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【食料安保シリーズ3】隣国韓国は農政で今や日本の先を行く‐かつて日本を手本の二番手ランナーが農業の重要性を憲法に書き込む‐18.06.13

<世界一都市集中のはげしい日本>
 世界は急速な勢いで都市への人口集中が進み、半分以上が都市に住んでいる。先進国で都市集中が進んでいると誤解される向きも多いと思うが、逆である。先進国で野放図に都市集中させている国はほとんどない。「都市的集積地域」のランキングでは、日本の東京(圏)が1位で3814万人、次いでニューデリーが2645万人としている。1億2700万人の一割が東京で、首都圏は約4000万人近くに達する。これではいびつな国造りしかできないのは当然である。
 これ以上都市の暴走をさせてはならない。それには多くの都市住民を農村と結びつける努力が必要である。さもなければ、農業・農村は国民から忘れられてしまう。

<農業の価値を憲法に書き込む運動>
 隣国韓国は、今は北朝鮮問題も抱え、韓国はトランプ大統領も巻き込んで、外交でも難問山積みである。 そうした中で、韓国農業界は鮮やかな一手も打っている。憲法に農業の重要性を書き込むという、思い切った改正である。韓国では公益的機能という日本でも20数年前に使っていた言葉を使っているが、日本風に言えば農業の多面的機能の重要性を憲法に明記するのだ。韓国農協中央会が昨秋署名活動を始めたところ、すぐ1000万人を超えてしまった。韓国の都市住民はまだ農村を身近なルーツとしている者が大半なのであろう。
 自らの拠って立つ基盤を支えなければならないと感じているから圧倒的支持を受けているのである。これは、私がパリ勤務時代、パリ市民がUR(ウルグアイ・ラウンド)反対のデモを拍手でもって迎えたのと似ている。大半のパリ市民は、田舎にちょっとした家を持つデュアルライフ者だったのだ。

<文在寅の脱経済優先路線>
 文在寅大統領は、今までの保守政権と異なり、脱経済優先を掲げており、3月26日に発議した憲法改正案(129条)は、新たに「農業・農村の公益的価値を反映する」条項を加えている。日本と同様、米価下落も大問題となっているが、政府が手を打ち米価は回復しつつある。こうした農村への暖かい眼差しが、憲法への公益的機能の書き込みにつながっている。 
 競争原理の導入、規模拡大、民間企業の農業参入といった、強気ばかりのアベノミクス 農政と大違いである。日本が遅れており、歪んでいるのである。

<お金、利益優先のふるさと納税制度の先を行く一村一社運動>
 これより先に、大企業が田舎の村を支える「一村一社」運動が2004年から始まっている。サムスンのような大企業が、提供先の農村の農産物を購入したり、農業の手伝いに行ったり、その村にレジャーで訪れたりして農村を支えるシステムであり、姉妹関係は1万件を超えている。
 それを我が日本国では、農業にも企業参入、挙句の果てには漁業にもという味気ない、一方的改悪がなされようとしている。歪み切ったアベノミクス農政が農林水産行政にも多大な悪影響を及ぼしつつある。何しろ、政界も企業もすべて金儲けのことしか考えていない。
 日本にこうした類の制度があるか考えてみると、問題の多い「ふるさと納税制度」が浮かび上がってくる。しかし、これらは見返りが何かで地方に寄付する、極めて功利的なもので、心底から地方を応援するというものではない。

<鈍感な日本は、スイス・韓国を見習うべし>
 スイスと韓国と時を同じくして、国民投票で食料安全保障、農業の公益的機能を憲法に書き込むことを決めたのは、不安定な世界情勢をみてのことである。 かくなる上は、日本も食料安保シリーズ1で示したとおり、自衛隊の役割を書き込むなら、食料安保の重要性も書き込むべきである。ただこの主張にすぐ賛同した同僚議員は、安倍首相は私の主張に飛び付いて、農業界も巻き込んで憲法改正しようとするのかもしれないから、抑えたほうがいいと警告した。
 私は、自衛隊の海外派遣の歯止めを強くかけるなら、この同時加憲でもいいのではないかと思っている。