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【TPP特委報告4-番外編】 環太平洋造山帯に原発があるのは非常識‐チェルノブイリ30周年の日に川内原発停止・廃止を考える- 16.04.27

 4/18(月)、熊本地震の余震が続く中、2回も延期になったTPP特委の審議が行われた。私の質問時間はもともと40分と少ないうえに、災害関係を中心に質問するということで、10分削られ30分に短縮された。その中で震災がらみも質問せよというのが国対の方針、用意した質問を更に削らないとならなかったのでとても言い尽くせなかった。そこで、私が原発との関連で言わんとしたことを以下に述べておきたい。また、30年前の4月26日は、チェルノブイリ原発事故が起きた日であり、我々は原発のあり方について一考するのに丁度よい日に当たる。

<活断層だらけの日本には原発適地はなし>
 日本では、よく原発施設の直下に活断層があるかどうかが問題になる。しかし、地震は何も活断層の上だけで起こるわけではなく、数10Km離れていても大きく揺れる。今回の地震は典型的な断層地震である。紀伊半島から四国を通って佐田岬まで続く中央構造線断層帯の延長に九州がある。それは別府万年山断層帯、布田川断層帯、日奈久断層帯と連なり、九州を分断するかたちとなっている。そして九州の真ん中でエネルギーがたまり、大きな横ズレが発生して、最大震度7という大きな地震につながった。
 日本にはそこら中に2000以上の活断層があり、いつそれらがズレるかわからない日本には原発適地はない。

<アメリカ西部の原発は2ヵ所4基のみ>
 アメリカには100基余の原発があるが、ロッキー山脈の西側には、カルフォルニアのディアブロ・キャニオンとアリゾナのバロ・ベルデの2ヵ所に計4基しかない。そしていずれも40年寿命で廃炉というルールにのっとって稼働期限が決められており、2027年にはすべてなくなることになっている。アメリカでは環太平洋造山帯では、地震が起こるのは当然で、そんな所に原発があってはならないというのが常識である。95%以上の原発は地震のないロッキー山脈の東側にしかない。日本に50基もの原発があるのは、地質学者からみると信じ難いことだという。

<原発事故に備えて分散設置するアメリカ、金に目がくらんで集中する日本>
 それからもう一つ、アメリカの原発リストをみると、3基ある原発施設は2カ所だけであとは2基が普通である。つまり多くあると事故になった場合に大事故になるのでわざと分散させている。ところが、日本では3基以上が大半であり、柏崎刈羽には7基もある。2基しかないのは敦賀、川内、志賀、島根等少数である。受け入れ市町村が地元にもたらされる諸々のうま味につられ、次から次と新規増設を認めてきたからである。事故のことなどおかまいなしだった。
その点では福島第一(6基)と第二(4基)に分かれていたのは不幸中の幸いだった。もし同じ場所に10基あったら、もっと大変な事態になっていただろう。考えただけでもぞっとする。

<最終処分議連事務局長として世界の地下処分場を視察>
 14年9月、私は増子輝彦参議院議員(民)、富田茂之衆議院議員(公)とともに、世界の高レベル放射性廃棄物の最終処分場視察に赴いた。我々は議員連盟を創り、この問題を定期的に議論してきている。私はその議連の事務局長である。原発廃止しても使用済み核燃料の最終処分場は必要であり、原発推進するにももっと必要である。だから河村建夫、山本拓両衆議院議員のような推進派もこの議連のメンバーである。この点では呉越同舟している。
この時は、ドイツのゴアレーベン地下研究所(岩塩)、スイスのモン・テリ岩盤研究所(粘土地層)と2か所の地下処分場を視察、アメリカのワシントン州ハンフォードでかつて埋設された廃棄物を再整埋して処分のやり直しをする現場も視察した。

<1世紀前の断層地震の名残りを視察>
 そうしたスケジュールの中に、カルフォルニア大学のローレンス・バークレイ国立研究所が入っていた。そこで地質学的に最終処場の適地はどこにあるかについて説明を聞いた後、数時間かけて訪問したのがサンフランシスコ北のかつての牧場の柵が残った公園である。フォールト・トレイル(断層路)と名付けられた自然探究路もあったが、人もまばらだった。
 1906年、1300kmにわたって続く巨大なサンアンドレアス断層のズレによりカルフォルニア大地震(M8.3)が発生した。それにより牧場の柵が6m近くズレているのが、一目でわかる場所だった。我々に凄まじい断層のズレを起こす大地震の恐ろしさをわからせるための半日視察だった。

<川内原発は当然停止すべき>
 1995年の阪神・淡路大震災(M7.3)や2014年の長野県北部地震(M6.7)は断層地震である。前述のように、将来地震が起こるおそれのある活断層は2000以上存在する。今2004年の新潟中越沖地震と同じように地震が910回を超え、震度5以上が17回も数えている(4/26午後6時まで)。気象庁は何ヶ月も続くかもしれないと警告している。つまり100Kmを超える地震活動帯ができ、九州を真っ二つに引き裂くように動いている。
 これが南の川内原発に伸び、更には東の伊方原発にもつながるかもしれない。地震がこれ以上広がらないと確認されるまでは、少なくとも川内原発を停止すべきである。仮に科学的、技術的に大丈夫だとしても、福島原発から5年しかたっていないのであり、住民の不安を和らげるために止めるべきである。これが政治的配慮というものだが、それもしようとしない政府の傲慢さは、私には信じ難いことである。
 田中原子力規制委員長は「科学的根拠なし」と言っているが、福島の事故は科学を超えた想定外ですましておいて、いまさら科学を信じろというのはピントがズレている。

<地震で壊れた原発近辺からの避難は不可能>
 30年前チェルノブイリ原発事故の後、従業員の街プリピャチでは、理由も知らされずに住民が次々と避難させられた。そして二度と帰ることはなかった。2011年4月、私はその廃墟に立っていた。
 私は熊本地震の映像を見て、もし原発事故が起きたら崖崩れで寸断された道路や崩れ落ちた橋等の中で、どう逃げるのか心配になった。逃げられないならとりあえず屋内退避といわれても、多くの人が余震が恐ろしくてとても家の中には入れず、屋外駐車場の車の中で過ごしていている。つまり大地震が原発を襲ったら、日本では避難計画など紙切れになってしまうということである。

<偏る安倍総理の安全保障観>
 安倍総理は、日本人の生命と財産を守ると安全保障政策に力を注ぎ、安保法制を強行採決までしている。ところが、どうも日本の安全を守るといつつ、あらぬ方向にばかり偏っており、本当の安全はないがしろにされているとしか思えない。例えば食料安全保障である。軍事ばかりに気が向く一方、TPPでも地方や農村が疲弊してしまうことを少しもかえりみず、農業生産力の低下などどこ吹く風である。
 国民が身近で身の危険を感ずるのは、地震、雷、火事、親父ではないが、第一に地震や台風と言った自然災害だろう。21世紀の日本には、その前に原発事故による放射能汚染がある。

<原発事故こそ最大の危険>
 国民は福島第一原発事故の恐怖を忘れていない。人生観を変えるできごとだった。日本は戦争に敗れたわけでもないのに、3%以上の国土が避難地となり当分人が住めない土地になってしまった。一時は16万人もが避難をしいられた。今、熊本地震でも6万人の方が避難生活をしいられているが、地震が収束次第一刻も早く復旧作業に取り組み、元の生活を取り戻せるよう私も微力ながら尽力したい。しかし、原発事故で汚染された地域は、チェルノブイリの30Km圏内と同じように何十年も戻れなくなるおそれがある。
 災害に備えればいいという人がいるが、今回の熊本地震でもわかるとおり、いつどこで突然大地震がおこるかわからない。火山列島・地震列島日本では防ぎようがない。アメリカの地質学者ではないが、地震の巣窟日本に原発が50基もあるのは正気の沙汰ではない。

<原発廃止で世代責任を果たす>
 日本の安全を考えたら、地震のような災害を阻止できないのだから、原発を廃止する途しか残されていない。だから2人の元首相、細川 護熙、小泉純一郎は原発の即時廃止を主張している。日本の行く末を思ってのことである。ドイツのメルケル首相もドイツの国土の汚染を嫌い、ドイツ人の健康をそこねるわけにいかないから、原発廃止の決断を下したのである。我々の世代の都合で汚染された国土を後世代に残すのは無責任極まりない。(私が2012年『原発廃止で世代責任を果たす』を上梓した理由がここにある)
 もし、安倍総理が本当に美しい国日本を守り、日本人を愛するなら、原発廃止以外の途はない。そして、総理の先輩小泉元首相が重ねて述べているように、安倍総理にこそできる決断なのだ。