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「2度目のごまかし日米共同声明」 -許しがたい政府の姑息な情報操作-14.05.11

<共同声明は国内向け>
  外交は外交だけではなく内政を意識して行われている、といわれている。典型的な例が昨年2月下旬の日米共同声明である。日本の新聞はこぞってTPPを支持しているし、安倍首相の外交的成果だと提灯記事を書いた。例の重要5項目についてオバマ大統領から例外も可能という言質を取り付けたので、TPP交渉に参加するという声明である。しかし、現実には日本とアメリカで、それぞれの国に都合のいい全く異なる記者発表がなされていた。アメリカでは聖域を認めるというようなことはさっぱり言われておらず、むしろ自動車やその他について日本がどれだけ約束したかということが大々的に宣伝されていた。つまり、両国とも都合の良いことを外交成果としてあげていたのである。

<またも出過ぎた読売の露払い記事>
  今回、オバマ訪日を機に精力的にTPP交渉が行われた。甘利TPP担当大臣の顔をニュースで何回も見た人が居たはずである。皆が注目した共同声明は、何のことはない「重要な課題について前進する道筋を特定した」と抽象的な表現だけであった。拍子抜けである。さんざんギリギリの交渉と言いつつ、最終的な閣僚会合も開かれなかった。蚊帳の外の国民には何がどうなっているのか分からない。
  しかし、どこからか嘘はばれてくる。4月25日(金)の読売新聞の夕刊に「20年程度かけて38.5%から少なくとも9%まで段階的に引き下げる」、豚肉についても「差額関税制度は維持するものの4.3%の関税は引き下げる、と書かれていた。邪推かもしれないが、もう相当合意が成立していると思われる。なぜかというと、最後の詰めの甘利・フロマン会談が行われなかったからである。もうケリがついたということである。それを、なぜ正直に公表しないのか。4月27日の大畜産地帯である鹿児島県の補欠選挙への影響を考えたからである。どこまでも日本政府の対応は姑息である。

<公約破り、共同声明破り、国会決議破りも批判なし>
 自民党は12年末の選挙公約では、「絶対にTPPに参加しない。」と言い切った。そして「TPP断固粉砕」という政党ポスターを北海道、山形、九州等ではベタベタ貼った。長野1区では私自身がTPPに大反対しているので、そのようなポスターは1枚も貼られなかった。選挙上手の自民党は場所場所によって選挙戦術を変えているのである。そして、昨年2月の日米共同声明でも5項目は守ることになっていた。ところが、今は5品目を守ろうという国会決議も平然と破り、地方紙や日本農業新聞以外の5大紙は何も批判していない。それどころか、よくやっていると提灯記事を書いている。

<特定秘密保護法でみる今回の報道>
 今回の結末はどこかおかしい。私は今回の一連の報道を、せっかくできた特定秘密保護法のケーススタディーで使ってもらいたいと思っている。なぜかというと内閣府の担当審議官がわざわざ記者会見をして、不正確な記事を書くとマスコミに注文を付けていたからである。
 外交は政府が専属的にやっている。誰かが洩らさなければ新聞には書かれない。外交・防衛が国家機密の代表とされている。下手に交渉の途中経過が出ると交渉にも差し支える。まさに国益に大きく反する。それを漏らしている者がいるとしたら、特定秘密保護法により直ちに罰せられなければならない。そして条文通りにいえば、そそのかして情報を漏らさせて外交機密を書いた新聞記者も罰せられなければならない。

<読売新聞の巧みな世論誘導>
  ところが、いつも官邸寄りの記事を書く読売は、米、麦、砂糖は守っているから日米共同声明も自民決議も守られていると、いかにも交渉がうまくいっているような誘導記事を書いている。つまり、政府に都合のいい記事(一所懸命交渉している。重要五品目の一部は守られている)といった記事だけ書かせ、都合の悪いこと(大幅に譲歩したこと)は書かない(書かせない)ようにし、猿芝居をしているとしか思えない。双方で持ちつ持たれつ、適当に都合のいいほうに世論を誘導しているのである。これで騙されては国民はたまったものではない。

<都合の悪いことは知らせない姑息な政府>
  このように国民に必要な情報を伝えないこともまた問題である。私は予算委で満蒙開拓団における悲惨は集団自決を例に、国家が重要な秘密を国民に知らせない罪こそ重大であると主張したが、今回もその例に当てはまる。つまり固唾をのんで見守る畜産農家は、どこがどうなっているのかさっぱり内容を知らされていないのである。そして、前述のようなよくわからない不正確な憶測記事により一喜一憂されている。
  政府は二重の意味で責任を取らなければならない。もし本当に政府が困っているならいい加減な記事を書いている社を特定し、2ヶ月なり3ヶ月なり記者クラブへの出入りを禁止するぐらいのことが必要である。そうでないと示しがつかないが、上述のとおり慣れ合いではとてもそんなことなどできないのが実情である。
  4月27日は、鹿児島県2区の補欠選挙は前代未聞の共同声明の先送り(?)効果もあってか、自民党の候補が勝利をおさめた。しかし、自民党が恐れたとおり、九州本土では打越候補が一万票上回り、奄美大島等で自民候補が大勝ちして二万票差で勝利している。徳洲会が動かなかったら自民党は負けていたのである。この結果、今後、本当の交渉結果がボロボロと出されてくるだろう。もし既に合意が成立していたにもかかわらず、それを選挙のあとまで公表しなかったとしたら、いかがわしい秘密保持ということで政府を罰しなければならない。明らかな情報操作だからである。だから我々は野党共同で情報を開示することを義務づける法案を提出した。

<TPPは農産物関税交渉にあらず、日本の制度がこわれていく>
  TPPは言ってみれば現実的には日米EPAなのである。それをアメリカは12カ国間の協定というオブラートに包みながら、日本の制度をアメリカの制度にすべて合わせようとしているのだ。私が一番心配しているのはTPP交渉が農産物関税引き下げ交渉と勘違いされ、その陰で日本の特許制度、医療保険制度、労働法制等がガタガタになっていくということである。