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2015年6月29日

【TPP交渉の行方シリーズ39】 オバマの執念の勝利、TPAが上・下両院を通過 -これで結着とみるのは早計-15.06.29

<僅差のTPA成立>
  アメリカ議会の反TPPの動きに最後の望みを託したが、我々にはよくわからないアメリカ議会独特の議決方法により、TPA(いわゆるファスト トラック授権法)が上・下両院で通ってしまった。残念至極である。
  念のためにおさらいしておくと、下院は前後にTAA(貿易調整授権法)と切り離したTPA単独の採決は賛成218、反対208で、1回目のTAAとセットの時(219対211)とほぼ同じ僅差だった。上院は、採決の動議が賛成60、反対38でぎりぎりの可決、もしもう1人が反対なら採決されないというまさに薄氷(票?)を踏む可決である。TPA法自体は賛成62、反対37でほぼ変わらず。TPA法案の提出から約2ヶ月、何度もつっかかってやっと成立した難産の法律である。

<オバマの逆転勝利>
 これでオバマ大統領に送られ、署名するだけとなった。ただ、オバマはかねてから、TPAとTAAは揃わないと署名しないと述べており、TPA単独で署名すると約束違反となり、更に国民の信頼をただ失うことになる。しかし、TPAが通れば、民主党がTAAに反対する理由はなく、TAAもすぐ通すので、オバマは約束どおり2つの法律を同時に署名することになるだろう。アメリカも今回の一ヶ月を越えるTPAを巡る議会の動きは国民の関心を呼び、オバマと共和党側に民主党、労組、環境派に勝利したと報じている。
 今までもFast Trackの授権法はもめにもめてきたが、今回は歴史に残る見苦しいプロセスを経ての成立である。オバマ大統領の指導力の低下を物語る攻防だった。

<審議・採決のルールは日米ともに複雑でわからず>
 アメリカ議会の仕組みは、千葉明氏の『なぜアメリカでは議会が国を仕切るのか?』を熟読したところで、完全に理解することは不可能である。日本の国会のわけのわからぬ日程調整、形式的な審議拒否といつの間にかの再開、突然の強行採決等も外国からみたらチンプンカンプンだろう。10年余国会議員を続けてきた私でもよくわからない。議会の仕組みは日米両国ともどっちもどっちなのだ。

<議会が本格的に議論して採決する民主主義国アメリカ>
 アメリカには上院の採決に移る動議(cloture)が60票で、本物の採決は50票(半分)でいいこと、全く無関係の2つの法律をセットで通すこと(乗り物に載せて通すことをもじってa trailer bill と呼ばれる)等、日本にはない仕組みである。ただ、党議拘束がないことに象徴されるように、アメリカの議会は日本の形式が先行する国会と比べ、本格的に議論をし、きちんと採決することがよくわかった。

<既に始まっている16年大統領選>
 最終段階で、16年の大統領選を睨んだ動きがみられた。私は、先のブログ(15.5.21「TPAで揺れ動くアメリカ議会」)で、ヒラリー・クリントンの動向が注目されると書いた。下院の院内総務(前下院議長)ペロシがTPP・TPAに反対を明確にすると、大統領候補への指名を控えたクリントンはたまらず賛成できないことを明らかにした。独立系のサンダース上院議員が反TPPを唱え、支持を急速に拡大中だったからだ。これが民主党の反対増の理由の一つになった。

<共和党に優位に傾く今回の民主党の分裂>
 三権分立の徹底しているアメリカでは、大統領が議会に働きかけることは滅多にない。しかし、今回はオバマは電話の説得ばかりでなく、自ら国会に乗り込んで説得に当たったり、ホワイトハウスでのバーベキューパーティと、なり振りかまわなかった。ただ、票の移動(swing)がほとんどなかったところをみると、あまり効果はなかったようだ。
 それよりもTPAを通す原動力になったのは、多数党になった共和党のマコネル上院院内総務やライアン下院総務委員長の連携プレーである。底流には、TPA・TPPで民主党内の分裂を起こし、大統領選を優位に持ち込もうという思惑が見え隠れする。
 オバマがTPPを遺産(Legacy)にしたいと正直に言っており、2期目の業績作りに必死なのだろう。そして、自分の業績を残さんとする振る舞いの陰で、16年大統領選で共和党に塩を送ってしまっているのだ。

<他の10ヶ国は簡単な妥協はしない>
 その点は、日本も似通っている。安倍首相が大宣伝した3本の矢にめぼしいものがなく、もうTPPぐらいしか残っていない。焦ってまとめようとしているのは、日米両大国であり、他にNZが急いでいるぐらいである。Daily Newsは、チリ、ペルー、シンガポールの大使がTPP交渉の早期妥結に疑問を投げかけていると報じている。日本同様に農産物関税問題を抱えたカナダは、10月に総選挙を控えている。オーストラリアは、アメリカに砂糖の農産物関税の撤廃を迫っているものの、アメリカには妥協する気配がみられず、またISDSは反対のままであり、すぐ最終決着するとはとても思えない。ベトナムとマレーシアは、知的財産権等で譲る気配はない。

<日本の甘い観測>
 日本のマスコミは、下院のTPAとTAAのセットでの否決にびっくりしたものの、上院でTPAが再び可決されると、一斉にすぐTPPがまとまるかのような予測記事を書いている。2010年、TPPが何物かわからない時から五大全国紙はTPP推進のオンパレードであり、相変わらず同じ主張を続けている。甘利担当相も「8月以降に(TPPの大筋合意が)ずれ込むことは想定していない」と、7月中の閣僚会議の開催、夏休み前結着という希望的観測を述べている。

<アメリカでは反TPPの動きが活発化>
 2010年秋、内容も知らない菅首相が突然所信表明でTPP推進を言い出し、ISDの知識もない野田首相は自らの業績作りのためにTPPを強行し、TPPが国民の知るところとなった。しかし、その後、例の秘密交渉約束でほとんど内容が開示されず、反対の気勢をそがれたままである。
 一方、アメリカは日本と5年遅れでTPPが急激に国民の目にとまるようになった。加えてウィキリークスが得意(?)の情報漏洩で大活躍、すっかり汚名を挽回中である。これにより関心のある国民は、TPPの内容を日本とは比較にならないほど分かるようになった。アメリカで今まででもこれだけもめたのである。今後アメリカでは、あらゆるグループや階層で反TPPが深く進行していくに違いない。

<注目される16年選挙>
 民主党支持者は、下院のTPA賛成者を「恥の殿堂」(Hall of Shame)として顔写真入りで掲載し、上院の13人の賛成者も同様にネット上で嘲笑の対象とされている。多分、16年の選挙で多くが議席を失うに違いない。
 私はこの1年で、自民党の新人議員よりもアメリカの国会議員の名前のほうが多く覚えることになった。誰が賛成し誰が反対しているか目を凝らしてアメリカの情報を追ってきたからである。かくなる上は、このネットの顔写真入りページをとっておいて、16年秋の選挙時に当選をチェックしてみようと思っている。アメリカの選挙による民主主義の証しを見たいからである。

<焦る日本は国益そっちのけ>
 日本や他の10ヶ国は、交渉権限のないアメリカ政府(USTR)と交渉を進めてきたのである。URでも他の重要な通商交渉でも交渉の始まる前にきちんとFast Trackを獲得したアメリカ政府が交渉に当たってきた。米政府がFast Trackを失った時は、アメリカは交渉を中断したし、日本やEUも交渉に応じなかった。また逆に、Fast Trackの期限に振り回されて、交渉妥結を急いだ。
 それを今回は、今頃になって一夜漬け(にしては2ヶ月もかかった)の議会承認でやっとまともになっただけである。EUが入っていないためか、完全にアメリカになめられているのである。
 甘利TPP担当相は、心配する農民を尻目に、「日米間ではそれほど深刻な課題は残されていない」と交渉は妥結寸前のごとく述べている。14年春のオバマ訪日時の交渉で大方結着が着いているとしたら、政府、自民党はまた嘘の上塗りである。
 他の10ヶ国は簡単には最終合意の提案をしない中、日本のみ焦るのは愚の骨頂である。じっくり様子を見るべきである。

<韓国の二の舞を踏む日本>
 今後アメリカ議会は、オバマ政権の交渉に関して相当深入りして下手に妥協、すなわちアメリカの譲歩はさせないであろう。従ってライアン下院総務委員長(共和党)は、議会がより交渉に影響を与えることになるといい、ペロシ前下院議長(民主党)も、圧力をかけて続けると明言している。事務レベル(もしくは政府レベル)で、日本の米の例外をかなり認めたり、牛肉関税の存続を認めたりしていても、議会が再交渉を求めてくる可能性がある。
 このことは米韓FTAが先刻承知済みである。2007年に締結したFTAにアメリカ議会がクレームをつけ成立したのは、4年後の2011年である。その間に韓国は数々の妥協を強いられている。

<協定成立後も妥協を強いられる日本>
 更にそれをいいことに、今回のTPAはFast Trackの授権法といいつつ、内容は大きく変わっており、法律のタイトル自体が変わっている(15.4.24ブログ 「フロマンの格好付に手を貸した深夜の日本協議」参照)。
 第6節(貿易協定の履行)の(b)項で、「大統領が本法に従って通知または協議することを怠り、または拒否した場合、貿易権限手続きの利用を否認するための方法と手続きを規定する。この決議によって、両院は協同で行動し、貿易権限手続きを手早く撤回するこを可能にする」と明確に権限剥脱を規定している。TPPがめでたく成立したとしても、後から議会から修正を迫られるおそれは、米韓FTA以上に高くなっている。

 TPPは日本には百害あるのみである。
 私は、今この時点でもTPPから脱退すべきだと思っている。

2015年6月21日

日本の社会をぶちこわす、労働者派遣法の改悪  - 世界で一番ビジネスがしやすく、労働者がしいたげられる国 - 15.06.21

 6月25日、1週間前に久方振りの押しくらまんじゅう(?)が行われた厚生労働委員会の重要案件、労働者派遣法が、緊急上程で本会議にかかったものの、民主党等野党は採決に応じず退席のまま衆議院を通過し、参議院へ送られることになった。

<揺らぐ日本の安定基盤>
 今日本の仕組みが大きく揺らいでいる。その代表が安全保障体制である。他に秘かに進行しているのが度々触れてきた農村地域社会の崩壊である。都市部は大丈夫かというと、そうではなく孤独死に代表される「無縁社会」が静かに進行している。教育分野では子供たちも反乱をおこしていじめが続く上に、「子供の貧困」も大きな問題になりつつある。すべて戦後70年間の間に日本の安定と発展の礎になった仕組みである。
それにもう一つ日本株式会社を支えた安定的雇用が危機に瀕している。

<日本の発展の原動力は農村地域社会のルール>
 1980年日本の高度経済成長の最盛期、エズラ・ヴォーゲル教授の『Japan as Number One』がアメリカでもベストセラーとなった。あまり知られていないが、私の記憶では日系の学者ジョージ大内の『Theory Z』も読まれた。その中では日本の繁栄は日本株式会社、すなわち日本全体が団結してやっていることにあると書かれていた。よく見られた日本論の一つである。企業が、日本の農村地域社会をそのままあてはめたような終身雇用、年功序列、滅私奉公が高度経済成長の原動力だと指摘していた。
 1976-78年ワシントン大学留学中に立ち読みした University Book Store の日本コーナーの本も衝撃的であった。タイトルすら覚えていないが、社会学者が日本の繁栄は大半が転勤族サラリーマンになって定住性を失った時に終わる、と予測していた。そして今日本は定住者が減り、人の「過剰流動性」が問題になる時代に突入している。つまり、猛スピードで土から離れつつあるのだ。

<日本株式会社は実はワーク・シェアリング共同体>
 かつては一生その会社で働き途中でやめる人は少なかった。家畜ならぬ社畜といわれ、転職などまれであった。給料は高度経済成長ということもあって、徐々に上がって行った。会社が苦しい時は、ボーナスなしで給料を下げてもみんなで頑張り、うまくいったらまた給料が上がるといったことが当然行われてきた。苦しい時はボーナスなし、給料の遅配にも耐えて一丸となって頑張った。今風に言えばワーク・シェアリングである。新卒者の3分の1が3年以内に転職するなどといわれる昨今と比べると隔世の感がある。

<労働者派遣法は「正社員ゼロ法案」>
 この美風がいつの頃からか壊れ始めた。時を同じくして派遣労働という耳慣れぬ言葉が聞かれるようになり、最初は通訳等特殊な技能を持った人だけに許されていた。それがいつの間にか専門26業務から製造や事務といった一般の労働者にも広げられたが、最長3年という期限がつけられていた。低賃金や契約期間の切れ目で雇い止めの問題が起きやすかったからである。
 ところが今改正ではこうした業務区分をやめ、3年の期間制限も撤廃される。そして企業が労働組合の意見を聞き、3年ごとに人を交代させれば、ずっと派遣労働者だけにしておけることになる。労働者側からみると、ポストを3年で変えれば、定年までずっと同じ会社で働き続けることができる。後者を文字って「生涯派遣」ないし「一生派遣」と呼ばれる。本改正で、派遣労働の臨時的、一時的原則が崩れ、派遣労働すなわち非正規雇用が一気に拡大するおそれがある。つまり「正社員ゼロ法案」とも言えるのだ。
 こうした不備を少しでも是正するために「同一労働同一賃金法」が同時に成立したが、派遣社員の6割以上が年収300万円未満の現実はそう簡単に変えられそうもない。

<残業代ゼロに続く金銭解雇>
 この後に控えているのはホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ法案)である。決して日本語にせず、英語のままで通している。なぜかと言うと、日本語にするとすぐに酷い内容が理解されてしまうからである。ホワイトカラー(事務職)だけに適用され、ブルーカラー(現場労働者)は別だと言い訳しているが、過労死が問題になる中、残業代も出さずに働かせようというものである。
 その次は金銭解雇、すなわち2年分の年収を払えばいつでもクビにできる恐ろしい仕組みである。それを労働者が自由に自分にあった職を選べるようにするとか、『労働の流動性』を高めるといった美名の下に着々と改悪が進行中である。

<TPPの隠された狙い>
 これが実はTPPにもずっと関連している。2008年アメリカのバシェフスキー通商代表が、P4国に対して労働と環境と投資と金融を入れるならアメリカも入りたいと申し出て、TPPが本格化している。
 アメリカが労働にこだわるのはなぜか。発展途上国は児童労働、長時間労働、婦女子労働等の、不正労働により低賃金になり、その低賃金に下支えされた安い商品がアメリカにどんどん輸入されてきている。それを阻止するために先進国と共通の労働条件にしなければならないというのがアメリカの大義名分である。いわゆるソーシャル・ダンピングへの対抗であり、環境も緩いエコ・ダンピングに対するものだと主張している。

<アメリカ企業のための世界で一番ビジネスのしやすい国>
 そういう側面もないわけではないが、実は本音は違うところにある。
アメリカの企業が日本の企業を買収し、経営権を握ったところ、日本のきちんとした労働保護法制にビックリ仰天したのである。給料は簡単に下げられないし、クビになどとても出来ない。これでは買収した意味がないということに気が付き、日本にも労働法制の緩和を要求し始めたのである。それを一気に実現する手段が、TPPの労働分野の協定である。拙著『TPPはいらない』で連合こそTPPに大反対すべきだと警鐘を鳴らした理由がここにある。
 安倍首相は、日本を「世界で一番ビジネスのしやすい国」にと、吹聴して回っているが、もっと簡単に言えばアメリカの金融資本や企業が、日本の企業を買収して自由に操れるように労働法制を緩和することなのだ。つまりTPPを先取りしているのが一連の労働法制の緩和なのだ。

<労働者がしいたげられる国>
 このままいくと数10年後には日本の大手の企業のほとんどを外国人社長が占め、日本人は低賃金で働かされ、挙句にはさっさと自由にクビにされ、外国人労働者に取って替わられているかもしれない。つまり日本がいつの間にか「労働者がしいたげられる国」になってしまうおそれがある。
 厚労省の担当課長が労働者を物としてしか考えないような発言をし、物議をかもした。従業員の人件費といいつつ実はその辺の機械と同じように、いつでも代えられる消耗品ということになってしまっている。「企業は人なり」という言葉が死語になりつつある。それを象徴するのが今回の労働者派遣法である。その結果わりを喰うのは弱者である労働者に他ならない。

<TPA法案の行方はわからず>
 悲しいことに、海の向こうでも6月19日、下院でTPA法案がTAA法案から独立して採決され218対208の僅差で通過し、上院に送られることになってしまった。一旦は、7月末までに採決すればいいなどと決められたのに、この急展開である。しかし、きちきちの党議拘束がかかり、揉めても形式的となり馴れ合いのみられる日本の国会審議と異なり、こちらは最後までどうなるかわからない。かくなる上は、TPP阻止はアメリカの民主主義的な議会に期待するしかない。

2015年6月19日

地方を元気にする「根っこの会」(亀井静香代表)の活動 -篠原は医療過疎地の解消を担当-15.06.19

<根っこの会幹事長>
 私は、今いろいろ活動しているが、その多くの時間を亀井静香さんとともに過ごしている。全体の業務量の5分の1くらいは亀井さんに振り回されている。いつのころからか亀井さんとの付き合いが始り、急激に濃密になっていった。今は、地方を元気にするための超党派議員連盟 「地域活性化協議会」(通称、根っこの会)を造り、私がその幹事長になり、亀井金融担当大臣の時に副大臣もした大塚耕平参議院議員が事務局長におさまり、この会を運営している。
 6月10日、国会議員メンバー55名のうち、27名が出席し、各地方の首長・自治体議員・中小企業者・農林水産業者等が300名程、衆議院第一議員会館の国際会議室に集まり、地方をどうするかということを話し合い実行していくことにした。この準備に相当な時間を費やした。

<亀井さんの37年間の政治活動の集大成>
 こんなことができるのは、亀井さんの圧倒的なリーダーシップの故である。当選13回、年齢78歳、衆議院の最長老である。無所属で自ら傘貼り浪人と称している。広島県の庄原市の中山間地の農家に生まれ、ダムの底に沈みそうになった自分の集落を、偶然建設大臣となり、ダムの建設を中止させて故郷の村がダムの底に沈むのを救った。しかし、今はお年寄りすらも町の老人ホームに行っていなくなり、ダムの底に沈んだも同然となってしまったという。亀井さんは、自分の政治生活は一体なんだったのかと自問自答し、結論に達した。37年の政治生活の最後の1期を地方の活性化のために汗をかくというのだ。
 安倍総理は安全保障に血眼になっており、沈没寸前の地方の声に耳をかさない。亀井さんは、自民党にも人脈をもち、安倍派に所属していた関係もあり安倍首相とも親しい。役所にも企業にもともかく人脈がある。人なつっこい独特のキャラクターで人が集まってくる人である。その下に地方を元気にする超党派議員連盟をつくろうということで、半年以上根回しをしてきた。

<亀井・篠原の共通項>
 私がなぜ亀井さんと一緒かという理由を言うと、極めて簡単なことで、集団的自衛権の行使などもっての外、TPPは大反対、原発など日本にあってはならない、地方を大事にと、中心となる政策で完全に一致している。亀井さんは他に、死刑廃止の議員連盟の会長をし、絵を描いておられたりする。私は死刑廃止を主張できるまで人間ができていないし、芸術的感覚は皆無だが、田舎生まれの田舎育ちというところもそっくりである。だからいつのころからか気が合い、行動をともにしてきている。

<とりあえず実現の見本を示す>
 根っこの会のメンバーは、国会議員と首長と地方自治体議員と中小企業者そして農林漁業者と、地方の人が中心である。同僚の松原仁衆議院議員は東京の選出ではあるけれども、離島を選挙区に持ち、東京の地方であるということで加入している。本当は地方の要望を聞いて実現させる会なのだが、取りあえず地方の問題を2つ3つ解決して存在意義を示さなければならないということで、数項目ほど取りかかっている。そのうちの半分は私の案であるが、①サービスエリアの有効活用 ②地方に全寮制の中・高等学園 ③手形の決済を短くする ④地元材を活用した地域活性化 ⑤医療過疎の解消 といったところである。
 その中から、さらにすぐに見本を示すものとして、サービスエリアの活用、手形の期間の短縮化、そして医療過疎の問題を選んで検討を重ねてきた。6月10日の会合は、その途中経過を発表し、地方の声を聞く場であった。私の担当は僻地医療の問題である。これについて概略をのべると以下のとおりである。

<問題の発端は2004年の新臨床研修制度>
 まず、この問題はもとからあったが、2004年新しい臨床研修制度が導入されたことから始まる。それまでは悪く言えばボス教授がいて、卒業後の2年間の研修地をあんたはこっち、おまえはあぅちと割り振りを決めていたものが、研修医が自由に研修地を選べるようになった。すると、医者の卵たちは大学病院にすら残らず、給与も良く、いろいろと便利な大都市の大きな病院を選んだ。その結果、もともと医師不足でだった地方が更に医師不足になっていった。

<どぎつい篠原改革案:医師への僻地勤務の義務化>
 これを解消するにはどうすればいいか。私の単純でどぎつい改革案は医師全員の僻地医療の義務化である。国家試験が受かった人には、自分の人生設計に合わせて3年から5年、国の指定した僻地での医療活動を義務付けることである。
 医師一人を育てるのに、1億円強の金がかかるといわれている。それぐらいの義務をかけても文句を言われる筋合いはない。国家公務員試験に受かり、各省に採用された場合、例えば農水省の場合、平均2~3回地方勤務をさせられる(私は望んだにもかかわらず、例外的に一度も地方勤務をしていない)。それも林野技官は、相当田舎の森林管理署にもいくことになる。司法試験を通った裁判官や検事も同じである。ところが弁護士は自由に勤務の場を選ぶことができる。そして、弁護士と同じように医者はどこでも選べる。だからお金が稼げて、生活環境のいい都市部に集中してしまうことになる。医療過疎と弁護士過疎は同根なのだ。

<大北地方の産婦人科医ゼロ問題>
 その結果、長野の大町近辺(大北地方)で、10年前は10人いた産婦人科医がゼロになりそうだと大問題になっている。となると、国は保険料を納めている大北地方の住民に対して義務を果たしていないことになる。この件は既に予算委の分科会で務台俊介議員が取り上げている。

<欧米先進国では僻地の医師不足問題はない>
 北欧諸国やイギリス人では、医師は国家公務員であり、当然指定地域での医療活動が義務づけられている。フランスでは、地域ごとに必要な医師数と調査、病院ごとに受け入れる研修区の数を決定している。ドイツも大体同じで、人口当たりの定数の110%を超える地域では保険医としては開業できない。
 つまり国がお墨付きを与えた腕に職のある医師に対して、国が勤務地を指定しているのである。従って日本のようなひどい僻地の医者不足は生じない。農政分野における条件不利地域(中山間地域)への直接所得補償と同様に、地方で生活ができるような制度を構築している。

<合衆国アメリカの州内学生優遇制度>
 アメリカは医学部のあるほとんどの大学は州立大学である。私のいたワシントン大学(UW)の経験で言えば、州内の学生は授業料300ドル、州外は3000ドルだから、ほおっておいてもその州の学生が集まることになる。UWの医学部(メディカルスクール)は全米で10位以内の銘柄大学であるが、そこにはワシントン州内で生まれ育った学生が集まり、必然的にワシントン州内の医者になっている。タイでは2年間の僻地医療を義務付けている。
 このようにいずれの国にも医療過疎地が生じないようになっている。

<遅い日本の対応策>
 厚生労働省と文部科学省もわかっていて、その対策に乗り出し始めている。長野で言うなら5年前から信州大学医学部に長野県が、長野県で医療活動をするということを条件に学生に奨学金(貸与額月10-15万円、6年間で概ね1200万円前後)を出し、国がその費用を援助する取り組みが行われている。2016年初めてその卒業生(313名)が出て来る。9年間医療行為をすれば、貸与額全額を返還をする必要はないという仕組みになっている。
 既に自治医科大学で同じようなことが行われているが、他の大学でも取り入れたのである。根っこの会も急ぐ必要があり、当面この政策をバックアップしていくことにしている。
 どのように展開していくかわからないが、その間にも厚生労働省、文部科学省の担当、そして財務省の主計官にも参加してもらい、3~4回この実現のための打ち合わせ会を行った。これが結実していけばいいと思っている。

2015年6月 9日

【集団的自衛権シリーズ6】憲法調査会でボロが出た安保法制-安倍首相の独善は許されず- 15.06.09

<姑息な安倍首相を追及>
 私は13年10月21日の予算委員会で安倍総理に対して嫌味を込めた質問を行なっている。
 憲法改正という考え方があっても良い、ただしそれは憲法に書いてある手続きに則って改正するものでなければならない。国民投票法もできたし、正々堂々と国民に問えばよい。それを安倍首相は、まず憲法96条の衆参両院とも3分の2以上の賛成がなければ発議できないという規定を2分の1に変えようとしている。それがあえなく失敗すると、解釈改憲という変なことをやりだす。「いつも正攻法、強引に正面突破を図る安倍首相にしては珍しく、姑息ではないか」「安倍首相らしくない」と、よくやるほめ殺しスタイルで矛盾を突いた。
 しかし、改めることなく、14年7月1日に閣議決定をし、解釈改憲の道を突き進んだ。

<3人の憲法学者が安保法制は違憲と断ずる>
 この矛盾が一挙に噴き出たのが憲法調査会の参考人意見聴取である。
 私は既に憲法調査会に2年メンバーとなり、さんざん議論をしている。憲法調査会は変わった委員会で、答弁者なしでそれぞれの議員が自分の名札を立てて勝手に意見を言い合う場である。先の6月4日、その場に珍しく3人の憲法学者が参考人として呼ばれた。そのうちの一人の民主党の推薦の小林節慶応大学教授は憲法改正論者の筆頭格であるが、安倍首相の拙速なやり方はまかりならんという意見であった。問題は自民・公明・次世代が推薦した長谷部恭男早大教授までもが憲法違反と言い切ったことである。維新の推薦の笹田栄司早大教授も違憲とし、3人全員が安倍政権のやり方は憲法違反だと意見が完全に一致した。珍しいことである。今まで3回委員となり、正直歯痒い思いばかりであったが、ここで思わぬクリーンヒットが飛びだした。

<自民党の内紛は当然のこと>
 そもそも自民党が自分の党の方針に反対する学者を選んで国会に送り出すというのはおかしいのだが、今はどこで手続きが間違ったのか、どうしてあんな学者を選んだのか等と党内でもめているようである。野党の参考人が違憲と言うのは当たり前だが、問題は与党自民党の参考人が政府与党の政策にケチをつけたのであり、大問題と言わねばなるまい。大事な時にこのような重大な発言が出ては混乱するのも当然である。憲法学者に"後方支援"をしてもらおうと思っていたのに、後ろから鉄砲を撃たれてしまったのだ。皮肉を言わせてもらえば、政府が言う「現に戦闘が行われている現場」以外の後方支援も敵側から見れば一緒であり、危険極まりないことを暗示しているのではないか。

<憲法学者は見事>
 この件を推測するに、やはり自民党寄りの学者も公開の場で憲法に違反していないとは、とても言えないので拒否したのだろう。菅官房長官は「違憲ではないという著名な憲法学者もたくさんいる」と強がりを言っているが、それならば、その学者を表座敷に出してきたらよい。学者の良心からしてとても恥ずかしくて出られないに違いない。それで止むに止まれぬ状況になって長谷部教授しかなくなったのではないか。
 つまり、真面目な学者先生は政治家のように三百代言は言えなかったのである。6月3日には憲法学者等171人が安保法制の廃案を求めて記者会見を行なっている。憲法学会には、原子力学会や経済学会のように政府見解に尾っぽを振って近寄る御用学者はほとんどいないようである。憲法学者は理屈で考え、正論を曲げない学者中の学者なのかもしれない。そう云えば、憲法学者は、〇〇審議会もそう多くなく御用学者になる機会が少ない。これが幸いしたのかもしれない。

<苦しい政府見解に国民は納得せず>
 菅官房長官は「憲法解釈として法的安定性は確保されている」とし、中谷防衛相は「政府による憲法解釈の裁量の範囲内だ」として違憲ではないと強弁しているが、憲法学者のみならず国民も認めないだろう。やはり、解釈改憲は無理なのだ。そもそも日本の憲法は海外での軍事活動を認めていない。それを後方支援ならよいとか戦闘現場でなければよいと言うのは詭弁でしかない。素直に諦めて法律を引っ込めて、一から出直した方がよい。
 私が冒頭で述べたとおり、自衛隊の活動を広げたいなら正々堂々と憲法改正するべきなのだ。ただ、これも国民はとても認めないだろう。国民は70年の平和に自信を持っており、拙速に軍事国化することについては強い懸念を抱いているからだ。何よりも世論の大半は、今国会での成立は急ぐ必要がないと考えている。アメリカ議会義で格好よく「今夏までの法案成立」約束したため、今国会中と急いでいるのは、安倍官邸だけなのだ。

<苦しい自民党の言訳>
 これに対して自民党からは「憲法学者はどうしても憲法9条2項の字面に拘泥する」「現実政治はそれだけではすまない」といった言訳が聞かれる。かつて単独講和か全面講和かという時に、時の吉田茂首相は全面講和にこだわる南原繁東大総長に対して「曲学阿世の徒」という難しい言葉を遣って、学者に何がわかるという態度をとった。安倍首相は、多分頭に湯気が上がるほど怒っているだろうが、憲法学者に向かって、また同じ言葉を浴びせるのだろうか。

<恐ろしい政治家の独善>
 政治家は長く権力を握ると独りよがりになり独善に陥っていく。つまり「反対される政策や難しい課題を俺がやっているのだ」という自惚れが出てくる。吉田首相のようにきちんとした信念があってやるのであればいいが、そうではなくて、ただ格好いいことをしてやろうと邪念を持ち、権力を笠に着て暴走し出す。
 民主党政権が、マニフェストにない消費増税を言い出して意気揚々となり、ついに党を割ってしまったのが一例である。国民の声も何もなく、自分の業績を上げ、後世に名を残さんという見え透いた魂胆だけである。そして、マニフェスト案に日米FTAを推進と書かれていたのを刷り直して修正したというのに、FTAよりひどいTPPにまで手を出したのには唖然茫然である。そして、せっかくの政権を3年3ヶ月で自民党に奪われてしまっている。

<民主党的総理の意味>
 安倍首相にも就任当初からそうした臭いがプンプンしていた。だから、前述の質問の最後に私が「民主党的総理になられないように気をつけて」と警告したのだ。安倍首相は誰もしなかった憲法改正を自分がやってみせると飛びついた。日本をどういう国にするのかなどほったらかしである。これで国政を動かされたらたまったものではない。少なくとも三角大福中の頃の自民党総理にはこんなタイプのトップはいなかった。
 わかりにくいという人には、橋下徹大阪市長の都構想もそうだと言えばわかっていただけるかもしれない。つまり、今は自分の趣味を見栄で政治をする政治家が跋扈しているのだ。

<安倍首相に日本の舵取りは任せられず>
 こういった中でもう一つできてきたのは、安倍首相の「質問を早くしろよ」という辻元清美議員に対する野次である。安倍首相は近くで見ていると好き嫌いが激しい単純な人である。
 つまり、簡単に言うと安倍首相は辻元議員が嫌いなのである。前国会でも応援に来た辻元議員がちょっと野次を飛ばしただけで、野次がうるさいから黙ってとつっかかっていた。それが今度は委員になって質問しているのだから、最初からカリカリし抑えがきかなくなったのだ。大人気ないし、品位に欠けることは明らかである。
 民主党の驕った首相は、政権交代による政治の活性化の芽を摘み、民主党を壊しただけのことだが、安倍首相は日本そのものを壊しかねない。こういう荒っぽくて危うい首相に我が国の将来はとても託せない。
 他の重要広範議案(農協法、労働者派遣法)とともに、今国会での成立は止めないとならない。

2015年6月 1日

【集団的自衛権シリーズ5】荒っぽすぎる安保法制論議 -答弁が支離滅裂で国民への説明たりえず- 15.06.01

 鳴り物入りで安保法制議論が始まった。今国会4本ある重要広範議案の大トリの登場である。本会議の報告期間(5/26火曜日)と質疑を経て、5月27日(水)、28日(木)と総理入り(TV中継入り)で始まり、岸田外相の答弁をめぐり29日(金)は審議が中断、6月1日(月)に3度目の総理入りで行われる。
(5月30、31日にメルマガ・ブログ作成)

 私はというと、党の役職はほとんどやっていないが、経済産業委と環境委の2つの省を抱える常任委員会に所属し、農水委は度々差し替え質問を頼まれるため質問で忙しく、中継を見る機会はほとんどない。後からTVニュースで問題となった揉めた部分を見て、あとは新聞とネットで追いかけるしかない。

<一本調子の質問に対し誠意に欠ける答弁>
 はっきり言って、予想したとおり論議は極めて低調であり、質問はありきたりの一本調子、答弁はまともに答えず支離滅裂で、安倍首相の一方的、喋りまくりが目立つだけである。きちんと説明しようという誠意がみられない。そこに品のないヤジまで飛び出す。
 そこで安全保障問題を1980年の内閣総合安全保障関係閣僚会議担当室以来それなりに意識的に追いかけてきたと自負(?)する私が、読者の皆さん用にも、そして私の頭の整理用にも問題点を順次明らかにし、あるべき日本の安全保障政策を考えてみたい。

<大きな論点、問題は憲法9条>
 まさに憲法9条の問題である。1項で自衛のための自衛権は認めているが、2項で海外派兵を前提とする軍隊と交戦権を認めていない。ところが、14年7月1日の閣議決定で、解釈によりこの大原則を崩し、それと今回10本の法律で一挙になし崩しにしようというものである。その意味では日本の安全保障政策の根幹を揺るがす大変革なのだ。

<順序が違う>
 従って、こんな如何わしい法律を一挙に提出してちょろまかして変えるのではなく、やるなら正々堂々と憲法改正してから、それで認められたら一つひとつ丁寧に細部を決めていくべきである。
 よく世界の動きが急であり、そんな悠長なことはしていられないと言うが、今日本にそれほど差し迫った危機はない。北朝鮮、中国と危機煽ぎ、先を急ぐ勢力が多くなっただけである。この点は憲法改正を主張し、自民党にも大きな影響を与えてきた小林節慶大教授が明確に指摘している。順序がなっていないのだ。

<日米防衛協力指針が安保法制の先を行くプラン>
 14年7月1日に閣議決定した頃は、14年末の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定に間に合わせるため、秋の臨時国会で法律の整備をしないとならないと説明していた。ところが臨時国会にはそんな法律は一つも提出されず、今から考えると消費増税を延期して解散するためだけのものだった。
 その結果、日米防衛協力協議は延期された。ところが4月下旬の訪米のお土産に、ガイドライン、TPPの妥協、辺野古移転が差し出され、そのお蔭で池田首相以来54年振りの米議会での演説という機会を与えたと思われる。しかし、このインチキが国会ではほとんど追及されていない。何より国会、国民軽視は法律改正の前(4月27日)にガイドラインを先に作ってしまったことなのだ。
 私から言わせると日米安保条約の実施規定ともいうべきガイドラインこそ、国会で念入りな審議が必要なのだ。なぜならば、内容が法律を先取りし、かつ安保条約を改定しているようなものだからである。

<日米安保条約を日本の法律より優先したガイドライン>
 ガイドラインでは自衛隊の米軍支援が大幅に拡大されている。まず、自衛隊の活動範囲が日本の近辺なり周辺のアジア・太平洋から世界中に拡大された。地理的制約がなくなってしまったのである。それに加えて、後方支援の活動地域も「非戦闘地域」から「現に戦闘行為が行われている現場以外」に拡大されている。
 それにも関わらず、イラク特措法下において非戦闘地域も大した変わりはないと言い張っている。そして極めつけは他国のことでも日本の「存立危機事態」となる場合は集団的自衛権の行使を認めることである。
 簡単に言えば、アメリカが戦い始めたらどこでも出掛けて一緒に戦うということなのだ。憲法の大原則「専守防衛」を大きく逸脱していることは明らかである。

<切れ目なく戦争を可能とする法制整備>
一気に改正される10本の法律を一応記しておく

  1. 自衛隊法(武器使用基準の大幅緩和)
  2. 武力攻撃事態法(新設する存立危機事態法対応)
  3. 周辺事態法(地理的概念をなくし重要事態影響法へ改定)
  4. 国連平和維持(PKO)法(PKO活動以外の活動でも参加可能に)
  5. 米国行動関連措置法 (2と同じ)
  6. 海上輸送規制法 (2と同じ)
  7. 捕虜取り扱い法 (2と同じ)
  8. 特定公共施設利用法(米軍以外の外国軍隊も対象)
  9. 船舶検査活動法(日本周辺海域に限らず適用可能)
  10. 国家安全保障会議設置法(存立危機事態なども審議対象に)

これら既存法の改正案を一括して「平和安全法制整備法案」と称している。法案提出直前になって安保法制から突然平和が付け加えられた。野党はこれに対し、「戦争法案」だと言い、安倍首相は「無責任なレッテル貼りは全くの誤りだ」と反論。入口から火花が散っている。
 これともう一つ全くの新法"国際平和支援法(国際紛争に対処する他国等の「後方支援」を随時可能とする)"、これも「国際軍事協力法」と変えるべきだと皮肉られている。
 PKO法案一つですら1992年に衆参で193時間にわたって審議され、やっと成立したのに、安倍首相は提出前の米議会の演説で、全ての法律を今国会中で夏までに成立させると約束した。これも法案提出前に外国に成立を約束するなど国民軽視・国会軽視だとはなから問題にされている。しかし前述どおり、もっとひどいのはガイドラインの先走りである。