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民主党は安保法制、TPP、原発で旗幟(きし)鮮明にする -政権奪還には「昔の民主党」との決別が必要- 15.08.17

 8月14日、安倍首相の戦後70年談話が発表された。安倍首相はこれだけ事前に騒がれたことはないので、慎重になっているが、相変わらず駄々っ子のように自分の趣味を出している。私には信じ難い。一国のトップであり、一刻も早く退陣してもらう外にないと思う。

<70年談話は外交そのもの>
 この談話は、日本人向けというよりも今や外交そのものである。中韓、そして世界を相手に日本を今後どういう国にしていくかを示す絶好の機会と捉えなければならない。それにもかかわらず、自らの言葉で語らず、侵略、植民地支配、反省、お詫びといった主要用語は散りばめたものの、不鮮明そのもので、決して素直に語りかけてはいない。
 アメリカに媚びた4月29日のアメリカ議会演説と真逆である。一期目に靖国神社に参拝できなかったことを痛恨の極みと言い出して、政権奪取記念日(?)の12月26日に、周囲の反対を押し切って参拝。安保関連法を7月15日に採決することはないという声にも耳を傾けずに強行…。私の13年10月21日の予算委の警告にもかかわらず、ますます慢心が高じているようだ。
 権力者は忍び足で歩き、権力は抑制的に行使しなければならない。それを安倍首相は全く逆のことをしている。同じタカ派の中曽根康弘元首相が、首相就任後は靖国参拝を封印し、官房長官に他派閥の重鎮でハト派の後藤田正晴を配置したのとは大違いである。
 民主党は、この安倍政権と安保法制、TPP、原発の3つの主要政策について国民の声を聞き、自民党と徹底的に対峙していかなければならない。

<安保法制は廃案にすべし>
 安倍首相は談話のインタビューに答えて、民主党からは、ではどうしたらいいのかという対案がでてこない、と誘導している。いかにも反対しているだけだと言わんばかりである。それにそそのかされて、民主党内でも対案提出の声がある。そんな話に乗るのは愚の骨頂である。政府の土俵で戦うことになるだけだからだ。
 民主党はかねてから準備していた領域警備法で、日本の領土、領海、領空をきちんと守っていくという姿勢を出せば十分で、海外に自衛隊を派遣することについての対案などはありえない。北沢参議院安保特委民主党筆頭理事(元防衛相)が代表質問で主張したとおり、「国民が求めているのは、対案ではなく廃案」なのだ。
 世界の情勢が変化したことから集団的自衛権行使の容認は、当然だという。しかし自衛のための戦いは、アメリカとどうこうというのではなく、日本が決めることである。集団的自衛権などとはいわずに、大半は個別的自衛権で決着していけばいいのであって、アメリカに頼まれたからといって、のこのこと海外へ出て行ってはならない。日本はそれで70年戦争に巻き込まれずに済んだのだから。

<盗聴にも何も言えない属国日本>
 7月31日、マウイ島のTPP閣僚会議の最中に、内部告発サイト・ウィキリークスがアメリカのNSA(国家安全保障局)の日本盗聴を明らかにした。独、仏、ブラジル等は猛然と抗議し、ブラジル大統領は訪米を中止している。舐められた同盟国日本は形式的抗議のみ。中韓にだけ高飛車になり、アメリカにはまともな意見一つ言えない情けない日本。
 ウィキリークスがわざわざTPP閣僚会合の真っ只中にリークしたのは、アメリカに妥協させられっぱなしの日本に、席を蹴って交渉を中止する口実を提供してくれたのかもしれない。日本はその温情(?)も汲めず、一国だけ譲るに譲って国益を無視した交渉をしてきたのである。もともと傲慢だという礒崎首相補佐官や新国立競技場で迷走する下村文科相よりも、甘利TPP担当相以下軟弱外交関係者こそ糾弾されてしかるべきである。
 
<安保だけでなくTPPでもアメリカに隷属する愚>
 13年10月21日の予算委員会で、安倍首相との論戦の前に前座で稲田朋美行政改革担当相を引っ張り出し、「あなたもタカ派の論客としてTPPに反対してきたはずだ、日本の文化伝統制度を守っていく、日本は日本だという姿勢を保つ限り、TPPに参加できないというその気持ちは閣僚になっても同じでしょうね」と問い質した。むにゃむにゃと答えになっていなかったが、私は「女性をあまりいじめるのは嫌いなので、これぐらいにしておく」と言って追求はやめた。
 日本の保守がTPPを推進するのは明らかに矛盾している。保守政治家を認ずる安倍首相を筆頭に日本の保守派はTPPに反対しなければならない。外交、防衛でアメリカに隷属した上に、日本の独自の文化や社会制度をなくし、日本が日本でなくなるような方向にもっていくのがTPPである。安保法制もTPPも両方ともアメリカの属国化を意味している。

<真正保守派はTPPも原発も反対>
 保守の論客はこぞってTPPに反対していることは、いままで説明してきたとおりである。実は原発も同じで、日本の保守論理的後ろ盾である。西尾幹二電気通信大学名誉教授は、日本の国土を壊す原発に絶対反対している。メルケル独首相もそうだが、国を愛し、国民を慈しむなら、国土を汚し、国民の生命を危険に晒す原発はやめるのが当然なのだ。世界第4位の防衛予算、安保法制で我が日本国を守る前に、国土が汚染され、国民の健康が蝕まれててどうするのか。後世代に侵略戦争のお詫びを続けさせるわけにはいかないと気遣うなら、後世代に原発汚染のツケこそ回してはならない。
 日本の保守を自認する漫画家の小林よしのりは、原発反対、TPP反対を漫画でわかりやすくまとめている。私は、民主党内で保守派として振舞っている同僚に、なぜ日本の保守はTPPと原発に反対していないのかと突っかかっているが、まともに反応した者はいない。日本の保守は与党も野党もどこかずれているような気がしてならない。

<民主党が支持率を回復できない理由>
 こうした矛盾や危険を見てとってか、国民は安倍内閣の安保法制における暴走に嫌気がさし、7月15日の強行採決後支持率が大幅に下がりだした。ただ、残念ながら民主党の支持率は少しも回復していない。それどころか読売新聞とNHKでは、民主党の支持率は逆に1%下がっている。その間に内閣支持率は10ポイント減り、不支持率は10ポイント上がっている。他の日経、毎日、朝日、共同等ではやっと民主党の支持率が1、2ポイント上回っているが、回復するまでには至っていない。
 理由は明らかである。第一に、3年3ヶ月の政権運営がめちゃくちゃであり、全く信用を失っているからである。第二に見逃せないのは、民主党政権を維持できなかった責任者ばかりが前面に出ているからである。国民は失敗した面々には二度と政権は任せられないのだ。第三に、国民の要望に応える政策を何も打ち出していないので、自民党の代わりとは見てもらえないのである。

<安保、TPP、原発反対で政権奪還>
 こういった時に民主党の再生を図るために何をすべきか明らかである。安保法制はこれぐらいは必要だ、TPPは賛成だ、原発再稼動するしかない、とか言い出したらもう民主党の政権交代の道はない。まず、3大主要課題について鮮明にNOを打ち出すことである。
 14年総選挙では、共産党が議席数を8から21と3倍増に増やしたのは、立ち位置を国民に明瞭に示したからである。民主党も野党に徹するべきなのだ。

<岡田代表の下、党名も変えて出直す>
 与党時代、一部の幹部ばかりが次々と要職を歴任し、メリーゴーランド人事と揶揄された。それが野党に成り下がってもやたら役職に就きたがり、目立ちたがっている。
 「昔の顔」は国民からは飽きられているのであり、政権交代までは反省の意味もこめて、縁の下の下支えに徹してもらわなければならない。さもなければ新鮮味が打ち出せず、支持率アップにつながらないのだ。
 この延長でもう一つ大事なことは、昔の民主党との違いを打ち出すためには、党名も変えることである。これは、ほとんどの民主党議員が経験していることと思うが、支持者訪問すると民主党というだけで門前払いをくらうことが多い。そこに、民主党をダメにした同じ顔ばかり出てきて嫌になる、と追い打ちをかけられる。
 つまり、民主党の再生には「昔の民主党」をきれいさっぱり切り捨てる必要がある。
 岡田代表が国民の声に応える方針を高らかに宣言し、野党に働きかけて、まとまって新しい形で野党が大同団結して、参議院選挙に向かっていくしか政権奪還の道はないものと思っている。