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14年末総選挙シリーズ1(外交) 安倍政権の対中強硬路線は偽者 -安倍政権はサンゴ密漁取締りをせずに解散- 14.12.01

 インターネット選挙が解禁されてから、初の衆議院選挙である。以前は、選挙が公示された途端ブログには手がつけられなかった。私はツイッターもフェイスブックもしていないので、従前どおり、私の政策を毎日ブログとメルマガでお届けすることにした。

 <突然の中国漁船によるサンゴ密漁>
 9月の中旬から小笠原諸島に中国漁船とみられるサンゴ密漁船が集結し始めた。9月15日の17隻が、10月1日には41隻になり、10月30日には最大で212隻が集結していたといわれている。外交上の大問題である。臨時国会の開催中でもあり、私は気になっていた。これを取り締まるのは外国人漁業規制法、漁業主権法そして私が水産庁企画課長として深く関わった200海里(排他的経済水域・EEZ)法だからだ。

<中韓漁業紛争>
 一方韓国では、セウォル号の救出で手抜きが問題になった韓国海洋警察は、中国漁船に手を焼き、殺人事件まで起きている。韓国の取り締まりは厳しく、違法操業に対して2000万円の罰金をとっている。中国漁民が必死で抵抗するのは当たり前であり、2010~2014年の5年間に1980隻が拿捕され、死傷者が50人を超える。
 つい最近も、10月10日韓国南西部全羅北道沖のEEZ内で不法操業中だった中国漁船(80t)の船員が、刃物やビール瓶を振りまわして抵抗したため、海洋警察が発砲し、船長が死亡した。日中、日韓と違い、中韓は密月状態にある中、一気に外交案件となっている。

<韓国海洋警察の素早い対応とマスコミの支援>
 韓国側は、隊員が胸部に装備したカメラで撮影した映像をすぐさま公開した。日本の尖閣諸島の出来事がリークだったのと大違いである。韓国は日本と違い、違法行為に対しては毅然たる対応をするのだ。20日には、鄭首相は、不正な中国漁船に対しては大型艦船、ヘリコプター、特殊部隊で構成された『機動戦団』を派遣し、取り締まりを強化する方針を表明。同じ日に裁判所は韓国領海を侵犯し、不法操業を行う中国漁民3人に、懲役8か月~1年の判決を言い渡した。韓国メディアも「中国漁民は凶暴残虐で海賊化した」と大々的に報じ、国の強硬な方針を支持している。見事である。

<軟弱極まりない日本の対応>
 ところが、10月15日に五島沖で領海侵犯のため逮捕された中国漁民は、「領海侵犯の認識なし」として無罪になった。また小笠原諸島のサンゴは逮捕者が11月13日現在で6人出ているが、わずかの担保金や罰金(上限が300万円)を払ってすぐさま釈放されている。それがわかっているから日本の取り締まりに対しては全く抵抗しない。小笠原漁民がおびえているのに、日本政府は、現行犯でないのでそう簡単に逮捕できないとして、手をこまねいて見守るだけだった。要はナメられているのである。「目には目を、歯には歯を」、そして「金には金を」、力には力を示さなければならない。それを日本は怠り続けたのである。

<解散のため罰金も上げずにすまそうとする偽タカ派安倍政権>
 農水官僚は当然のごとく、罰金を韓国を凌ぐ3000万円に引き上げることを検討していた。そこに今回の解散である。農林水産委員会の17日(月)の理事会では、翌18日、安倍首相が解散宣言するということで、終えようとしていた。民主党は、法案は水曜の農林水産部門会議を通り、その翌週の火曜のネクストキャビネットの会議を通らないと了承にならない。自民党も政調(政策調査会)と総務会を通らなければ国会に提出さえできない。しかし、こういった時は、議員立法として委員長提案で審議なしで通すというやり方だけが残されていた。
 私はその後の理事懇談会で「サンゴの密漁の罰金を上げる法律はどうするのか」と言って檄を飛ばし、「中国密漁船をけ散らかすべく、万難を排して罰金を上げる法律を今国会中に成立させるべきだ」と与党自民党と壁に同席していた農水省幹部にはっぱをかけた。

<篠原の提案で動きだしたスピード手続き>
 不当な中国に対しては厳しい態度をとらなければならない、日本に圧倒的に理がある、早く通すべく各党が党内手続きをすべきだと主張した。私のこの一言で動き出し、異例のスピードで成立した。

<中国の本音を見誤る稚拙な外交>
 中国はこの件に関しては謝ったりせず、いつものとおり強硬な態度を装っている。しかし、尖閣列島や歴史認識の問題とは全く違った態度で多くを語らない。中国もサンゴ礁を守り、海の資源は守らなければいけないことは先刻承知で、2012年に法律でサンゴの漁獲捕獲やサンゴ礁の破壊を禁止している。本音では日本にきちんと取り締まってほしいと思っているのである。
 中国ではサンゴが貴重品であり、特に血赤と呼ばれる生の赤サンゴは、グラム18~19万円、1キログラム660万円と金の約40倍の価格で取引され、ある船主などは、一回の捕獲で38億円を手にしたとも言われる。だから中国当局の漁業取り締まりを逃れ、一攫千金を夢見て日本近海に来るのは当たり前である。

<昔から中国も韓国も日本取り締まりに期待>
 1997年、私は水産庁企画課長として、日本は海洋法条約に加盟し、日本漁民が嫌がる漁業資源管理のための法律を策定する準備をしていた。そこで私は主要紙の論説委員を尋ね歩き、日中韓3か国が共同して資源を守っていくことを訴えた。数紙は私の要請に応じ、「乱獲の海を許すな」という社説まで書いてくれた見識のある論説委員もいた。驚いたことにそれを中韓両国ともよく見ていたのだ。
 マスコミにはいつも悪口を書かれどおしの農林水産省では、根回しの対象は国会議員と業界団体が相場だ。しかし、今回は漁民も総漁獲量を押さえる資源管理には反対していたし、水産議員もそれに同調気味だった。更に悪いことに、水産庁の中でも反対が大半だった。私は仕方なく初めての世論を動かす手法に頼ったことになる。
 その後、韓国は猿真似そのものの法律をつくり、むしろ日本に韓国漁船を取り締まってほしいと言ってきた。日中漁業交渉でも、交渉相手が前述の「乱獲の海を許すな」の社説を持ってきて、趣旨には賛同したと、驚いたことに正論は、隣国の世論をも動かしていたのである。韓国も中国も自国漁民の違反操業には手を焼いていたのだ。竹島、尖閣諸島問題はさておき、漁業資源を守るという点では3国とも完全に利害は一致したのである。

<無責任な安倍年末でたらめ解散>
 今回も同じなのに、それを無視して、党利党略の解散をして平然としている安倍首相、そして安倍内閣は無責任としか言いようなかった。ただ口先だけで国益や対中強硬路線を喚き散らす偽者保守と断じざるをえない。日本の対応は韓国の素早い対応と比べあまりに腰が引けているのだ。私の一言がなければ、法律は成立せず、まだ中国密漁漁船がはびこっていたかもしれないのだ。私はまた一つよい仕事をしたのではないかと自負している。

<中国では取り締まれない密漁船>
 3000万円の罰金のせいかどうか知らないが、11月下旬サンゴの密漁船はどこにいったのかと、とある全国紙が報じている。11月15日までに中国に寄港せよという命令が下ったが、ほとんど寄港していない。漁港のある福建省霞浦県、浙江省象山県はいずれも習近平主席の担当地域であった。摘発を予想した中国漁船は怖くて帰れないのであろう。船名を隠したり書き直したりしているのだろう。中国で捕まったら5年か10年の懲役、日本の比ではない厳しい罰則に処されることになる。

<事大がかった二つの説>
 ただこの件についていえば、事大がかった説も流されている。一つは中国海軍が漁民を先兵として小笠原諸島も自分のものにしようと意図的に200隻も集結させたのではないかというものだ。1978年に尖閣諸島に200隻が集結したことがあり、海軍が背後で繰っていた節もみられるからだ。APEC前にそんな波風を立てたくなかったはずであり、根も葉もないことではないかと思っている。ただ、同じ着色をした網に組織的という臭いがしないでもない。
 もう一つは、日本の海上保安庁が2015年末までは巡視艇2隻で、600人体制の尖閣専属チームを作るということに対してちょっかいを出し、撹乱してやろうという魂胆があったのではないかということである。中国漁民の韓国領海・EEZ内への侵犯は、10月31日に与野党合意で海洋警察の解体を決定した間隙を縫ってのことは明らかであり、中国側の悪意が感じられる面もある。

<国益を損ない許しがたい解散>
 もしこの二つが事実だとしたら、それこそもっともっと厳しく対応しないとならない。韓国は11月上旬、海洋警察と海軍が3000トン級の大型艦艇やヘリコプターを動員して中国漁船の取り締まりに出ている。それを日本の安倍政権はのうのうと解散をして法律も通さずに済まそうとしていたのである。この一点をみても安倍政権で、そして今回の解散で、いかに国益を損なっているかがわかるというものだ。