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秘密を独占する罪のほうが大きい 14.01.04 (「長野建設新聞」新年号への寄稿文より)

 特定秘密保護法では専ら秘密を漏洩する者を罰することに関心が集中した。これも大事な問題だが、私はもう一つ、逆に政府が大事な情報を隠し、国民が被害を受けるケースこそ問題だと思っている。
 
 1945年8月25日、満蒙開拓団の高社郷の皆さんが集団自決された。終戦後10日も経っていたのに、終戦の事実を知らされていなかったのである。
 日本帝国もわかっていたのであろう。南の農民を満州の北の果てに送ることはせず、寒さに強い長野県から最も多くの開拓民が送り込まれ、かつ最北の地(ソ連国境に近い所)に入殖させられた。中学生ぐらいの少年義勇軍も派遣された。そして、ソ連の突然の参戦、それを察知した関東軍は、密かに自分たちの家族を早めに逃がし、終戦の時には部隊そのものがもぬけの殻だったという。この辺の悲惨な状況は偶然、幸運にも生き残った高山すみ子さん(木島平村)の『ノノさんになるんだよ』に詳しく書かれている。

 ヤルタ会談以降のソ連の参戦の動き等は重要な軍事機密であり、今でいえば特定秘密になる。それを知った高社郷のすぐ近くにいた部隊のある一等兵が義憤にかられ、脱走し馬を駈けて最北の開拓農民に早く逃げろと告げ回ったとしよう。この心ある一等兵を罰するのが特定秘密保護法である。
 誰もがこの矛盾に気づくであろう。罰せられるべきは何も知らない開拓農民を尻目にこっそり逃げ帰った軍部であり、国家なのだ。こんなことすら律することなく、一方的に秘密を漏らした公務員やそれに近づいた記者・国民だけを罰する特定秘密保護法は廃止すべき悪法である。