« 民主党の低迷からの脱出の糸口-厳しい参院選結果から遠くに見えてくるもの-参議院選挙篠原報告その2 13.08.13 | メイン | 限界集落→崩壊集落、限界市町村→崩壊市町村 -デトロイト破綻が教えるTPPの悪影響- 13.08.20 »

政界再編・野党統合は必須-ただし、今は動く時にあらず- 参議院選挙篠原報告その3-13.08.18-

<あってよかった民主中心の選挙協力>
 12年末の総選挙は自民党が圧勝し294議席を占めたが、得票数はそれほど増えておらず、野党が分裂したがために自民党が得しただけにすぎない。この厳然たる事実をわきまえれば、参議院選は野党第一党の民主党中心になって選挙協力すべきというのが自明の理だったが、その選挙協力の中心にそうならなかった。
最終段階で民主とみどりが3県(山形、島根、長崎)で連携しただけで、あとはバラバラという状況の下、2勝29敗という悲惨な結果となった。

<野党選挙協力のシミュレーション>
 私は12年末総選挙の各党の比例区の票で、野党が参議院選挙で一致結束したらどうなるか探ってみた。
 1人区が単純で一番よくわかりやすい。単なる数合わせだが面白いことが判った。
「自・公」対「民・維・み」の3党協力だと反自民13勝18敗、そこに生活が加わると20勝11敗、社民が加わると25勝6敗となる。07選挙が29の1人区で23勝6敗であったのと同じ構図になってくる。つまり、07年と今と、「自・公」対野党の得票差はほとんど変わっていないことになる。野党が07と同じく一丸となって戦う状態になれば、山口、鹿児島のように自民が圧倒的に強い6県は負けるが、他の県は大体勝てることを示している。
我々野党はこのことをしかと心に刻み込まなければいけない。

<ありえた民主とみどりの統合>
 民主から見ると、みどりの風は元々最も民主党らしい主張をしていて、いつでも一緒に戦えたはずである。例えば、維新とみんなが決裂した時に、民主とみどりが「より」を戻すということになれば、いつも分裂ばかりしている民主もやっと大人の政党になったかということで、大方の有権者の理解を得て、かなり風向きを変えられたのではないか。
 今回みどりの風も新党大地も比例区に数名の候補者を立てて戦ったが、それぞれ43万票と52万票しか集まらず、死に票となった。その挙句、選挙が終わったとたん「みどりの風の役割は終わった」というのでは困るのだ。

<唐突な野党統合は軽はずみで慌て過ぎ>
 細野幹事長は、東京で議席を取れなかったから責任をとって辞任すると言い出し、民主党の混乱の幕開けとなった。
更に、参院選前に野党間の選挙協力をほとんどせずにおいて、7月21日まだ投票箱が閉まらないうちに、「民・維・み」の3党幹事長が統合を話し合っていたことが判明した。順序やタイミングがズレている。
 その間に、細野幹事長の仲間が代表選をすべしと言い出し、その一方で他の野党との統合を画策し、自らがその新党の中心になろうとしていることが見えてきた。あまりにも見え透いた行動であり大方の理解は得られず、幹事長辞任となった。

<維新もみんなも分裂の兆し>
 みんなは、この3党幹事長会合を心よく思わない渡辺代表と江田幹事長の間で内紛が悪化し、とうとう江田が更送された。組織として当然のことである。報告を受けていないと怒る渡辺代表に対し、江田は「大したことはない、茶飲み話程度のことをいちいち報告する必要はない」と苦しい言い訳をしていたが、詭弁である。
 石原代表は 安倍政権とともに憲法改正に固執しているが、橋下はそこまで入れ込んでいない。また、石原はTPPに反対、橋下は推進と2人の政策の方向性が異なり、これらも波乱が待ち受けている。そこに安倍政権が、旗振り役で維新のブレーン堺屋太一を内閣参与に指名するという癖玉を打ち込んだ。野党協力に揺れる橋下に「自民に揺れろ」というサインである。

<政策の違いがありすぎる民と「維・み」>
維新は例の慰安婦発言で橋下代表の求心力は下がりっぱなしで、12年総選挙の54議席の勢いを失い、みんなと共産と同じ8議席しか得られなかった。安倍首相にすり寄ったかと思うと、今は野党再編と叫び始め、支離滅裂である。原発についても反対の姿勢からすぐ容認に変えるなど、全く一貫性のない主張ばかりが続く。橋下のポピュリズムの言動は今後も更に馬脚を表わしてくるだろう。
 「維・み」を第三極と呼ぶが、その保守的タカ派的主張からして自民党の別動隊であり、1.5極でしかない。フランスの極右政党ル・ペン派とよく似ており、民主党の連携相手ではない。渡辺代表の「政策が先」という姿勢は肯ける。民主党がただ単に数合わせなりムードで、全く政策の異なる「維・み」と手を組んでいくとなると、寄せ集まり再び分裂・離党を繰り返すだけになるのがオチである。民主党はその辛さを十分経験したはずである。

<細川・羽田政権と民主党政権の違いを認識すべし>
 細川・羽田非自民政権は8会派の統合による寄せ集め内閣だった。短命に終わり、中心だった新進党はすぐに解体してしまった。以後、羽田孜は政権交代できる健全野党を目指してきた。鳩山民主党政権は、はじめての選挙により政権交代した非自民政権となったが、12年もかかった。
 今、民主党を新進党並みに解体して野党再編をという声もあるが、この苦難の歴史をわきまえたら、曲がりなりにも一党で与党を経験した民主党を解体すべきでないことはよくわかってくる。政権奪取にも政権維持にも積木細工ではなく一党のほうが盤石であり、新進党もあのまま解体せずにいればもっと早く政権交代できたかもしれないのだ。

<アリ地獄では動かず民主党の活力アップに徹する>
 民主党は、今はあたふたせずに腰を据えて民主党自体の立て直しに全力を挙げ、野党統合は3年後の選挙を見据えてもっと先に考えるべきことである。今はドン底の底、いやアリ地獄の中にいるようなものであり、下手に動けばますます深みにはまる。他の弱小野党の山師の誘惑に乗ってはならず、7月21日の与野党幹事長会合なり、3党の若手会合とやらといった軽挙妄動は慎しまなければならない。
 
<自民党に対抗できるのは民主党しかないことをアピール>
もっといえば、民主党は自民党に対抗する政党として民主党しかありえないことを国民にアピールすることである。国民は自民党の国政選挙2連勝はあまりに勝たせすぎたとやっと気付き始めている。そして、自民党の暴走や維新・みんなの自民党への迎合に警戒感を抱き始めている。
自民党は議席数を増やして驕りが出てくると派閥抗争が激化するのが習性である。TPPの5品目の例外がとれなかったりすると党内が騒然となる可能性がなきにしもあらずである。今こそ民主党の踏ん張り所である。