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大義なき年末解散は国民には大迷惑―争点は強権的な安倍政治の継続か否か―14.11.19

<十分予測できた年内解散>
 突然の解散と言われてはいるが、私は自民党がこの秋には解散の用意を着々としているということに気が付いていた。なぜかと言うといずれも定員3の5つの県が1人減員となっているが、佐賀県では今村雅弘、高知県では福井照を比例区にまわし、徳島県でも新人である福山守を比例区にまわし、その代わり1期生の男性ではただ1人であり政務官として優遇している。ちょっと遅れて山梨でも中谷真一が比例区にまわり、女性の宮川典子と堀内詔子が小選挙区で戦うことで決着しており、残るは福井県だけになっていた。これに対し我が民主党は現職議員がいないにもかかわらず未調整のままだった。
 もうひとつが、情報操作である。評論家やマスコミを使って、年内解散もあるということをまことしやかに流していた。週刊誌もそれに飛びついて、週刊文春などは年内解散を前提として早々と当落予想を掲載したりしていた。だから少なくとも私は去年の段階から自民党が分裂気味の野党を叩きのめすためにも、そして自らの窮地を救い(政治とカネなど)、党勢退潮に歯止めをかけるため、不意打ち的解散に打ってくるということが予想できた。

<付け焼刃の民主党>
 私は、13年秋に、民主党の内部体制のあり方を議論する場で、3回連続で早くなるべく多くの立候補者を用意すべきだということを主張してきた。
 落選議員はもちろん、いろいろな経緯があって党を離れた人たちも含めて、落ち目の民主党で出直したいと言っている人たちには、熨斗を付けて総支部長になっていただくべきなのだ。ところが、それから1年余さっぱり総支部長決定(公認選定)が進まず、解散を取り沙汰される現時点でも130余しか決まっていない。つまり、野党第一党としての責任を全く果たしていないのだ。
 この秋に幹部体制が変わったので、責任者に同じように進言をしていったが、それから1ヶ月以上経っても何も進展しなかった。そして、枝野幹事長が少なくとも150は立てなければと発言し、今にわか仕立で公認を急いでいる。まさに付け焼刃である。

<突然流れが変わった11月上旬>
 解散風は解散の権限を握る安倍首相が日本を発ってから、もっと正確に言うと11月6日、7日(金)から急に吹き荒れ始めた。週末を過ぎ、週明けの10日(月)、11日(火)には公明党が一足先に選挙準備態勢に入り、解散の流れはほぼ確定的な状況になった。地方創生関連法等重要法案がほとんど成立していないというのに、衆議院議員は皆が浮足立ち始めた。
 私が国会議員になってから今回が5回目の選挙となるが、前の野田自爆解散も何の大義もない解散であった。それからするとこじつけ解散以外の何物でもなかったが、2005年8月の小泉郵政解散はそれなりの大儀があった。つまり、今回はそれほどひどい解散だということだ。

<原発再稼動、TPP、集団的自衛権こそ解散の是非を問うべし>
 衆議院の任期満了は4年であるが、平均的な任期は2年半から3年となっている。こんなことを嘆いても始まらないが、小泉選挙の時は1年8ヶ月、今度は2年と、任期半ば解散に2回も出くわすというのは不幸なことである。これでは安定した政治はできない。一番いけないのは後で触れるが、首相の専権で簡単にできる解散(いわゆる7条解散)という仕組みである。
 私は本当に解散をするなら、原発再稼働をするかしないか、TPPを受け容れるか受け容れないか、集団的自衛権の行使を容認するかしないか、このようなことこそ最大のテーマではないかと思っている。

<安倍暴走政治の継続か否かを争点とする>
 しかし、安倍総理は消費増税の先送りで信を問う、と言っている。いつも対応の遅い民主党が11月14日(金)に幹部会を開いて消費増税は凍結でいいという結論に達した。その前に生活・みんな・維新が3党共同で凍結法案を出しており、ほとんど全ての政党が先送りということになる。その前に国民の大半(7~8割)が再度の消費増税に反対しているので、消費増税先送りは何の争点にもならない。
 安倍首相は11月118日に意気軒昂で解散声明をしたが、私には空虚な戯言にしか聞こえなかった。解散の訳は国民にはチンプンカンプンで全く分からないままである。今回の解散は、アベノミクスの是非でも消費増税の是非でもなく、傲慢で強引な安倍政権を継続させるか否かを争点とする以外にない。多分国民の大半はこんなでたらめな解散は良くないと思っているはずである。
 しかし、問題の野党がバラバラでは困る。あまり詳らかにはできないが、私は野党が大同団結していくべきではないかと思いいろいろ水面下で動いている。これもあと1週間の勝負となるとなかなか理想どおりには進まない。信頼できる野党が必要なのはいうまでもない。

<大好きな憲法改正は7条解散をなくすことから始めるべき>
 安倍首相の悲願は憲法9条の改正である。私はそちらの方も反対であるけれども、もし憲法を改正するなら、まず手始めにこのいい加減な7条解散(内閣の助言と承認による解散)に制限を加えることから始めてほしいと思っている。
 日本国憲法を素直に訳すと憲法第69条の下、衆議院に内閣不信任案が提出され、不信任案が通ったか、内閣信任案が否定された時に内閣が総辞職をするか解散することを予定している。つまり内閣が壊れるか、衆議院議員が身分を失うか、のるかそるかの大勝負が本来の姿である。つまり、内閣の暴走を抑えるための不信任案であり、議会が強くなりすぎて内閣の邪魔ばかりするのを抑えるための解散なのに、日本では首相の権限ばかりが強くなりすぎているのだ。それといくら議院内閣制では「首相の大権」や「伝家の宝刀」を与える必要があると言いっても、日本の場合あまりに恣意的に使われているのではなかろうか。今回の理由のない解散がその典型である。
 政治学者は数多くいるが、私はこの歪んだ制度を問題にした者をあまり知らない。私は、時の政権与党が自分の都合のいい時に全衆議院議員の資格を剥奪することが政権強化につながり、政権交代が起きにくくしてしまったと思う。

<イギリスとドイツに学ぶ>
 日本の議院内閣制は多くをイギリスに学んでいる。その本家では、とっくの昔に首相の権限が大きくなりすぎ、頻繁な解散・総選挙が目に余ったことから、任期固定法により、首相の解散権に制限が加えられ、下院議員の任期の5年が基本的には守られることになった。例外として、内閣不信任決議案が可決された時だけ、首相は解散権を行使できる。
 それよりも先にドイツでは、連邦議会下院は、野党提出の不信任案が可決した時か、政府提出の信任動議を否決した時しか解散できなくなっている。
 このような英独の先例に学ばないのはどうしてか不思議である。