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安倍首相は小泉元首相の進言「脱原発」を聞くべし 予算委員会報告2 -14.02.04-

 小泉元首相が意を決して老骨に鞭打って活動しだしたのは脱原発である。前回のブログにも書いたが、小泉元首相はオンカロに行って思いついた訳ではない。それをTVの前でも閣僚にもきちんと伝えるべく、私の『原発廃止で世代責任を果たす』という本を少々見せながら質問をした。
 そこで安倍首相に強調したのは「誰のお陰で首相になれたのか、その恩義に報いるべく言うことを聞くべきだ」ということである。
 自民党の総理総裁の条件は、かねてから「大臣3回、そのうちに1回は財務相(蔵相)か外相、党3役を1回、当選回数10回前後、年齢60歳前後」と言われてきた。もちろん、72歳の宮澤喜一首相、53歳の田中角栄首相等もいるが、自民党の黄金時代つまり「三角大福中」の時にはこの条件をほとんどクリアしていた。ただそれ以降は、小泉元首相も蔵相も外相も経験しておらず、どこか欠けた人が大半で、やはりどこかピリッとしない首相が多い。

<小泉首相の異例の安倍重用>
 ところが、今回の予算委員会では野田聖子総務会長がトップバッターになり、盛んに安倍首相と同期の桜ということを強調した。
 安倍首相が小泉元首相にとりたてられ始めた時は当選回数わずか5回。小泉元首相の安倍重用は徹底していた。官房副長官は普通の人事だったが、03年9月、大臣経験もない若手の安倍首相がいきなり幹事長に抜擢されたのである。その後小泉政権の間ずっと重用され続け、幹事長代理をへて05年には官房長官、そしてとうとう06年9月には首相にまで上り詰めた。異例のことである。
 私の知る限りでは一人の首相がこれだけ中堅を登用して最後首相にまでした事例はない。7年前に安倍首相が戦後生まれで初、戦後最年少で、就任時も今も、自民党の総理総裁の条件を満たしている人はほんの数人しかいない。予算委員会では、その条件を備えているのは06年の総裁選で敗れた隣の麻生財務相と谷垣法相ぐらいしかいないではないかと指摘した。2人は、私の指摘の後、何かニコニコ雑談していた。

<小泉首相が取り立て安倍首相が実現>(自民党の総理総裁の条件)
 他に町村信孝元外相、高村正彦元外相、今は亡き中川昭一元財務相もこの条件をクリアしていた。それに対し安倍首相はこの条件に全く当てはまっていない。閣僚は官房長官以外やっていない。官房長官といえば番頭であり各省の大臣とは違う。党の3役も小泉総裁の下で大抜擢された幹事長だから、政治家としての地位を得たのはすべて小泉政権下であった。それでそのまま後任の首相というのでは、小泉元首相には足を向けて寝れないはずである。

<大恩人を除籍せんとする動き>
 細野豪志前幹事長が東京都議選の折、2人出馬していた参議院東京地方区で大河原雅子候補を告示日の2日前に公認から外し、鈴木寛候補に一本化した。それに対し菅直人民主党顧問は無所属になった大河原候補を応援した。民主党の大劣勢下で2人とも落選してしまったが、仕方のないことだった。 しかし、細野幹事長は2人落選は菅顧問の大河原応援のせいだといわんばかりに、菅顧問の除籍と言い出した。民主党の未熟な幹部の得意な(?)、根回しなしの唐突な提案だった。
 中選挙区時代の自民党は、各派閥の領袖が平気で公認漏れした新人議員の応援に出向いていた。無所属の新人が公認候補を破れば、何事もなかったように自民党に受け入れた。つまり自民党政治の世界では、公認など融通無碍であり、勝てば官軍なのだ。もし自民党が公認漏れした無所属を応援した党幹部をいちいち除籍していたら、自民党幹部はいなくなっていただろう。

<味のある北澤元防衛相の指摘>
 北澤元防衛相の指摘が妙に得心がいく。「誰でも初めて閣僚にしてもらった総理は一生、総理、総理と崇めたてまつって感謝し続ける。それを自分の裁定ミスを大恩ある総理のせいにして除籍なんて、とんでもない。人の道に反する」と断じた。更にいつもの冗談を付け加えた。「本当は二度目、三度目も感謝しなければいけないのだが、実力で大臣になった、と勘違いしちゃうんだな」。
 ところが細野前幹事長は菅首相に原発担当相に任命されながら、その大恩ある首相を公認を外された候補を応援したからといって除籍せんとしたのである。もちろん、こんな非常識なことは通るはずもなく却下され、細野前幹事長は幹事長を退くことになった。当然のことである。政治には理も必要だが、より情で動かされる。

<二人の師匠の股裂きという言訳>
 「自分だったらそんな大恩のある人の言うことはすぐ聞く、日本の伝統文化を重んじ長幼の序を重んじる安倍首相ならば、小泉元首相がこれだけ真剣になって忠告していることを聞いて然るべきではないか」。普通の人は、今の経済を重視するのは分かっている。それに対して二人の元首相は、ずっと先の次の世代のことを考えているのである。政治家は、先の先の国のこと国民のことを優先してしかるべきである。
 首相は「もう一人の政治の師の森元首相が原発推進で間に立たされている」と、弁解の答弁であった。口先だけは一応小泉元首相を立てているが、森元首相の官房副長官も、小泉元首相の強い推挙で実現しており、恩義の程度は桁違いでとても比べられるものではない。

<捨て身の師匠小泉に理あり、弟子の安倍に情なし>
 しかし、私はどう考えても安倍首相が小泉元首相の乾坤一擲の提言を無視することがいろいろな問題の根源にあるように思われる。小泉元首相は、安倍政権を倒すとかお灸をすえるとか、そんな小さなことは考えてない。ただひたすら日本の将来を心配し、原発をなくして、日本の国土の崩壊を阻止し、日本人を救おうとしているだけなのだ。安倍首相は素直に大恩人の進言を聞く以外に途は無いと思うが、どうも自信過剰(10月21日の予算委員会の私の言葉でいえば慢心)が過ぎる。
 権力者は、多くの人に耳を傾け、その行使に慎重でなければならないというのに、どうも安倍首相は逆の途を進んでいる。

<このままでは、周りが逃げていくかもしれず>
 靖国参詣ではアメリカの忠告を無視、原発政策では、大恩人の小泉元首相の最後の叫びを聞かず、TPPでは公約と逆のことをし不安をかき立てている。これでは、いくらアベノミクスで経済が上向いている気配があるとはいえ、周りの信を徐々に失い、孤立し裸の王様になってしまうのではないか。そのうちに国民の信(支持率)にその証が表れてくるだろう。それでも日本がうまくいくのならいいが、どうも突然ガタがくるような気がしてならない。