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【食料安保シリーズ2】小国スイスが食料安保を憲法に書き込む-東洋のスイスたる日本はなぜのほほんとしているのか‐ 18.06.07

<国民の食材安保への不安と行動>
 日本と同じような小国スイスが昨年、国民投票により、食料安全保障を憲法に書き込むことを決定している。
 スイスは国土面積僅か413万haと九州とほぼ同じであり、山岳地が多く国土の4割が海抜1300mを超えている。そのため、放牧を中心とした山岳農業しかできない条件の悪いところである。それにもかかわらず、1経営体あたりの平均経営面積は、20㏊と日本よりずっと大きい。しかし、食料自給率も日本と同じような計算はしていないが、かなり低い国である。
 しかし、国民の安全保障に対する関心は高く、2017年9月24日、食料安全保障を連邦憲法に明記するということに対し国民投票が実施され、約8割近くが賛成した。日本のめったに改正されないいわゆる硬性憲法と違い、よく改正される軟性憲法である。憲法改正は日本もそうであるが必ず国民投票をもってなされており、今まで何度も改正されてきている。マスコミ報道には、食料安全保障を明記したのは世界で初だと言われており事実そうではあるが、農業の重要性についてはもう既に憲法に昔から書き込まれていた。それを今回は3年ほど前から議論をしはじめて、憲法に食料安保を書き込んだ改正にこぎつけている。

<スイス観光も農業が支える>
 平和なヨーロッパにあっても、やはり食料・農業のことを憲法に書き込み、自国でもって食料を生産し、環境を守っていくべきだということを国民全体が思っているからだ。それをよく北朝鮮情勢が急を告げきわめて不安定な東アジアでのほほんとしているのが日本の姿である。大事なことは農民の要求は勿論であるが、国民全体がそういう意識を持っていることである。
 私はこれについてよく例に出すことであるが、スイスは観光産業も大事な産業である。しかし、あの地域にちゃんと刈り取られた山岳放牧地がなかったならば、スイスにあれだけの観光客が訪れることはない。日本と比べれば一目瞭然である。木々が生えていて視界を遮っていたら、マッターホルンもモンブランもよく見えない。放牧地は、農民の所有地であるが、そこを自由に歩き回ってもいいことになっている。こういった見返りとして、国民全体が農業は無くてはならないものとして意識している。だから直接支払いを相当高くしても、観光業者を含め、何も意義を挟まないでいる。

<スイスを大きくした国、日本>
 日本では、いくら水源を涵養している、景観を保っている、酸素を供給しているといってもピンと来ないで、なんで農業や地方にそんなにお金をつぎ込むなという文句がかならず都市部から出てくる。しかし、スイスの場合は国民員全体が同じ意識でもって山岳農業を守ろうとしている。山岳農業は、大平原で機械化できて規模拡大のメリットがすぐに出てくる農業と違うのがよく分かっているからである。日本も平地は少なく、言ってみればスイスを大きくしたような国であり、憲法に同じような規定がなされてもおかしくない。この辺のことは、ドイツに住む川口マーン惠美の『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』(講談社+α)に詳しい。

<支離滅裂な日本は不可解な国>
 ヨーロッパの小国スイスは国民皆兵を国是とし、徴兵制により21万名の予備兵役も確保している。スイスは軍事も食料も安全保障の要と考えているからである。
 ところが、我が国はTPPを推進するし、外国から自由に食料を輸入し、その代わりに輸出もする。それよりもわが日本国民に安全な食料を提供するほうが、日本の農業・漁業の役割としてはるかに大事なのにほったらかしである。そして、やたら軍事だけにこだわり、エネルギーは自国で使わない原発を他国に輸出して金儲けせんとしている。哲学のない支離滅裂国家であり、諸外国からはとても理解してもらえまい。農民が気がつき国民が噴気する時が来ている。