっている。自民党のもっとも自民党的な農林族の皆さんの行動は、手に取るようにわかるといってもいいぐらいだ。今やかなり引退されてしまったが、多くの重鎮の皆さんと親しく付き合せていただいた。もめる政策の落としどころを知り、そこに持って行くノウハウは、一朝一夕にできあがるものではないが、私はその過程を陰からじっくりと見せてもらってきた。
 自民党幹部と政府首脳と農林族議員の間に相当なやりとりがあったであろう。農政を一緒に推進してきた元同僚(?)の悪口は避けたいが、やはり安倍政権の重大な公約違反であり、その点は野党として厳しく突いていかねばならない。

<保利・尾辻両長老の正論>
 新聞紙上でしか知らないが、私は2人の老練な政治家が正論を述べておられることに心が洗われる思いがした。保利耕輔さんは「両院議員総会を開いた上で首相に一任するべきだ」と、私が社会保障と税の一体改革の三党合意についてしたことと同じことを主張されていた。尾辻秀久さんは「首相一任に反対する決議を行うよう」要求されたという。しかし、今や自民党もそれを受け入れる良心なり余裕が残っていなかったようだ。
 私は、2人の主張に私の姿を重ね合せた。2人とも邪念がなく、本当に日本の将来を憂い、TPPに大反対されながらもまとめていこうとされているのだ。今後、自民党の中でいい子になって出世していく必要もないため、何事にも正々堂々と対処されているのだ。私も、誰におもねることなく、私のよかれと思うことを述べていくことにしている。私は、政界での経験度合は圧倒的に少ないが、残された政界での期間は同じであり、捨て身で政治に取り組んでいる点は共通である。それに対し、中堅・若手の抵抗する迫力が伝わってこない。私が農林省に入省したての頃の中川一郎、渡辺美智雄、浜田幸一、中尾栄一等のうるさ方を懐かしく思い出した。民主党の統治能力の欠如が問われているが、自民党政治も明らかに活力を失っている。よくいわれる日本の政治の劣化である。

<民主党は反TPPで反転攻勢以外に途はない>
 民主党は政策決定システムも問題視されているが、極めていい加減なやり方でできあがった12年末のマニフェストもその悪例であり、11月16日の夕方、政調会長主催で大衆討論が行われ、19日(月)に最終回は30人で始め、最後まで残ったのは9人、大半がTPP反対だった。それにもかかわらず、TPPをすすめ政府が判断するというマニフェストになった。野田執行部の強引な政権運営、党運営が極限状態に達していたといってよい。これにより、民主党は農村部・地方で大敗した。民主党はせっかく全国に議員がいる総合政党になったというのに、元の都市政党に戻ってしまった。
今後、再び政権奪取するためには、農村部・地方の議員に復活してもらわないとならない。それを、でたらめな手法で強引に策定されたマニフェストにこだわっていては始まらない。民主党は野党になったのである。思い切った反転攻勢以外に再生の途は残されていないことを肝に銘ずべきである。そしてその一つが反TPPの姿勢であり、公約違反を追求することなのだ。

<孤軍奮闘の決意>
 2月28日午前、予算委員会が行われ、そこで前原誠司委員が「TPPには賛成だが」と言いつつ政府を追及していたという(私は忙しくて見ていなかった)。その件で視聴者から、なんと軟弱な質問かとクレームの電話をいただいた。民主党の姿勢も定まらない。
 TPP反対の民主党衆議院議員の多くは、総選挙の前に離党してしまった。その上に大半が落選し、TPPを慎重に考える会の現職議員メンバーは激減してしまった。2011年11月は反対者が上回ったのが今は様変わりである。しかし、我々は孤軍奮闘、がんばって反対の声を出し続け、TPPの問題点を指摘し続けていくつもりである。

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