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【TPP交渉の行方シリーズ63】 アメリカの太刀持ち・露払いに成り下がった安倍政権 ‐長期的支援に立つなら次期大統領と歩調を合わせる‐ 16.11.06

「本内容は16年10月30日に作成」

<10月31日までの国対政治報告>
 10月26日の宮崎の地方公聴会の後、報告をしていないので今回報告する。その後、いろいろ世の中は動いている。10月27日(木)午前に、「農業と食の安全」の2つのテーマの参考人質疑が行われ、私は「食の安全」で質疑に立った。強行採決だといわれていた28日午後には、積み残しの野党の一般質疑が行われ、私は1時間弱質問に立った。28日の強行採決は一応回避された。本会議後のテレビ入りの質疑が終わった後、変則的だが31日月曜日午前中には、3回目の参考人質疑「ISDと知的財産権」が行われ、私はこちらも質問に立ち、午後は2回目のTV入りの質問をした。この一連の動きの後、今日その途中で、明日11月1日、午前の一般質疑と午後2時間ほど年金法の本会議が行われた後に採決のための委員会を開きたいという申し出があったが、当然のことだがこれを拒否している。
 今のところ、最近毎日していることだが、次の日程協議をしながら審議をするかたちになった。そして10月30日の今日、私はまた夜遅くひとりで議員会館に残り、このブログを書いている。国会で繰り広げられるこれらの日程調整のことは、このブログに書いても何の足しにもならないので、私の考えているTPPについての続きを報告したいと思っている。

<2人の大統領候補が反対するTPP>
 外交は相手のあることであり、政権交代しても基本方針は変えるべきではない、とよく言われる。それだけ長期的視点に立って考えなければならないことだろう。
 よく知られるとおり、クリントン、トランプ2人の大統領候補ともTPPに反対している。トランプは最初からであり、クリントンは同じ民主党のライバルだったサンダーズも大反対だったこともあり、途中から反対し出した。そして、2人に絞られてからトランプもクリントンも大統領になる前もなってからも反対すると明言するに至っている。つまり、新大統領はどちらがなってもTPPは反対なのだ。

<未承認は再交渉覚悟という屁理屈>
 一方、TPPの発効要件は半分の6か国とGDPの85%以上、つまり65%の米国と17%の日本が承認しなかったら発効する見込みがつかないことから、マレーシアを除き、他の加盟国はアメリカの様子見である。特に国内法を整備し終えた国はない。アメリカにひっくり返されてから、再び国内法を改正させられてはたまらないと考えるからだ。それを1国日本のみが承認と国内法を同時にやろうとやたら急いでいる。
 そして、安倍総理以下が大言壮語している。曰く、アメリカの承認を促すためにも一刻も早く承認する必要がある。大江審議官にいたっては、日本が早く承認しないと日本が再交渉を覚悟したと受け止められる。そして今、政府がこれを大合唱し始めている。後付けの屁理屈でしかない。それならば、承認しない他の国々は皆再交渉を覚悟しているとでもいうのか。

<オバマと共に退陣するのか、東京オリンピックまでするのか>
 安倍首相は、日米同盟が最も重要と言いつつ、2人の次期大統領候補が反対するTPPを日本が先駆けて承認するのは、いかにも問題である。なぜかというと、安倍総理はオバマ大統領がレガシー(遺産)としてこだわっているからといって、それに同調するかのように承認を急いでいる。もし安倍総理が一緒に退陣する覚悟があるならわかるが、自民党の総裁任期を長くして、2020年の東京オリンピックを総理として迎えたいとしていることと大きく矛盾する。次期大統領は2016年から2020年まで在任するのであるし、安倍総理の切望する任期と符合する。
 安倍総理がそういうことを言うので、自民党の皆さんも日本が率先して承認したらアメリカが追従すると思っているが、アメリカはそんな軟な国ではない。日本が抵抗した方が、日本が困っている分アメリカが有利だということになり、へそ曲がりのトランプはそちらの方を評価するかもしれない。私が “NO!TPP”バッジをつけ、“STOP!! TPP”ネクタイをつけてアメリカに行くと、きまって日本にもTPP反対論者がいるのか、という人たちに遭遇した。だから日本は承認してしまったら、やはり日本にだけ相当メリットがあるのではないかと疑われることになる可能性のほうが高い。

<アメリカの太刀持ちになった日本>
 どうもアメリカとの関係を見ていると変なかたちになっている。今日は少し言い尽くせなかったけれども、安倍総理にアメリカとの関係を聞いてみた。まずアメリカは大相撲に例えるなら、いくら力は衰えたとはいえ「東の正横綱」であるが、日本はどのぐらいかと質問した。これに安倍総理はグダグダと言っていたが、まあ三役ぐらいだという答えだった。私は、GDPが世界第三位であるし、中国・EUが横綱だとすれば、日本は「大関」にはランクされるはずである。
 ところが、日本は東の正横綱であるアメリカの「太刀持ち」になってしまっている。安保法制でアメリカが戦争を始めたら、ノコノコ後を付いて行ける仕組みができあがってしまっている。

<被爆国としての矜持を忘れる>
 それからもう一つよくないのは、いつも繰り返されるアメリカへの追従である。その一つが、核兵器禁止条約の2017年からの交渉開始を求める決議案にアメリカと歩調を合わせて反対したことである。TPPではアメリカよりも先に承認して、議会の反対派を抑えて早く承認するとかなりのリーダシップを発揮せんと無理な姿勢をとっている。本当ならばその姿勢は良しとする。それならば唯一の被爆国として、核保有国と非核保有国の橋渡しのできる絶好のポジションにいながら、なぜひたすらアメリカに従うのか。これが疑問である。日本国民の大半が賛成すべきだと思うだろうし、反対したことに対する被爆者の落胆はいかばかりかと思うと残念でならない。

<国民は今国会成立を望まず>
 一方でTPPは急いでいる。そんなTPPを急ぐ国民の声はほとんどない。今日もまた共同通信の世論調査が発表された。「TPP慎重審議」66.5%、「今国会で成立される必要はない」10.3%であり、76.8%がTPPの今国会での成立に疑問を呈している。尤も同じ日に発表された日本経済新聞では、どうしてこう違った結果になるのかわからないが「TPPを現国会で承認」38%、「反対」が35%で拮抗ということになっている。こちらは3%だけ今国会で成立が多い。しかし、いずれにしてもそんなに急いでいないのである。

<アメリカの露払いでTPP承認を急ぐ>
 日本はやはりアメリカの御先棒を担いでいるしかない。先ほどの土俵入りに例えるなら、「露払い」も兼ねようとしているのではないかと思っている。つまり、TPPである。TPPを今や中国に対峙するために必要だということが盛んに言われるようになっている。最初はそんなことはあまり言われていなかったけれども、今そういうことをよく耳にする。軍事で後を追いかけ、経済では対中ロで露払いをする。太刀持ちと露払いの両方の役割を1人で演じようとしている。しかし、安倍総理はいみじくも三役(大関・関脇・小結)と言われた。関脇以下は太刀持ち・露払いはするが、大関は太刀持ちも露払いもしない。世界第三位の経済大国日本は、アメリカの露払いばかりするようなことは断じてしてはならないと思っている。

<アメリカの再交渉要求には、TPP脱退・破棄で応ずるべし>
 そして二言目には再交渉には絶対に応じないと強がりを言う。しかし、いつ「新しい(奇妙な?)判断だ」と言って平然と再び大妥協を繰り返し、国益を損ねるおそれがある。担保するものは何もない。今日は言うのはやめたが、アメリカがもし再交渉の要求をしてきたら、要求を蹴るだけでなく、トランプ同様に「TPPから脱退する」「TPPを破棄する」ということを国民に約束すべきなのだ。日本は核兵器禁止条約の2017年からの交渉開始を求める決議案にはアメリカに追従して反対し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)でも、先進国の中でアメリカに並んで唯一入らない。日本はどうもアメリカの太刀持ち・露払い国家になってしまったようだ。

※今回のブログ内容は、10月30日現在のものです。TPPシリーズの順番・内容が前後しますが、ご了承ください。