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2014年12月11日

14年末総選挙シリーズ11 (日本のあるべき姿)アベノミクスよりナガノミクス -長寿日本一が物語る長野県民の生き方- 14.12.11

<古きスローガン「殖産興業・富国強兵」をとり戻した安倍政権>
 集会を回っていると、私の選挙用チラシに書かれている「アベノミクスよりナガノミクス」というキャッチフレーズについて、ナガノミクスとはどのような政策なのかと質問される。正直にいうとこれは具体的な政策のようなものではない。アベノミクスは今や、単なる金融政策や成長政策ではなく、既に強引な安倍政治全体の総称になっている。経済大国であることに固執し続け、海外に原発までどんどん輸出し強大な経済大国となり、軍備までも増強していく。強者はさらに強く、弱者は踏み台にされる。それを良しとする社会であり、かつての「殖産興業」「富国強兵」を髣髴させる路線である。平和を求める日本国民は、こんな乱暴な国にされてはたまらないと思っている。

<歳をとっても働き続けて病気になりにくい長野県民>
 我が長野県は、男女ともに長寿日本一だ。それにもかかわらず、1人当たりの老人医療費77万円は全国でも下から4番目、ちなみに最も高いのは福岡県で、115万円と約40万円も差がある。予算委員会(13.03.18)でも紹介したことがあるが、日本人が全員長野県人の場合と全員福岡県人の場合を想定して医療費の差を比較してみると長野県民いかに立派かわかってくる。一人当たり40万円の差で75才以上の約1500万人だと6兆円、65歳以上の約3000万人だと12兆円の差になってくる。医療費は約38兆円かかっており、これを少なくすることが財政赤字の削減に直結する。
 農業の多面的機能として水害防止や水資源涵養がいわれるが、それよりも数段勝る農業・農村の役割である。農家戸数は全国一で、老後も農業をやりながら元気で長生でいる長野県民の姿が容易に想像できる。

<よく働きよく交わる>
 また、高齢者の就業率が全国一。人口1万人当たりの公民館数も全国平均1.2に対し、長野県は6.4と全国1位である。つまり、死ぬまで元気に働き、隣近所の付き合い、今風でいうならコミュニケーションが濃密なのである。ピンピンコロリが理想でピンコロ地蔵尊までできている
 そこで生まれた人が、そこで育ち、地域の人々と触れ合いながら、長生きして暮らしていける生活。それほど裕福でもないかもしれないが、暮らしていけるだけのお金を得て、慎ましやかに暮らしていく。漠然とはしてはいるが、そんな姿がナガノミクスである。口先先行のア・ベロノミクスよりもずっとましではないか。

<今は亡き宇沢弘文と今をときめく藻谷浩介>
 このような考えはなかなか皆さんには理解されにくい。いわゆる脱成長戦略なり低成長論だからだ。特に威勢のいいことを言う癖のある政治家で賛同する人は少ない。しかし、私がみるに、先日亡くなられた我が国経済界の泰斗、宇沢弘文東大教授は明らかに、似たような考えの持ち主だった。
 シカゴ大学にいたが、アメリカの効率一点張り、競争競争の世界に疑問を感じ、日本に帰国。自動車の便利さの裏に隠された排気ガスによる環境汚染等を『自動車の社会的費用』で世に問うた。その後もいわばアメリカ型成長一辺倒に背を向けた行動をとり続けた。最後には日本の地域社会に根付いた助け合いの仕組みや自然との巧みな調和的生き方を「社会的共通資本」と名付け、その大切さを強調した。その日本の持つ強さの根源を破壊するTPPは絶対反対した。今、私が会長を務める「TPPを慎重に考える会」の国民版「TPPを考える国民会議」の会長が宇沢教授だった。
 評論家の中では内橋克人さんがおり、若手では藻谷浩介さんがいる。拙書『農的循環社会への道』(2003年)や『第1次産業の復活』(1995年)を覚えていて藻谷さんの『里山資本主義』を読んだ方から、「篠原さんが昔から言っていたことを今風に書いているだけですね」と気付いた人もいた。

<政治家では武村正義元大蔵大臣と中村敦夫元参議院議員が共通の価値観か>
 中村さんは俳優からニュースキャスター、そして参議院議員となり、日本版緑の党を立ち上げた。世界を股にかけて取材に歩き、日本の行く末に疑問を感じたという。その時に拙著『農的小日本主義の勧め』に出会い、環境と調和し、地道に生きる途こそ世界的普遍性があると気付いたという。同じく海外勤務の多かったTBSのジャーナリスト秋山豊寛さんは、世界を物理的にも遠くから眺め、人生観を一変させ、最後に有機農業に行き着いた私の同志である。
 ちなみに、中村さんは2003年秋、私の初出馬の際、選挙事務所さえなかった時に真っ先に応援に駆けつけてくれた国会議員である。
 私とほぼ同じ理想社会を目指し、琵琶湖浄化に取り組み「小さくともキラリト光る日本」と言い出したのが武村正義さんであり、今回もまた中野市の総決起大会(12月8日)に選挙応援に来ていただいた。そして応援演説で「経済成長ばかりを追う時代ではない」と喝破された。イケイケドンドンの威勢のいいことばかりを追う政治家にはなかなか理解されない価値観である。

<農的小日本主義こそナガノミクスの原型>
 私の尊敬する政治家の一人は、かつて大日本主義が日本を覆い、韓国・満州を植民地とした時代に、公然と小日本主義つまり軍事大国である必要などないと主張し、植民地放棄を説いた石橋湛山である。後にたった2ヶ月で内閣総理大臣の座を病のため去った人物である。これも評論家時代の「健康でない者は首相なり閣僚を務めるべきでない」という自らの主張に殉じたのである。
 私は、湛山の一連の考えに感銘を受け、1985年に拙書『農的小日本主義の勧め』をしたため、自由貿易主義至上主義を否定し、足もとの農的再生資源を有効活用しリサイクル型自立国への道を追究すべきだと説いた。
 思えば、この農的小日本主義こそ、ナガノミクスと置き換えられるのではないかと考えている。大日本主義に抗する小日本主義、アベノミクスに抗するナガノミクスである。

表(PDFファイルが開きます) [ 長野県が長寿日本一の理由 ]


《 明日のミニ集会 12月12日(金) 》

14:00 川中島分館(駅前) (長野市川中島町上氷鉋1389南)
15:00 川中島公民館御厨分館 (長野市川中島町御厨1200)
16:00 松代公民館 (長野市松代町松代4-3)
17:00 犀口公民館 (長野市篠ノ井小松原1704-1横)
18:00 南原公民館 (長野市川中島町原502-1)
19:00 更北公民館真島分館 (長野市真島町真島1448-6)

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【再変更】ミニ集会 会場再変更のお知らせ

12月11日(木)13:00 からのミニ集会の会場を変更させていただきます。一度変更のお知らせをいたしましたが、当初の会場へ戻りました。

×変更前 川中島町公民館
×変更後 平成ホール

変更後 川中島町公民館 (長野市川中島町今井1762-1)

急な変更となり誠に申し訳ありません。
ご参加の方はお間違いのないよう、お気をつけてお越しください。

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2014年12月10日

14年末総選挙シリーズ10(労働とTPP) アメリカのTPPの狙いの一つは日本の労働法制の破壊 -連合に早く気付いてほしいTPPの危険性- 14.12.10

<アメリカの労働界がTPPに反対する理由>
 私はかねてからTPPの重要な目的の一つが日本の手厚い労働法制の打破・破壊だと警告してきた。このことは『TPPはいらない!』という本でも書いた。
 なぜアメリカの連合にあたるAFL・CIOがTPPに絶対反対するか。NAFTA(北米自由貿易協定)で自分たちの仕事が奪われ、散々な目にあっているからである。ところが日本の連合は、自分の産業界の利益のほうに血眼になり、労働者の権利の確保ということを二の次にしてきた嫌いがあり、アメリカの労働界とは逆に輸出のためにTPPは賛成だといってきた。
 ところが、やっと今になって、労働者派遣法、ホワイトカラーエグゼンプション、金銭解雇等の恐ろしさに気付いたようである。先日、国会の前で座り込みが行われた。私は、農業団体、青年農業者の座り込みにエールを送りに何回も行っているが、今回も馳せ参じた。

<安倍政権の偽りの雇用改善宣伝>
 安倍政権は、100万人の雇用を増やした、有効求人倍率もこの22年間で一番だ、賃金上昇率も過去15年間で最高と強弁をしている。しかし、これらは選挙用に次々と作り上げてきた数字でしかない。野党は、名目賃金は上がっているが、実質賃金は16カ月連続して下落していると反論している。物価上昇率を引けばそうなってしまう。非正規雇用は1980万人に達し、全雇用者の40%にも達している。自民党のいう数字の好転はすべて非正規雇用者が増えたことによる。厚生労働省の調査は、非正規雇用が前年と比べ93万人増えただけで、正規雇用者は43万人も減っていることを示している。
 14年の春闘の賃上げ率は月給で2.28%と16年ぶりの高水準だというのも、自民党側の言っていることである。しかし、現金給与総額が物価上昇分を除いた実質賃金はやはり9月で比べると3.0%減っているのである。一般には「仕事はあるが給料は下がっている」が実感であろう。
 どちらも自分の都合のいい数字を並べ立てる。しかし、誰が見ても今の雇用の方が昔より安定しているとは思わないであろう。

<今は昔の日本型経営>
 アメリカでは一昔前、『ジャパン・アズ・ナンバー1』という本をエズラ・ボーゲルが書き、『セオリーZ(日本型経営)』という本をジョージ・大内が書き、日本型経営がもてはやされた。終身雇用、年功序列、一生一つの会社で勤め上げる、だから会社に対する忠誠心が旺盛で皆滅私奉公して働く。これらが日本企業の成功の根源だと言われたのはつい昨日のことである。日本人は右から左へ、左から右へとぶれやすい。日本の雇用状況がこんなに急激に変わることは誰も予想できなかっただろう。
 安倍政権はそれでも多様な働き方などで雇用を拡大していくと、きれい事を述べている。多様な働き方、雇用の流動性というのは、一挙に非正規雇用され、簡単に解雇されることにほかならない。つまり、雇い主、企業側に圧倒的に有利なことなのだ。
 私は遥か昔に書いた『田舎っぺ官僚、アメリカは田舎の留学記』の中で「さみしいアメリカ人」という1章を書いた。たった2年間のアメリカ生活であったが、どうもアメリカはばらばらで、社会のまとまりがないというのが実感であった。そこで、平気で仕事を替え、それに応じて住み家も替え、変えることに何の疑問も感じなくなり、とうとう女房や旦那まで替える。だから結局最後は一人になって寂しくなり宗教が必要なのではないかと書いた。

<絆を大切にし、地域社会を大切にするフランス>
 その正反対の社会が定住型のヨーロッパではないか。私はOECD日本政府代表部に赴任していた時、パリの16区に住んだ。すぐ近くにジスカールデスタン元大統領の住むマンションがあった。先祖代々そこに住んでいるというのだ。当然同じ小・中・高校に通うことになる。フランスの公立小・中・高校は、住んでいる地区で決まっている。家族や地域の紐帯・絆が強まるのは当然である。パリのど真ん中のことである。農村社会は日本よりもっと精神的なつながりが濃い。今ここにフランスの転職率は持ち合わせていないが、アメリカほどひどくはないのではないか。少なくとも会社でも人とのつながりが重要視されている。
 日本は一体安定した地域社会を目指すのか「多様な働き方による雇用の拡大」(自民党)といった公約の下、仕事さえあり収入さえあればバラバラでいいという殺伐とした社会、すなわち最後はアメリカと同じく宗教しか頼るところがない社会を目指すのかという問題である。オーム真理教等がはびこる日本もおかしくなりつつあるのだ。

<TPPの労働分野の狙いはクビ切りをしやすくすることに尽きる>
 アメリカは、P4国(TPPの基を作ったシンガポール、ブルネイ、NZ、チリ)に対し、投資、金融、労働、環境を入れてくれるなら入ると持ちかけた。狙いの一つは、労働者保護法制を取り払うことにあった。アメリカの金融資本が日本企業を買収したものの、また売りつけるのにあまり便利でないことに気付いたのだ。手厚い労働保護のため、従業員を解雇できず、それがために買収のメリットが半減したのである。アメリカの企業は、労働者・従業員を道具としか考えていない。道具は自由にとっかえひっかえできる方がいいに決まっている。労働者派遣法の改悪、ホワイトカラーエグゼンプション、金銭解雇(2年分の給与を払えば解雇できる)等はすべてアメリカ発のものであり、その完成版がTPPなのだ。
 私は連合に目覚め、TPPに反対すべきだと訴え続けている。

《明日のミニ集会 12月11日(木) 》
13:00 川中島町公民館 (長野市川中島町今井1762-1) ※【再変更!】元の会場に再変更いたしました。
15:30 大塚公民館 (飯山市常盤1150北)
17:30 穴田公民館 (中野市穴田141-3)
18:30 大谷町研修センター (須坂市大谷町423)
19:30 東和田公民館 (長野市東和田525-1)

2014年12月09日

14年末総選挙シリーズ9(女性・子ども) 女性を大事にすることは、子供を大事にすることにつながる -少子化対策には農山漁村へのてこ入れが必要- 14.12.09

<見せかけの女性抜擢>
 安倍内閣は、「女性の輝く時代」という誰も反対できないキャッチフレーズを掲げた。そして第二次安倍内閣では、有村治子、山谷えり子、高市早苗、松島みどり、小渕裕子の閣僚を指名した。安倍首相は、自分をとりたててもらった小泉元首相のやりかたをそっくりそのまままねている。
 皆さんお忘れだろうが、小泉内閣の5人の女性閣僚は、扇千景、田中真紀子、森山真弓、川口順子、遠山敦子(文科次官)の5人であった。同じ5人でも政治家としてのキャリアが全く違う。松島、高市、山谷の3氏は安倍首相のお気に入りの右寄り仲間である。また、女性の活躍推進が今臨時国会の目玉の一つであったが、法案は通ることがなかった。口先だけで熱心さに欠けるからある。

<貧困大国日本>
 働く一人親世帯の貧困率は先進国で最悪であり、大多数が母子家庭である。子供の1割は母子家庭で、124万人いる。もちろん児童扶養手当等の手当はなされているが厳しい生活を強いられている。子供の貧困率は上昇し、6人に1人は貧困家庭なのだ。
 そもそも日本人は教育に熱心だというが、OECD諸国の中では、1人当たりの教育予算はビリの方から2番目である。

<女性を働く道具と考えているのではないか>
 日本は意外に貧困なのである。私はこの安倍政権の女性への対応を見ていると、どうもいかがわしい臭いがしてならない。労働者派遣法を改正して、従来3年だった労働者派遣の上限を無期限にしようとしている。つまり、働けそうな女性を非正規雇用者にし、賃金を下げ、夫婦二人で働かせて、日本をなんとか経済大国にしていこう、という悪い魂胆があるのではないかと疑わざるを得ない。
 12月1日の日本記者クラブでの党首討論会で、安倍家の夫が20万円の給料で妻が10万円のパートに出て安倍家の収入が30万円になり、平均15万円になる。だが安倍家全体の収入が増えているからいいではないか、ということを言い出している。私の疑念はまさに当たっていたのである。

<農村ではとっくの昔から働いていた女性>
 もちろん私も、女性が輝く世界というのは理想である。私などは、とうちゃんも、かあちゃんも、ばあちゃんも、じいちゃんも同じように田畑で働き、汗水たらしている姿を見て育ったし、女性が働くのは当たり前と思っている。農家の女性はとっくの昔から、共同参画どころか男性よりも働いてきたのである。そういう姿を見てきたので、今頃大げさに言われても、ピンとこない。私は、女性は家庭に留まるべきだとも、外で働くべきだとも言わない。それぞれ選択の道がある。
 そうは言っても始まらない。人口減少がひどく、日本創生会議は、20~30代の若い女性がいなくて消滅する市町村が869あると発表し衝撃を与えた。女性を大事にして仕事をしてもらい、収入も増え生活が充実すれば子供は増えてくる。欧米では働いて収入の多い女性の出生率が高くなることが証明されている。そういえば、働く農村女性も子だくさんである。

<子供の産める環境づくりは安定した就業機会から始まる>
 男性の生涯未婚率のほうが女性よりも高いことも知られていない。多くの若い男性はお金がなく結婚できないのである。だから子供を増やすためには、女性も大事であるが、若者が安定した収入を得られるようにすることが絶対不可欠なのだ。
 次に、私自身を振り返ると人に言えることではないが、要するにワーク・ライフ・バランスである。通常残業があり、とても家事・子育てができないという日本の勤務体系を見直さなければならない。イクメンとか言われているが、なかなか実現していない。
 誰しも子供はいらないとは言っていない。若い親も子供はほしいと思っているのである。最近は親の子供への虐待がよく新聞に出るが、大体はおそらく収入の少ない若夫婦、再婚した若夫婦に多い。つまり、経済的に安定せず、それ故に子供にあたっているのである。

<農山漁村へのてこ入れが必要>
 日本はどうもこの子供と女性に対して、冷たいような気がしてならない。
 少子高齢化といわれるが、農業白書、林業白書、漁業白書、過疎白書などはとっくの昔から警告していたのに、一般社会はほとんど耳を傾けなかった。しかし、農村で起きていることが全体に広がっていくのに30年もかからなかったのである。
 消滅市町村を救うためには、もう少し地方に光を当てればこの問題は解決の方向に向かうと思っている。なぜなら、まだ日本の農山漁村には子供を育てる良好な環境が残っており、要は、地方で若者が働いて暮らしていけるようにすれば、子供の数は急激に回復していくはずである。


《 明日のミニ集会予定(12月10日(水)) 》

17:30 堀之内研修センター (高山村高井252)
18:30 豊洲地域公民館 (須坂市小島町402-1)
19:30 若穂公民館川田分館 (長野市若穂川田3286-1)

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2014年12月08日

14年末総選挙シリーズ8(地方自治2)思い切った地方創生策 具体編- 14.12.08

A.地方の財政基盤強化
(A1)ふるさと納税を大胆に強化
 ふるさと納税がその見返りの魅力により人気絶頂だという。しかし、これは正確に言うと税ではなく、地方自治体への寄附を、その分の税金をまけて優遇しているだけの単なる優遇寄付税制にすぎない。財政不足に悩む地方自治体にとってこれでは財政基盤の強化には雀の涙である。やるならもっと大胆に変えるべきだ。
 不交付団体(都道府県では東京都のみ、市町村は原発受け入れ市町村をはじめ多数ある)の地方住民税は、例えばその2分の1まで、生まれ故郷なり縁のある地方の市町村に納税してよいという仕組をつくることだ。これをどこでも自由にすると困る市町村もあるので、とりあえず、金持ちの不交付団体からだけに限定すればよい。といっても、都道府県では今は東京だけなので、もう少し基準を変えて首都圏の千葉、埼玉、神奈川や中部圏の愛知、近畿圏の大阪に広げても文句は言われまい(橋下大阪市長は?)。
 自分の生まれ故郷が衰退していくのを見ておれない人は多いと思う。この人たちはこの制度ができればこぞって応じるはずだ。

(A2)都会で払った住民税の半分を持参してUターン
 かつて茨城県で定年退職者を受け入れた地方自治体が、高齢者医療費等の社会保障費がかさみ財政難に陥った。若い時に都会で散々税金を納めていたのに、老後はその都会の世話にならず、ただでさえ財政難の地方自治体に負担をかけるのは道義的にも許しがたい。
 これをすんなり解決するには、移住時に今まで払った住民税の半分を一緒に持って帰ることである。例えば東京都杉並区に30年住んだ人が故郷の栄村にUターンするときのことを考えていただければよい。これなどもやればすぐできることである。

(A3)森林環境税の創設
 2008年のガソリンの暫定税率分の議論の際、私は森林環境税に衣替えする案を出した(ブログ「道路特定財源を森林環境税に(篠原試案)08.2.27」)。森林環境税は、荒れた森林を整備することにより地球環境を守り、中山間地域を活性化するために使う。
 揮発油税等の道路特定財源には、環境税(地球温暖化対策税)が必要という考えもあり、道路整備だけではなく、CO2の排出者がその吸収者である森林にも回す。つまり「グッド減税、バッド課税」の理屈にあう森林環境税とする。森林面積に応じて各都道府県に配分すれば、森林の多い地方の県に多く回る。
 使途は森林整備だけに限定することをせず、森林の多い地域(ex 山村振興地域、過疎振興地域)の生活道路、林道・作業道等今まで手がつけられなかった地域の「地方道(県道、市町村道)」には自由に使えるものとして、どれに使うかは地方自治体に任せ裁量権を広くする。

B.地方に医者を
 内閣府の世論調査によると、「向都離村」で故郷から東京に出た人も昔からの江戸っ子も含め東京に住む人の40%は、地方に住みたいと思っているという。すなわち「向村離都」の傾向も出始めたのである。こうしたUターン、Iターン希望を放っておく手はなく、積極的に後押しすべきである。どこを選ぶか考えたときに最大の関心事は近くにお医者さんがいるかどうかなのだ。
 人口が少ないのに医学部のある大学を持つ徳島県、鳥取県、高知県等を除くと、過疎県は人口当たりの医者の数が少ない。人口急増している都市圏も医者不足に悩んでいるが、近くに医療機関はある。過疎地の医者不足は医療機関不足であり、深刻さが増すばかりだ。
 解決策は一つ、医者全員に3年ないし5年の国の指定地での勤務を義務付けることである。医師には国家試験で資格を与えている。1人前の医者を1人養成するのに1億円かかるといわれる。大都会で医院を持ったり、大病院に勤めたりしたい気持ちはわからないではないが、ここでも過疎地は置いてきぼりにされる。
 人生設計に合わせ、例えば独身の5年間とか、結婚したての5年間でもよい。あるいは、功なり名を遂げ子育ての責任も果たした60代の5年でもよい。国の指定した過疎地で勤務するのだ。後者は現実化し、高齢のお医者さんによく過疎自治体に来ていただいている。しかし、70代80代ばかりでは心もとない。
 自治医科大学は、これが制度化されている。それを全医学部にあてはめればよいだけの話である。こういうと、すぐ中山教授のように世界的権威になるかもしれない若い医学研究者にも、そんな無駄なことをさせるのか、という反論が予想される。しかし、いくらでも例外は設けられる。
 国家公務員になったら、紙切れ(辞令)一枚でどこにでも行かされる。医師の国家試験を国家公務員試験と同列に考え、5年間を公務員として扱うことにすればいいだけのことである。要は発想の転換が必要なだけだ。

C.大学も全寮制中高学園も過疎地に
 かつて出雲市長を務め民主党の国会議員だった岩国哲人さんが「教育赤字」ということを言っていた。地方では大学進学者の大半が県外へ出て行き、都会で就職する。子供の生育・学習費や都会への進学に伴う仕送り等の「教育赤字(地方から都会に流出する金額)」は、島根県で年700億円という地域経済にとって軽視できない額になるという。大学の大都市偏在が地方の若者の都会流出をもたらし、「教育赤字」を増大させている。
 私は、これを解消するには、地方に教育機関をおき、都会から地方に教育費が流れ込むように変えればよいと考えている。

(C1) 大学
 イギリスの2つの権威ある大学、オックスフォード、ケンブリッジはロンドンにはない。私が半年いたカンザス州立大学(KSU)はカンザス州のど田舎の町マンハッタン(人口2万弱)にある。大学は大都会にある必要はないのだ。それを日本は大学まで大都市に集めている。本当に不謹慎な国である。つまり、地方の活性化など全く考えていないと同じなのだ。
 アメリカの大学には、「University of 州名」と「州名State University」の2つがあり、後者は Land Grant College(土地下賜大学)と呼ばれ、州政府が土地を提供し、その週の産業は合わせた学部構成となっている。例えばKSUは、小麦州というあだ名よろしく農業経済学部も小麦の経営・流通等に重点を置き、化学科も小麦の農薬、肥料に重点を置くといった具合である。
 日本は国立研究所をつくばに移転したのである。大都市の真ん中の大学もすべて地方に移転することだ。東京大学が長野の過疎地に移転しても東京大学なのかとか言われるかもしれないが、名前など変えなくてもよいではないか。副次的効果として政府のお先棒ばかり担ぐ御用学者の類は減るし、教育や研究以外のアルバイトに精を出す不真面目な教授も減っていいではないか。

(C2)中高一貫校
 今まで数多くの駄文を書き連ねてきた。そのため博士論文の審査時に要求された論文数では大半の者に負けなかった(もっとも、5年間論文を書いたことがないなどという農林水産研究所の不真面目な研究員には、所長のは論文ではなくアジビラだと悪口雑言ももらったが?)。ただ一つ長文なのに活字になっていない原稿がある。住友商事の何周年かの事業で「霞が関ペンの会」の先輩官僚の方から要請されて応募したのである。イギリスの全寮制のパブリックスクールは、世界を股にかけて植民地経営に乗り出した時にその効力を発揮した。子弟を教育機関のない植民地に連れていけないために預けたのである。そしてここでの教育がジョンブル魂を植え付け、ノブレスオブリージュを備えた英国紳士を造り出すことになった。強力な軍人の養成にもなり、各界をつなぐ絆もできたのだ。
 日本はかつてのイギリスほどではないにしても、世界中に支店ができた。国内も転勤が繰り返されている。外務省がかかわり、暁星国際高校ができ、東京都が秋川高校を造った。しかし、うまく動いていない。
 日本も自分の食べるものを自分で作り、自然の中で育てられる中高一貫全寮制学園を過疎地に創れば、親は安心して仕事に専念できるし、子供のために母親が付き、父親が一人侘しく単身赴任することもなくなる。三菱学園、住友学園・・・を各地に創ったらよい。ただ、必ずそこには地元の子供たちも入れることを条件にすべきだ。

 以上が私が前々から考えている地方創生策である。

<明日のミニ集会 12月9日(火)>
10:30 芋井公民館 (長野市桜600-ト-3)
13:30下山田中区公会堂 (長野市大字山田中2554-1南)
15:00 七二会公民館 (長野市七二会丁151)
17:30 更北公民館稲里分館 (長野市稲里町中央4-4-7)
18:30 松代公民館寺尾分館 (長野市松代町柴342-7)
19:30 東篠ノ井公民館 (長野市塩崎6803)

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