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予算委員会報告4 TPPは公約違反 ‐国益を損なう場合は撤退‐ 13.11.17

 3番目が問題のTPPである。自民党のTPP対応は嘘だらけなので、「嘘」とパネルに書きたかったが、あまりにどぎついので「公約違反→国益を損なう場合は撤退」としておいた。私の後に質問する大串博志委員がTPPについて追及したいということなので、彼に任せることにして時間をあまりかけなかった。政策で質問をするならば、本当はTPPだけに絞りたかったが、予算委員会1日目であり、TPPを慎重に考える会の会長の趣味ばかりを前面に出すわけにはいかない。

<稲田行政改革担当相がTPPに反対する理由>
 ここで問い質したかったことはいろいろあるが、まずは稲田朋美行政改革担当相に質問した。彼女には、TPPにはずっと反対をしていたことをそのまま述べてもらいたかったが、閣僚になったためにあまり明確な答えは返ってこなかった。彼女は女性の保守をもって任じ、発言をし、活動をしてきている。TPPは日本の制度・社会・文化をないがしろにする手段になってしまうからである。それに対して、保守の代表のような安倍首相がTPPにのめり込んでいくのはおかしいのではないか、と追及をするための前座質問で、稲田大臣を見習うべしと使いたかったが、政治家の信念を忘れた答弁で時間の無駄だった。

<日米共同のルール作りと自主憲法の矛盾>
 安倍首相は、6年前「愛国心」を教育基本法に盛り込んでいる。しかし、日米共同で世界共通のルールを作ることにより、その愛すべき日本がTPPで変質してしまって、どこの国だか判らない国(?)になり下がっていいのだろうか。その一方で、憲法だけはアメリカから押し付けられたものではなく、自主憲法を制定しなければならないと主張する。憲法も純粋に日本的なものでならないとしたら、極めて日本的なものでいいはずである。韓国はなんと米韓FTAの後、60もの法律改正を強いられている。TPPに入ったら日本の場合も何十もの法律を改定して訳がわからなくなっていくのは必定である。ところがその見本たるアメリカの法律や制度は金属疲労を起こし、デトロイト市だけでなく国家も債務不履行を起こさんとしているのは皮肉である。自国で危うい制度をTPP参加国に押しつけるのは傲慢であり、それを受け入れる国は卑屈すぎる。

<真正保守はTPP反対が筋>
 自民党の中で最もTPPに反対して声を張り上げている方は、真正保守の保利耕輔さんと尾辻秀久さんだ。保利さんは自主憲法制定に全力をあげておられる。尾辻秀久さんは、「みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会」会長として、秋の靖国神社の大祭においても先頭に立ってお参りされている。真正保守ならば、TPPにはもっと反対するのが筋である。民主党の保守(?)は、TPPにも(前回触れた原発にも)反対していない。軍事力だけが趣味の薄っぺらな保守にすぎないからである。

<TPPは日米双方の鬼門か>
 触れなかったが、日米並行協議こそ日本の通商外交史上最大の外交的敗北ではないかと思っている。安倍首相は「60年政権の座にあった自民党は民主党と異なり、もっと外交手腕がある」と言い切っていた。ところが、今回のTPPに関する交渉は、敗北の連続である。これに気付いているのだろう、安倍首相のTPPに関する発言は、憲法改正や原発と比べて歯切れが悪い。うまく進んでいないからである。特に問題なのは日本の国家主権を踏みにじるISDSで、これなど保守政治家安倍首相からすれば、真っ先に反対しなければならないことだが、どうもそういうことが少しも聞こえてこない。
 しかし、安倍首相はどこまでも幸運である。ひょっとするとアメリカ議会がオバマケアですっかり対決ムードになり、TPA(貿易促進権限法)が通らない可能性がでてきたのだ。このままいくと、TPPの協定にこぎつけてもアメリカ議会で承認されず、空中分解しかねない。となると、今度は「日本が国益を守るために頑張ったから決裂した」とか、また調子のいいことが言える状況が生まれる可能性もある。
 どうやらTPPは日米双方の政権にとって鬼門となりつつあるようだ。

<菅首相と同じ間違いを繰り返す安倍首相>
 安倍首相は、菅元首相がTPPについて「第三の開国」だと言っていることは、交渉術として稚拙だと批判した。自分の国が開国していない、閉鎖的であるといって交渉を始めるのは愚かなことこの上なく、批判は的を射ている。
 しかし、安倍首相も菅元首相と同じ穴の貉である。APECの場で、日本の規制の岩盤をドリルで砕く刃になると得意になって力説した。TPPや日米並行協議で、日本の規制緩和をと要求されているのに、日本は規制だらけの国だから、自分が先頭に立ってやると、大見得を切っているのである。そして、日本を世界で一番自由にビジネスできる国にする、つまり、アメリカを本拠とし国家など歯牙にもかけず、自らの最大利益のために活動する多国籍企業にやりたい放題を許すということに他ならない。しかも、日本人の生活を犠牲にしてということになる。
 私は安倍首相のほうがむしろトンチンカン振りがひどいと思っている。残念なのは、それにもかかわらず日本のマスメディアや評論家がこの売国的愚かさに気付かないことである。アメリカでも13日、150人以上の国会議員がオバマ大統領に対して多国籍企業の専横を許すTPPについて議会と十分協議するように求め、TPA(貿易促進権限法)に反対する書簡を送り付けた。

<愛すべき日本社会が崩れてしまう>
 安倍首相が、日本を愛していることは手に取るようにわかる。「新しい国」「美しい国」の本の中では、三丁目の夕日のような横のつながりのある社会を理想としている。私も同じである。しかし、TPPは確実に三丁目の夕日の世界を壊していくのである。TPPは瑞穂の国の穏やかな資本主義が、ウォール街の強欲資本主義に乗っ取られる手段になってしまうのである。安倍首相はいつも油谷町のはっと息をのむような棚田を死守すると言っているが、その死守する手段は全く示されたことがない。言葉だけが踊り、実態は逆の棚田を破壊する方向にまっしぐらに進んでいる。
 小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」と言って見事に再生させた。安倍首相は「日本をとり戻す」と言って日本を壊している。

<3年間頑張ってほしい理由>
 最後であるが、どうも安倍首相には慢心があり、民主党的総理になりつつあり、気を付けるようにと結んだ。自虐的(自党虐的?)結びにどっと沸いた。
 他に、3年間ぐらいもってほしいと余計なことも言った。同僚議員から何で3年間かと問い質されたが、あまりくるくると首相が代わるのはよくないので、自民党政権の間は安倍首相でいて、3年後の総選挙頃にはガタがきて民主党に政権をお渡し頂きたいと、途中を省いて言ったにすぎない。

<日本一有名になったネクタイ>
 途中、いつもしている山口県農協中央会作成の「 STOP!! TPP 」ネクタイを見せて質問したところ、午後5時に審議終了した途端、安倍首相に呼び止められて数分雑談をした。これがTVに映っていたことから、取材がここに集中した。その結果、ネクタイだけが急に有名になり、私の質問は霞んでしまった。それで、念のために質問した3つのテーマについて、遅ればせながら報告した次第である。