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2016年05月31日

1人区だけでなく比例区も野党統一名簿で野党共闘が必要‐共産党を除く野党統一名簿で自公か野党かの選択肢を示す‐ 16.5.31

(このブログ、メルマガの原案は、4月10日の長野駅前の街宣ビラに使用した。きわどい内容なので全国ベースにには載せなかったが、今回、次号とのセットで配信・掲載することとした。)
 7月の参院選に向けて1人区の野党共闘が着々と進み、民進15、無所属16、共産1と32の1人区すべてで野党共闘が実現した。喜ばしい限りである。しかし、一つ忘れていることがある。比例区での共闘である。1人区で野党共闘して投票してくれた人たちに、そのまま素直に受け皿を提供することを考えなければならない。1人区は個人名だが、比例区は大半が政党名を書くが、共産はちょっと嫌だし、民進はどうも信用できないし・・・と、比例の行き場がない。

<順調な1人区での共闘>
 共産党は、今まで議席を得られることはまずないにもかかわらず、全選挙区に候補者を立ててきた。それを今回は立候補させない方向に転換した。勝ち目のない1人区に候補者を立てても、得票数不足で供託金を没収されることが多く、国家に貢献していたのだ。そればかりでなく、野党の足を引っ張り、結果的に自民党を助けていたのだ。こんなことをしていてはいつまでも安倍政権が続いてしまう。志位委員長なり共産党の方向転換は、このような損なことをしないという極めて合理的な決断である。これらはすべて安倍政権打倒のためである。共産党はその分、3人区以上と比例区に力を注ぎ議席を増やそうとしている。
 その結果、32の1人区で半分以上勝利できれば、野党共闘の大勝利といえる。

<民進党はこのままいけば惨敗は必至>
 さて、残る問題は比例区である。民主党は2013年には713万票で7人しか当選していない。2007年には2326万票で20人も当選していたのと比べると凄まじい惨敗である。地方区でも10人しか当選せず、17人の大敗になった。このまま放っておくと改選43議席(維新も加えると47)が半減し、再び大敗してしまうおそれもある。
 自民党は1600~1700万票、公明党は700~800万票で固定化しており、社民党は低落傾向が著しく13年には200万票を割り126万票に減り、1議席獲得がやっと、生活は94万票でゼロだった。共産党はせいぜい400万票強で当選者は3~4人だったものが、13年には515万票となり、5人も当選している。共産党の勢いが止まらないこところにもってきて、地方区に立候補予定で準備していた者をそのまま比例区の候補に変えて、個人名の得票で上積みしようとしている。最近、900万票以上の獲得を目指す当選目標を8議席から9議席に上げた。
 与党に近い大阪維新も関西地区でそれなりに得票するに違いない。となると、残りの中道リベラル政党民進党は片隅に追いやられてしまう。

<今でも遅くない野党大結集>
 私は真剣に野党の大統合に向けて汗をかいてきた。岡田代表も、社民・生活・その他の無所属にも呼びかけると約束したが、維新とそのかたわれの改革結集の4人だけにとどまった。つまり大野党統合とならず、民主党と元々民主から離党した者が大半の維新が統合しただけで、国民にほとんどアピールできなかった。そのため民進党の支持率はさっぱり上がらない。
しかし、嘆いていても始まらない。参院選はもうすぐそばまでやってきているのだ。
 民進党も生活も大した地方組織などない国政政党である。それに対し、社民党は社会党の流れをくむがっちりした地方組織がある。長野県などはその典型であり、自治労は社民党支持基盤である。また、私の所属した全農林も全国各地に組合員がおり、社民党の支持基盤である。だから、又市征治参議院議員ではないが、「我が党は地方組織があり、永田町の幹部だけで合併・統合を決められない」と他党との違いを正直に語っている。それでも強く働きかければ動くかもしれないが、民進党側も腰が引けている。私は、いまでも野党大結集がベストと思っている。2003年の民由合併、1998年の民主党結成の例でみられるように選挙前の野党結集は有権者をひきつけている。

<野党統一比例名簿は緩やかな野党共闘>
 国民は自公(安倍政権)対大同団結した野党という二者択一の選択肢を示してほしいと願っている。その要求に応えるには選挙用という批判はあるが、「野党統一比例名簿」で大同団結振りを示して、比例区の民進党その他の中道当選者を増やさなければならない。そこで私はかねてから小沢一郎の唱える「オリーブの木」と同じような野党の結集に向け下準備をしてきた。そしてそれを「桜の木」構想と呼び始めた。
 野党統一比例名簿は、それぞれの政党に所属したまま比例区で統一名簿を作って共闘して、全体の得票を上げ、死に票を少なくできる。つまり、離党する必要もなく、新しく党作りする必要もなく、参院選の比例区だけ一緒に戦えるのが「桜の木」構想である。何より都合がいいのは、1人区の全野党共闘と違って、比例区は共産党が全く別に戦うので、民共合作などと批判されることもない。
 日本の選挙制度では、参院選の場合、地方区と比例区を合わせて10人以上の候補者を立てれば確認団体として認められ政治活動ができることになっている。比例区だと1人あたり600万円、10人で6000万円の供託金を納めなければならず、かなりハードルが高い。そうした中、過去に唯一だが統一名簿が作られたことがある。

<1983年の新自由クラブ民主連合>
 1983年第13回参院選において、新自由クラブと社民連が統一確認団体である「新自由クラブ民主連合(自ク連)」を結成し統一比例名簿で闘った。参院選で10人以上の候補者を有すれば、確認団体となれることを活用したのである。当時は拘束名簿式比例代表制で、1位は田英夫(社民連)、2位大石武一(新自ク)、3位水野晴郎(新自ク)、〔この間は新人〕、7位(社民連)、8位(社民連)等の9名が掲載された。地方区1人出馬して合計10人となり条件を満たしていた。
 しかし、ミニ新党ブーム《 サラリーマン新党(200万票、2人)、福祉党(158万票:1人)、第二院クラブ(142万票、1人)等 》の影響をまともに受け、124万票しか獲得できず、当選は田英夫(3選)1人にとどまった。13回参院選から大政党に有利なドント式比例代表制が導入されていたが、自ク連は長期戦略が立てられず、かつ統一確認団体の結成が選挙の直前だったこともあり、有権者の支持を得るまでには至らなかった。田英夫(社民連)は社民連から比例区の立候補者がなく選挙時に争っていないため、社会民主連合に移動が可能だった。

<民進社民生活市民連合や民進市民連合が妥当>
 新しい確認団体の名を「桜の木」とするのではない。新しい党名の民進党さえ覚えてもらうのが大変なのに、そこに更にもう一つ新しい名前では有権者は混乱するばかりである。そこで「新自由クラブ民主連合」と同じように「民進社民生活市民連合」といった寄せ集めの名前にすることが一番無難である。なぜならばそのうちの一部、「民進」「社民」「生活」「市民連合」と書いても多分有効とみなされるからだ。
自分の党の名前が残っているので、社民党の地方組織も納得する。
 法律上は不完全な表記は開票立会人が有効か無効か決めることになるが、無効票を少なくするために、その者(なり党)を示しているとわかれば有効にするのが普通だ。例えば「山田太郎」氏は「山ちゃん」「タロー」等でも有効とみなされるのと同じである。比例区の場合全国バラバラだといけないので総務省が指針を示すことになっているようであり、そこはうまくいけると思っている。
 他にもっと簡単に「民進連合」とか、市民連合に敬意を表した「民進市民連合」等も考えられる。要は、1人区の共闘の延長線上で投票できる受け皿が必要なのだ。民進党もいま一つだし、共産党はどうもと思いながら、地方区で野党の方に加勢している人たちが素直に投票できるのが、民進市民連合かもしれないのだ。いくら名前を連呼しても候補者の顔も浮かばない人が大半であり、7割以上が党名を書いている。

<非拘束名簿式比例代表制のほうが導入しやすい統一名簿>
 1983年当時は拘束名簿式比例代表制で、順位をつけて名簿を提出する必要があった。どの党でも頭の痛いところであり、自民党は候補者の獲得した党員数を基準とするなど何とか客観基準を設けようとしていた。しかし、幽霊党員の問題が生じたりして、結局、今の非拘束名簿式比例代表制となった。
 新自由クラブ民主連合(自ク連)も揉めたうえで、1位を社民連、2位・3位を新自由クラブにする等の工夫をしたが、結局1人しか当選しなかった。それに対して今、順位を決める必要はなく、同じ名簿の中でいかに個人名を多く得票するかで決まる。従って揉め事がない。
 ただ、今は当時なかった政党助成金があり、こちらでは多少問題が生じるが、要は議席を1つでも多く得ることが優先されるのであり、政党交付金にこだわるのは本末転倒である。

<捕らぬ狸の皮算用>
 民進党からは、現在連合から12名、立正佼成会2名、の他私が全国選対本部長を務める鎌谷一也をはじめ6名の計20名が公認されている。しかし、前述の通り13年と同じ713万票程度だと最低当選ラインは15万2000票にはね上がり、7人しか当選できない。ところが、国民に野党大統合という本気度を認めてもらい、自民を凌ぐ2,300万票となれば、最低当選ラインも6万7000ぐらいに下がり、票社民2名、生活1名を含めて統一比例名簿の全員当選も可能になってくる。
 また、地方区と比例区のセット選挙が本格化すれば、相乗効果が生じ、地方区にも好影響が生じて、32の1人区で半分以上16人から20人の当選も見えてくる。ただし、これにはTPP絶対反対唐を明確にしていく必要がある。

<次善の策は野党統一比例名簿>
 もう一度、「桜の木」構想の合理性をあげておく。
① (野党大結集がベストだが)参院選で必死で野党が団結して安倍政権に立ち向かう姿勢が示せる。
② 比例区に、地方区(特に一人区)の野党共闘の延長の受け皿が必要。
③ 共産党とは一緒にならず、保守層の批判がない。
④ もとの党籍を離れる必要がないので、野党統合ほど軋轢が生じない。
⑤ 13年の死に票(生活94万、みどりの風43万、みどりの党46万、新党大地52万票を残し、3~4人(1人100万票)野党候補が増える。

 私がペーパーを関係者に開示してから2ヶ月、どこのマスコミもできっこないと報ずるばかりだったが、5月20日の朝日の社説がやっと野党統一比例名簿の必要性、合理性を力説してくれた。
 オバマ大統領の広島訪問は何も安倍政権の外交成果ではないが、やはり支持率アップにつながっている。これが7月10日まで持続するとは思えないが、自公も必死で反撃してくるだろう。
 とにもかくにも、野党勢力と結集して安倍政権の暴走を止めるのが今度の参院選の役目であり、ありとあらゆる手段を講じて、参院選の自公3分の2は阻止しなければならない。
 あとは、民進党執行部の決断だけである。時間は残されていない。

2016年05月26日

【TPP交渉の行方シリーズ57】多国籍企業を律する国際協定こそ必要- 租税回避を野放図にして消費増税はバランスを欠く - 16.05.26

<日本は多国籍企業のほしいままにされている>
 安倍総理はかねがね「日本を世界一ビジネスをしやすい国にする、そのためにもTPPが必要だ」と言っている。そして、国際会議において「自分は日本の岩盤規制を打ち砕くドリルの刃になる」と大見得を切っている。
 これは以前のブログでも矛盾を指摘したことがあるが、菅直人総理がダボス会議で第三の開国と発言したことに対して、外国で自国が閉鎖的だと宣言する愚かな総理と批判したのと全く同じ間違いをしている。日本の国には規制があって企業がビジネスがしにくいので、自分がそれをこじ開けてやるといい格好をしているにすぎない。「閉鎖的日本」「規制だらけの日本」と自国を悪し様に言う点で同根であり、安倍総理が嫌う自虐的歴史観以上に問題ある自虐規制史観(?)発言である。実際は金持ち国日本は既に多国籍企業にいいように鴨にされ、餌にされているのである。それを更に推し進めるのがTPPなのだ。

<アメリカを牛耳る医産複合体>
 今、多国籍企業がその利益を追い求め、国家が片隅に追いやられている。ありていに言えば、国益がどこか吹っ飛んでしまっている。例えば、TPPもそうした多国籍企業がアメリカ政府をつっついて動かしている。つくづくその恐ろしさを知ったのはTPPの関係会議に同行した時である。2013年秋のブルネイの閣僚会合に民主党代表として出かけて以来、最後の2回を除き私が同行した。日本からは農業団体が大半なのに対して、アメリカからは関係業界のロビイストが押し寄せていた。主として医薬品・医療機器業界そして保険業界、これらがアメリカのUSTRを動かしているのである。アメリカはおかしな国で、たった一つの企業が騒いでも、それを国益と考え、その企業の望みどおりに交渉してくる。日本では各省が省益で動き、各省はその所管の業界の後押しで動くが、アメリカは一企業益が即国益になってしまう。アイゼンハワーは軍産複合体の危険に警告を発したが、今やウォール街の金融資本と結託した医産複合体がアメリカを動かしている感がある。

<ウォール街に反旗を翻したアメリカ国民>
 その点では我々の理解を超えている。よくウォール街の金融資本と政治家の関係が取りざたされる。トランプもサンダースもウォール街からはお金をもらっていないからという理由でアメリカ国民の支持を受けている。クリントンはサンダースからウォール街から資金援助を受けていると散々攻撃された。オバマは違う政治をすると期待されたが、最後にはずぶずぶに金融界にはまっていき、国民の期待を裏切ってしまい、結局ウォール街に牛耳られる大統領というイメージが定着した。それに対して反旗を翻したのが前記2人の快進撃の理由である。アメリカ国民はアメリカの一部の富裕層とそれに乗っかる既存の政治家に嫌気がさしており、大方の玄人の予想を裏切って今やトランプが大統領になる可能性がますます大きくなっている。

<スタバの単純な手口>
 多国籍企業(大企業)のちょろまかしの最たるものは、節税→租税回避→脱税である。大半の人はもう忘れているかもしれないが、2012年、スターバックス(以下「スタバ」)がイギリスで全く納税していないことが大きく取り上げられデモまで起きている。企業が利益を最大にしようとするのは止めようがない。しかし、スタバのしたことは、極めて単純なインチキで、多国籍企業ならではのものである。赤字だから税を納めなかったと言い訳したが、税金の高いイギリスの利益を税率が低いスイスやオランダに移転するという操作(コーヒー豆をスイスの子会社を経由して割高の価格で買う。コーヒー製法の知的財産権や商標権の使用料をオランダの欧州本社に納める。)をしたのである。イギリスで不買運動が起こったのは当然のことである。


<便宜置籍船からパナマ文書へ>
 こんなことはギリシャの船主が税金の安いリベリア船籍にしたことに始まる。便宜置籍船(flag of convenience ship)で、船舶業界ではとうの昔から公然と行われている。そして今や世界の船の大半は、パナマ、バハマ、マルタ、キプロス等の国の船となっている。そしてこれがあらゆる企業活動に応用されたのが、タックス・ヘイブンでバージン諸島、ケイマン諸島等がその対象地となった。
 そこに4月のパナマ文書のタックス・ヘイブンの暴露である。かのスノーデンは、データ・ジャーナリズムの史上最大の漏洩事件だと評している。
ところが不思議なことにアメリカの多国籍企業はボロを出していない。あちこちでさんざんに悪行の限りを尽くし、法の網の目のすり抜け方をよく知っているのであろう。
私が問題にしているファイザー社(アメリカの世界一の医薬品メーカー)はアイルランドの同業のアラガンに買収され、本社を移そうとした。今までに滞納した税金を不払いのままに逃亡し、かつ今後も税率の低いアイルランドで節税するというインチキ企業買収である。小さな企業が世界的大企業を買収するという変な構図であった。さすがこうした悪だくみに気づいたアメリカ内国歳入庁はストップをかけ、ファイザー社は諦めた。こうした実態をある程度暴いたのがパナマ文書である。

<いずこも同じ強欲資本主義>
 アイスランドの首相は辞任し、プーチン、習近平、キャメロン、ナシブ等、各国主脳関係者の名前があがっている。それに対し、加藤勝信官房副長官の姉、加藤康子内閣参与の名前があったぐらいで、日本の政治家はそれほど絡んでいないようである。あとは楽天の三木谷浩史、セコムの飯田亮、戸田寿一、上島コーヒーの上島豪太、ソフトバンクの孫正義等の企業人は名を連ねていた。4年前にアマゾン、グーグル、スタバの租税回避が問題にされた時には、ネット上で「アマゾンではなく楽天を使え」という主張がなされたが、所詮強欲資本主義、同じ穴の狢だった。
 やはり、大企業は利益重視の宿命で、節税がいつしか脱税につながり、いかがわしいことをしている。世界を股にかけ儲けまくる多国籍企業や全国展開する日本の大手企業が、違法行為に手を染め法人税を払わない中で、消費者にだけ負担を強いる消費増税など受け入れられるはずがない。脱税額なり節税額は消費税総額や所得税総額に匹敵するかもしれないからだ。

<群馬通りがアメリカ通りになっていく>
 『TPPはいらない』という本にも書いたが、飯山市の飯山豊田インターから市街地に行く途中にベイシア等の全国チェーン店が目白押しである。ほとんどが県外資本ではあるが、働いている人も買い物をする人も北信州の人々である。ところが上がる利益は本社のある県外に流れていってしまう。だから地元の人たちは皮肉をこめて『群馬通り』と呼んでいる(ベイシアの本社も群馬)。かろうじて雇用と固定資産税では一応地域経済に貢献しているかもしれないが、寄付もあまりせず、地域社会貢献についてはほとんど考えていない。
 これが今度は西友がウォルマートの支配下になり、外食産業はマクドナルド、デニーズ、ケンタッキーフライドチキンと外資系ばかりが跋扈し、利益は海外へ出ていくことになる。その一方で飯山の中心街はシャッター通りが極まり、車のない高齢者は買い物難民になっていく。市制60周年を迎えたのに、4万2000人の人口が2万人を割る寸前になりつつある。


 私は、TPPはこれらの悪い傾向に拍車をかけるので、政治生命をかけて反対している。日本全国各地にある飯山のような街を救わなければならないからだ。TPPを推進しようとしたクリントンでさえも、仕事は増えない、労働者の賃金は上がらない、安全保障にも役立たない、巨大多国籍企業の利益にだけしかなっていないと言いだし、とうとう今のTPPには反対だと言わざるを得ない立場に追い込まれた。
 30章もあるTPPの中に、多国籍企業のいかがわしい租税回避を禁止する規定などなにもない。関税をなくす前に、法人税こそ統一し、租税回避を防ぐほうが先ではないか。TPPが世界の共通ルールを作るのだと粋がるのなら、世界に先駆けてTPP12ヶ国で租税回避をしないような協定こそが必要なはずである。

<身近で納税は地産地消の延長>
 グローバル化が急速に進展し、世界のルールがそれに追いついていない。鵜の目鷹の目の多国籍企業がそこに眼を向け暴利をむさぼっているのが現状である。ピケティをはじめとする経済学者が「一部の富裕層や多国籍企業を利するだけで不平等を拡大させる」としてタックス・ヘイブンの根絶を求める公開書簡を発した。
 また、サミット財務大臣会合でもパナマ文書が議論され、世界が一緒になり監視体制を強化していくとお題目を唱えている。更に、OECDも租税回避のためのルールの対象国を44の先進国から、対象国をマレーシア等の発展途上国を含め拡大するという。当然のことである。
 私は基本的には、食べ物や農業の「地産地消、旬産旬消」は何にでも当てはまると思っている。何でも身近なものですますのが一番自然だし、環境にも優しいし、災害にも強いと思っている。仮に貿易や投資を拡大しても、その国なりその地域で利益を得たものは、まずそこに還元すべきと考えている。
だから税金もごく身近で納めるべきであり、世界はそうした共通ルールを作るべきである。

2016年05月10日

【TPP交渉の行方シリーズ56】 トランプ氏は病める超大国の申し子か-制度疲労を起こしているアメリカの制度は日本に合わず 16.05.10

 5月の連休の5日間、日米(韓)国会議員交流会議に参加のため、ワシントンD.C.で過ごした。お金のない私は国会議員になって初のゴールデンウィーク出張であり、ワシントンD.C.は5年振りである。日本とうって変わってずっと雨ばかり降っていた。

<トランプ氏の指名確実に>
 その間に共和党のトランプ氏の大統領候補指名がほぼ確実になった。3日、インディアナ州予備選も勝利し、最後まで残っていたクルーズ上院議員も撤退宣言したからだ。
 当初、泡沫候補とみられていたトランプ氏がここまでのし上がるとは誰も予想できなかったに違いない。多くの国民が既存の政治なり、今の支配層に不満と不信を抱いているからである。前述したが、民主党のサンダース上院議員に対する支持も根は同じ所にある。貧富の差の拡大等をはじめとして、国民がアメリカはどこかおかしいと思い始めているからである。

<嫌われ者同士の初物候補>
 全く政治経験がない大統領候補の指名は1952年のアイゼンハワー大統領以来のことである。アイゼンハワーは軍の高官だったが、トランプ氏は民間の不動産王である。一方、民主党の大統領候補にほぼ確定したクリントン元国務長官も女性としては初である。こちらはファーストレディ・上院議員と典型的なエスタブリシュメントである。どちらがなっても珍しい大統領となる。
 一方、両方とも相当嫌われていることが共通している。特にトランプ氏は黒人、知識層、移民、女性の拒否度が高く、その反面白人男子の低所得層の熱狂的支持を受けている。クリントン氏は、あまりの上層階級臭さが逆に嫌悪の対象となっている。両方ともある意味でいびつな候補であり、11月の大統領選はどっちかが熱狂的に支持されるのではなく、「どちらかよりはましか」という選択しかできないようだ。その意味ではちょっと寂しい選挙戦である。

<TPPはダメ協定>
 政策について、トランプ氏の主張で私が一番最初に関心を持つのは当然TPPである。当初からTPPはダメ協定、とけなしている。基本的にトランプ氏の主張は保護主義であり、アメリカのことを最優先し“America first”と連呼している。アメリカは、日本、中国、メキシコと貿易戦争に負けている、もっと強くならなければならないと主張し、その延長線上でTPPもアメリカが譲りっぱなしだというのである。私などから見ると、日本こそアメリカのいいなりになり、協定を結んでいるとしか思えないが、トランプ氏の目から見ると、全く逆の協定だというのだ。
 5日CNBC-TVのインタビューで、大統領になったら再交渉すると明言した。「再交渉には一切応じない」と強がりを言い続けた甘利元担当相は、何と言うのだろうか。更に、日本を先走ってTPPを承認してしまったら、一体どう対応するのだろうか。

<根底にある反グローバリズム>
 この根底には、“グローバリゼーション”に対する強烈な反対が秘められている。つまり、自由貿易協定なり移民なり、外国との絡みで国民自身が恐怖を感じているのであり、いってみれば自分の国の、あるいは自分自身の“アイデンティティ”が壊されるのではないかということを心配している。私は日本にもこれがあって当然だと思うが、お人好しなのかどうか、ほとんどこうした危機感がみられない。
 世界全体を見渡してもこのような傾向が現れており、フランスの国民戦線ル・ペンの反移民政策、あるいはイギリスのEU離脱もこの範疇に入るかもしれない。

<剛速球の日本の安保だだ乗り論>
 二番目が最近急にクローズアップされてきた日米安保問題である。自分の国の防衛は自分の国ですべきであって、アメリカに守ってもらっている日本、韓国、独、サウジアラビア等は米軍駐留費の全額を負担しろ、という荒っぽい主張である。
 私と同時期にアメリカに滞在した石破地方創生担当相は、日米安保条約の認識が欠けている、米軍の日本駐留は何も日本の防衛のためだけではなく、アメリカの世界戦略の一環だ、と当然の反論を述べていた。ただ、どこまでがアメリカのためであり、どこまでが日本のためという線引きが難しい。だからトランプ氏のような考え方もあってもおかしくはなく、一概には否定しえないと思っている。
 トランプ氏のこの主張は大統領選に出馬してからの思い付きではなく、30年前に新聞広告も出すほどご執心の主張である。日本の防衛のあり方について波紋を投げかけるものであり、日本の集団的自衛権を巡る議論の一環として考え直してみる必要がある。

<いただけない日韓核武装容認>
 ただ、日本や韓国も北朝鮮に対抗するため核武装しても構わない、という極論が飛び出すと少々ついていけなくなる。
 アメリカは日本が核武装することを極度に恐れている。だから、プルトニウムを貯め込むことに相当神経質になっている。別途報告するが、私は5日に会議を終えてから、日本の核燃料サイクルに疑問を呈するカントリーマン国務次官補とアクトン・カーネギー財団研究員と意見交換してきている。日本はまだ世界から見ると、何をしでかすか分からない不気味な国なのである。
 トランプ氏の米軍駐留費全額負担、日韓核武装容認は極論ではあるが、どの国も自分で守れ、という点については一理あり、反論しにくい面がある。

<経済政策はまっとうで受け入れられている>
 三番目の経済政策では金融規制を緩め、法人や個人の負担を軽減すべく税金を下げると、ビジネスに長年携わってきた不動産王ならではの主張もある。また、サンダース氏同様に大金融機関の解体、課税強化といった庶民の共感が得られる主張もしている。
 アメリカの庶民は、よくいわれる1%の大金持ちが99%の富を持っているということに、非常に反発している。特にトランプ氏の支持層で抜きん出ている白人低所得者層にその傾向が顕著である。ただ、予備選の後半は、大卒の43%、年収10万ドル(約1000万円)以上の34%の支持も得るなど、支持層を拡げたといわれている(エコノミスト誌)。
 他にパナマ文書に代表されるように、金持ちがきちんと税金を納めていないというようなことにも敏感に反応している。この延長線上で本社を海外に移したりすることについても反対している。だから、多国籍企業に有利なだけのTPPにも反対することになる。
 TPA(貿易促進権限)法案審議で噴出したが、為替操作問題についても、日本(や中国)が、円(元)を安くして輸出を増やしアメリカの仕事を脅かすと息巻いている。日本が意図的でないにしても、結果としてはその通りなので、国民にもすんなりと受け入れられている。

<影をひそめ出した暴言>
 キャンペーン前半には、メキシコ国境に万里の長城を造るとか、イスラム教徒は入国禁止といった過激な発言が目立った。しかし、さすが後半になるとこうした発言は少なくなった。バラエティ番組で10年近く進行役を務め「お前はクビだ」という名文句を流行させたトランプ氏は、大衆の心を掴む話術と話題作りに長けているのだろう。そういえば橋下徹前大阪市長と共通したところがある。
 兄がアルコール依存症であることから酒は飲まず、タバコも吸わないという。我々にはポッと出とうつっても、2000年にも大統領出馬せんとしており、すべて着々と準備してきていたのかもしれない。

<今さらほころび始めたアメリカの手法(TPP)を取り入れてどうなるのか>
 私はアメリカの色々な仕組みが色あせてきているのではないかと思っている。つまり、自由に任せれば何でもよい、というやり方が危機に瀕してきているのだ。それについて皆が気付き始め、それがトランプ氏あるいはサンダース氏の支持に繋がっている。
 その象徴がTPPである。TPPはアメリカの大統領候補誰一人として支持していない。TPPはアメリカのルールを日本に押し付けるための手段である。ところが本家のアメリカで一連の制度が働かなくなりつつあり、アメリカ国民からも見離されつつあるというのに、それを日本がわざわざTPPという協定まで結んで取り入れるのはどうかしている。

<アメリカの真似はもうよそう>
 アメリカの猿真似をして失敗した最近の例を挙げると、法科大学院がある。鳴り物入りでスタートしたが今は閑古鳥が鳴き、半分近くがつぶれんとしている。
 それよりも崩れかかっているのは、ひょっとしたら二大政党制かもしれない。共和党が7月の党大会に向けてトランプ氏を指名しないための検討に入ったと報じられている。アメリカ社会の分断を反映した、共和党の分裂である。やはりアメリカは病みつつあるのではないか。私がワシントンD.C.滞在中に、ライアン下院議長がトランプ氏を支持しないと発言し、その映像がしつこく流れていた。二大政党制の下で国民の多様な要求を実現していくのが難しくなりつつあるということである。
 日本が目指した二大政党制による政権交代も、今や安倍一強体制を生み、どうも日本には向いていないような気がしてならない。日本は、日本に合ったやり方を見つけ出す以外にない。