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【統一地方選シリーズ2】合区も定員削減も根本的解決にはならず- 地方の片隅の声を反映させるには県議選は3~4人区にすべし - 19.4.11

 最後になり手不足の問題である。
市町村議会と比べ、都道府県議会の報酬は十分過ぎるくらいである。長野県でも報酬は80万4000円であり、政務活動費も31万円になる。太平洋ベルト地帯の大きな県議を経験した同僚議員は、県議時代は「こんなにお金が貯まっていいのかと思った。ところが国会議員になったら選挙区の広さは桁違い、事務所を設けた上に秘書は何人も必要となり、お金が足りない」と嘆いた。

<単純な合区は万能にあらず>
 となると問題は制度自体にもあることになる。解決策の一つとして、合区すべしとよく言われるが、ことはそれほど単純ではない。山国長野県の場合、平坦な地図の上では隣同士でも山が隔てて全く交流のないことから、当然のごとく市町村合併は進まない。平成の大合併もなんのその、今も北海道(179)に次いで77市町村もある。
 交流の少ない1人区同士が無理して合区になっても、大きい地区に県議が偏ってしまう。その典型が中野・下高井合区である。私は2007年の選挙でこれを阻止すべく、必死で郡部すなわち山ノ内町、木島平村、野沢温泉村を走り回り、県議候補擁立したが僅差で破れてしまった。その結果中野市から保守系(丸山栄一)とリベラル系(小林東一郎)の2人の県議が生まれた。その後2回は中野市から3人目が立候補したが、郡部からは誰も手を挙げられなかった。やはり現職が有利なのは首長選挙と変わるところがないのだろう。その2人が3回連続当選し、4期目の今回はとうとう無投票になってしまった。参議院の2人区と同じでゴールデンシートになりつつある。これでは小さな過疎地の声はますます県政に反映されにくくなってしまう。

<県議選の選挙区は、3~4人区の中選挙区にすべし>
 だから単純に1人区同士を2人区にしても物事は解決しない。合区にするのだったら、もう少し大きくして3~4人区の大きい選挙区にすべきである。そうすることによって小さな村でも1人当選の可能性が生じて、多様な考え方が政治に反映されることになる。ただ、選挙区が広くなり、議員の負担が大きくなるが、民意の反映のためには仕方あるまい。
また、旧長野市区(10人)のような大きな選挙区に1人区の旧上水内郡区がくっついたりしたら、地方はますます切り捨てられてしまう。今回は、旧上水内郡区のベテラン服部宏昭(7期)が、郡区の声を県政に届けるという声に押されて、長野市区からも得票して辛うじて議席を確保したが、次回新人が出馬したらどうなるかわからない。長野市議会議員が一歩先に統合を経験しているが、旧鬼無里村は、合併当初は前村長が1議席を確保していたが、その後は出せていない。もう市議会にも声が通りにくくなっているというのに県議はもっとひどくなり、過疎山村の代表は県会に送り込めなくなるのは時間の問題である。
10人を超える巨大区などになると身近さがなくなり、投票率の低下そして無投票の悪循環となるので、逆に分割して3~4人区にするのがよいと思われる。つまり、長野上水内区でいったら、旧長野市を北と南に分け、西山地区と呼ばれる中山間地域の一帯とともに3分割して3~4人区にするほうが合理的なような気がする。

<連続する無投票を理由に農業委員を任命制にしたなら、地方議会議員や首長も任命制にするのか>
 無投票が続いたことを理由として農業委員・漁業調整委員の選挙が廃止され、市町村長の任命制になった。
もし、任命制が当然であるならば、無投票がかなり前から続いている県議や定数割れもしている市町村の議員もとっとと首長の任命制に移行しないとならない。更に無投票の続く市町村長も知事の任命制にしてよいことになる。
 この扱いの差を持ち出すと、当然のことだが農業委員等も選挙で選べる体制にしておくべきだったことがよくわかるはずである。つまり、選挙で選べる状態にしておかなければ、ますます地方議会が形骸化し、民主主義は死んでしまうのだ。これを見ても農業委員会等の公選制から任命制への移行がいかに的外れかよくわかるはずである。

<議会の議論の報道は1に市町村議会、2に県議会、3に国会(長野が最悪)>
 国会ほど注目されず、市町村議会ほど身近でない県議会の活性化のためには、県議会の活動を知ってもらう必要がある。 その点、信濃毎日新聞に限らず「県紙」と呼ばれる地方紙は、律儀に県議の質問を報道じている。私は同じ議会人として目を通すことにしているが、その内容たるや「格差」が一目瞭然である。
 市町村議会は身近であり、住民・有権者の目に1番入りやすい。別途次号で触れる大川村等小さすぎるところを除けば、どの市町村も市町村の広報と同時に市町村議会だよりを全戸配布している。また、過疎地は電波事情が悪いことからケーブルTVが普及しており、そこを通じて市町村議会中継を見ることができる。更に、週1回数市町村にまたがる地方紙(長野1区でいうと北信濃新聞・北信ローカル・須坂新聞等)が主要な質問を報道している。その点では、市町村議会の活動が最も目に触れやすい。その前に近くで傍聴しやすいという有利さがある。

<信毎では国会議員の活動はほとんど報道されず>
 それに対して、なぜか信毎は国会議員の質問は1国会に1回だけ2面の片隅(スピーク)に載せられるだけである。他の県紙の多くは地元選出国会議員の質問の大半を報じている。つまり長野県の場合、国会議員の質問だけがエアポケットになり有権者に知らされていない。従って全国紙も報じるものかTV中継される予算委員会しか一般有権者の目に触れることはない。
 今は国会審議をインターネットを通じて見られるし、議事録も見られるが、一般の有権者には無理がある。その点、やはり新聞はまさに絶好の「公器」なのである。

(私はこの機会に近隣各県の各紙の国会議員の質問の扱い振りを別途調べているところである。岩手日報は、予算委分科会を除き、すべての質問を掲載。富山新聞や下野新聞等は議員の会館事務所から情報提供があれば全て掲載。それに対して福井新聞と東奥日報(青森)は、地元関連を中心に掲載と各紙まちまちである。この報道格差是正のため、私は別途信毎に地元選出の国会議員の質問の掲載をお願いするつもりである。)
(以下3号に続く)