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信越トレイル紀行-飯山駅で下車して自然の山里歩きを楽しんでほしい-15.07.10

<衆第一のヌシ>
 永田町にばかり長くいると、なかなか気が晴れないことが多い。私はゴルフはやらないし大酒を飲むわけでもない。国会議員はよく情報収集と称して夜な夜なあちこち飲み歩いているが、私はお誘いがあれば加わる程度ですましている。だいたい議員会館で12時まで仕事をし、宿舎へ戻り、朝8時からの部門会議に出るという毎日を送っている。よく知らないが、防災センター(夜間管理担当)では、一番遅くまで部屋にいる衆議院議員として有名(?)だそうだ。妻からは「能率悪いだけだ」と馬鹿にされ、「ゆう活」の観点からするとダメ人間だが、秘書も帰し、私一人なのでまあこれでいいだろうと観念している。

<地元のツアーに参加して地元の良さを知る>
 週末は金帰月来で地元である。小選挙区で当選してからこの3~4年のことだが、地元のいろいろなツアーや山歩きなどに参加している。一番の理由は、地元をもっとよく知りたいからである。ところが、名の知れた山に登るにしても、どうやって行ったらいいのかわからない。そういうときに市町村やNPO法人の主催によるツアーというのは願ってもないことだ。
 今シーズンも鬼無里の一夜山と中西山の登山、飯山市外様地区のモリアオガエルの見学、そして信越トレイルの山開きの4つに参加した。


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6/6「一夜山ふれあい登山」

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6/13「中西山登山」

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6/14「飯山市外様地区かえるの学校」

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7/4「信越トレイル開き」

<北信州の自然満喫の信越トレイル>
 信越トレイルといっても全国的知名度はほとんどない。故加藤則芳氏が心血を注いで構築したものであり、代表理事は小山邦武氏 元飯山市長が務めている。長野・新潟県境9市町村にまたがる関田山脈の尾根づたいを、南端の斑尾山から北端の天水山まで約80キロのコースであるが、当然一日では歩けない。そこで6つに分けて一日の行程(ワンディトレッキング)にしている。
 一般参加者は前の夜から泊まり、朝7時に集合、7時半から安全祈願をしてのトレイル開きの後に山歩きを開始する。私はフルには付き合えないので、土曜日は地元の日程をこなし、日曜の朝5時起床、5時53分の飯山線に乗り戸狩野沢温泉で下車して現地に集合。セクション4(戸狩温泉スキー場の一番上のとん平から関田峠まで)を私と千葉県から来た幼馴染の34歳の元気な若手2人組だけで、博識の優しいガイド(山川さん)の案内で、最も険しい10km弱を走破した。
 8時半から歩き始め、歩き終りが15時半。途中1時間弱の昼食と、ちょこちょこある小休止を除けば、ほとんど歩き詰めである。
 小雨も心配されたが、雨も降らずかといってかんかん照りでもなく、お喋りをしながらの楽しい一日であった。
 晴れていたら、日本海も見え年数日は佐渡島も眺望できるというが、今回は霧に覆われて見えなかった。

<ゴミ一つない自然の道> 
 まず感心したことを最初に挙げると、落ちていたゴミは、飴玉の包み紙とどこかからずれ落ちたのであろうきれいに折り畳まれたビニール袋の二つだけであった。私が拾ったところ、すぐに千葉の青年が袋を出してそこへ収めた。ブナ林の尾根に空き缶などを捨てる人が一人もいないというマナーの良さである。日本人はますます立派な国民になりつつある。
 ほかのセクションはもうちょっと多く、全体の参加者は約30名弱だそうだ。セクション4は健脚の人向きの一番登りが多くきつい行程だったが、私は、日ごろ週末ごとにどの秘書よりも歩き回っているので、同行者に迷惑をかける遅れなどなかった。
 お腹もぺこぺこになり、お昼は地元飯山産の米で作った非常においしいおにぎり2つを美味しく味わった。

<「雲の滝越え」と長野県側の豪雪>
 私の山登りの経験の中でも珍しいことがもう一つあった。左側が新潟県、右側が長野県、左側はずっと霧がかかっているのに、不思議なことに右側はまったく霧がない。尾根であればそこで別れているのはわかるが、そこそこ平らのところでも、新潟県側に30メートルくらい先からかかっている霧が長野県側に決して来ない。まさに自然が織りなす妙味である。
 山川さんの説明によると、風が吹いたりすると、尾根が筋を作りながら急激に越え見事だと言う。「雲の滝越え」と呼ぶのだそうだ。
 私はこれを聞いてふと思ったことがある。シベリア高気圧が、湿った空気を含んで日本の山脈に突き当たり、そこへ豪雪をもたらす。それならば一番の豪雪地帯が日本海側・新潟県側にあってもいいのに、ひと山越えた栄村なり飯山市が、人間が住むところでは世界一の豪雪地帯になっている。おかしいなと思っていたが、この雲の滝越えでわかるような気がした。
 つまり、湿った空気が、山に突き当たったことで速度が緩められる。そこで滝越えよろしく山をゆっくり越え、滞空時間が長くなることで大雪をもたらす。そして2回目に突き当たる山、志賀高原でパウダースノーになる。これが俄か科学者(?)篠原孝の分析である。

<眺望のできるところは木を切るサービスも必要>
 この信越トレイルはよくできていて、今回は、山の登山口までは車での送り迎えがある。5,000円のツアーガイド料で案内してもらえることになっている。
 今年3月14日、新幹線が飯山駅に止まるようになったが、乗降客は期待したほど増えていない。信越トレイル自体は健脚でないとなかなか縦走できない。「痩せ尾根」と呼ばれる、一歩足を踏み外すとちょっと崖をずり落ちそうな箇所もある。切り立った岩肌ということはなく、ずれても木に突っかかって谷底に転げ落ちるということはないが、高齢者向けの散歩コースではない。
 山川さんにも注文をしておいたが、千曲川の蛇行の景色などせっかくの絶景が、木が生い茂っているためによく見えない。ちょっと木の上のほうだけ切ればきれいな景色が見える。ヨーロッパの脆弱な緑と違って、日本の山々の緑は強靭であり、すぐ回復するので自然を痛めつけることにもなるまい。そういうビュースポットを数か所設けて一面景色を眺められるようにするのが良い。なぜかというと、スイスの山が楽しめるのは、農家との契約で木の生えていない牧草地を観光客が自由に歩けるようになっているからなのだ。

<何の変哲もない「農山村の里歩き」も売りにする>
 その点小布施町は賢く、町中を散策するのにオープンガーデンと名付け個々のお宅の庭も散策できるようになっている。プライバシーの侵害との声もあったが、何か盗まれたという話も聞かない。つまり、都会のコンクリートの上しか歩いていない人たちには、田舎の何の変哲もないほっとする街並みを歩くことが新鮮なのだ。
 そういう点では、いきなり山道の散歩というのは年寄りには無理であり、畔道を歩いて、かつコンクリートではない土の道を歩けるようにしておくのが良いと思う。新幹線が開通して東京から2時間ちょっとで飯山駅に降り立つことができ、日本の原風景を見て楽しむことができる。

<高齢者には「土の上歩き」がお勧め>
 もう一つ気付いたことは、ずっとブナ林のふかふかした土の上を歩き続けたあと、里におりてきてぬかるみに置かれた板の上を歩いた時になにか変な感じを覚えた。最近50歳ぐらいになると膝が痛いという人が多いが、当たり前である。我々人類はつい最近まで柔らかい土の上しか歩いてこなかったのだ。それと、現代の日常生活では板やコンクリートの上しかあるいていないからである。つまり、我々の膝は柔らかい土の上用にしかできていないのだ。
 飯山は市政60周年を迎えるが、4万2,000人だった人口がご多分に漏れず過疎が進み、2万人台に近づいてしまっている。北陸新幹線開通を機会にたくさん訪れていただいて、なるべく多くの人に、北信州の自然を味わっていただき、何人かの人には移住してほしいと思っている。

以下 山川さんの説明で得られた「一口メモ」を参考までに紹介しておく
〇16の峠:長野県側から塩や海産物を求めて山を越したために、8つは新潟県側の集落名がついている。信越トレイルは、その峠を縦断しているが、それぞれの峠を歩くと、かつての村人の生活・文化や苦労も知ることができる。

〇越後女性の嫁入り:私の育ったところでも「嫁は在(田舎)から貰え」といわれているが、飯山では、峠の向こうからの嫁が好まれ、ある集落では半分以上の嫁が新潟側からきているという(田舎で育った人のほうが辛抱強く、よく働くと言うのが理由のようだ)

〇こしあぶら:最近山菜として脚光を浴びるも、セシウムを吸収する癖があり、少々敬遠されている。名前の由来は、秋の紅葉の時に薄く白くなり、網目がまるで油をこすのに丁度よいようにみえるから。

〇くろもじ:緑の茎に墨で書いた文字のような黒い模様が見られることから「黒文字」と呼ばれる。お茶菓子用の高級楊枝の原料。独特のにおいが好まれ、ちょっと焼酎に入れると1日後には高級ウィスキーの味になるという。

〇いわかがみ:春先の岩陰に小さなピンクの花を咲かせて登山者をなごませてくれる。葉がテカテカして光り、鏡のように見えるので「岩鏡」と呼ばれている。信越トレイルの中では、水分もたっぷりあるので葉がずっと大きい

〇山頂の葦:葦は川辺の湿地帯に育つ。ところが、北信州では8mの豪雪が残した水分があり、なんと山頂にも葦が這えている。(科学者篠原の解説)