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TPP交渉の行方シリーズ14「国益を損ねるTPPから脱退すべし」‐アメリカに押されっぱなしのTPP交渉‐ 13.12.03

 安倍首相は、特定秘密保護法を衆議院で通し意気軒昂である。原発についても小泉元首相の警告にも関わらず、相変わらずの強気の発言を続けている。しかし、もう一つの大問題TPPについてはほぼ発言を封じ、何も言っていない。強気なことを言い、決してお詫びなどを言うことのない安倍首相にとって、TPPの交渉がうまくいっていないことは許せないことなのだろう。TPPに関するものは小さな記事で、首席交渉官たちに激をとばしたということだけである。
 私は、TPPについては脱退の機会が既に訪れていると思っている。今まで、経済界、外務・経産省、自民党、マスコミ根拠のないTPP推進論を述べてきたが、今やことごとく嘘がバレてしまった。

<1.鎖国か開国か 菅首相・マスコミ>
 これは残念ながら自民党がいったことではない。菅直人元首相がとって付けたように「平成の開国」とか「第三の開国」とか言い出したことである。交渉する前に自ら鎖国をしている、これからもっと開国していくなどということをいう交渉方法は下の下だと安倍自民党総裁からは酷評されたが、その通りである。愚かなことをしたのである。鎖国と開国のどちらかと聞いたら開国の方がいいと答えるに決まっている。日本は、未だもって歴史では明治維新がいいことで、ペリーとハリスが来て日米通商条約が締結され、日本が発展したと教わっている。韓国でもFTAを結んで、FTA大国になり、日本を出し抜いてアメリカを経済領土にするといったときに、この用語が使われた。

<2.アジアの成長を取り込め 経産省・外務省・経済界・マスコミ>
 財界・経産省が盛んに言った事である。日本の最大の輸出先は、2009年アメリカに変わって中国となり、輸入相手国としては中国が21.2%、アメリカは8.6%(2012)となっている。更に韓国・台湾・ASEANが重きを占めつつあるのはだれの目にも明らかであった。その肝心な近隣アジア諸国の中でTPPに入っているのは、マレーシア、ベトナム、シンガポール、ブルネイだけで4ケ国と合計してもGDPに占める割合は非常に少ない。だからTPPに入ったところで、中韓そして世界第4位の人口大国インドネシア抜きではアジアの成長を取り込めないのである。アジアの成長を取り込むならば、日中韓のFTAであり、RCEP東アジア地域包括経済連携である。従って、今はアジアの成長を取り込めという標語は一切使われなくなっている。もうごまかしかきかなくなったのだ。

<3.バスに乗り遅れるな 経産省・外務省・経済界・マスコミ>
 韓国がEUだけではなく、アメリカともFTAを結び、FTAを結んだ国の割合が、日本の13か国で全貿易に占める割合が19%ぐらいにしかならないのに、韓国は36%になっているとよく言われた。しかし、そのバスがとんでもないボロバスであったことは、米韓FTAを巡る韓国の混乱で分かってきている。バスには乗らなかったほうがよかったのである。
 別のブログでも紹介したが、私は2012年冬韓米FTAが発効する前に、民主党の訪韓団長として韓国に行った折、私は「韓国は日本の二番手ランナーとして経済成長を続けてきた。FTAについてだけは、1番手ランナーになって、やりなれないことをしたため大混乱に陥っていると聞いた。その混乱振りはどうかということを見定めて、我々はTPPに対する決断をしようと思っているので、実情をとかなりきつい挨拶をした。ところが、すぐ「その通りだ。二番手ランナーのほうがよかった。我々は、一番手ランナーには馴れていない。こんなに米韓FTAが酷いということをこんなにきちんと日本に教えているのにも関わらず、のこのこ入ろうという日本の気がしれない。日本こそ二番手ランナーには馴れていない」という切り返しであった。 韓国側の韓米FTA阻止闘争委員長は李明博と大統領選挙を争った鄭東泳という民主統合党のホープだった。

<4.世界に共通するルールを日米の共同作業で作成する 外務省・経産省・マスコミ>
 外務・経産のこの大嘘こそ噴飯ものの理屈である。「日本が今更TPP交渉に参加するのは遅すぎるのではないか」とよく言われたが、それに対して「いやいや日本が参加すればいろいろ問題が明らかになり、あと2~3年はかかる、その間に日本の主張をいろいろTPP交渉の場にぶつけ、そして、アメリカの勝手なルールにはさせない」という触れ込みであった。サンクトペテルブルグの日米首脳会談の後、突然年内のTPP交渉の妥結を日米ともに目指すことという共同声明が行われた。とんでもないことである。よくしゃあしゃあと舌の根も乾かぬうちに年内妥結と言えたものである。
 「秘密交渉」よく言われているが、アメリカもマレーシアも自国がどのような主張をしているかということは国民の前に明らかにしている。しかし、日本はそれすらない。一体どんなルール作りを目指して、どういう主張をしているのか全く見えてこない。日本の主張に対して相手国がどういったこういったというのは、秘密に属することであり明らかにしてはならないが、自分の国がどういう主張をしているかということは、いくら言ってもいいはずである。日本国はろくな主張をしていないから何も言い出せないのだろう。ひたすら受け身で言われたことを打ち返しているという、相変わらずの交渉態度なのであろう。それとも特定秘密保護法成立してもいないのに率先垂範して秘密を保持しているというのだろうか。国民をここでも欺いているのである。

<5.聖域なき関税撤廃がある限り交渉に参加しない 自民党>
 自民党のこの大嘘は、2012年の総選挙で自民党の公約である。その嘘公約を塗りつぶして逆のことをするために、仰々しく日米首脳会談で聖域があることをアメリカも認めたと演出し、5大紙がこぞって大本営会議を書き立てたのが2月24日の共同声明である。しかし、その聖域も西川公也TPP対策委員長のバリ島での、5項目586品目全てを守れないということを言い出してしまっている。
 本来政府が暴走するのを党が歯止めをかけるのが普通なのに、その党がゴマをすって先に「とても586品目は守りきれない」と言い出したのである。滅茶苦茶である。数多くの公約違反の中で、これだけ見事に次から次へといろんなことを言って公約違反をしている交渉はない。

<6.60年政権与党は交渉がうまい 自民党>
 こうした状況の中、妥協に妥協を重ねているのが日米並行協議である。日米並行協議の前に、BSEについての、20カ月齢未満を30カ月に延ばさせられてしまっている。これまた秘密にされているので、自動車の環境基準や安全基準にどれだけ要求を呑まされたのかよくわからない。その上に今問題になっている軽自動車への課税もアメリカのデカい車を差別するという主張に負けて、日本の軽自動車の税金を高くしようとしている。関税自主権どころか、課税権、徴税権という国家の主権もTPPに踏みにじられているのだ。これは憲法を押し付けられたどころの話ではない。保守政権の権化の安倍政権のとんだ主権放棄なのだ。国益は明らかに損ねられている。

<7.アメリカ以外の国と共闘できる 外務省・経産省>
 秘密交渉とやらで、新聞報道しかわからない。孤立したアメリカは米以外何一つ例外を認めようとしないばかりか、その米にしても輸入拡大を要求しているという。加えて他の10カ国は一切の例外を認めず、全関税ゼロにするように求めているという。
 マレーシア等は日本が参加すれば、アメリカに一緒になって対峙してくれると踏んでいた。ところが、期待は全くはずれ、日本は年内妥結に向けアメリカの露払いをし、お先棒を担いでいる始末である。落胆した10カ国が怒るのは無理がない。農産物を巡りカナダと共闘とかいわれたがあまりのアメリカべったり振りは愛想をつかされたのであろう。日本に少し甘い態度をとるのはアメリカだけであり、それも日本のことを理解してはいなく、日本をうまく利用するためのものでしかない。

<慌しい年末>
 11月下旬、ブルネイ会合の声明で誘い水をかけられた韓国がTPPへ参加するかもしれないと動き出した。詳細は省くが、TPPは米韓FTAよりましと思っているのと我々の想像を絶する日本へのライバル意識の表れである。
 12月1日 フロマンUSTR代表、2日 バイデン副大統領と来日した。甘利TPP担当相との懇談がもたれたが、溝は何一つ深まっていないと報じられている。そうした中、甘利担当相は体調を崩して入院してしまった。
 ドタバタの中、12月3日は日比谷野外音楽堂で何回目かの大反対集会が開かれた。参加者の不安な気持ちが壇上の私にもひしひしと伝わってきた。こんな状況では、12月7~10日のシンガポール会合では予定どおり年内合意はなくなった。かくなるうえは約束通りTPP交渉から脱退するしかない。