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2015年1月20日

代表選シリーズ4 岡田新代表には落ち着いた党内運営を期待 -民主党再生には、党内融和・団結が何より大事-

<人気投票になってしまう党員・サポーター選挙>
 私は、長妻選対の副本部長として選挙戦を闘った。いままで2回いずれも鹿野道彦を代表にと選対事務局長を務め、代表選はそれなりの経験があったが、もともとこの手の選挙は好きではない。今回は、あまり世話はやかずに地元の得票に力を注ぎ、やるべきことをやるのに終始して深入りしなかった。
 選挙戦中盤以降、長妻が3番手で岡田・細野が伯仲し、2人の決選投票確実という情勢になった。地方の声なり国民の声を聞くという点では党員・サポーター(以下「党・サポ」)を入れる選挙が理想だが、やはり知名度が高い方が有利で、人気投票になりがちである。今回もご多分に漏れずその通りになった。そして、12年9月の代表選を思い出した人たちには、また素交会がキャスティングボートを握り、鹿野の「上着脱ぎサイン」(上着を着たままなら第1位に投票、脱いだら第2位に投票)の再来かと言われ出した。

<第1回投票は岡田・細野が並ぶ>
 そうした中、演説も討論会での受け答えも長妻が一番しっかりしていると、有識者や記者が気付き始めたが、いかんせん党・サポまでは浸透しなかった。 国会議員投票直前の最後の10分間の演説でも、長妻の意外な冗談(厚労大臣時代官僚に敵対したのは本当に反省する、笑顔が少ないというので作るようにする等)もあり、他の2人よりも印象に残った(ただ、これは私のひいき目が入っているので、少々客観性に欠けるかもしれない)。しかし、それで大きく長妻票が増えることはなく本当に残念である。
 民主党の国会議員は1人もいない県も多く、投票率は46.21%と全体の盛り上がりと比べて低いままだ。投票率では2人の候補の地元三重(67.21%)と静岡(63.37%)が上位を占め、沖縄(22.35%)、徳島(31.04%)が低い県で倍半分にと大きく開いた。
 そうした中、我が長野県は2、4、5区に衆議院議員がいないにもかかわらず投票率が50%を超え、上から8番目という地位を占めた。私が長妻、羽田参議院議員は細野、北沢参議院議員は岡田と割れ(この他、比例区で長野県連の津田弥太郎参議院議員は細野、柳沢光美参議院議員は岡田)、長野県の9ポイントは3人に3ポイントずつときれいに三分される結果となった。

投票結果を詳述すると以下のとおり。
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<決選投票で岡田新代表を選出>
 総ポイントの65%を占める地方票(495票)は、2年前から準備していた細野と代表選に慣れた岡田が手堅く固め、ほぼ同数で、長妻は半分以下に終わった。他の2陣営は地方自治体議員や推薦人の党・サポに対してハガキをすぐ出したが、長妻陣営は出馬の出遅れがたたり、そのような体制は組めなかった事が原因の一つだが、最近のマスコミへの露出度が大きく左右したのであろう。岡田は元代表でメリーゴーランド人事の代表的存在、細野も政権与党時代の若き閣僚から幹事長と続いていたのに対し、ミスター年金の長妻は色が褪せつつあった。
 事前に細野は地方票を伸ばすと予想されていたが、蓋を開けてみると党・サポ票で岡田に9ポイント差をつけられていた。一方、地方自治体議員では、若さで統一地方選に勝ちたいという心理が働いたのであろう。細野が岡田に12ポイント差をつけ、合計ではかろうじて4ポイントリードした。そして地方票が細野(202)と岡田(199)が拮抗した時点で、岡田の勝利が予想できた。
 それに対して、国会議員票は、長妻がマスコミの下馬評(30人強)よりも数人多い37人と健闘し、細野が予想以下の47人となった。細野陣営の2つ目の誤算である。
 かくして1人も過半数に達せず、予想通り上位の細野・岡田の上位2名で決選投票となった。その結果、細野120ポイント、岡田133ポイントで、岡田がわずか6名上回る僅差で新代表に選出された。長妻陣営から12名が細野に、19名が岡田に投票したことになる。

<素交会の10数人の票の行方>
 さて問題の素交会の決選投票での投票である。今や党内最大のグループ(18名)となり、私が事務局長としてまめな運営をしていることから、1週間に1回きちんと勉強会をする最も結束力の堅いまじめなグループとなっている。そのうち9名が長妻の推薦人に名を連ねて、10数人で統一的投票行動をとった。1回目の投票は、当然長妻である。2回目にどちらに投票したか関心が持たれているが、公式には明らかにしないことにする。
 新聞報道によると、臨時党大会の前夜(17日)岡田と赤松広隆(サンクチュアリ代表)との間でいろいろなやりとりがあったようだ。それに関係してか決戦投票前の5分間の演説では、岡田が突然長妻を持ち上げ、ことさらリベラルな発言をして長妻陣営に秋波を送っていた。
 我々素交会は選挙が終わっていないのに、決選投票の行き先を取引するような行動はとっていない。民主党の再建とその前提の党内融和のことだけを考えて投票したことを付言しておく。

<代表選の後遺症の心配>
 民主党は、野党から与党になる時期に親小沢と反小沢が反目し合い、ついに小沢がいびり出される形となった。私の心配は、今回の代表選で対立軸が「6人衆」対「反6人衆」、つまり岡田陣営対細野陣営に成り代わった感があることである。その点では、第3の候補長妻の立候補は正解であり、民主党代表選を盛り上げたばかりでなく、対立を中和する役目も果たした。その意味では、蓮舫には是非第4の候補者として(かつ初の女性として)代表選に参加してもらいたかった。

<落ち着いた党内運営に期待>
 岡田新代表は、党内で一致団結と言っている。いつものとおりだが、人事がいつも不公平になり、なかなかそうはいかない歴史がある。これが第一の気掛りである。しかし、6人衆も他の議員も、いざこざに飽きているはずであり、大人の行動をしてほしいと思っていた矢先、枝野幹事長の留任が決まった、と報道された。これに対しもうすでに岡田・枝野では何も変わり映えしないという声が聞こえてきている。
 一致団結と党内融和の象徴は、6人組以外からの新たな幹事長を出すことのはずなのに、それが分かっていない。1回目に4ポイント差で負け、2回目がたった13ポイント差の薄氷の勝利でしかなく、かなりの批判的な目が光っていることをもう忘れているのである。せっかくのスムーズな門出を自ら前途多難にしてしまっているのではないかと危惧している。

<岡田代表は論戦は卒業し、党運営に全力を傾注すべき>
 次には、どうも政策論議で安倍首相に挑むといったことに凝り固まってきている点である。岡田は安倍と何回も国会論戦をしており、論戦の先頭に立つという。私も昨年1年間、同じ予算委員として間近で見たが、岡田・安倍論戦は、大きな声で理屈は述べていても、双方とも自己主張を繰り返すだけで論戦にはなっていなかった。もう論戦は他の議員に任せ、じっくりと党の再生に専念してほしいというのが私の願いである。

民主党長野県第1区総支部 2015年 新春交歓会 のお知らせ

新春の候、皆さまには益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 日頃は、民主党ならびに篠原孝の政治活動に格別のご支援を賜り、心より厚く御礼申し上げます。
昨年の総選挙においては、不意打ち解散ではありましたが、お陰様をもちまして小選挙区で5期目の当選を果たすことができました。皆様に多大なるご支援を賜りましたことに、改めて厚く御礼申し上げる次第です。
さて、新春を迎え、下記のとおり恒例の「新春交歓会」を開催いたします。
つきましては、大勢の皆様にご参加いただき、新年の活動を力強くスタートさせたいと願っておりますので、万障お繰り合わせの上、ご来臨の栄を賜りますようご案内申し上げます。
 講演会のみのご参加もお待ちしております。

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【長野市 新春交歓会】
1.日時 : 2015年1月24日(土)
       講演会 午後4時から
       懇親会 午後5時から
2.場所 : メトロポリタン長野 3階「浅間」
       長野県長野市南石堂町1346 電話026-291-7000
3.ゲスト : 長妻 昭 衆議院議員(元厚生労働大臣)
  http://www.dpj.or.jp/global/data/files/0000/0001/8171/66ede556fd35e27638efa1645a5d0f93_tn150.jpg
4.会費(懇親会ご参加の方) : 5,000円 (講演会のみご参加の方は不要です)
5.申込締切 : 1月22日(木)まで

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【中野市 国政報告会】
1.日時 : 2015年3月1日(日)午後5時から
2.場所 : アップルシティなかの
       長野県中野市吉田519    
3.ゲスト : 未定

※日時等 変更になる場合がございます。

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お問合せ・お申込み
しのはら孝事務所(民主党長野県第1区総支部)
長野市若里4-12-26宮沢ビル2F
TEL 026-229-5777
FAX 026-229-5727

2015年1月13日

代表選シリーズ3 民主党の再生は「中道リベラル」の原点回帰以外に道はなし- 日本を壊す集団的自衛権、原発再稼働、TPPへの対応の違い -15.01.13

<「中道リベラルこそ民主党の原点」>
 私は、年末29日に長妻氏との一本化調整を終え、私が辞退することで長妻候補を応援することにした。中道リベラルという政治的な立ち位置が似かよっているからである。
 民主党は元々中道リベラルが本流であり、代表選に出馬する者が、中道リベラルなどと言わなければいけないこと自体がおかしいのだ。民主党は自民党と似かよった政党になりすぎたために、反自民の有権者が共産党に流れ、共産党が議席3倍増(8→21)という結果になっている。そのことを考えると、今回の代表選では自民党に対峙し、路線を明確にする者が絶対選ばれなければならない。私がその象徴的存在として擁立されんとしたのも、こうした背景があったからだ。

<やっと実現した公明正大な党首選>
 しかし、私が民主党に入ってから初めてきちんとした代表選が行われ、全国11ヵ所で共同街頭演説候補者集会、討論会、共同記者会見が行われるというのに、どうも民主党の内輪揉めが前面に出てしまっている。この結果、岡田対細野の言い争いばかりをテレビや新聞が報じることになり、民主党の幅広い意見を国民に聞いていただく貴重な機会を損ねていることを危惧している。

 私が公明正大な代表選を主張し続けて(「民主党復活会議で代表選候補者選び」-2012.09.04- 、「代表選中盤報告」-2012.09.15- 、「前途多難な野田民主党の再出発」-2012.09.24- 、「民主党代表選に名前が現れた理由」-2014.12.27- )、やっと実施に漕ぎ着けたというのに、これでは台無しになってしまう。とても黙っていられない。長妻陣営の選挙対策副本部長であり、客観的にはなりえないかもしれないが私の考え方を明らかにし、誰を選ぶかの判断材料の一つを提供したい。
 争点は色々あるが、日本の政治を左右する大事な争点を取り上げて見解を述べていく。集団的自衛権、原発の再稼動(および原発輸出)、TPP、政治と金、民主党の運営方針、そして今論争の的になっている野党再編等である。


1.集団的自衛権(日本を戦争に巻き込むおそれ)
 -これこそ民主党の立ち位置を明確化する最大の争点-

<長妻はきっぱり否定>
 14年7月1日の集団的自衛権行使を認める閣議決定の撤回を求める点は一致しているが、3人の差は歴然としている。長妻昭は集団的自衛権を行使すべきではない、個別自衛権の延長線上で対応できるとしている。アメリカに強く求められているわけでもないし、世界の情勢を見ても、また近隣諸国への配慮を考えても、集団的自衛権の行使を容認したりする必要は全くないと私も思っている。

<現実的対応とやらで自民党を喜ばす岡田・細野>
 それに対して細野は、朝鮮半島有事は我が国の自衛にも直結する、といったぼやっとした理由で容認してもいいという態度を明確にしている。岡田も野党は反対しているばかりでは、巨大与党に押し切られてしまうから現実的対応が必要だとか、これまた本筋から外れた理由で容認してもよい立場をとっている。更に行使に歯止めがかかる安全保障法制の整備ができれば行使に賛成することもあると言い出し、自民党を喜ばせている。これでは自民党と変わらない。

<長妻こそ中道リベラルの本流>
 細野はもともと右寄りの維新と一緒になろうとしているのであり、およそリベラルな考え方とはかけ離れている。岡田と細野では、せっかく自民党との違いを最も明確にできる国の基本方針において、決定的な違いがなくなってしまう。これでは日本国民が民主党に期待する姿とは大きく乖離しているのではないか。この点が二人と長妻の大きな差である。戦争をしない、海外に自衛隊を出さないという憲法9条の精神を守るべしという者は、自ずと中道リベラルの本流である長妻支持に帰結する。


2.原発(日本の国土を汚すおそれ)
 -国民の大半は再稼働反対なのになぜ容認するのか-

<長妻は明確に再稼働を否定>
 原発についても、長妻は「原則は原則、再稼動はない」と政策ビラにも明確に印している。ここがこれまた容認を匂わせる他の二人との差が際立っている。
 他の2人は集団的自衛権と同じように細野が一番推進派であり、岡田も避難計画に国が最終的に責任を負う議論が必要だ、と四の五の言っているが、基本的に再稼動してもいいという考えである。
 長妻自身が原発について発言してきたことを私はよく知らないが、少なくとも私と一本化調整をする過程の中で、政策調整も行い、この点を明確にしていった。この点でも私と長妻の意見は一致し、ここにも、私が長妻昭を支援する理由が存在する。

<またもや現実的対応で財界を喜ばす>
 ここでも2人の立場は、国民の声と大きくかけ離れている。国民の7~8割は原発再稼働に反対であり、原発輸出にも大きな疑問を呈している。国会で野党共闘は積極的にしていくと述べているが、前通常国会の大きなテーマで唯一全野党共闘ができそうだったのは他ならぬ原子力協定の反対だった。維新でも大揉めに揉めて、松野頼久幹事長は特定秘密保護法案に続き2度目の両院議員総会を開いて採決し、反対と決めた(「巧みな党内運営で分裂を防ぐ維新の会:両院議員総会の採決で切り抜ける松野頼久幹事長の知恵」 -2014.03.26- )。もし本当に共闘を目指すなら、反対するのが当然であるが、それを民主党だけが賛成したのである。要するに岡田・細野の2人の野党共闘は所詮絵空事なのかもしれない。

<ぶれたご都合発言が目立つ細野の原発対応>
 特定の候補の行動にだけに目を向けるのは慎むべきだが、ここで細野の原発に対する対応の変化を取り上げなければならない。原発事故発生時、総理補佐官で原発担当、その後環境大臣で原発事故担当となり、福島県民とともに復興に取り組むと決意を示していた。ところが、その後そのポストを離れ政調会長となってしまい福島県民を失望させた。自民党の小泉進次郎が復興担当政務官として福島県に足繁く通い、福島県民に寄り添って原発再稼働に疑問を投げかけているのと大違いである。
 その後も原子力協定に賛成し、原発輸出を推進するに及び、原発避難民の願いとは完全にかけ離れた対応をしている。一方、電力業界や原発関連業界からは大歓迎されている。
 細野は政党再編だけでなく、原発事故対応でも、政治とカネでも(この点は別途論ずる)前言をひっくり返している。


3.TPP(日本社会を根底から破壊するおそれ)
 -TPP・農政も争点にして攻めるべし-

<TPPは3人とも明確な態度表明なし>
 他にも私が非常にこだわるものとしてTPPがあるが、TPPについては政策では細野は全く触れず、岡田は情報開示と国益の確保を前提に交渉に臨む、といった意味不明な政策である。これに対して長妻も、マニフェストどおりであって「情報公開を要求しつつ、厳しい態度で臨む」という表現にとどまっている。要するに3人ともほとんど関心がないのだろう。長妻も原発について「30年代ゼロ」を大きく踏み出しているのと好対照である。
 TPPについてはそれほど明言はしないが、3人とも明らかに推進すべきという立場であり、絶対にTPPに入るべきではないという私の立場とは相容れない。ただ、全ての政策において一致するなどということは不可能であり、候補者は長妻なので、この点はあまりぎりぎり詰めずにおくことにする。

<自民党農政に怒る農民の自民党離れ>
 しかし、「代表選シリーズ2」のとおり、今回議席が増えたのは東日本の農村部中心であり、農政が選挙に大きく影響を及ぼしているのだ。1月11日に行われた佐賀県知事選でも、中野吉實農協中央会会長の擁立した山口祥義が、全くでたらめな農協改革に固執する自民党候補を4万票近く引き離して破ったことが、これを裏付けている。
 実は、14年7月の滋賀県知事選勝利の一因も、自民党の農政不信と民主党農政への期待があったのだが、大半の人は気付いていなかった。全国の農民がアベノミクスや現場無視の農政改革に怒り狂っているのである。なお中野会長は、私と全く同年であり、30代前半に会って以来30有余年、年賀状をやりとりする仲である。当時中野は全国最年少の農協組合長、私は農政論を書き始めて、週末農業関係者会合に引っ張りだこだった。(「参院選と民主党のTPPへの対応 : 元民主党の同僚参議院補選候補を山口に応援」 -2013.04.26- )
 政党は「一強多弱」、自民党内では「政高党低」を超え「官邸一強」という悲惨な状況に敢然と反旗を翻したのが、佐賀県の農民である。長い物には巻かれろという安易な風潮に流される中、見事というしかない。民主党も佐賀県の農業関係者の毅然とした対応を見習わなければなるまい。

<民主党はアベノミクス農政の失敗を突く>
 今年4月の統一地方選、そして来年の参議院選と考えても、TPP、農政を大きな争点にし、自民党との差を明確にしていかなければならない。2007年に自民党は一人区で6県しか勝てず、惨敗したことを思い出してほしい。民主党は農業者戸別所得補償をひっ提げて戦い、民主党公認で18議席、非自民23議席の大勝利を収め、政権交代のきっかけを作ったのだ。それを忘れ、TPP推進などと言い出し、地方や農村への配慮を怠ったため、2012年末の衆議院選挙では大敗北し、更に2013年の参議院選挙でも、31の一人区で1人も勝てなかったのである。このまま放置したら、13年と同じく再び31の一人区で1人も勝てないという無様な敗北が待っているだけである。
 残念ながら、今回の3人の候補者は地方出身者とは言い難く、この観点が決定的に欠落している。かくなる上は、長妻候補にこの代表選に見事勝利を収めてもらい、私が意見を具申し続けることで、地方の思いや農政の大切さをおもんぱかることの出来る政党として、民主党が生まれ変わるよう全力を尽くしたい。

2015年1月11日

代表選シリーズ2 14年末アベノミクス解散総選挙の敗因分析 -東日本で民主党農政への期待により伸びた当選者数- -15.1.11

<65歳以上は鬼門>
 2012年の野田自爆解散の当選者数が57、そのうち今回議席を失った者が5人いるが、いずれも60歳以上である。年齢順にいうと 若井康彦、生方幸夫、吉田泉、海江田万里、この4人は65歳以上であり、もう1人61歳の寺島義幸である。ある政治評論家は、1才若ければ5千票有利になると言っていたことがあるが、浮動票には若ければいいという風潮が一般的に見られる。今回も、有権者は65歳という高齢者入りする分岐点をよく見ているのではないかと思われる。恐ろしいことである。高齢化が進み定年も伸び、高齢者の数が増えるというのに、政治家が若手ばかりになるというのは時代の趨勢に逆行するが、これが厳しい現実である。

<候補を立てずに不戦敗>
 私は、1年以上前からいろいろな会合の場で、早く候補者を決めてきちんと活動していかないと突然仕掛けてくる総選挙に対応できない、としつこく意見を申し述べてきた。しかし、選挙担当役員にはなかなか受け入れられなかった。14年秋に体制が変わり、新たな選挙体制が組まれた折りには関係者への直談判に及んで早く体制を整えるよう進言したが、少しも候補擁立をせず案の定突然の解散となった。
 私などから見ると、自民党が着々と選挙体制を整えていることは手に取るようにわかった。誰にでもわかる端的な例は、3人から2人となる5つの減員県の調整である。次々と決まっていき、残るは調整が難しい福井だけとなっていた。例えば徳島では、新人の福山守を比例区に回し、その代わり男性の1期生議員としては唯一政務官に遇するという救済措置も講じながら、見事に調整を終えていた。それに対し民主党は議員ゼロの減員県でもうまく調整ができず、佐賀では2人現職で丁度うまくおさまったにもかかわらず、1人を比例1位で優遇するというえこひいきをし、関係議員の怒りをかっている。

<100議席以下は大敗北>
 こんなことからも政治のプロ、例えば亀井静香などは遠からず選挙があることを見通していた。そして私にいろいろな動きについてアドバイスをしてきていた。ところが、民主党幹部は「私が自民党だったら、この秋に解散総選挙をする」などと言っておきながら、ほとんどそのための準備をしなかったのである。その結果、目標の3桁には遠く及ばなかった。戦略ミスであり「不戦敗」は明らかである。
 代表選の前に「大敗北だ」と言う細野豪志候補に対し、岡田代表代行、枝野幹事長が「言い過ぎだ」と言って反論している。言わなくていいことを言う方も言う方だが、事実を端的に指摘されカリカリする方もする方であり、両方とも大人とは言い難い。そして見苦しいことに、代表選が告示された後の共同記者会見や討論会でもこれが繰り返されている。久方振りの本格的な代表選であるというのに見苦しい限りである。

<純然たる都市部の復活は2人のみ>
 都市部では、ほんのわずかしか増えていない。数字の足し算引き算をしてみるとよくわかることだが、62議席から73議席と11議席増えているが、上記5人が落選し、後藤斎が山梨県知事選出馬のため離党した分も計算に入れると、17人が復活したことになる。金子恵美が参議院から衆議院に移って当選し、形式的に新人ということになるだけである。純粋な新人はいない。(以下、復活は18人とする)純然たる都市部で復活したのは、大阪の平野博文、福岡の緒方林太郎と2人だけである。
 都市部の中では東京が惨憺たる結果であり、小選挙区勝利は長妻昭1人で、海江田代表も落選し、菅直人元首相も475人目の比例復活という有様である。そして42議席(小選挙区25+比例区17)中たった4議席(10%)というひどさだ。割合でこれを下回るブロックは中国の2人(6%)と九州の5人(9%)の2地区だけである。ここには都市政党あるいは1区現象という過去の栄光のひとかけらも見られない。こうした中で愛知県の善戦により、都市部では東海が5人増の15人(25%)と唯一復活の兆しを見せた。

<議席増は農村議員の復活による>
 ところが、どこでどのように議席が伸びたかということはほとんど分析がされていない。よく見ると一目瞭然の結果である。北からいうと、18人復活したうちのなんと11人が明らかに農林議員か、農村地帯の選挙区である。北海道:佐々木隆博・逢坂誠二、秋田:寺田学、福島:金子恵美、新潟:黒岩宇洋・西村智奈美、茨城:福嶋伸享、静岡:小山展弘、群馬:宮崎岳志、愛知:岡本充功、滋賀:田島一成である。神奈川:神山洋介、本村賢太郎、愛知:山尾志桜里、大分:吉良州司は都市に農村が混じっている選挙区である。このうち佐々木・金子・福島・小山・岡本の計5人は農林水産委員会に所属したことのある議員である。つまり、大半は農村地帯で議席を復活させたのである。

<善戦した農村部なり農村議員が大半>
 他にも鷲尾英一郎が103票差で小選挙区の当選をしそうになったし、石川の近藤和也もあと少しで比例復活できるところであった。小選挙区の当選で見ても、逢坂・佐々木・吉良・黒岩・山尾が小選挙区で復活してきているが、いずれも地方である。他に14年に新たに小選挙区で再選された者に、福田昭夫、大島敦、後藤祐一、近藤昭一、赤松広隆、大西健介、原口一博、辻元清美と8人いるが、純然たる都市部は近藤、赤松、辻元の3人で、あとは農村部を抱える選挙区である。例えば大島は街部で負けていたものを農村部で逆転し、僅差の小選挙区勝利をものにしている。また、福田は西川公也農林水産大臣に少差で勝利している。
 2万票以上差をつけて当選した者が14人いるが(階、黄川田、安住、玄葉、野田、長妻、篠原、細野、古本、古川、岡田、中川、前原、玉木)。大半が与党時代のメリーゴーラウンド人事で枢要閣僚を占めた有名政治家である。そのうちで閣僚未経験の4人(階、黄川田、篠原、玉木)は農村地帯を選挙区とし、篠原、玉木は農林水産委員会のメンバーである。いかに農村地帯、地方でアベノミクス農政に対する反発が強く、民主党農政復活への期待が高いかわかろうというものだ。つまり、民主党の議席増は、東日本で農民に支持されたものであり。直前の野党間の選挙協力によるものでも何でもない。ところが、このことを大半の民主党の幹部はわかっていない。

<16年参院選は民主党農政を武器に1人区で勝利を目指す>
 こういうことからすると、来年の参議院選挙を考えた場合、大事な戦略が浮かんでくる。2013年の参議院選挙は、31の1人区で民主党当選者はゼロ。非自民が、岩手の平野達男と沖縄の糸数慶子の2人だけであった。このことを2016年に繰り返すと、参議院も自民が3分の2以上占めてしまうおそれがある。これを絶対阻止するためにも、自民が6県しか勝てなかった2007年の再来とまではいわないが、民主党が1人区で五分五分の勝利を収めるかたちにもっていかないと、日本の政治は狂ってしまうかもしれないのだ。
 そのためには農政が重要であり、今回の代表選もそういったことを訴えていかなければならないと思っている。だから私が代表選に出て地方重視を訴えようと思った次第である。長妻氏に一本化した今日、私は長妻陣営の選対副本部長として、地方・農業のことを忘れないで欲しいと長妻候補に要請しているところである。

表 [2014年アベノミクス解散総選挙と2012年野田自爆解散総選挙の比較]