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民主党の低迷からの脱出の糸口-厳しい参院選結果から遠くに見えてくるもの-参議院選挙篠原報告その2 13.08.13

<三野党統合で都市政党としての再生は無理>
 民主党は、5人区の東京と4人区の大阪で議席を失い、辛うじて4人区の神奈川で1議席確保できただけ。3県の3人区では、愛知と千葉は1議席取れたものの、埼玉では失っている。つまり東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏15議席中、たった2議席しかなくなり、大阪はゼロ、愛知は1議席で、三大都市圏22議席中ただ3議席のみの7分の1政党に成り下がった。このような評価を受けた政党には、とても都市部での再生は無理であろう。
それでは、維新とみんなと一緒になればという答えはなくはない。しかし、維新は近畿の地域政党にすぎない。みんなも地方区で3議席を得られたとはいえ、行田邦子(元民主党みどりの風)と松沢成文(元知事)は、党よりも個人で得た議席であり、全国的な総合政党ではない。従って、仮に3党が政策の違いを乗り越えて統合したところで、都市部で急激に支持を拡大していくことは難しい。

<TPPで農村・地方こそ信用を失う>
 一方、民主党は地方農村地域では、農業者戸別所得補償により支持を拡げて行った。それが参院選で最高潮に達したのが、07年の参院選では29の1人区で23(民主18)勝6敗となり、それに引き続く09年の衆院選で、308議席と大勝した。民主党は、史上最も農村の意見を代弁できる政党だったともいえる。
 ところが、菅政権の唐突なTPP交渉参加表明、続く野田政権の関係閣僚(岡田、前原、枝野、玄葉)も含めた度重なる前のめり大合唱により、地方・農村が民主党に対して不安を募らせていった。そして極めつきは、12年末の民主党でマニフェスト原案の「TPP推進」で、地方・農村方に愛想をつかされ大量の議席を失った(13年2月8日「民主党幹部たちのTPP前のめり発言で農村部・地方の小選挙区はほぼ全滅」)。
 かくして、民主党は1区現象が過去のものとなっただけでなく、依然としてせっかく政権獲得のきっかけを与えてくれた農村地域でも完全に拒否され、更に今回の参院選では31の1人区で当選ゼロと総スカンを喰らってしまった。民主党の政策はほぼ完全に否定されたのであり、民主党政権への失望が続いている。

<平野の当選と舟山の善戦に見えてくる光明>
 12年末の総選挙、13年6月の都議選、そして7月の参院選が嫌・民主党の厳然たる事実を嫌というほど見せつけている。誰もあまり気にとめなかったようだが、12年9月の党員・サポーターによる代表選が34%の投票率にすぎなかったことが、今の結末を予測していたといえる(前2回とも60~70%だった)。つまり、民主党の支持者ですら、誰が代表になろうと同じと白けており、一般有権者は尚更民主党には冷やかになりつつあった。野田首相は信任されたと勘違いしたのか、自爆解散という大チョンボをしでかしてしまった。
 しかし、12年末総選挙のでは、よく指摘されるように、自民党の得票が増えたのではなく、野党側がバラけて1党だけ有利になっただけなのだ。また、参院選と同日に投開票され、自民党が推薦候補を擁立した5市長選で自民党が1勝4敗と惨敗している。参院選直後の世論調査では、安倍内閣や自民党の支持率が大幅に下がり(共同通信社:前回の68.0%から56.2%、JNN:前回71.5%から64.6%)、民主党の支持率はJNNでは5.2%から6.7%へと僅かながら上がっている。こうした事実は、国民は何も自民党を絶対的に支持しているわけではなく、民主党がだらしなさすぎているために、自民党が有利になっているだけなことを示している。これが我々にとってはせめてもの救いであり、要は民主党さえしっかり立ち直り信頼を回復すれば、非自民の受け皿に戻れる可能性が残っているのだ。
 平野と舟山の善戦が、その兆しなりヒントを暗示していることに気がつかねばならない。

<民主党という名を捨て、新しく生まれ変わったことを形で示す>
 それでは具体的にどうすればよいのか。
 一つは、民主党という名を捨てることである(13年2月15日「党名変更で国民に民主党の再生をアピール」)。つまり二人とも民主党ではないからこそ、有権者の支持を受けたのである。
 7月23日の常任幹事会で、参院選で公認を外された大河原雅子の応援をしたことを理由に、突然、菅直人元総理の除籍が提案された。私はこんなことは無視するか、せいぜい厳重注意ですませるべきものと思う。それをわざと事を荒立たせているのはいかにも拙劣である。党の規律というなら、常任幹事会の総意として中野寛成議長が解散をすべきでないと野田佳彦総理に伝えたのに、それを無視して解散し、57人しか当選できない大失策をやらかした野田元総理の罪のほうがはるかに大きい。これこそ除籍に相当する(13年2月22日「野田前首相の議員辞職から始まる民主党の解党的出直し」)。

<古い顔は再登場を控えるべし>
私は、すぐ代表を代えろとか、党員資格停止処分にしろという民主党のスタイルにはとてもついていけない。仲間は大切にしなくてはならない。しかし、この際にさんざん民主党をダメにした2人の元総理に責任をとって政界からお引き取り願うというなら、考えられなくもない。ついでに、昔の顔の典型の民主党崩壊6人組も奥に引っ込んでいてもらうのが、せめてもの罪滅ぼしになる。新しい顔が前面に出ることが民主党が思い切って出直す証しとなり、新生振りをアピールすることになるからだ。
ともかく、民主党が変わったことを「形」でも示す必要がある。

<民主党らしい政策を全面に打ち出す>
 二つには、民主党らしい政策を鮮明にすることである。
舟山康江は、反TPP・脱原発・反96条憲法改正という、最も民主党らしい政策をずっと主張し続けた。TPPをうやむやにし、原発の再稼動も仕方がないなどとフニャフニャした態度では誰も支持してくれない。その点では、自民党のいい加減な社会保障制度改革案を受け入れ難いとして、三党合意から離脱したのは、正しい判断である。
 民主党の1人区で 最も得票率の高かった松浦大悟も 舟山と全く同じ主張を明確にしていたのである。それに対し、2001年に平野とともに唯二の非自民への当選を勝ち得た高橋千秋が、岡田元副総理のお膝元にもかかわらず、かなりの差で落選した。その一因として、農協出身であるにも関わらず、TPPについて煮え切らない主張に終始してしまい農村部の支持を失ったことがあげられる。

<政治家として旗幟を鮮明にし、政党として団結>
 三つには、政治家として自分のスタイルを持ち、有権者にアピールすることである。論旨が明確な舟山の主張も質問も国民にすぐ伝わる。前述のとおり、反TPP、脱原発等の象徴的存在となり、安倍政権にとっては目の上のタンコブになっていた。平野の場合は、復興大臣ポストを無難にこなしている。国民はよくみているのである。民主党はもともと基礎票の少ない政党であり、浮動票(無党派層)が頼りなのだ。そうした中、民主党を再生するには平野や舟山のように党にかかわりなく、個人として人で投票してもらえる議員を多く造ることである。
 四つには、野党が分裂しないで一緒に戦うこと、つまり二大政党として自民党に対抗していくことである。
 今回、維新・みんなは1人区での擁立をほとんど諦めたが、反自民となり、民主に協力したわけでもないが。そうした中、山形では、民主も立てず舟山を推薦し一丸となって戦ったから善戦できたのである。他でも三重、山梨は、民・み・維統一候補であれば勝てていた。やはり野党票を分断させては自民の一人勝ちを許すだけである。

<民主党を中心に総合政党を再構築>
再生の途はそれほどむずかしい手法を要するわけではなく、政治や政治家の基本に忠実に行動することである。
 もっと具体的にいうならば、民主党を何とか建て直し、308議席(09総選挙)や62議席(07年参院選)で得た元同僚を、1日も早く国会に戻す道筋を立てることである。